第14回例会(その2)

投稿日: Sep 15, 2013 2:29:39 AM

会長です。8/29に行われた例会での対局をもう一局紹介します。この対局は幹事長(黒)とK会員(白)の13路盤3子局です。途中、初心者の方にとって勉強になる場面があることに気づいたので取り上げてみることにしました。

1〜6までは普通の進行。7は中央指向のK会員らしい一手。8は中央の白模様を意識した一着。ここで白は9と右上隅と8との分断を図ってきました(このような白の手をハザマに打つと言います)。ここで黒はどう打つべきでしょうか?

実戦は黒10と打ちました。しかし黒も白も一手ずつしか打てない訳ですから、右上とは連絡できず、実戦11以下のように裂かれてしまいました。11〜17と突き出すことで、上辺と中央の両方に影響を及ぼしているのがお分かり頂けると思います(つまり白の1手が両方の黒に影響しているので、どちらかは被害を受ける)。どう打てば良かったのでしょうか?

ここは1とケイマに外すのが正解。これは「形」として覚えておいていいくらいです。2と打って中央を封鎖しようとしても3に打てばAとBが見合いで脱出できます。ハザマに打たれたときは、このように「西は西。東は東」でそれぞれ別に処理することが重要です。お互いに離れていれば心配は要りません。それができない場合には、ハザマを空けるのは避けた方が良いでしょう。

黒22,24は必死の頑張り。24は最初異筋かと思いましたが、後の中央の動き出しを考えると、この手で良かったと思います。

黒28は29と下がった方が良かった。黒30から中央の動き出しは好手(32のときに前譜の24が活きている!)。白の色々とアジの悪い箇所があるのでこの手順はやむを得ません。ただ35では34の右にツケてみたかった。黒にチャンスが到来しました。この中央の黒をシノげば地合いは黒有利です。

実戦は36のコスミました。ここでは38又は41のツケもあったでしょうが難しいところです。白は全て繋がっているので、黒は右下で2眼作らなくてはなりません。さて黒の次の一手は?

42が敗着となりました。43が急所で以下どうやっても一眼しかできません。ここで黒に手はあったのか検討してみました。

黒は上図1に打つ一手でした。2と切り取りを防げば、3に打ってこれは容易に生きます。

2と打たれれば、3と備えます。4と切り取りを防げば、5とスペースを広げて7とぶつかることで、中央と右下に1眼ずつ作ることができます。

2とツケてくれば3とツナガっておいて、4の後には5以下スペースを広げれば生きています。

これらの変化図から理解していただきたいことは、手を読むことも重要ですが、「形」を覚えることが重要だということです。具体的にはこの場合、眼ができそうな「形」を身につけることです。プロ棋士の多くは、「囲碁上達には何が有効か?」というアマチュアからの質問に、「詰め碁をやりなさい」と勧めるそうですが、それは読みの力だけではなく、形(筋とも言う)を身につける効果もあるのだと思います。

総譜です。結果だけみると序盤で裂かれた黒の大石が憤死した一局ですが、途中悪いなりにも黒は相当頑張っていて、勝つチャンスがあったことが検討して分かりました。そしてどうすれば勝てたのかという原因を突き詰めると、「形」を身につけることが重要だということが分かりました。