第1回新春囲碁大会(その3)

投稿日: Feb 07, 2015 6:37:9 AM

続いてAO会員とSN特別会員の3番勝負第2局を紹介します。

本局の見所は三々入りをめぐる攻防です。

第1局同様布石は穏やか。

黒15では堅ツギではなくその一路下にカケツぐ方がよかった。

この時点では平和に囲いあって細碁模様かと思われた。

白26は頑張った手。

黒29では36と切る手もあった。

このまま何事もなく終わると、黒50目ちょっとで白55,56目くらいになりそう。

このままだと盤面でも負けているので黒は右側の白地を荒らしたいところ。

前譜で解説した通り、右側の白地を荒らそうとする黒37は当然の一手。黒43までは定石。ただ白40では他の手も考えられた(変化図1)。

しかし黒45は誤った(変化図2〜4)。

白40では1にハネる手があった。以下9までで黒は2眼作ることができない。

ただしこれは周りの白石が強い場合にのみ成立する「場合の手」で、原則的には本譜の進行になる。

黒としてはもう少し早い段階で三々に入るべきだった。

黒45では1とハネる一手。もし2と1目カミ取れば、3を利かして5と打てば2目をシチョウで取ることができる(白がAと逃げてもB以下アルファベットの符号順に黒白交互に打てば白石が取られていることを各自ご確認のこと。)。

黒1に対して一旦2と押さえてから4と切ったら、黒は7と切れば良い。白8のアタリには9と逃げて...

白10と逃げ出しても黒11,13が利いて、15までで右側の2子を取ることができる。

つまり黒45では1にハネていれば黒は生きていた。

白48では49と黙って下がるところ(変化図5)。ハネるのが良いのか黙って下がるのが良いのかの判断は難しいが、眼形を作りやすい形を作らせないように意識することが重要(そのような「眼形を作りやすい形」を判断できるようになるには経験を積むかまたは詰碁を勉強するのが一番)。

黒49では48の一路下に押さえていれば生きていた(変化図5)。

白48では1と下がるべきだった。以下7までで黒死。ちなみに第1局にも似た様な形が現れた。

黒49では1とオサえて3で「二の一」の急所に下がっていれば以下6までで生きていた。白AとツナいでもBで白石は取られている。

黒は57とまた三々に入った。

黒61はなかなかの手。ただ先に63と打ちたかった。

白62は眼形の急所だがまずは黒のフトコロを狭めてから打つべきだった(変化図7)。

黒63は唯一のシノギ筋。

さて右上隅の黒の死活は?

白62では1と打つのがよかった。以下7までで黒2眼作ることができない。

黒2で3と打っても白2でやはり2眼できない。

白64はやむを得ない。

黒65では64の右斜め下にアテ込めば生きていた。

白66も一見眼形の急所だがこの場合は筋違い(変化図8)。

黒67が失着(しかし敗着ではない。)。これで黒の生きはなくなった(変化図9〜11)。

白66では1とアテコむのがうまい。以下2と打っても3でA(×の2子がウッテガエシで取られている。)B(白石が連絡することで黒の目がなくなる。)が見合いになり、黒は2眼作れない。また黒2で3に打ってもAと放り込んでから2の左斜め下に切れば、やはり黒は2眼作れない。

ちなみに白1が急所であることは以下の変化図9〜11からもお分かり頂けると思う。

たとえば白66で1と切れば黒2と打では良い。白3とアタリを防ぐしかないが、以下黒4が利いて6で黒は生きている。

白1と渡っても、やはり黒2と打では良い。白3とアタリを防ぐしかないが、以下黒4で黒は生きている。

というわけで黒67では1と打つ一手だった。黒3までで生きている。

白70は不要(一手パス+1目損)。

黒71に回れたので再び黒にチャンスが訪れた。

白72は眼形の急所だがこれは無謀。

白74は眼形の急所でこれは正着。

黒85が敗着。ここが黒生きの最後のチャンスだった。

白86で右上隅の黒は完全に死んだ。

白13目半勝ち。黒は2回三々に入ったが、いずれでも取られてしまった。どちらか一方でも生きていれば、と思うと残念。