第26回例会(その4)

投稿日: Oct 09, 2014 1:28:6 PM

続いてKAT会員と私(会長)との19路9子局を紹介します。本局は2月にわたって打たれたものです。

基本的によく打てている。前回の対局と比較すると成長の度合いがよくわかるでしょう。

特に黒14と肩をついて16と押えるのは中央を大事にしようという気分が出ている。

ただ黒8,10と愚形を強いられてしまった。8ではその一路上にコスミツケたかった(図1参照)。

黒8では1とコスミツケて、2のハネには3と愚形に打つのが良い(この愚形は許される)。これで黒を封鎖することはできない。

黒22は中途半端。白19の石にも白21にも響きが弱い。

黒30からの手は強手。周囲には黒石が多いのだからこれで良い。

黒40から44までの打ち方も意欲的で良い。ただ黒46は形が緩んでいる(変化図2,3,4参照)。

黒46では1とオサえたい。白2,4の二段バネには黒5とキリを入れて7と守る。黒5の石はシチョウに取られないので白苦しい。

白4と一旦のびてから6とハネてもダメ。黒7のキリが成立する。以下17までで白ツブレ。

白6でノビれば黒7とケイマして黒一団が連絡すれば良い。白だけが一方的に攻められることになる。

黒50は辛いし薄い。

白は59〜63と黒のダメヅマリをついて連絡を図った。

黒68のキリは当然の一手。

黒74は最強の頑張り。一部だけ取るのであれば75にノビる手もあった。

白75からコウにするのは止むを得ない。

しかし80は大悪手。ここは何が何でもコウを争うしかない(変化図5参照)。

黒80では1と劫立てするのがよかった(手抜きは×に打たれて白ツブレ)。

白2と受けたら黒3とコウを取り返せば良い。

この後黒には×のキリや◯のアテなどのコウ立てがあるが白にはAくらいしかコウ立てがない(しかもこのコウ立てはBと打たれて損コウになる)ので、このコウは何が何でも争うべきだった。

白は左下隅を凌いだ上に貴重な先手を得たので83から左辺に手をつけた。

黒90は筋違い。Aの1子はカス石なのでツナグ必要はない(変化図6参照)。

結局白95までで左辺の黒7子を取り込んだ。

それでもまだ黒よいので97と右上隅に手をつけた。黒の次の一手は?

黒90では1とオサエたかった。次に6に打たれたら白が潰れるので白2は止むを得ず、黒3に手抜きすると左下隅の白が危ない(変化図7参照)ので4も省けないないが、そうすると5から9までで突破できる。結果黒石の連絡と上の白5子取りが見合いになる(各自確認のこと)。

上図の白4を省いたときの変化の一例。白は何とか生きられるが、その代わりに利き筋が生じるので黒も楽に生きられる。その結果他の白石が危険になる。

黒100は打ち過ぎ(変化図8参照)。白101にキリが入れば何かしらの手になる。実戦はかなり白が得をしている。

黒100では1とツナグところ。以下白2から生きようとしても11まででこの白に生きはない。

黒は中央から右辺の白一団へのヨリツキを図るが、黒のダメヅマリや薄みがありなかなかうまく行かない。

白27で右下隅が安定した。これ以降は大ヨセ。

数目ではあるが黒34は損。黙って36に二段バネすべき。黒46は大きい。白は早めに中央に手を付けるべきだった。

黒50は冷静な一手(変化図9参照)。

黒60も損。打った分だけ取られてしまった。

黒1と2子を助けると、白は3とワタらずに2とノビる可能性がある。以下4までで相当気持ち悪い。

ここまで何とか頑張ってきた黒だが68が敗着となった。68では先手にならないので白に寄せられてしまう(変化図10参照)。

黒68では1とオサえる一手。もし白2と2子を取ればそこで貴重な手番が黒に回ってくる。

以下一例を示すと9まで先手ヨセを決めてから11の逆ヨセまで打てば黒が残っていた。

大雑把な計算をすると...

黒地

左上隅:11目

上辺:14目

下辺〜右辺:68目

合計:93目

白地

左辺:54目

右下隅:13.5目

右上隅:16.5目

中央:4目

合計:88目

で黒が勝っていたと思う(間違っていたらご指摘ください)。

総譜。これはKIT会員の残念譜。細かい点はこれまで指摘した通り。

敢えて最後に指摘するとすれば5譜でコウを争って欲しかった。コウは負けても他で得すれば良いと考えて挑みましょう(コウ立てが足りないのであれば別ですが、今の棋力ではそこまで考えなくても良いです)。