第16回例会(その2)
投稿日: Nov 10, 2013 1:31:43 AM
今回の例会は2人の新入会員(しかも1人は女性!)の参加があって盛り上がりましたが、
従来の会員の対局も会を非常に盛り上げました。
今回はそのうちの一局である13路盤2子局(自由置き石)を紹介します。
4は意欲的な手だが普通は左上の空き隅を占めるところ。5,6は好点。
7も打ちたいところだが、左下隅のカカリを優先すべきだった。
さてこの7に対して黒はどちらから押えるべきか?
実戦は8と上から押えましたが、これは方向が逆で9と左から押える一手でした(変化図1参照)。
また14は打ち過ぎ。12の左にノビておくところ(変化図2参照)。実戦では×のキズが3カ所
できてしまい、到底持たない。
変化図1:12までは19路盤でもよく出てくる定石。左下一帯の黒模様が非常に大きくなるのが分かると思います。
変化図2:4までは定石。普通は黒5は◯にカケツぐところだが、この場合は×があるので不要。
変化図1と比べて模様の規模が小さくなっているのが分かると思います。
白は当然×のキズをとがめに行くことになりますが、どのようにとがめるか?
実戦は白19と切りました。黒20はこれしかない。黒22に対して白は24に
打つべきでしたが、うっかりしたため要の白2子が取られてしまいました。
気を取り直しての白25から黒32までは必然。白33は疑問手。31の上に
押した方が良いと思います(正しく打たれれば右下隅の白は取られているため)。
本譜の白の失敗は24のキズを守らなかったのがすべてですが、黒のキズを
うまくとがめた図も下の変化図3に示しておきます。
変化図3:実戦では7とすぐノビましたが、すぐに動き出さずに3とキル手もあります。
5に対して6の受けは×のキズを間接的に守る手(手抜きして白に×へ打たれると黒2子
が取られる)。この後で7から動き出すのが手順。白11で下辺の黒3子が逃げられない
ことをご確認ください。また黒10で11に打てば、白10で一線と二線の黒3子を大きく
取り込んで黒よしです。
ところがここで黒にも失着が出ました。
黒は条件反射的に34とツナイでしまいましたが、このために白35で
黒4子が取られてしまいました(黒34がなければ白35が成立しないこと
をご確認ください)。
黒38は手堅すぎる。38の右の白1子の逃げ出しは成立しません。
黒38は×に切る一手でした。
白39は機敏な一手ですが、41はその一路下にノビるべき。
再び黒にチャンス到来です。さてここで黒の次の一手は?
黒42は完全なソッポ。ここは44に押える一手(変化図4参照)。左下隅の白は相当に危ない形です(変化図5参照)。こういう石をしっかりとイジメて得を図らなければなりません。さらに書くと、考えたり手を読んだりするところではなく、形を見た瞬間押えて欲しいところ。
白43は打ち過ぎ。黒44は好手ですが黒46は悪手。白47に突き出されて収拾がつかなくなりました。また黒48は見損じ。白53は左辺の黒4子を攻めながら白地を確保しようとする発想は良いです。しかし一路上に控えてコスんだ方がもっと良かったでしょう。
変化図4:黒1と押えると、白2,4,6は生きるためにやむを得ません。
そこで7と切れば中央に巨大黒地が出現します。
ちなみに黒5を打たずに白を殺しに行くと...
変化図5:黒11までで白は一眼しかありません。しかし白12が巧い手で、
これでAとBが見合いになるため白は脱出できます。変化図4の黒5があれば
この図は成立しません(だから変化図4の白6が必要になるのです)。
ついでに変化図4以降、私が黒を持ったらどのように打つのかも一例だけ
紹介しましょう。
変化図6:黒7とツケて左上隅の白の根拠を奪います。×の石があるため、黒7〜17の
黒の一団と左下隅の黒一団が連絡できるのがポイント。左上隅の白は相当に危険に
なります。
本譜に戻ると、黒は左辺の4子をどうにかしなければなりませんがどうすれば良いでしょう?
黒54は「サバキはツケから」の格言通りの一手ですが、この局面は黒が苦しいから55,59あたりまで踏み込んで勝負したいところです。
黒60は勇み足。白61と的確にとがめられて再び黒ピンチ。が白67は悪手。68に打っていれば、黒60,64,66の3子は取られていました。
取られていたはずの黒60,64,66の3子が息を吹き返し、白の61,63,65が危険な状態になりました。ここでの黒の一手は?
黒70以降上辺の黒の根拠を確保して80のキリに回りました。これで十分及第点を上げられますが、もう少し厳しい手がありました。
変化図7:黒72では1とハネ出す手が成立しました。以下どんなに頑張っても上辺の白は助かりません。
白81以下の逃げ出しは無理。ちょっと気づきにくいですが黒92で両アタリです。
対局者は両アタリに気づかず、右辺の大石まで打ち上げられてしまいました。あっという間の大逆転劇でした。
総譜です。両対局者とも基本的には打てているのですが、もう少し「ナナメ」に注意した方が良いと思いました。ここは手入れが必要か、それとも手抜きして大丈夫なのかを考える習慣をつけるとグンと上達します。
そのためには簡単な詰め碁で3手のヨミを鍛えると良いと思います。個人的なおススメは、このサイトです。よかったら見てみてください。初心者から有段者まで楽しめます。