第17回例会(その2)

投稿日: Jan 17, 2014 3:42:44 PM

古い対局ですが、初心者にとって示唆に富んだ内容なので、敢えて本blogで紹介します。

T会員とA会員による対局です。

ここまでの進行は黒十分及第点の内容だと思います。ただ白3は打ち過ぎなので、この手をもう少し厳しく相手を咎める手もありました。以下簡単にご紹介いたします。

第1譜の4で黒1とコスんで、以下5まで下辺の白を封鎖する手がありました。この下辺の白3子を助けるのは大変だと思います(少々難しい変化はありますがここでは割愛)。

第1譜の6で黒1とコスんで白を分断すると白は非常に困ったでしょう。私が白であれば投了していました。

ちなみにこのように白の石が黒1,3と突き出された形は「裂かれ形」と言われます。

この2つの変化図から、以下の教訓を引き出すことができると思います。

1.相手の石を封鎖する(自分の石を封鎖されない)

2.相手の石を分断する(自分の石を分断されない)

相手の打ち過ぎはとがめられなければ打ち過ぎにはならず、場合によっては好手になってしまうのです(これは自戒もこめて)。

この黒10では決定打がありました。変化図3,4をご参照ください。

白11は当然。黒12は好手。ただ白13に対しては13の下に押えたかった(変化図5参照)。

ちょっと奇妙に思えるかもしれませんが、10と置く手がありました。これで白はしびれています。

後の変化を以降で示します。

白2と右から押えると3以下で左辺の黒と連絡します。黒7までで白の大石には眼がありません。

白2と上から押えると黒3以下上辺の黒と連絡します。左下の黒が心配になりますが白8に黒9と受けていて左下隅は活きています。

黒14では変化図7の黒1と押えて大丈夫でした。×の部分に黒が打てないからです(◯に打てば取ることができる。このような形をカケツギといいます)。白2はやむを得ない(黒に2と打たれると取られるから)ので、黒3と打てば全体の黒が連絡します。

16も時期尚早で黒1と早めに活きていた方が良かった。以下白2は当然で、そうして黒3と打てば×に眼ができるので黒は活きることができます。以下の解説のように実戦の進行でも活きられますが、右下隅に白が食い込む結果、黒地が減るため損をします(ただこれはやや高度なので理解できなくても気にしないでください)。

黒22では第4譜の29に打って活きておくべきでした。この図だと白29に打たれるとコウになります(変化図7参照)。

白1と打てば黒2と打つ一手。そこで白3と打つと、黒から×に打てません(◯に打たれると×の黒石が取られてしまうことをご確認ください)。

黒4とコウを仕掛けるしかありません。

白27に対して黒28が敗着となりました。白29が急所でこれで左下隅の黒が死んでしまいました(所謂「五目ナカデ」です)。

黒28で黒1と打てば、白2と打っても黒3と打てば活きています。取られる白2の位置と◯の位置で二眼あります。これは所謂「二の一の急所」です。眼形の急所となることが多いので覚えておきましょう。

総譜です。せっかく右上隅に大きな地ができたのにと思うと残念。