投稿日: Mar 15, 2015 8:29:56 AM
続いては同じBグループの一局を紹介します。再結成時からの参加しているSS会員と新婚TO会員との一局。
本局の見所は「攻めとサバキ」です。「攻め」というのは必ずしも相手の石を取ることではないし、「サバキ」というのは必ずしも生死のかかった石を助けることではありません。
ではなぜ攻めるのか? そしてなぜサバくのか? 本局をご覧いただければきっとお分かり頂けると思います。
右上隅の形は12まではツケノビ定石。ただ白12に対する黒13は危険(変化図1〜6)。
白14では1のデギリが成立した。黒8のときに上辺の ヒラキが一路狭いために白9と手抜きできるのがポイント。
以下白27までで眼あり眼なしで白攻め合い勝ち。
前図黒16で割り込んでも白25までで眼あり眼なしになる(白は◯に一眼あることに注意)。
黒16と下がっても白23のホウリコミから順にダメを詰めれば攻め合いは白が勝つ。
また変化図3の 黒18で17の下に押さえるのは無理筋。白19と切られて×の断点2箇所があり黒持たない。
従って白1,3のデギリには4から当てるしかない。白11までが予想されるが、中央の黒4子が浮いている(攻撃対象となる)ので白良し。
白24と大きく囲いに出た瞬間黒25と入るのは非常に良い。
黒37はちょうど良い消しの相場。
白38は右辺が大きくまとまるのを防いだ手だが疑問。一路右に打ち込んで中で治るように打つべきだった。
白40は重い。これでは右辺の白石が攻撃対象になり、全局に悪影響が及ぶ(変化図7,8)。
白40では1,3とツケギルところ。黒が4,6と分断すれば白7,9でフリカワって治れば良い。
もし黒が変化図7のような変化を嫌って黒4とノビれば、白5から11まででシボって黒ハマリ。AとBが見合いで白が良くなる。
白52まで打ってもまだ右辺ははっきりしない。
黒は53と下辺に手をつけた。黒が主導権を握っている。
白54はやむを得ない。
黒59に対する白60は疑問手(変化図9)。
白60では1〜5と固めておいてから7と打ちたい。
黒8と頭を出せば白9と飛び出す要領。Aの狙いもあるのでこれなら白にも楽しみがあった。
実戦は目のない大石を2つ抱えることになり、白苦しくなった。
白76はつながっただけの手で相手に響かない(変化図10)。
白86では87あたりに打って下辺の連絡を確かにしておくところだが足りないと見て敢えて手抜きして上辺を囲った。
黒89では90から切断できた(変化図11)。
白76では1とボウシしてみたかった。もし黒2と逃げれば調子で3と飛ぶ。
黒4から切断は白11まででAとB〜Dが見合いで不成立。しかも◯のカケが狙える。
黒89では1と打って切断できた。
もっとも黒1の出には白2と緩めれば8までで生きることができる。
しかし黒9でA(右辺〜中央の白の大石が攻められる)とB(上辺の白地を荒らす)が見合いになる。
ちなみに黒の大石は、◯の一眼(Cが利いていることに注意)と中央にもう一眼できる形。
黒91で白は切断され下辺の白はイジメられた。その間に黒も二眼を確保しているのも大きい。
白6,14,16は中央〜右辺の白石が生きるために必要な手だがいかにもつらい(しかもまだ寄付きが残るのがもっとつらい)。
わずかではあるが中央にも黒地がついてきた。攻めの効果。
白36は見損じ? 黒43では44の右に下がった方がよかった。
黒71を見て白投了。最後は盤面10〜15目ほど黒が良さそう。
本局は、右辺で弱い石を抱えた白の「借金」を睨みながら黒が下辺で戦いを起こしてポイントを挙げて勝利した一局。