【資料】昭和62年度東京駅周辺地区再開発調査委員会議事録1988

昭和62年度東京駅周辺地区再開発調査委員会議事録

国土庁大都市圏整備局整備課

表紙

目次

第1回委員会(昭和62年7月15日) 1

ーー調査の進め方についてー

・議 事 録

第2回委員会(昭和62年9月1日) 5

・討 議 要 旨

・議 事 録

第1回懇談会(昭和62年9月22日) 29

ーー基本的方針について(案)一一

・討議要旨

・議 事 録

第3回委員会(昭和62年10月8日) 48

--基本的方針について(案)ーー

・討議要旨

・議 事 録

第2回懇談会(昭和62年12月2日) 85

・討 議 要 旨

・議 事 録

第3回懇談会(昭和63年2月12日) 93

・討 議 要 旨

第4回委員会(昭和63年3月2日) … 95

--報告書スケルトンについてーー

・討議要旨

第4回懇談会(昭和63年3月17日) 99

ーー報告書(素案)についてーー

・討議要旨

第5回委員会(昭和63年3月29日)

第4回懇談会(昭和63年3月17日)

ーー報告書(素案)についてーー

・討議要旨

第5回委員会(昭和63年3月29日) 101

報告書についてー

・速記録

第1回東京駅周辺地区再開発調査委員会

(昭和62年7月15日)

ーー調査の進め方についてーー

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第1回東京駅周辺地区再開発調査委員会

局長挨拶

日時:7月15日 18:00~21:00

場所:飯野ビル9階「キャッスル」

1。国土庁大都市圏整備局長の柳でございます。

本日は、各先生におかれましてはお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうござ

います。委託者を代表いたしまして私の方からご挨拶申し上げます。

2。まず、本委員会開催に至りました経緯を簡単にお話しいたしたいと存じます。

東京駅周辺の再開発については、昨年4月の自民党民活調査会の提言において取り上げられた後、今年4月3日、副総理、国土庁長官、運輸大臣、及び建設大臣の四閣僚間で調査を行うことについて合意されております。

これを受けて4月22日、国土庁、運輸省、建設省、東京都、国鉄清算事業団、東日本旅客鉄道㈱、及び東海旅客鉄道㈱の局長クラスからなる「東京駅周辺地区再開発に関する連絡会議」が設置されており、この中で東京駅を含めた都心地区の再開発の基本的な方向付けを行うための委員会を設置して調査を行うこととされ、その結論、本委員会を開催いたした次第でございます。

3。東京駅周辺地区は、丸の内、大手町等、日本の中枢的業務管理機能をもつ地区を控え、かつ我国の代表的かつ重要な鉄道ターミナルのある重要な地区であります。

本地区においては、都庁の新宿移転、国鉄清算事業団所有地の活用等により、今後土地利用の大きな変化が予想されます。これらの動き等を捉えて、本地区を東京の「顔」として、鉄道輸送上の重要拠点として整備していくことが極めて重要でございます。

4。本委員会は、国土庁、運輸省、建設省に加え、郵政省の共同調査として、東京駅周辺地区にかかる今後担うべき機能、整備すべき施設内容、整備方策等について検討していただき、その結果を出来るだけ私共の施策の中に反映させてまいりたいと考えております。

5。誠に大変なテーマでございますが、八十島委員長をはじめ各委員の自由閥達の御討議をお願いいたしまして、委託者代表としてご挨拶申し上げます。

第1回東京駅周辺地区再開発調査委員会 議事録

日 時 7月15日 18:00~21:00

場 所 飯野ビル9階「キャッスル」

(資料説明の後)

八十島:事務局説明に対する質問、調査の進め方に関する意見等述べてほしい。

日 笠:(1)「都心地域」の区域はどこか。(2)委員会は何回ぐらいか。

合 田:(1)東京駅を中心に丸の内、大手町、八重洲あたりを考えている。別添図の区域(事業団用地等)は、その拠点地域となる。

(2)委員会は、3~4回を考えているが、その他、幹事会、懇談会等を行いたい。

八十島:図面に調査区域をはっきりさせてほしい。

内 田:将来線を含めて東京駅にどのような駅としての機能・容量を持たせるかということについての議論が基本だ。

沢 田:東京駅の役割について一定のものを出したい。むしろそのことが再開発を考えるうえでの前提になると思う。

西 田:東北新幹線が乗り入れれば、新しいホームが必要になる。それで、中央線をもっと外側にはり出せるかどうか、また、常磐新線はどうするか検討している。

八十島:東京駅を将来2層の駅にするというケースもありうるので、そういうこともいずれ検討対象になるのでないか。

石 原:(1)仮に赤レンガ駅舎を壊しても、地下構造を考えると果して超高層は建てられるのか。

(2)ホームをすべて地下化することは可能か。また、そういうことをこの場で考えうるのか。これにより、御徒町~秋葉原間を地下化できれば市街地環境がずっとよくなる。また、用地費で工事費が浮き、経済的には可能ではないか。

西 田:(1)(総武線地下ホームの位置を説明)地下の構造については、詳しく知らないが、赤レンガを壊すということも配慮して作ってあると聞いている。次回出したい。

(2)ホームの地下化は、私見だが、一日何百本という電車を走らせたままで工事を行なうことを考えると、極めて困難だと思う。

芦 原:東京駅周辺地区が21世紀に向けて整備されるというのは、素晴らしいことだと思う。ただ、短期的に検討できるかどうか。昭和30年代の東京タワーを作ったときや、日本橋の上に高速道路を通したときの議論をみると、機能ということが最優先されていたが、今の状況は予想しえなかった。そのへんのことが心配だ。

村 松:今日の資料は機能についてのものばかりだが、もっと時間的なデータ、例えばどんな建物がいつ頃できたとか、それらの歴史的、景観的評価なども集めてみてはどうか。また、銀行協会等で議論されている空中権の取り扱いも早くサジェスチョンがほしい。

鶴 井:資料はできるだけ用意したい。

八十島:駅の性格について、歴史的な変遷、通勤駅と都市間鉄道駅としてみた場合の評価はどうか、世界の駅と比べてどうかについて、今度聞かせてほしい。また、乗り入れている路線をみると、西南地域からのアクセスはいいが、東北地域からのアクセスはあまりよくない。

細 谷:駅の位置づけ、歴史等について調べて報告したい。

芦 原:容積率や道路計画などは既定の都市計画の枠の中で考えるのか。

鶴 井:できるだけ自由に考えてほしい。東京駅に関して民間からいろいろ構想が出ているが、今のところ政府の案はない。これからやっていくものである。

柳 沢:容積率や道路計画の変更も議論の中に含めてかまわない。

八十島:東京駅にどのくらいの床がつまるかというような空気が一般にはみられるが、例えば駅前広場のあり方などについても、白紙からスタートしてスタディしてみたらどうか。

日 笠:関係人口が3、000万人という都市は世界に類をみない。線路の地下化は今は採算上無理かもしれないが、技術的に本当にできないか考えたらどうか。詳しい断面図や技術的検討を示してほしい。ル・コルビジエは、パリの計画で、遠距離鉄道は地下の深いところ、近距離交通は浅いところに計画した。都心地域では、東京駅のみが、鉄道が高架で入っている。

石 原:調査内容のうち、(1)の現状把握は、事務局にやってもらうしかないし、(2)の広域的位置づけも東京都の長期計画以上のものが果してできるのだろうか。このふたつは、議論する対象ではない。むしろ、(3)の開発可能性の検討、特に東京駅を壊すか壊さないかというのが後の計画にも大きく影響するので重要である。そのためには、違う価値観の調整が必要なので、それを判断できるような資料がほしい。

芦 原:核心にふれる議論をしたい。例えば東京中央郵便局の価値をどう考えるのか。容積制についても、道路率、緑地率との関係もあるが、例えば都庁跡地などでも一方をゼロにし、一方を倍にするようなことも考えてみたらどうか。ニューヨークや、パリではかなり大胆なことをやっているので、そういうところの話を聞くのもよい。大きな再開発をやると、海外の委員も入れてでも、アイディアを募るべきである。数字あわせにしてもらいたくない。容積率の交換、ガード下の利用等、おもいきったことをやってほしい。

八十島:幹事会の設置その他の進め方については事務局におまかせする。

(閉 会)

第2回東京駅周辺地区再開発調査委員会

討 議 要 旨

昭和62年9月1日

八十烏 説明への質疑、ご意見をどうぞ。

石 原 東京駅への東北新幹線の乗り入れの形態は? また、東京駅舎の歴史的価値はないと解釈されるか。

細 谷 東海道新幹線のホームの丸ノ内側の隣の6番ホームに、同じレベルで1面2線のホームを建設する予定。上野駅(地下)力ら25/L、000の勾配で上り、秋葉原の少し手前でJ也上に出て、在来のホームの東側を同じレベルで通す。(65年春開業予定)

伊 達 東京駅舎の歴史的価値については、幅広い論が言われており、歴史的価値がないという結論は出されてはいない。

村 松 建築史家からはかなり評価されているのは事実だろう。東京駅の現業スペースは足りているか。6番ホームは現在どうなっているか。常磐新線はどう乗り入れできるか。

細 谷 一部新幹線関係のスペースが新幹線高架下にある以外、赤レンガ建物内スペースで社員詰所は十分である。6番ホームの八重洲側は、既に線路をとりはずしている。丸ノ内側は、ブルトレとか踊り子号の発着に使用中。(5番ホームに切替え、一部品川発に切り替える予定。)常磐新線は、具体的検討は今後である。国鉄時代に地下に入れる検討をしたことはあり、その可能性は現在でもある。

石 原 線路を重層化することはできないのか。

細 谷 旅客では例がないが、品川電車基地では重層化して利用している。

八十島 都市計画の段階で、東京駅を横断する自動車道路を考えたことはなかったか。京浜東北線によって都已ヽ部東西の道路交通がいくらか阻害されている。大手町で横断する道路は、新日本ビルの方の駐車場との接続の計画があったと聞いているが?

堀 江 自動車道路については、これまで大きく話題になったことはない。(歩行者については、昭和30年代に議論、検討されたが、無理ということで出来なかった。)自動車道路の検討価値は、十分あり得る。横断道路の計画資料は残っている。

村 松 地区の位置づけに関して、諸機能を中央駅周辺に集中させることが良いのかどうか基本的な問題である。日本的特殊性なのか、諸外国にもこういうケースかおるのか。

八十島 東京駅は、日本のターミナルとして一つの象徴性があると考える。それ故デザイン面で残すべきかどうかという議論につながる。

伊 達 ネットワークの中心になっている駅の周辺で、都市のあらゆる機能を総合的に入れている例としてユトレヒト駅がある。世界でもまれに見るくらい複合的開発を積極的にやっている中央駅の例である。

堀 江 デファンスは、鉄道施設を全部地下に入れ、その上部にバスターミナル、さらにその上を歩行者空間としている。外国の事例を調べる際、その駅が中心の駅として位置づけられているのか、古いものの改造でできた駅か新駅か、駅をめぐる道路計画がどうなっているのかを明確にする必要がある。

八十島 京葉線の乗り入れにより、東京駅の機能が変わってくると思うが、それに対応する設計はJR用地内でおさまるのか。京葉線含みの駅前広場は必要とならないか。

細 谷 駅間の連絡設備をつけることで客の流動に対処できる。

石 原 上野を副都心として、都心機能を分散化していくため、新幹線等を全部東京駅に集めてしまうのはどうか。ターミナル的機能を分散させ、都市周辺で受け止めることはJRでは考えていないのか。

細 谷 東北新幹線は当初から東京駅発の計画であり、沿線地域から東京駅乗り入れに強い要望があるため、東京乗り入れを進めている。東北新幹線と東海道新幹線の乗り入れは、今後の検討課題である。東京駅集中については、現在も特急の発着の一部を別の駅に切り替えているが、多様化したニーズに応えるため今後も勉強していく。

森 東京都としては、都心部に業務機能が集中するのは困り、極力抑制して副都心を育成していこうと考えている。それには鉄道も重要な関わりをもつので、都の考え方を理解していただいて今後の鉄道運営を考えてほしい。

沢 田 東京駅のホーム容量からみて、東北新幹線の乗り入れが完成しても、上野は通過駅になってしまうものではない。東京、上野が相互柚完しながら、ニーズにあったダイヤ設定で対応する中で、都市の役割との関辿もできると考える。

内 田 鉄道の上に建物をつくる、あるいは鉄道を重層化することは、非常に経費がかかるのではないか。現在の経営の中で実現できるのかどうか勉強が必要。

石 原 今回の対象として鉄道敷以外の空間を考えるのかどうか。鉄逆敷以外では、駅本屋の扱いが大きな課題で、あとは、建物をなくして駅広をつくった方がいい場合が多い。八重洲の駅広は狭いから、相当、駅広をとらないといけないと思う。

八十島 駅広については、いろいろ意見があるので、次回に考え方を出してもらう。

柳 沢 周辺地区の位置づけについては、もう少し事務的な検討を含めて時間をもらった上で、議論いただければと思う。

村 松 東京駅及び周辺については、東京駅の他にもいろいろ歴史的建物かおり、それらを含めて丸ノ内の将来像をどうするのかが心配。ビジネススペース不足に対して東京駅の建物の開発で対応するのか、丸ノ内全体の将来像計画の中で対応するのか、次回考え方を示してほしい。

八十島 次回委員会ぐらいから話を方向づけなくてはいけないと思う。

これで閉会します。

以上

第2回東京駅周辺地区再開発調査委員会 議事録

日時:9月1日 18:00~21:00

場所:飯野ビル9階 キャスル

(資料説明の後)

八十島:どうもありがとうございました。それでは以上、説明してくださったことについての質疑、あるいはもっと一般、総括的な問題についてのご意見も伺えればと思いますので、どなたからでも結構ですから、どうぞ。

石 原:二つばかり。一つは、東北新幹線を東京駅に乗り入れようとして考えておられるようなんてすが、その時のレベルは大体どのぐらいのレベルで東京駅に入ってくるような計画になっておられるのか。そうした時に、東海道新幹線とは相当歩行距離が長くても、そんなことは構っちゃいない、というふうに形で、それはただ位置的に同じ所にあれば連絡というふうに解釈されるものかどうか、その点をご説明いただきたいと思います。それからもう一つは、いまの説明の中で、東京駅は本来の設計から相当逸脱した似非的な形になっている、という説明なので、歴史的価値はほとんどないというふうに解釈されるんだろうと思いますが……。

八十島:2点ありますが、第1点のほうからお願いします。

細 谷:JR東日本でございます。運輪省資料の1:頁をご覧になヽつていただけばおわかりかと思いますが、いちばん下の6番の表、左が八重洲□ですが、左から現在の東海道新幹線の19、18、17、16、15、14番と3本のホームがございます。そのもう一つ丸の内側の8番というところに同じレベルで1面2線のホ

一ムを建設する予定でございます。

石原:これは上野駅からどういうふうに上がっていくんですか。

細谷:上野駅の地下からそのまま少しずつ地上に向かって上がりまして、秋葉原のちょっと手前で地上に出まして、それから在来のホームとほぼ同じレベルでいわゆる日本橋側といいますか、いちばん東側を通りまして、東京駅の近くから新しい6番ホームのほうに入っていくという……。現在のところ、65年春の開業を目指して工事が進捗沖でございます。

石原:秋葉原の駅の幅で大体上がれるんですか。そのぐらいの傾斜なんてすか。傾斜は何度ぐらいですか。

細谷:25/1000ぐらいです。

石原:相当きつい角度で上がるんですね。そうすると地上交通とは支障は来たさないんですね、現在の地上交通には。

細谷:特に支障を来たす断面はございません。

石原:そうしますと、神田市場が撤去されて、あそこに道路をまん中に通そうと思っても、通らないですね。

J R:明神川と道路がちょうどまん中にございますので、その部分がちょうど新幹線と地表レベルで一緒になりまして、明神坂の道路を下げる工事をいま同時に平行してやっております。

石 原:ああ、今度は逆に道路を下げる。

J R:下げる形で抜けるようにしております。

八十島:宜しいですか。それでは二つ目のほうについて。

伊達:二つ目の、東京駅の歴史的価値についてですが、現在いろいろ言われておりますが、歴史的価値がない、というようなふうな結論が出されている論はいいまのところございません。ただ、非常に幅の広い論がいわれているという ことは事実でございます。ジャーナリズムに表れたもの、あるいは歴史家の方々のいろんな批評等を見てまいりますと、完全に取りはずしてしまうとい

う改革論も一方にあることはご存じの通りでございますが、もう一つは、長い間、東京駅という日本のセンターとしての役割を果たし、多くの大の心に赤レンガが残ヽつている。これについて一概に壊すことは、そういう心情的な問題でどうか、というような新聞の一般的な論調がございます。それから、文化人、あるいは歴史家のほうでいえば、近代日本のある一つのエポック・メーキングの時代をつくったことであるし、辰野金吾という日本の建築界の育ての親の代表作であるということからいっても、これを復元して残すべきだという論も一方でございます。ただし、復元論の中には、外部復元で、内部は駅舎としての新しい時代を議論すべきであるという論ももちろんございます。あるいはいまの形こそ東京駅70年の歴史を背負って、日本の激動を見てきた建物だからそのまま残せ、というような一つの論もございます。 いくつかの論があって、私自身どれがどうとは言いきれませんが、必ずしも、だめというふうにも言いきれてないというのが一応の……。ちょっと煮えきれないようですけど。

八十島:いまここであまり徹底的な結論が出ちゃうと議論ができなくなるんですが、村松委員、いかがですかこの問題。

村 松:いまの伊達さんからの話が大体現状をよく伝えていると思います。当時、専門家の立場からの酷評があったといいますけど、大体、辰野さんの、いってみればお弟子さんたちからむしろ出ていて、酷評していたのはみんな辰野さんの教え子なんです。東京大学というのは先生をやっつけるのが昔からの習慣というか……。ただその場合に、建築界のほうでも辰野さんクラスの年配の方はかなり支持していたと思います。ですから、どの時代でも若い大はかなり過激な批評をするということは当然かもしれません。なお、つけ加えて申し上げておきますと、辰野金吾というには唐津藩の軽輩の武士の子どもで、出てきまして建築家になりまして、生涯日本を代表する三つの種類の建物をやりたいと。一つは中央銀行である。これはたしかに

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日銀の本店。もう一つが中央駅。もう一つが国会議事堂だったんですね。その三つを男としてやりたいと。国会議事堂は結局は辰野さんがコンペの審査をして、審査が済んだ時点で亡くなった、そういうことがございます。建築史の連中から見るとかなり評価されているのは事実だろうと思います。それに関連して、先はどの伊達さんの説明の中に、東京駅が非常に巨大だったから今残っているという、駅舎機能として、これはいまどうなんでしょうか。東京駅の現業のスペースというのは、ほとんどいまの赤レンガの中で用が足りているわけなんですか。JR関係の方にご説明いただければと思います。

細谷:現在、在来線部分はJR東日本ということで、駅員全員が赤レンガの中の事務所に入っております。それ以外に車掌区ということで東京駅中心に車掌の詰所等も入っておりますし、それから国鉄時代は鉄道公安官ということで国鉄の職員でいたわけですが、現在それを警察に移管しましたので、鉄道警察隊ということで、元の公安職員も赤レンガの建物の中に入っています。それから新幹線部分につきましては、JR東海ということですが、若干、新会社に移行する際に間仕切りをしまして、新幹線の高架下に勤務しております。そういうことで、社員の詰所的にはスペースは十分でございまして、ご承知の通り、それ以外に現在、ステーションホテル、あるいは地下部分に若干、レストランとか、そういうものの営業がなされておりますし、それから地下には、国鉄時代に荷物とか新聞輸送等をやっておりまして、そういうものの通路がまだ残っておりますけど、そういう設備は極めて老朽化しておりまして、たとえばパイプスペースなんかは相当ボロボロになっているのが現状の駅設備の様子でございます。

村松:どうもありがとうございました。関連してもう一つ。資料4で、先ほど石原委員からも、東北新幹線がどういうふうに乗り入れするかというご質問がございましたが、4の1頁の、6番ホームということですが、6番ホームとい

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うのはいまどういう使い方になっているんですか。

細 谷:現在、6番ホームの八重洲側は東北新幹線が入ることを前提に、現在既に線路をはずしております。それから6番ホームの丸の内側は、たとえはブルトレとか踊り子号の発着に使っております。そういうことで、今回この6番ホ一ムを東北上越新幹線のホームに建設し直すということで、隣りの5番ホームのほうに、ブルトレとかあるいは踊り干号の特急の発着を切り替えるということを考えておりますけど、若干容量が不足するということで、一部、踊り子号とか臨時列車等につきましては、品川発に切り替えてなんとか東京駅の機能が維持できるようにしたいということで現在計画しております。

村 松:わかりました。それから、前回、これは大変際どい話かもしれませんが、常磐新幹線という話が出まして、常磐新幹線の乗り入れもという、これはもし常磐新幹線を乗り入れるとすると、どういうような処置を考えておられますか。

細 谷:常磐新線につきましてはまだルート等については正式に決まっておりませんで、東京から秋葉原を通って、ということで概略のルートしか決まっておりません。具体的な検討は常磐新線が具体化した段階でということでございますが、国鉄時代の検討では、地下に入れるということで、4番とか3番とか、そのあたりのホームの地下に入れることを検討したという記録が残っております。

村 松:それは現在でも可能性はあるわけですね。

細 谷:可能性はあるということで対しております。

石 原:ちょっとお聞きしたいんですけど、接続線路が横にズラツと並ぶのは各国共通なんですけれども、これが立体的に積み重なっている例というのはないんでしょうか。いわゆるアパートみたいに、線路が重層化するということはあり得ないんでしょうか。

内 田:新宿の小田急がそうでしょう。

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石 原:私鉄ではやっているんですけど、国鉄ではあまりやってないですね。

細 谷:お客を扱っている場面での重層利用というのはほとんどございませんけど、たとえば品川の電車基地につきましては重層化して使っているケースはございます。

八十島:いざとなったらやっぱり、技術的に非常に難しいでしょうが、そういうことも考えられるでしょうね。

村 松:資料5の10ページの海外の例には、線路上空の利用とか、それがかなり。

石 原:それは上が利用されているんで、線路自体は……。

村 松:線路の重層化は。上空はみな利用していますね、このケースでは。

八十島:いざとなったら、私は考える余地はあると思うんですね。ほかにいかがでしょうか。私、道路関係で伺っておきたいんですが、これは雲をつくような話で、しかしいま抱えている問題は相当抜本的な問題でもあると思うんですが、都市計画の段階で、東京駅の、この南北に長い中に歩行者の自由通路というのはできているけれども、自動車が通れる道路の自由通路的な横断というものはいままで考えたことはないんでしょうか。いま京浜東北線かおること自体は既成の事実だからいいんですが、京浜東北線かおることによって、都心部の東西の道路交通がどうしてもいくらか阻害されているというふうにも見られるんですね。ですから、いまむしろ機会があれば拡げたいという空気もあるんじゃないかと思うんですが、その点、どうでしょうか。

堀 江:東京都の都市計画局施設計画部の街路計画課長でございますが、いまのご質問で自動車道路を東京駅で丸の内側と八重洲側に通り抜けさせる計画というのは、明治、大正、昭和をずっと通しても大きく話題になったことはなかったと思います。歩行者につきましては、八重洲側と丸の内側を地下で通そうということは昭和30年代に議論されまして、ずいぶん検討もされたんですが、その時には鉄道にいろいろ意見かおりまして、結局無理ということで出来なかった、というふうな歴史的事実はございますけど、道路については都

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庁側と反対側で一応カバーできるのではないかということで、本当に議論されたことはなかったと思います。

八十島:いま現実問題として入れようと思っでも入らないでしょうけど、しかし、そういうことを一度、ここの委員会で話題には出したということで、先に進んだほうがいいんだろうと思ってちょっと伺ったんですけど。

堀 江:非常に貴重なご意見で、いまの土木技術をもってすれば、まず不可能なことはないわけですし、本当にこれをどう改良していくかという中には、いま八十島先生かおっしゃったご意見は検討してみる価値は十分あり得るというふうに思います。

八十島:それからもう一つ、これはちょっと小耳にはさんだ話なんてすが、大手町のところで横断する道路、あれは新日本ビルのほうに駐車場かおりますね、あちらとの接続の計画がかつてあったというふうに聞いてますが、何か残っていますか。

堀 江:それは残っています。東京駅からはずれちゃうわけですが、そちらのほうには残っています。それは、いま思えば非常にいいことだと思います。当時とすれば、現在を予測したわけじゃありませんけども、いいことをやっているなと思います。

八十島:ということは、その地下道を通して、JR用地のほうにも入れるようなふうになっているということですか。

堀 江:詳しくは、図面を見てないんですけど、いろいろと可能性を秘めたような形にはなっているというふうには聞いております。それは調べてみればすぐわかりますので。

八十島:ほかにいかがでしょうか。そうしますと、ちょっと一つご意見を出しておいていただきたいと思うのは、今日説明していただいた中で、今後の方向についての一つの案というか、資料3の説明の最後、38頁に、東京駅周辺地区 の位置づけ、ということで、3項目説明かありました。

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(1)首都のシンボル的表玄関としての拠点

(2)膨張・変容する東京都心地域の高度中枢センター

(3)国際的なビジネス・文化のメルティング・ポット

という説明かおりましたが、このへんについて、たしかにそうだというご意見になるか、あるいは、ここはちょっとこう書かなくてもほかに言いようがある、というようなご意見かおるか、そのへんもしご発言いただけることがありましたらいま伺っておきたいと思います。

村 松:それに関連して宜しいですか。これは先はとがら伺おうかと思っていたんですが、いま委員長がご指摘された3つの機能といいますか、これを都心の中央駅の周辺に全部集中させるということ自体は、非常に日本的特殊性とみて宜しいんでしょうか。それとも諸外国にもこういうヶ一スがあるものなのか。そこらあたりに我々としての基本的な考え方、腰の据え方が違うような感じもいたしますので、事情に詳しい方、あったらご説明いただきたい。いかにも狭い、高密度社会の国の特殊なケースで、しかし、この特殊のケースをそのまま今後もさらに強調していくべきなのか、どうなのかというのは基本的な問題のように考えますので。

八十島:委員の間からいまの問題についてのご発言をしていただければと思いますし、また立案された面からもさらに説明があれば伺っておきたいと思います。これは盛り沢山なんてすが、たとえば汐留と東京駅と比べて一つ言えることは、汐留は場所とか駅としてのシンボル的な性格を考えないで、機能的に考えていけば汐留の再開発の方向というものは、例示として汐留を上げますと。ところが、東京駅を比較してみますと、やはり東京駅は日本のターミナルとして、一つの象徴性かおるかなというふうに私には思えるので、だからそれがデザイン面で残すべきかどうか、という議論が出てくるんじゃないかという気が一つするんですけど。

長 崎:直接いまのお答えになるかどうかわかりませんが、外国の駅の開発例を少し

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だけ先程より詳しく説明したいと思います。

伊 達:日本の特殊例かどうかということではなくて、よその例を資料5で2、3見ていただきます。11頁、むしろ12頁の絵を見ていただいたほうが宜しいかと思いますが、これはオランダ、ユトレヒトの駅です。ユトレヒトというのはオランダの中でも駅としてのレベルが高いところでございます。ネットワークの中心になっている駅です。これはかなり総合的な、都市のあらゆる機能、文化機能から交通機能、居住機能、商業用地、あらゆるものを統合化して入れているという、世界でもまれに見るくらい複合的開発を積極的にやっている中央駅の例です。私の手元にあまりないんですが、中央駅で非常に積極的な再開発をしているのは、これがいちばん先進的な事例かと存じます。12真の右のほうの絵で、左奥に見えるのはホテルとかオフィスビルとかで、 これはいわゆる駅裏たったところです。駅裏のスラム街だったところをクリアランスしてビジネスセンターとした。鉄道を横断しまして歩廊が入ってずっと渡っております。このデッキレベルが実は全部この中をネットワークしております。駅の上にまたがってショッピングの施設、日本でいえば、ちょうど地下街が上に乗っかった、という感じでみていただければ、わかりやすいと思います。さらに駅表のほうは、いわゆる旧市街ですが、いま斜めに高速道路が通っていますが、これは元掘割たったところですが、これを高速道路に替えて、高速道路と駅舎との間を主として文化と商業と住宅という混合開発をしています。道路から右手下のほうに小さい建物、ここがいわゆるオ一ルドタウンで、これはこれでハーフティンバー建物の非常におもしろい町並が出来ているということで、新しい開発と古い町並とが共存しているということです。なお、駅舎に関しての保存ということではここでは試みられてはいないようです。

それから、これは保存と空中権移転ということですが、14頁の絵で、これはニユーヨークのパンナムビルが建っているところで、パンナムビルは実は

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グランドセントラル・ターミナル駅の駅舎の上にまたがって建っているわけです。パンナムビルはいわゆるオフィスビルです。左のほうに模型かおりますが、実は空中権利用について、各種の案が試みられておりましたが、グランドセントラル・ターミナル駅の駅舎を残すという、いちばん下の案に落ちついていって、この空中権をまわりの土地に移転するということです。たまたまグランドセントラル・ターミナルは、鉄道会社がこのまわりの土地も持っていたということが直接的にはいい結果になったと思いますけど、そういうことで歴史的なグランドセントラル・ターミナルは残して、その空中権を動かして、ビジネスセンターとしての開発をしています。それはかなりシンボル的なものを要しています。

あと、イリノイセンターというのは、シカゴの鉄道の上物利用で、センター的な機能というより、跡地利用を鉄道上部利用まで及ぼしていったということで見ていただけると思います。

それから非常に新しい例で、17、18頁というのは、このパンフレットは、金持ち日本に、テナント募集に、イギリスからわざわざ来てるわけですけど、そのテナント募集のパンフレットなんてすが、、ブロードゲートというのは、リバプールストリートという、シティのちょうど下に接しているところにある、ヨーロッパによくある、上野のようにターミナルにスポッと入っでくる感じです。まん中の駅舎を囲んで回りに。新しいシティのフリンジになってるところですけど、ここにシティの機能を持っていこうということで、中身をみますとかなり総合的な開発をしています。これは割にシンボル的なものでヽ一部、古い駅舎の、鉄骨の上屋を残すということで、進められているようです。東京駅がどう、ということではなくて、事例についてご説明させていただきました。

八十島:どうもありがとうございました。

堀 江:デファンスのことが資料の4に載っておりますが、村松先生のご質問に多少

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お答えする形になるかもしれませんが、デファンスはご存じの方も多いと思いますけども、あすこは本来開発がされていなかったところでございまして、そこを開発しようということで、位置的にはパリの中心部からシャンゼリゼ通りを通って、凱旋門へ向けてまっすぐいきますと、セース川を横ぎるんですが、そこからデファンスが始まる。東京でいうと、東京と新宿ぐらいかもしれません。そこに鉄道関係の施設は全部地下に入れまして、高速道路の部分もほとんど地下に入れて、これは地形の勾配の関係もあって、そういうことが可能だったわけですが、デファンスの中央駅としてデファンスという駅かおるわけでして、それを取り囲むようにして高層ビルが建っている。したがって、ちょうどデファンスの駅の上は、地下の部分はバスターミナル、その上は歩行者空間となっていまして、これは私のほうも資料を持っておりますので、次回に宜しかったら参考としてお出しすることができるかと思います。そういうことで、デファンスの場合は東京駅とはケースが違うけども、駅を取り囲んだ形でそういう鉄道施設、道路施設も考えられるというような状況でございます。

そこで、ちょっと私どもの意見を述べさせていただきたいんですが、村松先生と同じ考え方かもしれませんが、東京駅のことを考えますと、今後外国の事例を調べるということになっていますので、外国のいろんなケースが、東京でいうと、東京駅は中心駅である、日本の国土の中心駅でもありますけども、これから紹介されていくいろんな外国の事例がその都市で中心の駅として位置づけられているのか、あるいはワン・オブ・ゼムで日本でいえば新宿とか池袋とか、そういう一つの駅として位置づけられている駅なのか、それをある程度レ明確にしておく必要かおるのではないか。今後東京駅の問題を論議する時には、地域的に、国土的に例にあげられる外国の駅はどう位置づけられているのか。二番目として、古いものを改造して新しい駅が出来たら、いま私からご紹介申し上げましたように、駅がなかったところに新し

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い町をつくって、そこに駅もつくったのか。その点もはっきりさせておくべきではないかと思います。

それからもう一つ、物質的な話ですけども、外国の駅施設が非常に壮大にな、いわゆる箱ものが考えられているわけですが、これを巡る道路計画、駅を取り囲む道路計画がどうなっているか。または鉄道駅とのつながりはどうなっているか。交通施設計画をわかる範囲内で明確にする。外国の事例を紹介して東京駅を考える場合には以上の三つの点をどうしても基本的に不可欠ではなかろうかと考えますので、これは意見として申し上げたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。

八十島:どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。それでは一つ伺いたいんですが、さっきから石原先生はじめ、東北新幹線の入り方の話題が出たんですが、京葉線が入ってくるについて、東京駅の駅の機能として求め

られている機能が変わってくると思うんですが、それに対応する設計は、いわゆるJR用地の中でまっとう出来るのか、もうちょっとはみ出すのか、そのへんの点はいかがなんでしょうか。

細 谷:詳しくはわかりませんけど、現在の東京南口の通路のほうに連絡設備をつくるということで、現在、ご存じの方おられるかもしれませんけど、JRのバスの発着場所に近いところ、駅の丸の内側、そのあたりを連絡通路としましてお客さんを誘導する。それとともに鍛冶橋の通りに則したところに駅の連絡設備をつけるということで、基本的には現在の延長線の中でお客の流動はやっていけるという形になっているかと思います。

八十島:たとえば、駅前広場が丸の内側、八重洲側、それから今度北口のほうにも出来るというわけですが、南のほうにも京葉線含みで駅前広場としてのスペースがかなり必要だと、こういうようなことになることはないんでしょうか。

細 谷:いま申し上げました連絡通路、あるいは地下の駅設備の中で十分いまの流動は賄えると我々としては考えております。

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八十島:京葉線を降りた人は、降りたところでほんとはタクシーに乗ったりなんかしたいわけですね。

細 谷:京葉線の利用客がどういう方が中心になるかわかりませんけど、おそらく大半の方は通勤のお客さんだと思いますので、通勤のお客さんは基本的には徒歩その他でオフィス街に行かれると思いますし、あるいは東京駅でほかの山手線なり中央線に乗り替えられるということで、一応いまの延長線でやっていけるんじゃないかと思っております。ただ京葉線の沿線で、幕張メッセとあるいはディズニーランドという設備がありますので、そういうところに行かれるお客さんが別途の交通機関の選択肢をとられるということで、それに対応する何らかのサービスが起こってくる可能性もあるかと思っております。それから、先ほど申し上げましたように、東北新幹線の東京乗り入れに合わせまして北口のほうに駅前広場を現在計画中でございます。

八十島:どうもありがとうございました。ほかにありませんか。あるいは……。

石 原:東北新幹線にこだわるようですけど、東北新幹線が東京へ乗り入れはJRとしては考えておられるんですけども、地元の上野駅周辺の人たちは、これは絶対困るということで、だいぶ反対の声が高いんですが、これは東京都のはうの意見も聞かなきゃいけないのかもわかりませんが、東京都で上野を副都心にするというようなことで、都心機能を出来るだけ分散化していくためには何もかも全部東京駅に集めてしまうということに対して、強い反発があるんじゃないかなというふうに思うんですが。無理をしてこれを東京駅に結びつけなければいけないというようなのは、乗客の便利の視点からそうお考えなんでしょうけれども、車両の相互乗り入れは考えておられることもあろうと思うんですが、何かそういうことでたとえば今後2年後とかに中央線沿いに何らかのプロジェクトがあって、それを新宿に止めるとか、あるいはほかのいろんな新線を諸外国のように大体都市の周辺で受け止めて、そこベターミナル的機能を分散するというようなことはJRのほうではほとんど考えて

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おられないわけですか。

細 谷:東北新幹線につきましては、ご承知だと思いますけど、当初は東京駅発というか、東京を起点に計画があったわけでございまして、上野駅新設ということは途中から浮上してしてきたわけで、上野駅開業ということになった際に、東京一上野開か無駄な投資ではないかということで、一時工事を抑制したということもございますけど、それまでに相当部分の工事費も投入してまいりましたし、それから東北・上越新幹線の沿線の皆さんから東京乗り入れに対して強い要望かおるということで、新会社になりましても従来の計画をそのまま実現するということで先ほど申し上げましたような、65年春を目標に工事を進めているところでございます。

それから、東海道新幹線との接続問題についてはまだこれからの課題でございまして、特に、東北新幹線と東海道新幹線では50ヘルツと60ヘルツというヘルツの違いもございます。車両もそれぞれ性能が違っているということで、相互乗り入れするためには新たな車両の開発ということも必要でございますので、これは今後の検討課題、あるいはJR東日本とJR東海の今後の協議で、どういうサービスを提供していくかという課題になっております。

それから、東京駅集中の問題でございますけど、いま東京地区のお客さんがいろんな方面からご利用なさっているわけでして、我々といたしましてはそういう多様化したニーズに応えるために、従来、東京駅、上野駅のワンパターンの特急列車の発着につきましては、今後いろんな勉強をしていきたいということで、現在も特急の発着を一部、別の駅に切り替えたりしておりますけど、今後はたとえば新宿駅発の特急のパターンも考えていくというようなことを現在勉強しておりまして、今後ダイヤ改正の都度、多様化した二-ズに応えるような輪送網の整理をやっていきたいということで考えておりま す。

石 原:東京駅集中の問題についてのいまのお話は、なにか在来線をますます格下げ

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して、我々も不満に思っているのは、たとえばいままで特急といったら相当駅を飛ばして走っていたのが、急行以上に止まって特急料金をとる、というのが国鉄のやり方で、非常に不満を感じているんですよ。そういうことで、特急という名の在来線の急行以下の準急を走らせるという程度の話であってそういうふうな意味のターミナルというのと、いわゆる長距離的な意味の夕一ミナルとは非常に性格が違うと思うんですよ。そういうことで、たとえば上野周辺でホテル業をやってる人なんか、ホテル業が成立しなくなるというふうなことで、東北関係の方々なんかに話を聞いても、大体上野周辺で宿舎をとるというのが、今度は東京駅周辺でとらざるを得なくなる、というふうなことになってきまして、が相当普及してくるというふうなことになるんじゃないか。そういう意味で、先はどの一点集中はいいか悪いかということで、土地利用の上で、東京駅を強化して、ますます過密化させぞということで考えるのであれば、非常にいい計画なのかもわからないけれどもそこらへんの反省というのか、長期的にみて、都市構造的に一点集中を抑止しようということか、むしろ積極的につくろうというのがJRの考えなのかどうか、そこらへんをちょっとお聞きしたいんですけどね。

細 谷:私どもが不便な列車とか、そういう形でお客さんを施策的に誘導するというのは非常に難しい時代でございまして、お客さんがどういう動きをされるか、あるいはどういうご希望をされてるかに合わせて、私たちは輪送サービスを提供しているわけでございまして、私どもの力だけでお客さんの流れを変えるというのは非常に難しいわけで、実に毎年毎年お客さんの流れが少しづつ変わっている中で、新たな輪送サービス等を考えていくということです。それから特急等の問題につきましても、いま先生のご指摘の点もあるわけでございまして、我々としては今度特急列車の体系をどう考えたらいいか、特急のお客さんも、ビジネス客から、レジャーを楽しまれるお客さん、いろいろございますし、スピードを求められる方、ゆったりした設備を求められる方、

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いろんな方がおられるわけですので、それぞれの方々に対応できるような輪送サービスをやっていくためにはどういうことをやったらいいか、ということを勉強しつつありまして、その成果を新しい車両とか、新しいダイヤの中で提供していきたいと考えております。

石原:東京都はどういうふうな考えなんでしょうか。

森 :東京都の地域計画部長ですが、いま石原先生が指摘された点はまさにその通りだというふうに思っております。前回、私は出ませんでしたけれども、東京都の都心の開発のおり方についての話を確かしたと思うんですが、東京都

としましては、いわゆる都心部に業務機能等が集中するのは困るということで出来るだけ抑制したいということで考えてきております。そういう意味で副都心としても渋谷・新宿・池袋、それと上野・浅草等につきましても5マ年の12月の長期計画の中でも明確に位置づけをし、今回の2次の長期計画でもさらに育成していこうということを考えておるわけです。そういうことで、副都心の育成という観点からは、都心部の機能はできるだけ抑制をして副都心にもっていきたいということで、今後とも考えていきたいと思っております。そういう上では鉄道も重要な係わりをもつわけですので、東京都の考え方を十分ご理解いただいて、今後の鉄道の運営等については考えてほしいと思っております。

沢 田:新幹線問題でいろいろ議論されていますが、資料4の1の図面で見ていただきますと、現在、東海道新幹線が7、8、9ということで、3面6線のホーム面を東京駅で持っていること。今回東北新幹線が乗り入れるということは1面2線であること。上野駅には2面4線がありますので、そういう意味で多少の差はありますが、この計画が東京乗り入れだということで、JRさんがこれから運行計画その他をやるわけですが、東京駅ですべての列車、東北、上越の列車を受け入れる容量はないわけです、ホーム容量として。そういう意味で東京駅と上野駅が相互補完しながら、東北・上越線も担うということ

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になろうかと思いますので、現行ダイヤですべて東京駅で背負えるのかどうか、そこはチェックしてないのでわからないんですが、設備的にも2つの駅でサブターミナル的な分担になるということが一つと、もう一つ、東京乗り入れをしましたのは、東京のいわゆる都市計画というような観点で東京か上野かというような観点になろうかと思いますが、また別な意味で、全国的な骨格を担うという意味で、やはり東北地区の方々の切なる願いといいますか、東北地区の開発が遅れたのは、上野始発であったというような声もありまして、東京駅との接続には強い要望かおる。したがってそれとの関係で、私どもとしては東京乗り入れというものが若干計画時より遅れてはおるわけですが、現時点了力を入れてやっているということでございまして、私ども、必ずしも、これが完成したら上野がすべて新幹線の全くの通過駅ということになるかどうかということにつきましては、二-ズに合ったダイヤの設定というようなことでの対応、その中での都市の役割との関連もできるのではなかろうか、というふうに考えております。

八十島:この問題は鉄道経営、鉄道輪送の問題になってきちゃって、我々もそこまで立ち入ってどんどん発言して議論したい気持ちもありますが、今度の再開発の問題でどこまで立ち入れるか、ちょっとわからないので、問題はあるということにしながら先に進めざるを得ないだろうという気はいたしますけど。

内 田: その通りだと思います。いまの外国の例を見ても、鉄道の駅のまわりに大きな建物はつくってるんですけども、鉄道の上に建物をつくるということは、一般的に言って非常に経費がかかるということかあるのではないか。つまり

鉄道の上に建物をつくるということになりますと、1本杭を打つのに1晩かかるというようなことで非常に金がかかる。そういうようなことを考えてもなおかつそういうことは出来るのかどうか。あるいは現在の鉄道の下、地下を利用して鉄道をつくるということも、クロスならば割合簡単ですけど、平行してつくるということになりますと、これも非常に金がかかるんじゃない

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か。そのへんについて本当に勉強をしませんと、そういうことがいまのJRの経営の中で出来るのかどうか。もっと経営が安定してから、10年、20年先の話というならば、これはまた考えられると思いますけれど、というような感じが私はするんですけど。これは一つの意見として聞いておいていただきたいと思います。

八十島:どうもありがとうございました。今日の段階としてはだいぶ意見も出ていると思いますが、何かこの一言とか、あるいはさらに資料をつくってほしいというようなご意向ありましたら聞かせていただきたいと思います。

だいぷ勉強のタネは揃ってきましたので、そのうちそろそろ、ではどうしなくちゃいけないか、という議論に移らなくちゃいけないかと思いますが、そのちょうど移り目ぐらいが現在じゃないかと思いますが……。

石 原:いまの内田委員のお話を聞きまして、ですから、今回の対象となるのは、鉄道敷以外というふうなことで限定される可能性があるんじゃないかと思いますが、それでいいのかどうか、要するに鉄道敷、線路敷はいらない、というふうに考えて、それ以外の空間だけでやっていこうということになりますと、結局は東京駅の現在の本屋の扱いだけがいちばん大きな課題で、あとはあまり大した面積ございませんし、むしろ建物がなくなって、駅広をつくったほうがいい場合が多いわけで、そうなりますと土地利用上はほとんど建物を立てないで、むしろ広場の機能を強化していくということのほうに傾斜する可能性が非常に高いんですけれども、そういうことで、今回のこのブロジェクトというのは目的が達せられるのかどうか、そこらへんがちょっと心配になってきたんですけど。

八十島:これはもっと適当にお答えいただく方あるかもしれませんが、いま石原委員が言われたのは、レンガ建の本屋のことかと思いますが、八重洲口側にもだいぶ空地かおりますからね。

石 原:駅広が八重洲は非常に狭いですからね。だから八重洲は相当駅広をとらない

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といけない。いま建っている建物を取り壊ししてでも駅広をとらないと、いまは降りてもタクシーもろくすっぽつかまらない。バスターミナルも、_本当にお粗末なバスターミナルだし。あれをなんとか整理しなきゃいけない、ということになると、八重洲のほうはほとんど空地がない。いまあるものをむしろ利用しないといけないと思うんですよ。

八十島:そのへんをだんだん煮つめてこれから議論していかなくちゃいけないと思います。

柳 沢:全く別の話題なんてすが、さっき八十島先生がちょっとご指摘された資料3の最後のところの、周辺地区の位置づけというところに3項目書いてまとめてあるわけですが、私ども建設省の都市計画課のお願いとしては、現段階で

こういう3つの表現でまとめ切っちゃっていいだろうかという点について、この表現が具体的に何を意味しているか、ちょっとはっきりしないようなところもありますし、その位置づけといった時に、この3つだけでいいかどうかというようなことも、もう少し事務的な検討も含めてちょっと時間をいただいた上で、またご議論いただいたほうがいいんじゃないかというふうに思います。

八十島 はい。いまも出ました駅広の問題に戻りますが、先程のJRのご意見ではあるので大丈夫だとご意見もありますし、それからどうも少し狭そうだというご意見もありますので、このへんはこの次の時にでも検討の資料、あるいは

考え方を出していただいたらどうかと思います。ほかに何かございませんか。

村 松:一つ宜しいですか。さっき八十島先生、この一言ということをおっしゃいましたものですから、一言申し上げておきたいと思うんでうが、私の立場とし たら、今日は東京駅の問題に、面積的、あるいは技術的な問題に議論が集中 しておりましたけど、あくまで東京駅およびその周辺というようなことから考えますと、歴史的に見れば東京駅のほかに、銀行集会所、工業倶楽部とか、あるいは、明治生命館とか、中央郵便局とか、いろいろ歴史的な建物かおり

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ますが、そういうものを含めて丸の内地区の将来像をどうしようかということを私ははじめから心配しておりまして、この委員会の設置された一つの目的が、最近のビジネススペースの不足に対応して、というようなことが一つの文句になっておりますのが、そのビジネススペースの不足を、東京駅の建物の開発の中で処理するという考え方でいくのか、あるいは丸の内全体の将来計画の中でそういうスペースの不足、あるいは将来に対応するものを考えていくかによってかなり歴史的な問題、あるいは将来的の問題にかかおりあいがあると思いますので、ビジネススペースの不足に対応してはどういうような基本的な案をもっていくか、あるいは空中権の問題なども生じてくるんじゃないかと思いますので、建設省さんあたりで、次回にでも一つ腹案、あるいは将来の考え方みたいなものでも提起していただけると有難いと思います。

八十島:どうもありがとうございました。何かほかにございませんか。それでは今日のところは、いままでの資料に基づいてのいろいろなご意見は一応以上だということにさせていただきます。その他という議題がございますが、これについて何かありましたら。あるいは今後の予定について。

鶴 井:それでは、私のほうから委員長先生にお願いしてお諮りいただきたいと思いますが、今日、いろいろご議論いただいたことにつきまして、一度、委員の先生方と行政側といいますか、たくさん委員かおりますが、コアグループをつくりまして、月半ば頃を目処に懇談会のようなことを一度させていただければと思っておりまして、そのことをお諮りいただければ有難いと思います

八十島:いかがでしょうか。もちろん大勢聞いて下さったから話せなくて、小人数だと話せるということではないんですが、やはり小人数だと小人数なりの話題も出てくるかというのが懇談会の趣旨かと思いますが、そういうのを一度や

ってみたほうがいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

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宜しければ、やるという方向で進めさせていただきたいと思います。日取りですが、非常に勝手なことを申しますと、22日火曜日の晩あたりいかがかと思いますが、ちょっとほかに私日取りが取れないので。

村 松:私はなんとか無理すれば、大学のほうを途中で失礼すれば。

石 原:私は不動産学会の理事会を予定してますので、ちょっと。

∧十島:そうですか、宜しいですか、やってしまって。それでは9月22日に懇談会を問いて問題を煮つめさせていただきたいと思います。はかに何か、その他議題でございますでしょうか。

鶴 井:場所等は設定しましてご案内申し上げますので宜しくお願いいたします。

八十島:この次ぐらいから少し方向を、いままでは既存のデータを説明していただきましたが、だんだん話を方向付けなければいけないと思います。

それでは特にほかにございませんでしたら今日はこれで閉会にして宜しいでしょうか。それでは長時間ありがとうございました。これで閉会にいたします。

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東京駅周辺地区再開発調査委員会ー基本的方針について(案)

第1回懇談会 討議要旨

昭和62年9月22日

1。東京駅周辺地区の位置付けについて

(1)再開発の意義

再開発の必要性について、充分な議論が必要である。(地価の問題、業務床の問題のみか。)

目的を明確にし、都民が納得できる再開発をすべきである。

業務床がどの程度必要で、どの程度の目的達成につながるのかはっきりさせる必要がある。

東京駅を中心とする鉄道網がすでにできあかっている、また道路も他の副都心に比べると比較にならない余地をもっており、それを有効に活用することが、東京にとって良策である。

東京駅丸ノ内本屋の容積率が低く、効率上問題である。

清算事業団八重洲北側用地は有効に利用されていない。

(2)東京駅のシンボル性

・ 東京駅は、象徴性、デザイン性を有しており、計画にあたって考慮すべきである。

・ シンボル性はプロジェクトの形を決めるまでにはならない。

・ 象徴性については、現在、交通としての国際性はもっていないのではないか。

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(B)導入機能

・ 国際的業務機能の集中化が、国際競争に勝つため必要である。

これは急務であり、短い期間に実現できるのは東京駅周辺地区しがない。

・ 中枢管理機能は他のところへ移せない。東京駅周辺に集中せざるを得ない。

・ 都民に開かれた機能をここで求めることはできない。

・ 副都心とのちがいを考える必要がある。

・ 高度利用によって床ができるとすれば、音楽堂、文化的施設等市民が行けるスペースをつくるべきである。

・ 迎賓館のような国賓を迎える施設は考えられないか。

・ 中央郵便局の機能更新により、象徴性のある情報通信の拠点づくりを考える。

・ 単なる業務ではなく、国際業務機能の導入が求められる。絞り込むことにより、他の副都心等との分担の理屈が立つ。

もう一つは交通機能の強化が必要である。エアーターミナルやホテル等交通に関わる機能を東京駅に集めるべきである。これらの2機能以外は排除すべきである。

・ あまりいろんな機能を取り入れるより絞った方が良い。

・ 東京駅周辺地区では、都庁の跡地利用が周辺に影響力を持つ。

・ オフィスビル需要には八重洲側の空地で対応し、丸ノ内本屋側はそのままとすることが考えられる。

・ 超高層ビルは丸ノ内側にそぐわない。

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2。都市基盤の整備のおり方(交通)について

業務床を増やすと、現在以上の道路混雑につながらないか。

将来とち交通拠点でありつづけるだろうから、それに対処できるようにすることが必要である。

現状でも八重洲側駅前広場のタクシーが道路にあふれている。交通広場の機能強化が必要である。

東京の中で鉄道ターミナルとしては、むしろ有楽町、新橋の強化が必要である。

丸ノ内側に交通広場として活用できるスペースかおるかどうか検討が必要である。

丸ノ内側はスペースは広いが、動線的には人、車とも不便である。

中央郵便局を八重洲側の鍛治橋近くに移転して、その用地を駅前広場として利用することは考えられないか。

交通処理がもう少しうまくできるように考えなくてはいけない。今できることは何かを考える必要かおる。

鉄道の便利さをディスターブしない効率的なトランスポーテーションシステムを整備すべきである。

八重洲側に超高層ビルをつくり、低層部は公共空間として開放すべきである。

3。鉄道施設について

(1)丸ノ内駅舎

丸ノ内駅舎を残しておくとすれば、復元しないと意味がない。

現在の丸ノ内駅舎には魅力を感じない。残すなら元の形で保存すべきである。あるいは、新しいむので後世に残るようなものを作ることも考えられる。

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・ できるだけ残したい。残すなら復元が必要である。

・ 建物ひとつだけ残しても、グランドセントラル駅のようにビルの谷間に埋もれては効果がない。

・ 保存はファサード保存の方法もあり得る。

・ 方向づけは慎重にした方が良い。

・ 駅舎をつぶしてまで再開発する必要は今のところないのではないか。

(2)八重洲駅舎

・ 八重洲側駅舎が壁となっている点も問題であり、検討が必要である。

・ 1階の店舗の売場は動線上邪魔になる。

(3)線路上部の利用

・ 今、線路の上にあわてて建物をつくる必要はないのではないか。

・ 鉄道駅の機能は時代とともに大きく移り変わるため、フィックスしてしまうと将来問題を生じる可能性かおる。(20~30年先は、過去の例からみて想像しがたい。)

・ 利用しながら、線路上部利用を、どういう施工法でやれるのか検討が必要である。東京駅は終点駅でないのでむずかしいと考えられる。

・ 線路の重層化のため、長期的には地下の再開発の話もでてくるだろう。(その場合まず東京駅で…)当面無理とすればやむを得ない。

4。空中権の考え方について

線路上部の容積は空中権移転で活用しうる。

空中権移転によって、全体のバランスをとっていくことが望まれる。

丸ノ内駅舎の空中権は移転によって活用しうる。

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5。歴史的建造物の取り扱いについて

・ 歴史的建造物については、壊したくないが、その分の空中権移転等を図ることが考えられる。

・ ひとつの広場をはさんで昭和、大正、明治の建物があるのは丸の内の駅前だけである。

・ 中央郵便局はアーキテクトを輩出したスクールであった逓信省の建物を代表する建造物である。

*(東京駅丸ノ内駅舎については既述の通り。)

6。再開発の事業化について

・ 昭和通りから壕端に至る広がりの中で再開発を考えるべきである。

・ できるところから段階的に事業化する場合にあっても、全体の再開発構想をつくった上で着手することが必要である。

・ どの位の時間を見ての計画なのか、はっきりさせるべきである。(線路の重層化や地下化等の技術的問題は時間にかかわる。)

・ 鉄道駅の機能は、時代とともに大きく変わるので、100年の計でフィックスするのは問題ではないか。

以上

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東京駅周辺地区再開発調査委員会

第1回懇談会 議事録

昭和62年9月22日

鶴 井: 本日は懇談会ということで、自由にご意見をいただきたい。

八十島: 東京駅は海外の諸都市のそれとちがう点かおる。「象徴性、デザイン性」であり、必ずしも駅本屋をあのまま残すということでないが、計画にあたって考慮すべき要素である。

芦 原: ナショナルプロジェクトとして充分に論議、検討することが必要。何故、今日再開発をしなくてはいけないか。ーー現機能がだめになったから再開発するのではない。土地の地価の問題、業務床の問題が最大の目的なのか。利益追求、権益拡大が目的とすれば問題である。市民が自由に行ける空間であることが必要。土地の高度利用によっ て床ができるとすれば、市民が行けるスペースをつくるべきである。音楽堂、文化的施設等をつくることによって、ナショナルプロジェクトとしての意義が一般の人にわかってもらえよう。誰も行かれない、ただ外資系企業等が潤うのみであれば問題。目的をはっきりさせて、都民が納得できる再開発とすべきである。ここで業務床を増やさねばならない理由は何なのか。業務を増やし、一方通行の交通をふやすと一層混雑につながらないか。

井 上: 東京駅周辺に国際的業務をもっと入れるべきかどうか、大きな悩みである。短い期間に実現できるのは東京駅周辺しかない。時代は多核多心からもう少し先の時代に来ている。ニューヨークの摩天楼に勝つためには集中させることが必要である回これを強く言いたい。過度集中ではないかと批判されるが。

東京都の再開発誘導地区となっているが、昭和通りから濠端に至る

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広がりの中で広域的観点から(首都圏における又、上記のエリアの中での東京駅周辺を考えて)再開発を考えるべきである。集中をしなければ勝てないだろう。

そうしたら法規制上どこまで可能かを踏まえて空中権移転をやって全体のバランスをとっていくことが良い。

東京駅の交通機能を高めていくべきである。エアターミナル、ホテル等交通に係わる機能を極力東京駅に集めていくべきで、それ以外のものは要らない。

道路については、核都市等で整備が進むことによって東京駅周辺区の立地の優位性が一層高まる。現在特に大きく手を入れずとも機能導入のできるところは他にない。

歴史的建造物については、もうこわしたくないが、その分の空中権移転等を図るべきである。

鶴 井: ここで再開発の基本方向について事務局でまとめたものを説明したい。基本的な方向だけでも承認いただければと考える。

井 上:(1)導入機能について単なる「業務」機能ではなく「国際」業務機能を主体としていくべきである。(文言に盛り込むかどうかは別)他の地域に申し分けもたつ。新しい要請は、国際業務をどういう受けとめ方をするかであり急務である。

芦 原 前文の目的が、これだけなのか。業務床ができて通勤が余計混雑する。都民が何か受けるメリットがあるのかどうか。地主だけがメリットを受けるのかどうか。迎賓館のような国賓を迎える施設は考えられないのか。国際オフィスがどの程度必要で、そうするとどの程度の目的達成につながるのか。目的をはっきりしていただくとわかりやすい。

鶴 井 「見地からも」という表現で含みを持たせている。この時点では「業務」機能という表現にとどめた。

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八十島: 再問発構想をつくりながら、できるところから事業化するのか、それとち、再開発構想をつくった上で、できるところからやるのか。

鶴 井: 後者の意味です。

井 上: 東京駅周辺の使命 ①国際業務 ②交通機能を高める。

内 田: 東京駅周辺地区は道路を別とすれば交通上最も便利なところである。東京の鉄道網は東京駅を中心にできあかっている。道路の面積なども他の副都心に比べると比較にならない余地を持っている。それを有効に活用することが、東京にとって良いのではないか。

鶴 井: 本案について、委員会で承認いただきたい。

八十島: 確かに、交通拠点であることは将来ともっづくだろう。それに対処のできるようにしていくことがためになろう。交通の広場性をもつ再開発であるべきである。業務床が現状でもタクシーが道路にあふれているのにもっと混ますのか。皇居前側に交通広場として活用しうるスベースがあるのかどうか。

日 笠: 東京は先進諸国の都市に比べて巨大な集積であり、かつその中心である。集中をせざるを得ない。特に中枢管理機能、東京駅に集中している機能は他のところへ移せない。そういった機能は都民に直接関わりないが、都民に開かれたような機能をここで求めることはできない。 (そういうのは新宿とか渋谷とか)都民の楽しめる都心というのは、ちょっと無理かおるのではないか。あんまりいろんな機能を入れるより絞った方が良い。

東京は本来放射状に機能が立地するところであろうが、宮城と国鉄の高架のため帯状に伸びてきている。交通の1点集中については、ロンドンはターミナル駅が分かれてい

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る。何故1点集中にしないで、地下鉄でつないだか。それには何か理由かおるはずで、それを含みおく必要がある。

石 原: 一番大きいのは日銀の存在。金融機能が日銀を中心として展開している。為替をある時間内に日銀に持ち込まなくてはならない。六本木に入った外資系の金融が不便をしている。バイクで行かねばならない。東京駅周辺というのは東京駅が誘致しているのではなくて、日銀の存在ではないか。マスコミは他業務をひきつける力がない。

東京駅周辺に新しく機能を入れるとすれば、都の跡地利用が周辺に誘致する大きな力を発揮するのではないか。ファッションセンター、ホテル、コンベンションセンター等が周辺に影響力をもち得る。今後虎ノ門から有楽町の動線をどう強めるかが重要。東京駅自体の改造、再開発にはあまり力を入れる必要はない。都庁跡等は拠点となり得る。顔とかシンボルは、それはそれでけっこうだが、それがプロジェク トの形を決めるまでにはならない。駅舎をつぶしてまでやる必要は今のところないのではないか。他の機能を強めることによって東京駅周辺地区の機能も高まる。東京の中でのターミナルとしてはちっと有楽町、新橋の強化をしていくことが必要。晴海通りは立体化してやる必要がある。(汐留、臨海部と内陸を結ぶ)

八十島: 現在の丸の内駅舎には魅力を感じない。残すなら元の姿で保存すべきだ。あるいは新しいので後世に残るようなものを作るかだ。

日 笠: 象徴性については、東京駅はかつては国際性をもっていたが現在はない。(成田から直接行く)そうすると歴史的な国際性ということに

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なる。集中する機能として国際性はあるが、交通としての国際性はない。

八十島: 賓客がパレスホテルから馬車仕立てで皇居に入る。

村 松: 丸の内駅舎を残しておくとすれば、復元しないと意味がない。鉄道機能の集中による便利さをディスターブしない、効率的なトランスポーテーションシステムを整備すべきである。副都心と何がちがわなくてはならないのか。上野、新橋等とどうちがい、どう連動するのか考える。丸の内側ばかり話にのぼり、八重洲側か議論に登らないのを奇異に感じる。(八重洲の駅舎、見通しをさえぎる壁の問題。)何故か。そのあたりの検討もしてもらいたい。

時問をどのくらい見ての計画なのか。急場しのぎなのか。長期的な話なのか。線路の重層化や地下化等計画の技術的問題は時間にかかわる。時間距離についてある程度出していく必要かおる。

日 笠: 個人的にはできるだけ残したい。残すなら復元が必要。方向づけは慎重に処理した方が良い。諸外国の例をみてもあまり感心しなかった。建物ひとつだけ残してもビルの谷間に埋もれて効果がない。東京駅には前の広場かおるからもっと良いかもしれないが。長期的には地下の再開発の話もでてくるだろう。その場合まず東京駅がでてくる。当面無理とすればやむを得ない。

石 原: 丸の内側はスベースは広いが、動線的には非常に不便である。駅の周辺の動線が現在の広場では無理なのか。周辺にひろがる動線ができないのか。立体的に広場をつくるのか。(2階に上げるときたない。地下にするか。 )

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井 上: 交通の問題はもう少しうまく処理できるように考えてもらわないといけない。現在でもできることは何かを考える必要。

八十島: 八重洲口側か現状でもうまくない。少なくとも中に納めなくてはならない。

西 田 丸の内側の客の動線が問題である。前に広場かおりながら車も人も動線がまずい。故に八重洲口広場の車の利用が多くなっている。また、丸の内本屋等の容積率が低く効率上問題。清算事業団の八重洲北側用地は今でも使っていない。長期的な展望をいただいた上で、それに整合した、近い時期のあり方を議論いただきたい。

石 原: タクシー利用は長距離鉄道の乗降客の方が多く、そのホームは八重洲に近い側にあるため八重洲に車が集まっているのだろう。

村 松: 建物の保存は、必ずしもインテリアも含めての完全保存を意味しない点を誤解のないように。ファサード保存もあり得る。駅本屋を残したいという人もファサード保存のことではないか。(一種のシンボルとして)

内 田こ 鉄道上空の利用について、利用しながら工事の危険性、費用、地価等からみてやった方が良いということになるのかどうか。いったいどんな人工地盤の施工法がとれるのか。終着駅はやりやすいが、ここのような駅はむずかしい。

沢 田: 事例は天王寺(線路のまわりも使った建物)、目黒(1線のみ利用)大宮(2、3階の低いビル)など少ない。

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内 田: 鉄道駅の性格、機能は時代とともに大きく移り変わっており、100年の計でフィックスしてしまうのは駅としては将来問題を生じる。旅客の流動が大きく変わるから20~30年先は考えが及ばない。

村 松: 我が国特有の柔軟な、野放しの都市計画が今後ともっづくのか。

八十島: 柔かい計画ではないか。

村 松: 東京駅をこわして、オフィス不足にどの程度対応できるのか。焼け石に水程度なのか。

井 上: 昭和通りから濠端まで含めた区域で再開発すべきだ。早くやる必要があろう。

八十島: オフィスビルの問題は八重洲側の清算事業団の空地等で対応し、丸の内本屋側はそのままとすることが考えられよう。

石 原: 空中権移転によって超高層ビルを八重洲に作ればいいのではないか。その際1~BFくらいは公共空間として開放すべきである。大丸の商業床も低層部はなくすべきである。そうすると大分広々としたスベースが確保できる。

村 松: 確かに1階の大丸の売場は動線上じゃまになる。

井 上: 大丸のごときは第一に除去すべきだ。「交通」機能を優先すべきである。

石 原: 今、線路の上にあわてて建物を無理して作る必要はない。その分の容積は空中権移転で活用する。

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八十島: 丸の内側は文化財として、八重洲側は機能的に作り直す。

石 原: 中央郵便局を八重洲側の鍛治橋近くに移転することはできないのか。駅前広場等として利用するのが良いのでは。

江 川: 65年に全国の郵便物を扱う機能は他へ移す。象徴性のある情報通信の拠点をつくりたい。この界隈の企業をネットワークするLANをつくりたい。現地でやりたい。

石 原: 超高層ビルは丸の内側にはそぐわない。

井 上: 中央郵便局はアーキテクトを輩出したスクールであったと逓信省の建物を代表する建造物である。

日 笠: ひとつの広場をはさんで昭和、大正、明治の建物があるのはここだけ。

鶴 井: 熱心なご懇談ありがとうございました。これで閉会します。次回委員会を10月8日18:30より開催します。

以 上

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第3回東京駅周辺地区再開発調査委員会--基本的方針についてーー

討議要旨

昭和62年10月8日

・周辺地域について、現状の土地利用で固定して良いかどうか。

都庁跡地を中心に、新たな業務が付加される将来像が考えられる。

・24時間都市では、業務そのものの質も変わり、またそれをサボートする諸サービス業が発生し、それがウィークェン下に人を呼ぶ力となる。

・業務地のウ・イークェンドと夜の賑わいはどの程度を目標にすべきか考えなくてはならない。

・容積制限にあたって、需要だけではなく、道路基盤計画からの条件も根拠として考えなくてはならない。

・通常の線路敷には「敷地」という概念はないが、「駅構内」には「敷地」の概念が一般にはある。

・容積計画においては、道路敷、公園、河川とか線路敷には建物は建だないという前提にたっている。東京駅のヶ-スは、個別の検討の中で決めるべき性格のものである。

・容積規制、容積移転に関して、我が国の現在の制度でかなりのケ-スに対応できる。

・東京駅周辺地区再開発に関する方針について議論され、了解された。

(既往の対応方針を肯定的に受けている。)

以 上

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昭和62年10月8日(木)

於 飯野ビル・牛ヤッスル

第3回東京駅周辺地区総合開発調査委員会

(速記録)

開会の挨拶

【八十島委員長】 皆様、お忙しいところお集まりくださいまして、ありがとうございます。

回を重ねること3回目になりまして、いろいろ資料をつくってやっておりますので、きょうはその検討をお願いすること、その他、議題になっておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。

資料説明

【八十島委員長】 それでは、議事次第に従いまして資料説明から入らせていただきます。

事務局、よろしくお願いします。

【事務局】 資料がございますので、確認をいたしますが、資料-1は、前回の第2回目の9月1日の委員会の議事要旨でございます。これは説明を省略させていただきます。

資料-2は、前回御提案がありました懇談会を9月22日に行いまして、それについて先生方から意見を得たものをまとめたものでございまして、これも説明を省かせていただきます。

資料-3は国土庁資料です。それから資料-4を後で建設省の方から説明していただきたいと思います。

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それでは、資料-3のほうから説明をいたします。

【楠本】それでは、国土庁資料の資料-3について御説明させていただきます。

一番最初のページにございますのは、これはこの前の懇談会にお渡ししたものです。若干修正も加えてございますが、これまでの委員会での討議等を踏まえまして、おおむねの事業区域の位置づけと申しますか、東京駅周辺地区の持っている課題とか見通し、こういったものについて簡単に取りまとめてございます。

もう一度念のために御紹介いたしますと、一応位置づけということが、左のほうに、現状の認識ということで幾つか書いてあります。1つは東京駅周辺地区の核になります東京駅が首都東京の表玄関であるということ、それからこの周辺地区全体のわが国のシンボルゾーンになっているということ、そして歴史的なシンボルゾーンということだけではなくて、具体的に動いている、アクティヴな行動中枢センターでもあるということでございます。

さらにその中枢機能に着目いたしまして、強いオフィス需要が現にまだ存在しているということ。それから単にオフィス機能、ビジネス機能ということのみではなくて、商業とか文化、サービス機能、こういったもののわが国を代表するような機能が同時にこの周辺にも集積しているという地区である。そういう機能全体が、国際化の動きの中で新しい展開を示そうとしているという地区であるということでございます。

東京駅の周辺地区の整備の課題ということで、これはすでに上位計画一都の御計画でございますとか、国上庁の計画等にございますように、基本的にこの都心機能を周辺に分散して、過度の集中を排除するということが基本でございまして、ただ東京都心部というのは、国際都市東京の核として、今後そういう面に特化した機能を中心にして、それなりの中枢性を今後も持ち続けなけれ

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ばいけないということがうたわれているわけでございます。

それに対応しまして幾つかの基本的な整備課題が出てくるだろうということで、首都東京の都心機能の高度化ということがうたわれていること等の課題に対応して、それから左にございますような位置づけに対応して、次の4つの整備課題があるのではないかということでございます。

①交通ターミナル機能の整備

②国際化、情報化に対応した高度中枢管理機能の整備

③世界中枢都市東京の「顔」にふさわしい空問整備

④商業・文化機能の拡充・整備

ということになるのではないかということでございます。

この中でも、特に東京駅の周辺地区という広い地域を位置づけとして考えておるわけでございますが、この中でも特に、当面この委員会の計画のエリアということで事業化区域というものを想定しております。東京駅の側近の地区でございますが、これにつきましてはそういう大きな基本的な整備課題を踏まえまして、大きく5つぐらいの方向かおるのではないかということです。

①交通ターミナル機能の整備

②中枢業務機能の導入

③情報通信機能の整備

④国際的なビジネス拠点にふわさわしい商業機能、その他多様な機能の導入

⑤首都東京の「顔」にふさわしいシンボル性を待った都市景観の形成

という5つぐらいをまずは基本的な方向として確認できるのではないかという総括でございます。

きょうお持ちしましたのは、この基本的方向ということに関しまして、第2回目の委員会で各省から出されました資料等をもとにしまして、ここらの位置づけをもう少しはっきりさせておこうということで、これをもう少しブレーク

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ダウンした話を、第2回委員会の資料等を踏まえて一応取りまとめというでまとめてございます。

2ページにまいりして、事業化区域の整備の基本方向ということで、1つは総合的な交通ターミナル機能の整備が求められるということでございます。こ

れは東京駅が今後さらに東北新幹線とか京葉線の乗り入れによって、地下にも深くネットワークでターミナル機能が入り込んでくるということによって、ターミナル機能の強化ということがさらに強まっていくということが見通されるわけでございまして、これに対応した効率的なターミナル機能の整備というもの、あるいはさまざまな鉄道の総合的な交通ターミナル機能の整備ということが必要になってくるということでございます。

次のページにまいりまして、その交通ターミナル機能の強化、整備に対応いたしまして、道路交通との結節性を高めるような交通広場や連絡通路等の公共空間の整備も重要な整備の方向として指摘しておかなければいけないということでございます。

現在、歩行者の動線に関しては、東京駅の東と西をつなぐ軸線は必ずしも十分なものを持っておらない。しかもシンボル的な交通との結節、ターミナルというものに対応したものはほとんど持っておらないということがあろうかと思います。

それから、車両動線の処理につきましても、右のほうの絵にもございますように、特に八重洲口等の駅広の非常に奥行きの浅い、しかも処理が今の段階では非常に錯綜しているようなパターンもございます。こういったことを改善していかなければいけないということが言えようかと思います。

3番目に、そういった交通ターミナルの機能強化ということに対応して、周辺道路のネットワークの改善ということも重要な課題であろうと思います。現在、すでに第2回の委員会で建設省から出された資料にもございましたように。

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周辺の道路の混雑率は相当高いということもございます。それから、鉄道東西を結ぶネットワークがやや弱いということも指摘されているところでございます。

それから、今後の大きな話でございますけれども、東京駅あるいは新宿を中心とした副都心の中でも相当都心に近い様相を示すと考えられます新宿方向に、本来、東京駅の丸の内側というのは軸線として聞かれているわけでございますが、これが実際には皇居の存在によって周辺から入ってくるというふうなパターンを強いられているという大きな構造的な問題も、指摘しようと思えばあるということでございます。

そういった大きな問題から周辺の問題を含む道路ネットワークの問題ということも、この計画書の中で対応を必要とするということでございます。

大きな2番目といたしまして、この地区に課せられた整備方向といたしまして、東京駅の周辺地区の中枢業務機能がどんどん高度化していくということに対応いたしまして、それに対応した役割あるいは機能というものが求められるのではないかということでございます。これは第2回の委員会にも御報告いたしましたように今後も都心部における高度中枢機能というのが、集積立地というのが、全体のシェアとしては弱まってはおりますが、基本的に減っていくという方向にはないということが、左の下の表でごらんになってみてもわかるかと思います。全体的なシェアは都心部では減ってはおりますものの、減るという話にはならない。微増を続けているというところが都心3区の状況としてございます。これは東証一部上場企業の本社機能ということでございますけれども、それから今後、そういう中枢機能が、情報化によって立地が分散化していくという動きもございますが、これにつきましても高度な中枢機能一意思決とか総務機能とか業務管理とか、そういった中枢性の非常に高い部分についてぼ、今後ともあまり周辺とか地方都市にもなかなか分散が進んではいかないので

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はないかというふうなことがアンケート調査でも確かめられております。これは右のほうの資料でございます。

こういったように東京駅周辺地区のこういう中枢業務機能の存在、これの集中というのは依然としてある程度続く。これはそれなりにこの地区の1つのおり方として容認していかなければいけないのではないかということでございます。

2番目に、次のページにまいりまして、国際金融機能に象徴されるような新しい都心志向型のオフィス需要が発生しているということがあるわけでございます。これに対応することが相当重要な点として出てくるということでございます。

右の表は、これまでに各民間の調査機関、あるいは国等によって行われました東京における事務所需要の将来見通しでございます。調査の対象とか調査方法によりまして、幾つか数字は異なっておりますけれども、概括的に申し上げられますのは、現在、23区全体で約4、000haぐらいある事務所床に対して、今後75年までに新たに1、000ha~2、000haの床需要が生ずるという予測がされているわけでございます。

このうち都心3区に依然としてそのうちの多くが集中していくものであるということが、これらの調査のおおむねの数字でございます。

それらの予測があるわけでございますが、企業家側からのニーズとしても依然としてこの地区に集中して、移転先として希望する者が多い。右のほうは事務所移転の希望先(大手企業に対するアンケートの結果)でございますが、相当強いものかおる。あるいは、現在立地している企業がさらに拡大とか再編をしていく場合の場所ということも含めて、アンケートを取った表が左の下の表にありますけれども、東京駅周辺地区というのは、新設は比率的には少ないのでございますけれども、拡大、再編の場を依然として東京駅周辺に求めたいと

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いうふうなニーズが多うございます。そういう状況があります。

こういうことが需要として強いわけでございますけれども、これに対して一方、東京駅周辺のオフィス床の新供給というのは非常に低い。これは現在、おおむね法定容積岸の大部分を使い切っているという状況がございます。これは7ページの右の上のほうに容積率の分布が出ておりますが、これも第2に出した資料でございますが、これにも見られますようにおおむね使い切っている。

容積率の低いところは、土地の細分化等によって床の大きな供給というのは余り見込まれないということがございます。こういうことがございますので、何らかの対応が必要になってくる。こういう需要かおるから、すべて導入するというふうなことではございませんが、何らかの形でこれに対応するというのがこれからの整備に関しての課題として言えるということでございます。 参考までに7ページの左のほうは、東京の周辺地区の都心部と副都心の業務機能の比較でございます。事業所統計等から、都心3区と新宿区の上位からどういうふうな業種が入っているか、あるいは従業者数でどういう方々が多いかというふうな比較表が左のほうにございます。都心部におきましては、事業所で申しますと、情報サービスとか政治、経済、文化団体、運輸に関するサービス業等、こういう業種が都心部に多い。

それに対して、新宿ではホテル業とか飲食店が多いとか、サービス業に傾斜した事業所が多く見られる。

従業者に関して言うと、都心部においては金融業とか、国家業務、証券業、商品取引業というようなところが特記されるのに対して、新宿では商品の小売業とかホテル業関係、保険業、こういったものが新宿では多いというふうな傾向がございます。

そういう意味で副都心が今後機能強化されるにしても、おのずから機能に差が出てくる。その中でそれぞれ役割分担しながら、都心もそれなりに機能を純

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化しながら高めていくというふうな動きがあるでしょうし、副都心は副都心の集積の仕方が出てくるということでございます。

8ページにまいりまして、先ほど申しましたように新しいオフィス需要が多いということで、それをここで供給していこうかというふうなことでいいかどうかということなんですけれども、周辺ビジネス地区の機能更新、高度化への支援という役割が何らかの形でこの地区は果たせないかということが1つあろうかと思います。丸の内地区のオフィス街というのは、建設されてから30年たつものも多いわけでございまして、施設面で古くなってきている。あるいは立地企業の増所要求だとか、あるいは国際化、情報化に対応したオフィス機能の高度化へのニーズというのが顕在している。こういう中で既存のビジネス地区の機能高度化、更新というものが次の重要な課題になってくるのではないか。

そのときにこの事業地区の一部が何らかの形で、この周辺地区の機能更新と連動させるというふうなことによって、周辺地区と一体となった高度中枢地区への脱皮を進めさせる、そういう引き金的な役割をこの地区が果たせれば、1つ意味ある整備になるのではないかというふうなことが考えられます。

次のページにまいりまして、(3)番目の基本的な方向ということで、情報通信機能の整備が求められるということが書いてあります。

この地区に集積する中枢業務機能というのは、国際化、情報化に対応した機能ということで、これに対応した情報通信の機能強化ということが1つ重要な課題となっているということでございます。たまたまこの地区に中央郵便局が存在している。これを質的あるいは機能的に高度化していくということを行うことによって、そういう高度中枢拠点と通信ということの情報通信拠点としての意義づけをこの地区に与えていくことも必要なのではないかということでございます。

次のページにまいりまして、(4)番目の方向ということで、国際ビジネス拠点

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にふさわしい文化・交流機能の導入が求められるということでございます。

先ほども申しましたように国際業務機能等が、丸の内側に立地しているということに対して、周辺地区、特に東側の地区におきましては、さまざまな商業の集積とか、文化拠点があるわけでございまして、こういう中で、しかも交通結節拠点の持つこの地区の位置づけというのが、これらの文化交流機能の分布ということに対して、それなりの役割を果たしていくということも、1つ、この地区の役割としてあるのではないかということでございます。

すでに都庁跡地では国際フォーラム等の整備が方向づけられておりますが、これを補完するホテルとか会議場、あるいは国際的な交流機能を高度化するという機能をこの地区の重要な機能として必要なのではないかということでございます。

またこの地区がビジネス地区として平日の利用に供されるということだけではなくて、土日の週末とか、夜間の活動がある程度存在するような地区でもある必要があるわけでございまして、これに関連した商業機能とかレジャー機能も重要なのではないかということでございます。またビジネス関連のレクリエーションの場ということも考えられてもよろしいのではないかということでございます。

こういった機能を、現在、議論の1つのテーマになっております歴史的な建造物をどういうふうに活用していくか、あるいはこれをどういうふうに取り扱っていくかといったときに、こういう交流機能をその整備とうまく対応させてシンボリレ性を待ったものとしてつけ加えていくということが考えられてよろしいのではないかということでございます。

そういったことを含めまして、一番最後に、(5)番目に『東京のr顔』にふさわしいシンボル性を持った都市景観の形成が求められる」ということでございます。

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以上5点の基本方向を一応整理したわけでございますけれども、これを空間的にどんなことが言えるのかということをひとつパターンでお示ししたのが11ページの絵でございます。これは東京駅を中心といたしまして、1点鎖線で囲ってございますのが事業化想定地区でございます。これの周辺に、丸の内地区では高度な国際金融あるいは本社機能、北のほうには国家中枢業務というのがくっついております。有楽町方向には文化・レジャー拠点が存在する。銀座、日本橋方向には商業、ファッション、文化ゾーンあるいは商業業務ゾーン、さらには日本橋から兜町に金融センター、あるいは金融・証券・サービス業中枢というのが控えている。こういう中で、一方、西側には皇居が控えております。

皇居と丸の内地区をはさんで、皇居外苑とか日比谷公園、さらに北の丸に至る緑のゾーンが存在しております。それが大きなこの地区の骨格的な構造であろうかと思うのですが、こういう1つの機能の分布の中で、次の12ページにまいりまして、このちょうど真っただ中に存在します東京駅を中心にしまして、これらの機能のより有機的な関係でございますとか、高度化ということをねらう主要な機能といたしまして、ここに描いてありますように、周辺の中枢業務機能の存在を前提にいたしますビジネス交流拠点とここでは呼んでおります。これはオフィス等を含む、あるいはオフィスに関連した交流機能もそれにセットインされたという意味でございますが、そういうビジネス交流拠点といったものをこの東京駅周辺地区の整備の中に入れていってはいかがか。それから文化・商業交流拠点と下のほうに書いてありますが、これはホテルとか文化施設、あるいはショールーム、飲食、こういった機能を中心にしまして、そういったものもこの中に入っております。それから、先ほど申しました情報・通信拠点、こういう基本的な機能がコンプレックスされて、それが東京駅の高度な交通ターミナル施設機能に支えされて展開する。そういうコンプレックスが周辺の活性化につなげていくという筋書の機能配置パターンが考えられるのではないか

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ということでございます。

以上でございます。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

ほかの資料の説明は後になりますか。

【事務局】 一緒にやらせていただきます。

【柳沢】 それでは、資料-4につきまして簡単に御説明しますが、これは前に村松先生の方から、容積移転についてはどういうことになっているのか説明しろというお話もございまして、後ろの4枚目以降ぐらいに日本の制度を挙げておりますが、その前に、今の日本の制度も外国に比べてそれほど遜色がないということもありまして、まずニューヨークの制度をちょっと紹介をしておりますので、それからまいりたいと思います。

アメリカのほうは、御存じのようにニューヨークのほかにサンフランシスコとかロサンゼルスでかなり容積移転についての制度がございますが、ニューヨークが一番一般的に行われているようでございまして、それをざっと御説明いたしますと、②のところにございますように、低層住宅地区だけを除いて、あとは一般的にランドマークの敷地については開発権を移転することができるというで、右側の図ー1にありますように、こういう教会のようなランドマークがありますと、これを横のほうに移転することができることになっておりますが、この場合に、ニューヨークで移転できるのは、ランドマークの敷地についてだけであるということになっているようです。

③でございますが、移転できる移転先の条件がわりと厳しく決まっておりまして、これも図一2にありますように、隣接している上地か、あるいは道路で向い側、あるいは対角線の土地までというふうになっております。一部、特に高度利用を図るような位置づけをされている地区ではもう少し弾力的にできるということで、それは図‐3にありますように、実質的に一体的な所有になってい

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るような場合には、それの向い側か許されるというふうになっているようでございます。

3ページ、移転できるランドマークについても、任意にできるというわけではなくて、ランドマーク保存委員会で評価されて、指定された建物がそういう対象になるということになっております。

それから、移転できる容積の限度ですが、まずどれだけ移転できるかということで、出すほうの限度ですが、これは地区によって若干特例があるようですか、その容積を出す敷地の基準容積率から、現在そこに存在しているランドマークの全容積を差し引いたものが移転できるというふうに考えております。

逆に、受けとめる側のほうの受けとめの容積の限界も定められておりまして、これはそこの容積の20%増までということで、例えば1、000%の容積率の地区ですと、1、200%で打ちどめということになっております。この辺は大体後で御説明します日本の特定街区と大体似たような一細かいところはもちろん違いかおりますが、大体似たようなオーダーになっております。

⑦は、そういう場合のいろんな担保措置が定められているということが書いてございますが、4ページと5ページに若干の実例を挙げておりますが、参考までに写真-1は1860年にできた建物-一商店、事務所、アパートの混合の建物だそうですが、後ろのビルのほうにこの部分の容積が移転をされております。

写真-2は、1850何年にできた銀行だそうです。

図一4は、前回の懇談会のときにスライドで紹介がございましたセントラルターミナルでございます。

それから、1800年の最初のころにできた教会でもそういう例かあるということです。

もう1つの容積移転の制度がございまして、これは敷地統合制度、これも日本でもよく似たような制度かおりまして、後で御紹介しますが、複数の敷地が

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隣り合っている場合に、その隣り合ったもの同士で、これは1つの敷地だというふうに宣言をした場合は、それは1つの敷地というふうにみなされて、いろいろな規定が適用される。その結果、実質的に容積の移転ができるという制度のようでございます。実例としては、右にありますようなトランプタワーの例かおるようでございます。

次にGページでございますが、これ以降は日本の制度でございまして、大きくは2つありまして、特定街区と、10ページ以降に総合的設計による1団地の建築物認定制度と書いてありますが、2つありまして、特定街区については、目的がここに書いてありますが、日本では有効な空地を取るというようなことと、街区単位で整備をするということが主たる目的ということになっておりますが、②に指定要件を書いております。商業地域の場合ですと0.2ha以上まとまった土地で適用されるということになっております。それから一定の空地を確保すること、それから、1つは道路に囲まれているというのが一番実質的な要件で、すでに1つの街区をすでに形成しているところで適用されるというのが原則になっております。ただし、実際、そういう場合がすっきり街区単位でできないという場合も多いわけですので、そういう場合には既存の街区を、例えば半分に割って、その真ん中に道路をつくるということによって街区にするというようなやり方も便法的にはやっております。

③ですが、特定街区が指定されますと、御存じのように建築基準法の一般的な形態制限が一応全部外れまして、その土地にふさわしい制限がかけられるということで、その中の1つで容積率制限も通常の制限が形式上まず外されるわけです。そこに新しい容積率制限を定める。そういうことによって、制度上は任意な値をとるようなことができるようになっておりますが、その際に、隣に容積移転の対象になるような土地があって、そこも一体的に特定街区に定めることができれば、片方の街区を小さい値を定めて、それに匹敵する分をもう

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1つのほうに上乗せして定めるということによって容積移転が事実上できるということでございます。

その容積移転のできる相手方と出す側の関係、これも先ほど御紹介しましたニューヨークの例とよく似ておりますが、これは接する敷地というよりは、街区単位ですので、隣接する街区あるいは対角線の街区で適用できるということにしております。その場合に、ランドマークー先はどの歴史的な建築物のようなものは、それ自体は街区を形成してない場合が多いわけですので、出す側かランドマークであるときだけは、そちら側は街区を形成してなくとも、特定街区を指定することができるということにしてございます。

8ページに若干の例を載せておりますが、①は例の日比谷シティでございます。これは下の図で左上にプレスセンターかおりますが、このプレスセンターから富国生命ビルと日比谷国際ビルに少しずつ容積が移転されております。ただし、この場合、特定街区自体では、1つの特定街区にしている関係上、都市計画で容積率を差をつけて定めるという手法はとらずに、内部の地権者同士でやりとりをするという形にこの場合はなっております。

②の青山1丁目の特定街区の場合には、下の図にございますようにB敷地と書いた公園部分については、容積をゼロというふうに指定をしまして、その容積に匹敵する分をA敷地に乗せて定めているということになっております。

9ページは、これは実は東京都の森部長に御協力いただいて出していただいたのですが、「案」と書いてありますように、実はまだ正式に決定しておりませんで、10月29日に正式に発表になる予定ですので、「取扱注意」と書いてありますが、よろしくお願いしたいと思います。

これが多分日本の歴史的な建築物に関して容積率を移転する初めての例になるという予定でございます。

図の左側のほうのパースの図の左下のところに塔がございますが、この塔の

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部分が既存建築物ということで、これを保存するために、このブロックはかなり低い容積率にする計画になっておりまして、その分を右側に寄せていくという計画でございます。

10ページ、これは建築基準法の制度でございまして、総合的設計による1団地の建築物認定制度ですが、御存じのように建築基準法の取り扱いとしましては用途上過分な建物が複数存在する場合は、それは1つ1つ建物ごとに敷地を分けて、その分けた敷地ごとにいろいろな規定が適用されるとなっておりまして、容積率も分けた敷地ごとに適用されるのが原則になっております。そういう場合に、全体を一体的に総合的に設計するというような場合には、分けて適用するのが必ずしも合理的でないという場合が多いわけですので、そういうケースの一種の救済措置として全体を1敷地に見るという制度がございまして、その結果、実質的に片方に容積を寄せるというようなことができるような制度でございます。

11ページに例かございますが、これは虎の門の36森ビルと37森ビルでございますが、この2つのビルの敷地を一体として、先ほどの総合的設計ということで認定をしたわけでございますが、右のほうの上に書いてございますように、こういう認定を受けない場合には、トータルで542%の容積率、それぞれの敷地は650と480となっておりますが、この認定をした場合、若干容積移転のほかにもう1つ別の要素が入っておりまして、と申しますのは、余談になりますが、幅員27mの道路というのは、30森ビルだけに接しておりまして、御存じのように容積率というのは道路幅によって頭打ちになるという部分もあるわけですので、37森ビルは通常この制度を使わない場合には、8mの既存道路による容積率制限がかかってくるわけですが、これを一体の敷地というふうにして取り扱った関係上、全体が27メートルに接するということで、全体の容積もちょっと上がっております。618%というふうにかなり上がっておりますが、その

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上でさらに全体を1敷地ということで、36森ビルの一部が37森ビルに移転されるということでございます。

12ページ以下に参考までに、61年12月に出しました特定街区の計画標準の前文を載せております。説明は省略いたします。

以上でございます。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

そうすると、関連議題の資料説明は以上としてよろしいでしょうか。

§.質疑応答

【八十島委員長】 それでは、以上の説明についての質疑に入らせていただきます。どなたからでも結構ですから、よろしくお願いします。

ただ、どの点を質問していただいても結構なんてすが、初めのほうは今後の基本方向ということについての提案のような格好で出ておりますので、その辺はかなり中心的に御議論いただいたほうが今後のためにいいかと思いますので、よろしくお願いいたします。

【石原】 最初の資料-3の12ページでございますけれども、ここで配置パターン図というふうな形で提案されているのですが、これを見ますと、何か現状のような感じがしましてね。これから地区は変わっていくことかあり得るのかどうかということに対して、これは現状を保全するというか、現状追認の形でこのままでいいのだというふうな感じを受けるのですけれども、例えば兜町あたりがそのままでいいというふうに考えるのか、あるいはいろいろ金融センターなんかにしても、実際は東京駅のほうのお堀側に金融機関が相当集積してますので、そちらのほうにもにじみ出てきているのですが、これは日銀とか、そういうふうな形で出ているのですけれども、ちょっとこれを見ただけでは、何

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か将来に対しての方向性みたいなものがちょっとつかめないのですけれども、その点はどうなんでしょうか。現状ではこうだろうというように思うのですけれども、将来に対して、この現状追認でいいのか。現状をそのまま固定していいのかどうか、その点どうなんでしょうか。

【楠本】 まさに御指摘のとおりでございまして、事業化想定地区の濃い網で書いております地区を中心にして、周辺の今後のあり方ということにつきましては、むしろ現状の機能配置をそのまま受けるような形でしか示しておりません。と申しますのは、東京駅の事業化想定地区というものを1つ引き金にして周辺をどういうふうにして変えていくかというときの将来方向につきまして、これをどの程度この委員会で方向づけられるのかという問題もございまして、そういう意味では刺激を与えて新しい時代に対応させるということで、矢印の中に刺激し合うのだというところまでの指摘しか入っておらないということでございまして、それにつきましてより全体のマスタープランを明確にするということであれば、もう少し別の形の方向づけがこの絵の中に必要になってこようかと思います。

【八十島委員長】 今の御指摘の意味はよくわかるのですが、どうでしょう、何かこれでいったらどうだというよう考えがおありだったら、ちょっと披露していただけませんか。

【石原】 私は、一番大きい影響を与えるのは、都庁跡地だろうというふうに思っているものですから、その都庁跡地を核にして、あの周辺から新しい機能が変化してくるのではないかなと思うのです。それがいわゆる国際化の新しい形が生まれ出てくる原動力になるのではないかというふうに思いまして、今までの業務にない別の意味の業務が付加されるような感じをちょっと将来像として考えるむのですから、そういうふうなポテンシャルかおる地域を盛り上げていくというふうな計画にならないかなという感じがちょっとしたのですから。

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【八十島委員長】 国際フォーラムと書いてあるところが、もうちょっとふくらむか・・・。

【石原】 そういうような感じを受けるんですけれどもね。

【鶴井】 この間の懇談会のときにもおっしゃってましたね。この間の懇談会の御意見では、有楽町を中心にした文化・レジャー区域、この辺が少し変わってくるのではないかという御意見でしたね。

【石原】 それで晴海通りというのが相当強く意識されるようになってくるんじゃないかという感じを受けているんですけれどもね。今後、東京湾のほうの開発が進むと晴海通り自体が相当強い動線になってきて、そういうところを核にしながら新しい展開が出ないかなという、感じだけで申し上げて申しわけないんですけれども……。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。ひとつ検討できるものならするし、してみたらどうですか。

ほかに、どうぞ。

ちょっと私から1つ。何番目の基本方向だったか忘れたのですが、ウィークエンドが閑散とした街にならないようにと書いてありましたね。例えば東京駅自体はウィークエンドでも結構鉄道を中心にした大の動きかおるから、あれを指しているわけではないわけですね。

【楠本】 ここでの指摘はちょっと一般的な言葉になっていると思います。東京駅の場合には、むしろトラベラーと申しますか、旅行客が土日でも相当ございますので、一般的な業務地区の駅とはまた基本的に違う性格のものでございますけれども、ただオフィス的な機能、例えば丸の内側などは完全に人の流れは土日は違ったものではないかと思います。そういったところを、もう少し複合的な交流機能というものをこの地区の中で何かうまく回していくような仕組みがないかという意味をこめたわけでございます。

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全体としては、閑散とした普通のビジネス地区の駅とは違うものだと思いますが……。

【八十島委員長】 これは関連して、委員の先生方から御意見を伺えればと思うんですが、よく我々は業務地は夜は死の街になる、ウィークエンドはこれまた死の街になる、それはまずいという意見と、そういうときにどうやったらそれが克服できるかという、この2つについて、恐らく定説といったようなものはなかなかないのでしょうが、個人的な見解をお持ちの方は大ぜいいらっしゃると思うので、もしそういうことでもあったら聞かせていただきたいのですが

【石原】 私は「24時間都市」というのはどういうふうになるのかなということで、24時間ということは、今度ウィークエンドもなくなるような感じで、都市というのは、業務なんていうのは夜も相当動くし、ウィークエンドというようなことも国際的な交流があれになりますと違ってくるんじゃないかというような印象を受けるんですけれども、そういうような都市の形態に本当に変わるのだろうかなということで、そうなってまいりますと、昔よく言われたのですけれども、そういう24時間的な機能が、放送局や新聞社の機能が24時間的な動きをしていたんですね。その周辺に飲み屋とかレストランとか、そういうふうなもののにぎわいが出てきて、それが今度はウィークエンドにまた人を引きつける1つの大きな力になるというので、六本木なんかの発展過程というのはそういうふうなものの1つのあらわれじゃないかというふうに思うのです。

ですから、24時間都市みたいな形で業務が出てくると、それをサポートするいろいろなサービス業みたいなものがその周辺部に24時間的に発生するということになると、それがまた今度はウィークェンドなんかに人を呼ぶ大きな力になって、街自体がそういうような形で変化するのじゃないかというふうに考えられるのですが、今までの業務というのは、そういう意味で国際化し、24時間

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都市になると機能変化が相当起こり得るんじゃないかという感想を持っております。

【八十島委員長】 どういうタイフー一例えば今回の調査区域の中には銀座通りもあるし、随分いろんなところがあるけれども、丸の内側のビジネス街なんかを見ると、ウィークエンドはひっそりしちゃっている。ああいうことが24時間都市になると、黙っていても変わっていくというような、今のお考えもそうだし、それからああいうものはあの程度はしようがないのだと思ってあきらめちゃう手もある。というのは、現在でも帝国劇場があったら、日本工業倶楽部なんかに行くと、休みの日でもパーティーぐらいはあるとか、何か少しはあるんですね。だから、そのぐらいあればいいとするのか、あれじゃ都市としての形をなさないとするのか、どうもその辺、我々はどこを目標にしているかというあたりにもひとつ考えなくちゃいけないことがありはしないかと思うんですけれどもね。

【合田】 一般の方々が、丸の内側に余り行かないというお話、これは委員会でも御指摘がございましたけれども、皇居のほうでも皇居外苑というのは余り利用されておらないのではないか。そういう意味でここの絵では、皇居側に至る人を引き込む軸線をつくって、北の丸から日比谷公園に至るような、一般の方々がこのあたりをどんどん歩き出すような1つの軸線を見出せれば、これらは週末に人がここにやってくるような動機づけにもなるのではないかということがこの提案の中に1つ入っているわけでございます。

【八十島委員長】 その辺、今後もひとつ検討していただきたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。

それじゃもう1つ、容積率の話、いろいろ実例があって非常にわかりやすかったのですが、常識的に容積率の制限ということを我々は頭の中に入れているけれども、容積率を決める根拠は、単純に考えれば基盤整備とバランスさせな

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ければいけないということがあるということはまず第一に考えられるけれども、ほかにどんなことがあるのですか。

【柳沢】 森部長からお話しいただいたほうがいいかもしれませんが、後で補足していただくとして、基本的には将来の床の需要を全体的に予測して、その予測の精度がどれだけかということはありますが、床の需要を予測して、それを全体としてどういうふうに配分するかという作業を行った上で、その配分自体は容積計画ですので、その容積計画が容積制限に翻訳をしなければいけないわけですが、その過程の一環として、今先生がおっしゃった基盤との関係もチェックが要りますし、それから容積計画を制限値にしてしまいますと、それはその下で全部おさまってしまいますから、実際、でき上がる容積はうんと下になってしまうということで、いわゆる歩留り率というのを推定して割り戻した値を1つの目安にして、実際問題はそんなに正確には決まってはおりませんが、理屈上は大体そういう作業をして決めているというふうに思います。

【八十島委員長】 その場合、例えば私は非常に素朴にわかりやすい見方で、道路の幅がこれだけなのに、容積がどんどんふえちゃうと、そこから発生する交通で道路がいっぱいになっちゃうから、この程度の道路計画というか、道路かおるなら、容積率はこのぐらいにしてもらいたいというのが1つの非常に素朴な容積制限をする根拠だと思うのです。将来の需要を念頭に置きながら容積率を決めるとなると、現在のように容積を非常にふやしたいという希望かおるときはどんどんふやしてもいいという理屈にならないですか。

【柳沢】 今先生がおっしゃったほうの要素というのは、チェックをかけるほうの要素としてはあると思うのですが、その前の容積計画をする際の将来の床を推計する場合、大体希望と実際にマクロ的に推計したものとはかなりズレがあると思いますね。初めて容積制を適用した昭和36年か8年ごろの作業でも、実際は数値自体は非常に低くて、それをそのまま当てはめると、現在の既存建

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築物は相当不適格になるというようなことも1つの要素で、実際はその値よりは相当高く決まったというような経過ですので、実際問題としては推計値であふれるというようなことには多分ならないというのが一般的な見方だと思います。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

基本方向をずっとあれしていただいて、どれもこれも皆そうだと思うのだけれど拡、なかなかこれ以上は言いにくいのでしょうが、これとこれは切り捨ててもいいから、こっちのほうでいきたいのだというような御意見はありませんでしょうかね。

切り捨てるというのは極端だけれども、少なくとも重点はこっちに置くとー-きょうはまだ議論の段階で、結論まではいかないから気楽に御意見があったら聞かせていただきたいのですけれども、今の段階ではずっと並列に列挙していただいているわけですが、これを重視したいというような御意見があれば伺っておきたいのですが……。

それでは、きょう急にというわけにもいきませんので、ある程度そういう目で我々は見なくちゃいけないかと思いますので、折に触れてひとつお考えいただいておくとありかたいと思います。

【鶴井】 ここに挙げておりますのは、項目としては読んでいただくことだけでございまして、むしろ先生のほうから、こういうこともあるのではないかという御意見があれば、いただいたほうがいいのではないかと思いますが……。

ここに書いてますのは基本的な項目を御提示しているだけですので。

【内田】 ちょっと質問させていただきたいのですが、この都市計画の中で、例えばこういう街をつくりたいから、この地区はこういう業種を制限するというようなことはあるのでしょうか。

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【柳沢】 そういうことができるかということでございますか。

【内田】 そうです。

【柳沢】 用途地域というのは、かなり大まかな制限で……

【内田】 それはわかりますよ、第1種住居専用地域とか。オフィス街の中でこういう建物をつくった場合、ここはこういう業種以外はだめだというようなことはあるのですか。

【柳沢】 そういうことまで決める合理性かおるかどうかという問題があると思いますが、本当に決めるべきだということになれば、例えば地区計画というような制度がございますので……

【内田】 具体的な計画で決めていくということですか。

【柳沢】 はい。

【八十島委員長】 ほかに御意見ありませんか。

【村松】 1つ質問よろしいですか。

【八十島委員長】 どうぞ。

【村松】 柳沢さん、きょうは容積規制に問する制度について大変いい勉強をさせていただいたし、わかりやすい資料と説明をいただいたのですが、結局アメリカなんかのケースに比べて、日本の容積規制についての制度はそんなにおくれていないということですか。

【柳沢】 そんな感じだと思います。

【村松】 もしこれから何か考える場合に、にわかにアメリカの制度を研究して、新しい法改正かなんかしなければ適用できないというんじゃなくて、そんなにしなくたって、今の制度でかなりのケースに対応できると見てよろしいですか。特にそんなに違っていないと……。

【柳沢】 ええ、今の制度自体は、ある意味では多少厳し目に書いてあるところがございますが、本当に必要性があって、個別に検討すればかなりの幅はあ

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り得るというふうに考えております。

【村松】 きょうの資料-4の7ページ、図8、「ランドマーク」という言葉は法律用語として登場しているわけですか。あるいはこの場での説明用語なんてすか。

【柳沢】 実は説明を省略しました後ろのほうの12ページ以下、これは法律ではございませんが、建設省の都市局長通達でございますが、この中で「ランドマーク」という言葉を出してはございます。

【村松】 すでに使っておられるわけですね。

【柳沢】 はい。歴史的建造物という言葉もございますし、14ページの真ん中あたりに「歴史的建造物」という言葉も「ランドマーク」という言葉も両方使っております。

【八十島委員長】 ほかに……。

【沢田】 この制度が、容積についての関係で、いわゆる敷地一区画というんですか、その場合に、例えば東京駅というときに、きょうの説明ではなかったのですが、そういうような声があると思うのですが、そういう面はどう考えておられますか。

【梅野】線路敷が敷地になるかならないかということがよく言われるのですけれども、従来の考えを申し上げると、駅敷というんでしょうか、駅の構内というんでしょうか、そういうところに建造物がそこを敷地として上に物が建ってくるということは考えていると言っていいと思います。

通常の線路敷には「敷地」という概念はないというふうに考えております。

ただ、今たまたま容積率の話が出ておりますけれども、言葉の上だけで「敷地」とは何かというだけではなかなか整理がつかない面があろうかと思います。

ということは、現在の基準法で言っている「敷地」というときに、大々的な容積移転が行われるとか、容積という一種の開発権が一体で存在しているとか、

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そういう概念で整理されているわけじゃないわけですね。ですから、一番根っこにある「敷地」とは何だというところだけで見れば、ある種の整理がつけられるわけですけれども、基準法でいろんな制限なり都市計画で考えている制限と、そういう従来の制限とのセットにおいて考えている場合とは、制限の組み立て方を変えてきますと、「敷地」という犯念をもう一度整理しなければならない部分が出てくるだろうというふうに考えておりますが、歴史的に存在してきた経緯をずっと見ますと、一番ベースでは、今申し上げように「駅敷」といいましょうか、「駅構内」といいましょうか、そういうところには「敷地」の概念があって、途中の線路敷には「敷地」の概念がないというふうに整理していいのではないかと思います。

【柳沢】 線路敷に限らず、むしろ道路のほうが代表的だと思いますが、先ほど申しましたような容積計画というのを都市計画でやる場合には、道路敷とか公園とか河川とか線路敷とか、こういうところには基本には建物は建たないという前提で一特殊な場合にまれに建つということは、公園でも、道路の上でもないことはないのですが、基本的にはそういうところには建物が建たないという前提で容積計画をしておりますから、したがってもしそこに建物が一般的に建ち得るということになると、容積が全体として高過ぎるということになっ

て、もう1回、全体を見直すということが理論上は必要になってしまうわけですが、そこで今の駅の構内のような土地については、建築基準法上は「敷地」になり得るという整理ですが、果たして東京駅のようなすごい大きい構内の線路敷というのは、ここで定められている900%というのは、都市計画で積極的にそれが建築物が建ち得る容積として定めたのかどうかというのはかなり問題がございまして、むしろそれは個別にここの場所で本当にどれだけの容積が妥当かというのを個別に検討するという作業の中で決めるべき性格のものではないかというように一必ずしもこれは統一見解ではございませんが~考えて

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おります。

【八十島委員長】 よろしいですか。

【石原】 8ページの青山1丁目の特定街区ですが、実は私、これがかかったときに、東京都の都市計画審議会の委員をしておりまして、これはここの都営住宅の人たちがこれは違法だということで、建築審査会のほうに異議申し立てをしまして、この道路をはさんで、公園の容積を移転するのは違法じゃないかという訴えが出されまして、そしてこれは後でこの上のほうの部分だけが容積率の変更をしまして、そしてこの部分だけが特定街区のあれで通した覚えがあるのですが、これは最初の計画はこうだったのですね。最初の計画はこうだったのだけれども、実際の建築審査会等で非常に議論を呼びますので、やむを得ず都市計画上、一部容積変更をして地域変更を行って、そして通したという覚えがありますが、これはもともとがこういう形の敷地だったということで、こういう形でずっときたのですけれども、最後の段階でこの公園のところに道路が入っているということで問題が生じたのですが……。

【柳沢】 大分古い話ですが、私の記憶では最初はこのA敷地、B敷地を分けないで容積を一律で決めた上で、それでA敷地のほうにB敷地の分ち乗せた建築確認を出したわけですね。それに対して、それは敷地が違うというので審査会でアウトになって、それでこの計画のように書き直して、B敷地はゼロとわざわざ定めて、ゼロにした分がA敷地に合うということで、A敷地を高い値を決め直したという経過だったと思います。

【石原】 僕があのときの都市計画審議会の委員をやっていたときは、このB敷地は考えないで、A敷地の容積率の変更をした。この700%を1、000%にしたんですよ。1、000にして割り増しをかけた。

【八十島委員長】 Bから持っていかないで……。

【石原】 持っていかないで。だから、これは建築上、大分めんどうくさいこ

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とになった。この当時は、まだ容積の移転とかなんとかということは言われない時代だったものだから。

【梅野】 今のは、わかりやすいから「容積移転」と言っているのですけれども、それは独立に容積を決め直しているだけなんでね、形式的には。そういうゼロの容積のところと、極端に高いところの容積というものが、ブロックごとに隣接することは都市計画上見ても妥当であるということだから、そういう特別な高い容積と低い容積が決まっているわけであって、そういうものを認める数値を決めたりなんかするときに、容積の移転的な感じの評価の基準というか、そういうものが存在するというのが、今の建前上の理解だと思うんですけれどもね。

【石原】 ですから、その当時はこういうような空中権的な話がなかったものだから、そういうふうなめんどうくさい手続をしたので、それが今はなくなった、こういう形でやれるようになったと。だから、本来の姿にすっきりできるようになったというふうに解釈してよろしいんじゃないでしょうか。だから、昔はそういうふうな考え方がなかったものだから、非常にしちめんどうくさい訴訟を起こされちゃって、それでこういうふうなことが審査会で問題になったわけですね。

【八十島委員長】 いろいろ私なんか初めて伺うことが多くて、なかなか大変だなと思いますが、この問題はきょうでなかなかケリがつかないし、きょうの素材を用いて今後の実際問題に当たっていかなくちゃいけないと思いますので、よろしく心願いいたします。

【石原】 ですから、こういうことができるようになったということです。

【八十島委員長】 ほかにいかがでしょう。

もしよろしければ、次の議題に入らせていただきたいと思います。

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(2)東京駅周辺地区再開発に関する基本的方針について

【八十島委員長】 (ロ)の基本的方針について、これに入らせていただきます。

【鶴井】 それでは、資料-5「東京駅周辺地区再開発に関する基本的方針について(案)」をお諮りしていただきたいと存じます。

ちょっと読ませていただきます。

(資料-5朗読)

以上でございますが、先日の懇談会の席で先生方に一度お目通しいただいたわけでございますけれども、この委員会において御承認いただくよう委員長のほうからお諮りをしていただきたいと思います。

前回お目通しいただいたところと変わっておりますのは、前文の2行目で、前回のペーパーでは、「……対応方針」の次でございますが、「対応方針が取りまとめられているが」とあって、その後、5行目の「近時の都心部の地価高騰に対処するため」というふうに続いたわけでございますが、この対応方針の中で、当該地区の整備の方向について記述がございますので、『r対応方針』において」以下、書いてございます「業務機能の都心部への過度の集中の抑制に配慮しつつ、国際化、情報化等に対応した業務機能への適切な対応人々都心における豊かで美しい空間の創造を基本とする』として取りまとめられているが」というところを追加記述させていただいております。

あと(1)から(5)までは変わってございません。

よろしくお願いいたします。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

何か御意見、御質問がありましたらお願いします。

言ってみればきょうまで3回重ねた委員会の大体の骨子をここに並べていた

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だいたというふうに読み取っていただいていいんじゃないかと思いますが、そういう意味で今までやったこと、またこれからやることをひとつ1枚にまとめてみると、こういうことかと、こんなことかと思いますが、いかがでしょうか。

【村松】 1つ、よろしゅうございますか。

【八十島委員長】 はい。

【村松】 前にも原案を拝見しているわけで、今さらという気持ちも多少ございますが、(1)から(5)までの項目の配列の順序が少し混沌としているように思いまして、例えば(1)の「東京駅が……」と、それから(4)の「首都東京の中央駅としての……」云々とは非常に近い内容で、例えばこれは適当に隣り合引倍番のほうがいいように思いますが、いかがでしょうか。これは配列の並びかえの問題だと思いますが……。

【八十島委員長】 どうでしょうか。

【合田】(1)のほうは鉄道の機能といいますか、この前も御議論がありましたように東京駅が鉄道の機能として重要だと、そういったものを十分に考えることが必要だというのが(1)でございます。

(4)は、「中央駅」と書いてあるからちょっと問題になるのですけれども、基本的には周辺の空間構成とか都市景観に与える影響、要するにそれが中央駅というシンボリックな場所であるとか、人が集まる場所であるとか、そういった意味において、空間構成、都市景観に対する影響を考えましょうというふうな意味でございます。

(1)が機能的な面、(2)はむしろ空間構成とか都市景観とか、そういったような文章になっているわけです。

【村松】 中身は確かにそうだろうと思いますけれども、また強いてセパレートする必要もないので、一連の問題として、機能と景観というのが、あるところに2つ並んでいたほうが話としてはわかりいいように思いますけれども、こ

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れはあくまで私の意見で、ほかの委員の御意見もあるでしょうから……。

もう1つ、前文の5行目一先ほど文章の作成上の事情の御説明があって、あるいはそれが私にとって、何か1つひっかかったのかもしれませんが、5行目の「取りまとめられているが、」ですね。この「が」が、何か否定的な、あるいは対立語的な意味の「が」なのか、もうちょっと違う意味の「が」なのかということがちょっと気になっているわけです。

というのは、3行目の「過度の集中の抑制に配慮しつつ」という対応方針の中身の基本に対して、「しかし」と、反対的に、オフィス床等の供給促進策をあえてやるのだという意味での「が」であるのか、どうなんでしょうか。

【鶴井】 いや、そういう意味じゃございません。

【村松】 そうすると、この「が」はどういう「が」になるのですか。ちょっと文章的な問題なんてすが、読みようによれば、何かそれに対する否定的な立場で基本方針が決められたような感じを受けるのですがね。

【鶴井】 今、先生おっしゃったような否定的な意味ではございませんで、もともとの考え方は「過度の集中の抑制に配慮しつつ」ということを受けているというふうにお考えいただいていいと思います。その考え方がベースにあるという意味でございます。

【村松】 ベースにあると。しかし、あえて供給促進ということになるんじゃないですか。(笑声)そういうことを配慮して、気をつけながら、しかし供給促進をするということですか。

【鶴井】 そういう気持ちです。

【村松】 非常に理解のある解釈をすると、そういうことになるんですが……。

【石原】 そうですね。今の部分はちょっとひっかかるんでしょうかね。

【村松】 ワープロ的に字句ごとに削除されていくと、こういう1つの接尾語みたいなものが反対の意味を持ってきちゃうことが文章上よくあるものですから。

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【石原】 「取りまとめられており」というふうに言えばいいわけですね。

【八十島委員長】 どうでしょうか。なるほど「……ており」のほうが誤解されないかなという気もするけれども、そうすると、こっちを引っ込めると、こっちが出てきたりするものだから……(笑声)。

【石原】 次の行の「……見地からも」の「も」が要らなくなるんですね。だから「取りまとめられており、近時の……見地から旧国鉄用地」となって「も」も要らなくなる。

【伴】 「さらに」という意味があるんでしょうね。つけ加えて緊急性をちょっと出す意味で、今この時点であるという、そのほうが……「……ており、また」か……

【八十島委員長】 「……ており、一方」とか「また」ということかもしれない。

【鶴井】 「……ており、また……見地からも」ですか……。

【八十島委員長】 要するに、私はさっき伺って、2行目から3行ほどつけ加えたというのは、「豊かで美しい空間の創造」といったようなことをここでつけ加えたいという趣旨で入れられたのではないかなと思って読んでいたんですけれども、どうなんですか。ほかに何か深い意味があるのでしょうか。

【鶴井】 いえ、前回は「近時の……」以下の文章しかなかったむのですから、懇談会のときにも、少し基本的な考え方を書いたほうがいいんじゃないかという御意見がございましたので、それでつけ加えさせていただいたわけです。ですから、ベースとしては過度の集中抑制をしなかったという考え方もありますし、それから今先生御指摘のように「豊かで美しい空間の創造」ということをつけ加えたいということでございます。

【村松】 そうすると、それだけではないのだという意味での、「が」ですね。

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(笑声)それだけではないのだ、さらに、という……。

【岩村】 それと、さっき伴課長からありましたように、昨年12月に1回こういう方針が出ているのに、また今なぜこんなことを言うんだということについて、土地をもっと供給すべしという意見もあるから、そういう視点からもこの開発という問題をここで取り上げるのだという意味で、「……ており、また」といいますか、加えてというような意味の「が」だと我々は理解しているわけです。そうしませんと、去年言ったのに、なぜ今また半年しかたってないのに、また言うのだということになりますから。

「が」に逆の意味が出てきてしまうのであれば、「……ており、また」とすれば、先生がおっしゃるような「かてて加えて」というような意味になって、前を否定しないから。前を否定してしまうという御意見もありますので。

【八十島委員長】 「……られているが」を「……ており、また」というようにしたほうが趣旨が通りますか。

【江川】 ちょっとよろしいですか。

【八十島委員長】 はい。

【江川】 書いた側から言いますと、この「が」は肯定的接続語でして、(笑声)要するに「……を基本とする」として取りまとめられていると。それは当然のことなんだが、プラスしてこういうことも、今この時点ではありますよということを言いたいんですね。

そこで、八十島先生が言われましたように「……ており、また」にしますと、「また」以下の文の理由が、昨年のこのペーパーの中で、そんなことを考えてもいなかったのかと言われてしまう危険があるわけですね。新しく出てきた緊急の問題でもあるという意味で軽く入れるー「軽く」というのは、中身が軽いという意味ではありませんで、文章上ですね。そういうつくりということから、「が」が非常にナチュラルに我々には読めるのですけれどもね。

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【八十島委員長】 そうすると、「……ており、また」を[……ており、一方]というふうにしたらどうなんでしょうね。そうすると、文章がつながらないかな。

【伴】 そうですね、そのカギ括弧の中にも「業務随能への適切な対応」というのが入っているんですよね。

【八十島委員長】 これ、ちょっと懸案にして、ほかの点、いかがでしょうか。

【石原】 それでは、さっと読んだときに余り気にならなかったんですけれども、こうやって読み直してみますと、(1)を受けているような感じがしまして、「導入機能としては」というと、何か東京駅のような感じを受けるんですけれども……

【八十島委員長】(2)ですね。

【伴】 (2)の最初の出だしが、上の文章が東京駅の機能を言っているむのですから、「導入機能としては」というと、東京駅について何かやるというふうな印象を受けないかなという心配があるんですね。そうじゃなくて、これは全体としてということなんて、そういう意味ですから、少しそういう誤解が生じないかなとちょっと心配するんです。

【八十島委員長】 「再開発地区」とか、何かそういう言葉が入ればいいわけですね。

【石原】 ええ。入れば別段どうということはないんですけれども、何かこう続けてこうなると、(1)のほうが余り東京駅だけのことに行っているむのですから、それで「導入機能としては」というふうになっちゃうものですから、ちょっと東京駅のほうへ導入する機能はというふうに……。

【八十島委員長】 「再開発地区」という言葉を上のほうで使ってありますから、「本地区」ぐらいにすればいいと思うんですがね。

じゃ、ここがもう1点。

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ほかにいかがでしょうか。

【西田】(4)の「また」以下が、切り離しているから、表現が若干強いような感じを受けるんですけれどもーこんなことを今申し上げたらお叱りを受けるのでしょうけれども。・

【八十島委員長】 どうでしょうか。

【鶴井】 私はこのままにしていただきたいと思います。

【八十島委員長】 さっき村松先生の御指摘の、(1)と(4)ですが、さっきの説明で、なるほど説明を聞いてみると、(1)は東京駅のターミナル性をまず出して、それから(2)、(3)は再開発の基本方針、(4)は東京駅再開発における東京駅のあり方、(5)は一般の基盤整備というふうに整理ができているとすると、この順序でおかしくないですね。

東京駅について2つ出たという先はどの御指摘のように、ちょっとおかしいと言えばおかしいんですが……。

【村松】 これを強いて分類すれば、(1)(2)が機能の問題ですね。(3)、(4)は、どっちかというと景観的な問題、(5)が基盤の問題、そういうように見ればいいわけですね。

【鶴井】 御理解いただければと思います。

【八十島委員長】 そういうふうに理解していただきますか。

そうすると、ちょっと整理しますと、3つぐらい出てきて、上から5行目は結局どう直すと一番理解がいいんでしょうかね。要るならいいじゃないかという説が最後に強く出てきましたが……

【江川】 文章的にきわめてナチュラルで、何の抵抗もないですね。かえって「……ており、また」にすると、何でそこをギラギラ書くのだろうという感じがしてくるような文章になると思います。

【村松】これは余談ですけれども、文部省のお役人さんがいないからいいので

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すけれども、現代国語の教科書に私の文章が載って、「検定」というのがあった。ここがこのとおりだと、こう誤解されるおそれがあるという検定側の意見があった。(笑声)私は、誤解じゃなくて、そうくみとってもらいたい文章なんだと言って突っぱねて「ああ、そうですか」と通ったことがあるものですから。(笑声)だから、これはどっちの誤解になるかが心配だと思いますが、ペラペラと読めば確かにおっしゃるとおりですね。

【江川】 これは取りまとめられており、そのことは言うまでもないことですが、これこれもありますと、こういう意味なんてすね。

【伴】 「……ているところであろうが」としますか、「……でいるが」というのを。

【江川】 「……ているところであろう」と、「が」がついたら同じことですね。

【伴】 いや、ちょっとは違うかもしらんよ。(笑声)

【八十島委員長】 「……ている。しかりしこうして」……

【村松】 それはある意味では賭みたいに、このまま出してみるという手もありますね。

【八十島委員長】 少なくともこの委員会の了解としては、「……ているが」の「が」というのは、そこまで書いてあることを否定した「が」ではないということを、ひとつこの委員会の皆さんははっきり頭の中に入れていただくということで、これでいきますか。

【鶴井】 はい、ありがとうございます。

【村松】 肯定的接続語。(笑声)

【八十島委員長】 それから、(2)で「導入機能としては」というのは、なるほど言われてみると……

【石原】 上も「機能」という字がついているものですからね。

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【八十島委員長】 ちょっと唐突なんてすね。

【鶴井】 「本地区への」ですね。

【八十島委員長】 「本地区への」-これはどうでしょうか。

それから、(4)の4行目の「また」というのは、これが強いか、弱いか、どっちにしろ、その後の文章が残るとすれば、私はそう変わらないという気がするのですが、どうでしょうか。「また」の変更を強く支持されれば別ですけれども……。

【西田】 全文をとっていただくと……。(笑声)お叱りを受けるかもしれませんが。

【 】 もっと強くしろという御意見が出るかもしれないから、もうこの辺(笑声)

【 】わかりやすくしろとかね。

【八十島委員長】 それじゃ、これはひとつ原案でいっていただくと、こういうことでどうでしょうか。

ほかに何かお気づきの点は。

【沢田】(2)で「本地区への」としますと、(4)の2行目で「再開発地区」という別なの言葉が出てくるので、それも「本地区周辺」と変えたわうがいいのではないかと思いますが……。

【八十島委員長】 そうですね。どっちがいいですかね。どっちかに統一すればいいわけですね。

それじゃ、(2)のほうを「本再開発地区へ」ですか。

【石原】 上に「東京駅周辺地区」というふうに入れて、「再開発」という言葉は、後でそれを再開発するということですから、「周辺地区」というのはあれですから、「本地区」でいいんじゃないでしょうかね。

【村松】 あるいは「この地区」ぐらいでどうですか。

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【八十島委員長】 「この地区」にしますか。

何かほかに御意見はありますか。--←-なければ、「この地区への」ということにします。

ほかに何かお気づきの点ございますか。

これが金科玉条になって、全くここから将来一歩も動けないというものではないと思います。あくまでも中間的な考え方の整理ですから、委員会としては柔軟に対処したいという気持ちが私にはありまして、ここでこう言っちゃったから、ここから一歩も出られないということではなしに、かなり柔軟にこれから議論もしていくというふうにさせていただきたいと思います。

それでは、これでよろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。

【鶴井】 この基本方針につきましては、実は13日に公表させていただきたいと思っておりますので、それまでの間、この「基本方針」をお持ちの方は、ちょっと取り扱いを御注意いただきたいと思います。

【八十島委員長】 ああ、そうですか。

よろしいでしょうか。もし発表されるのなら、説明しろと言われたときには先はどのようなことをよくお願いします。

そうしますと、この議題は終わりまして、次が「その他」ですが、何かその他ございませんでしょうか。

きょう初めに懇談会の意見を、討議要旨といった格好、あるいは意見といった格好で出していただいて、いろいろ皆さんに発言していただいたことを書いてありますが、これで何かお気づきのことはーこうは言わなかった、意味が少し違うよとか、そういう点てお気づきの点がありましたら。あるいはこれを機会にもうちょっとつけ加えていただいても結構じゃないかと思います。

特にございませんでしょうか。

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【梅野】 先ほどちょっと御説明したのですけれども、道路上空の空中権の移転のようなことがかなりいろいろ書いてございますけれども、先ほど申し上げたのは、一番根っこの敷地のことをちょっと申し上げただけであって、上に出てくるいろんな建築的利用と下の土地との関係の取り結びによりましてー--やや難しいことを申し上げますけれども、ストレートにそれがどうこうというところまでは大変難しい問題がございますので、一番根っこにある敷地はどうかということだけだということで御了解いただきたいと思います。

【八十島委員長】 はい。

ほかに何かございませんか。

その他

【八十島委員長】 それでは、これはこれとして、「その他」として何か事務局で用意しておられる議題はありますか。

【鶴井】特にございませんけれども、次回、大体1ヵ月後ぐらいでどうだろうかと思いますけれども……。

【八十島委員長】 きょうが8日ですから、11月8日ぐらいですか。

【鶴井】あ、そうですか。じゃ、次回はそのぐらいのめどで、もう一度御予定をお伺いしまして決定させていただきたいと思います。

【八十島委員長】 それでは、また御相談して決めます。

ほかに、これを機会に何か御発言がありましたら……。余り関係ないことでも御意見として伺うことがありましたら……。

§。閉会

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東京駅周辺地区総合整備基礎調査

第2回懇談会要旨

昭和62年12月2日

1。事業化の区域について

・周辺の民有地を取り込むべきかどうか検討しておく必要がある。

・都市計画としての観点から周辺を含めて考える必要がある。

・民間の既存建物の除却、建替えを取り込まないといけない。

2。丸ノ内駅舎

・セントラルステーションとしての風格、歴史的建物について検討を加え

ていくため、組織的な資料を出してもらいたい。

・耐力診断が必要である。復元、再利用の検討に不可欠となる。

3。中央郵便局

・中央郵便局の建替え時の仮設場所は近くに配置しなくてはならない。

4。交通整備

・全国の鉄道の東京駅への集中化は進めるべきではない。

・八重洲の駅前広場が最重要課題と考える。それをどうしたら改善できる

かをまず優先して考えるべきである。

・八重洲広場は問題である。

・駅広の重層化についても考えるべきであろう。

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5。機能導入

・当区域でオフィス床を増やす必要かおるか。東京全体からみて分散させ

るべきではないか。可能性が高いからといって助長していいものではな

い。

・地域振興につながる機能は、物産展的なものではイメージがあまり良く

ない。

・都心としての機能、セントラルステーションとしての機能の導入の2つ

に分かれる。

・導入機能をウエイトづけして選択的に絞っていく。

・鉄道を効率良く、うまく利用できる機能の導入を進めるべきではないか。

6。その他

・周辺地区全体の再開発を考える際、国際フォーラムがキーとなる土地で

ある。

7。今後の予定

・以下の点について検討していく。

・丸ノ内駅舎についての検討

・耐力診断についての考え方

・駅前広場について

・国際フォーラムについて紹介

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東京駅周辺地区再開発調査委員会

第2回懇談会 議事録

昭和62年12月 2日

課 長 進行については、先生へお願いしたい。

簡単に今までの経緯を報告。 10/ 8 の委員会で基本的方針を決定、10/13には「東京駅再開発の推進について」を連絡会議で決定、10/23には、金丸副総理、関係5大臣が集まり基本的方針を確認し、更に閣議へも報告したところ。

八十島 資料に基づいて、自由な意見をお願いしたい。

(資料説明)

石 原 八重洲、興銀ビルは一緒にやれるのか。

西 田 ヤンマーと興銀が共有。

以前、役員と話す機会かおり、その時にはどの様にも対応すると言っていた。所有する床が増えるなら、OKということではないか。

八十島 可能性かおるということだろうか。重要なポイントだと思うが。

鶴 井 考え方として、街区の中については具体的に考える必要があると思っている。

まだ、地権者とは当っていない。

日 笠 都市計画的には、一緒にやるべきだと思う。

八十島 建設省資料(1)の次の(2)はどういう内容か。

長 崎 道路については、変数の設定の仕方を詰めていきたい。

上水、エネルギー等は、性質上障害にならないと考える。

後は、建物の配置により、容積がどのくらい入るかという検討を行う。

八十島 中間報告の中では、「日本の中心に相応しい空間構成」と言われているが、駅舎のあり方の検討が必要である。

大正3年に出来た歴史的建造物としての価値が良く判らない。

村 松 文化財は、国際的にも竣工後50年は指定できないと言われている。

近代建築の評価の仕方は、古建築と全く違う。

東京駅は耐力診断はやってないのか。

87

細 谷 やっていない。かなり傷んでいる。特に線路側は………。

村 松 耐力診断がいずれにしても必要ではないか。

法務省に関する委員会が2~3日前、第1回目の会合を行った。明治26年の建物であり、屋根を復元、中身は新しいものにする。1~2部屋ぐらいは完全に復元したいものだと考えている。耐力診断は、ここも、首相官邸、国会、皆やっている。

鶴 井 次回には、駅舎に関する資料を出したい。

柳 沢 駅舎の取扱いについては、建設省で取り組まなければいけないと考えている。

口 笠 再開発の床面積の増加に関するチェックについてだが、指定容積に対する歩留りがあると思うがどうか。

柳 沢 αの中に入っている。この変数をどう設定するかが問題。

長 崎 小規模な建替えについては、トレンドとして含んでいる。大規模なものは含めていない。

河 合 1人床面積が増加し、昼間人口が減少してきている。東京駅の再開発ができても、人は減少するかもしれない。

石 原 郵便局舎の仮設地については、どこに確保するか、余地がないのではないかと心配だ。鉄道の将来予測、85万人ぐらいとのことだが、他の通勤線が整備されるとあまり増えないのではないか。トレンドではあまり上らないと思う。10万人もなぜ増えるのか。

江 川 郵便局舎の建替え中は、あまり距離が離れると周りの人が困る。現在、捜している。

村 松 都庁跡地はどうか。

国際フォーラムの現状は………。

合田 西ブロックの計画は進んでいるが、東ブロックなら可能性がある。

88

鶴 井 ボリュームは?

江 川 中央郵便局の従来からの業務は減り、大きなビルが建つ。(大きな新規供給かおる)

河 合 鉄道の需要量にっいては、東北新幹線の乗り入れにより、4万人増加する。

東京駅周辺地区の床面積の増加により、4~5%仲びると考えている。(但し、東京駅再開発は入れてない。)

石 原 事務所床を増やす必要性はあるのか。分散する可能性はないのか。

地方振興を促進する場といっても、全国の物産店のイメージでは大したことはない。集積をやりすぎることにならないか。

鶴 井 オフィス機能、文化機能、情報通信機能、地方振興を国土庁として提示している。現状でも、大丸の上に物産展覧場かおる。必ずしも大きな提案ではない。業務は、業務核都市へ分散していく。国際化・情報化に対応したものを整備する必要がある。大手町、丸の内地区と接した当地区は、大きな候補地である。

石 原 立地条件が他の地域と比べて有利な条件を有している。汐留、13号地より優れていることはわかりきっている。それをこのまま助長して、他の開発の芽を摘むことにならないだろうか。

八十島 国土庁資料はいろいろなメニューを出しているので、この割合を考えていくのだろう。極端に言えば、石原さんが言うのは「建てなくてもいい」という話をしている。機能の中には、都心に必要な機能とセントラルステーションに付随する機能の両方がある。

石 原 どれが大切かという順序がある。一番は、八重洲の駅広の整備が必要である。面積が足りないので、線路を二重にする必要かおるというストーリーではないか。中央駅としての機能が先か、オフィス機能が先か重要である。

西 田 容積の使い方を見ると、東京駅の周りは効率が悪い。日本橋のデパートは車でアクセスできるが、大丸は殆ど鉄道を利用して来ると聞く。(男が圧倒的に多い。)最も効率的なものは何かという考え方もあるのではないか。オフィス、商業であれ、東京駅が膨んでも、殆ど影響ないと思う。

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石 原 興銀、ヤンマー等のビルを壊して白紙の状態でプランを立てるべきである。

内 田 全国中心の駅に、自動車のアクセスが必要だろうか。有楽町は車は殆どない。

何をメインにやるのかが決らないとダメだ。

石 原 八重洲は長距離の客が多いのだから、やはり車のアクセスは必要。

内 田 アプローチの仕方の工夫の問題か、駅広の面積の確保の問題か。(論争)

石 原

八十島 デザインで何とかなるのでは。駅広を2層にできないか。

河 合 駅広の空間の話は次回にでも。重層化については、整理したい。

村 松 (新大阪の例)

内 田 八重洲は非常に狭いのは事実。いくら二重にしても、道路がダメならしようがない。道路の都市計画と駅広は関係が深い。

柳 沢 八重洲通りは割と余裕かおる。広場からどう流すかというのが、1つの技術的なテーマである。

八十島 駅に入るタクシーの行列が目につく。鍛治橋、いつも混んでいる。

細 谷 ディズニーランド方面のバスが遅れるので、それは事実である。

村 松 国際フォーラムの動向か大きなキーになっている。検討はノータッチなのか。仮設建築の場にならないだろうか。また、保存等にうまく活用できないか。国際フォーラムについても知りたい。

八十島 調査から外してしまった。

伴 都は独自でやりたがっている。

八十島 情報を聞きたい。

90

鶴 井 都にお願いしたい。

村 松 繩張りに捕われず………。

八十島 有機的に考えなければならない。郵便局は当てがない。

村 松 移転には金がかかる。上物を建てるぐいかかる。

八十島 気になるのは、この地区に入れられるだけの機能を入れようとする前提はないか。

鶴 井 ない。

内 田 2層にすれば、4~5階建で。(電車は1階で5.5mの高さがあるので)できないことはないが大工事。長い区間で実施する必要があるし、首都高等、他の構造物との関係もある。おそらく真剣に考えている人はいないのでは………。

八十島 プラットホームの上に一部蓋をするぐらいの話では十分実現性がある。

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東京駅周辺地区再開発調査委員会

第3回懇談会要旨

昭和63年2月12日

1。東京駅丸の内駅舎の保全について

・丸の内駅舎の保全について、基本的に「ランドマーク」ということが強

く言われている。

・厳密な文化財として内外を完全に保存するのではなく、ランドマークと

してファサードの保存をという意見が強い。(内部には、もともと内容

を持った建物ではないため、新しい機能が入って良い。)

・建築史的視点というより、都市景観、愛着といった観点から評価される。

・屋根復元してファサードを保存することが適当である。ただ屋根は今の

ままでも除却するよりは良いと保存論者は考えている。

・ドーム部分は完全に残さないと意味が低い。

・駅舎の幅も残すべきである。

' ・ファサード保存の場合、将来の乗降人員によっては、問口部の改造が必

要となるが、かさ上げして半地下の入口を確保する方法が考えられる。

・背後に屏風的効果をもつ建物が建つことは、ランドマークとしてあって

もいいのではないか。

・行幸道路の真正面であれば、多少の曳き家は仕方ない。

曳き家は耐力があれば、内部補強をして行うことができる。

2。丸の内駅舎保全についての今後の作業について

・有識者ヒアリングを事務局案に基づいて進める。

・保全にかかる論理を明確化していく。

・耐力診断結果が出る前の調査のまとめとして、耐力ある場合及びない場

合それぞれこうすべきだという言い方で結論づけることが考えられる。

・JRでどういう対応が可能か、そのための条件は何かを整理する。

93

3。開発の規模、内容について

・丸の内駅舎の容積移転は、官民を問わず、事業化区域内で行うことが考

えられる。

・東京駅の将来機能については、流動的で予測しにくい。将来北陸新幹線

の乗り入れを考えるとすると、さらにホームが必要となり、丸の内駅舎

を前面に移して、ホームを確保することも考えられる。

将来についてどういう問題がでてくるか整理して、次回委員会に報告す

る。

・JRの意見は尊重しなくてはならない。

・JRとしては商業、ホテル等の機能を拡充したい意向を持つ。 JRの開

発意向について次回委員会に報告する。

・八重洲側と丸の内側は建物高さの等性格を変えて考えて良い。

4。駅前広場の整備について

・広場の規模、形状、タクシー等の処理について技術的検討も見極めなが

ら詰めていく。

・八重洲口だけで確保できない場合、計画中の北側広場に加えて、都庁第

2庁舎北向かいに確保することも考えられる。

・線路の上に自動車、バス、タクシー広場をもってこれないか。事業費、

アブローチの点でむずかしいが、可能性について検討する。

・3案についてさらに工夫し(コンコース、高速道路、人工地盤の重苦し

さの回避等)、それぞれの可能性を判断する。

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東京駅周辺地区再開発調査委員会

第4回委員会討議要旨

昭和63年8月2日

1。東京駅丸の内駅舎の取り扱い及び駅の整備について

井上委員: 構造的に耐力がないのではないか。作り直す方向で考えて

はどうか。その際前面に移すことを考えていく。

JR東日本: レンガ造を前面に出す限度は地下の鉄道構造物と建築線の

合意事項により決まるが、十数メートル位とイメージされる。

村松委員: 屏風的建物は、あってもいいんではないか。

全体保全とファサード保全についての定義を厳密に扱う必

要がある。

本来ファサード保全は、外側の全景観の保全であるが、東

京駅の場合正面に限っても良いかもしれない。ただ中央の屋

根を残さないと意味はない。

日 笠委員: レンガ造のすぐ背後に高い建物があるのや、前面のみ残す

のは問題が多い。背後に建てずとも他で容積を確保できるの

だから、慎重に検討すべきである。

石原委員: レンガ造のすぐ背後に建てることには反対である。残すならまわりに埋没しないようにすべきである。ホームを重層化にするのであれば、むしろ除却して丸の内側へ地平でホームを広げるべきではないか。重層化は動線的に好ましくない。

95

重層化するほどのニーズかおるなら、現駅舎を壊さざるを得ないのではないか。あくまでもJRの方の交通ターミナルとしての容量に帰着するのではないか。

背後を高層タワーにするならば、赤レンガは壊した方が良い。

北陸新幹線をここに入れるべきかどうかという議論はある。

細谷委員 背後の建物を景観を保全しつつ建て得る、また重層化に伴う動線上の問題は克服できると考えている。

混雑緩和が至上命題であり、また、北陸新幹線問題もあるので、重層化についてはコストがかかってもクリアしていかなければならない。

石原委員 東海道新幹線を八重州側にはりだして、その上を同時に建物利用してはどうか。

細谷委員 1~3番ホームは土盛りのため重層化できるが、新幹線は

それを想定した高架構造でない。

日笠委員 全面的に赤レンガ保存した場合のコストを教えてほしい。

八十島委員長: 「ファサード」という言葉を統一すること。

南北ドームと中央の角屋根は残さないといけないという意

見でまとまっている。

背後の壁について、なくても八重州のビルがみえる訳なの

でデザインが考えられていれば、接近した位置でも克服でき

ないか。

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井上委員 グランドセントラル、マニラホテルの例のように新・しい景観が生まれることを期待できる。

村松委員: 丸ごと赤レンガが残されることが最善だが、金屏風のように前をひきたてる建物も検討次第でできる。シミュレーションの写真をつくってみて、判断することを考えてはどうか。

日笠委員: 残すなら、後ろに建物は建てない方が良い。(ヘルシンキ駅舎の例)。 接近して壁のように建つと、レンガ造の立体感はそこなわれる。八重洲側のビルなら見る角度によって阻害しないこともあり得るが、すぐ背後に高い建物はあるべきでない。

石原委員: その意見に賛成。

B階のレンガ造とうしろの高い建物のバランスがくずれている。

井上委員: 景観は主観の問題である。設計者にまかせて良い。

2。開発規模

八十島委員長: 容積率が最後まで話題になるので、開発規模については、

説得力のある理屈が必要である。

3。報告書目次案

井上委員: レポートの中で、「交通ターミナルとして国際空港、エア

ーターミナル、リニアモーターカー等との関連についても検

討する。」ということを言った方が良い

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石原委員: 都心地区と事業化区域の関係づけ、容積の割りふりを説明しておくこと。

鶴井委員: 周辺地区のことばの整理をする。現在の容積率との関係からの周辺との割りふりの考え方を整理する。

柳沢委員: 開発規模について合理的な説明を検討する。

以 上

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第4回東京駅周辺地区再開発調査懇談会

要旨

昭和63年3月17日

1。調査報告(素案)の駅舎保全について

・委員会としての意見は形態保全でまとまっている。(費用の多少にかかわらず不

変の方針として)

・駅舎保全費用については、検討課題として整理すべきではないか。

・容積率の売却によって生み出すことと関連するので現在の箇所で良い。

・保全費用はその上空の容積の売却で負担することが考えられる。

・土地の高度利用との調和方法は、背後に新たな建物を建築する方法と他敷地に容

積率移動する方法の両方を検討する。

・保全にあたって背景が重要。「新たな建物を建築する方法」は削除するべきでな

いか。

・背後に建てる建物は低層なら良い。(反対の意見もあり。)

(・外部の有識者へのヒアリングの経過報告がされた。)

2。オフィス床面積について

・就業者1人当たりの原単位が少し変わっても面積のふれが大きい。

・丸ノ内、大手町地区における当地区のシェアーが、ここまで高く占有できるか。

以 上

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昭和63年3月29日(火) 於:霞ヶ関ビル

第5回東京駅周辺地区再開発調査委員会 (速記録)

§。開 会

【事務局】 ただいまより第5回東京駅周辺地区再問発圓査委員会崔始めさせ

ていただきます。

本日は大変お忙しいところ、また朝早い時間に御出席いただきまして、ありがとうございました。本日は最終委員会ということでございますので、御審議のほどよろしくお願いいたします。

それでは、委員長、八十島先生、よろしく心願いいたします。

§.開会の挨拶

【八十島委員長】 お早うございます。お忙しいところ、朝早くからありがとうございます。

大分懇談会などを交えていろいろ御検討いただきまして、煮詰まってまいりまして、きょうは今話が出たように最終にこぎつけたいというところで、その意味で案もかなり事務的に詰めてくださったと思いますが、その案がきょう出ておりますので、それをひとつ時間の許す限り御審議いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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§。議事

(1)「東京駅周辺地区再開発調査報告(案)」について

【八十島委員長】 それでは、議事次第に従いまして、まず東京駅周辺地区再開発調査報告(案)が出ておりますので、まずこれを読んでいただいて、あと必要でしたら説明をつけ加えていただきたいと思います。

〔別冊「東京駅周辺地区再開発調査報告(案)」を朗読〕

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

それでは、鶴井さんから……。

【鶴井委員】 前回の懇談会で先生方からいろいろ御意見をいただいたわけでございますが、日笠先生から、「東京駅周辺地区」という言葉の意味をはっきりしたほうがいいということでございまして、2ページにございますように、「東京駅周辺地区」というのは、再開発構想策定の対象地区であるということがわかるように図面に表示をいたしました。

それから、3ページでございますが、上から3行目、「都心周辺部で業務地化が進行している状況にある」ということで、これは八十島先生から御意見がございまして、「新橋とか赤坂とか青山のほうに外延していっている」という表現でございましたけれども、これは「都心周辺部で業務地化か進行している状況にある」という表現にいたしまして、「外延している」というのは考え方としてはまずいという意味でございます。

6ページにまいりまして、真ん中辺でございますが、3.の「東京駅周辺地区の整備方針」、(1)「機能整備の考え方」という表題にしてございますが、前は「導入機能の考え方」という表現にしてございましたけれども、これも委員長からの御意見もございまして、「機能整備の考え方」という表題にいたしまして、この「報告書」の中で「導入」という言葉を使っていたところは、全部、「整備」という言葉に統一をいたしました。

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7ページ、空間構成の考え方でございますが、ここは今後、具体的な再開発を進めていくときに、考え方として重要なところではないかということで、前回より少し丁寧に書き直しをさせていただいております。

それから、概念図は今回初めてお示しするものでございますので、お目通しいただいて、お気づきの点があれば御意見をいただきたいと思います。

8ページ、開発規模のところでございますが、この点け前回の懇談会のときには空欄になっていたわけでございますが、その後、関係する省庁で事務的に検討いたしまして、きょう御提案をさせていただきました。

考え方といたしましては、東京における事務所床需要というのが、昨年、政府統一見解で、昭和75年ぐらいまで23区で1、600~1、900haぐらい需要かおるのではないかという推計をいたしまして発表させてもらっております。

また、前回御説明申し上げましたように、丸の内周辺地区におきましては供給が非常に少ないということで、従業者も少し減りぎみにあるというような状況もございます。そんなことで丸の内地区において事務所需要のニーズも大きいのではないかというふうに考えられますけれども、いろいろな条件がございますので、そういうものを考慮して想定するという基本的な考え方にいたしておりまして、具体的にはここに書いてございますように、特定街区制度の活用による地区の一体的な開発の実施とか、あるいは公共施設の整備等を行いまして検討いたしました結果、現状、おおむね140ha程度と想定されるのではないかということでございます。

なお、臨海部の開発等も進んでまいりますと、都心全体で相当な交通発生も考えられますので、広域的な道路網に対する影響を勘案して開発規模の精査を今後行う必要かおるということを書いてございます。

4番目の丸の内駅舎の取り扱いの方法でございますが、ここで「形態保全」という言葉の意味でございますけれども、事務的には東京駅の後ろ側につきま

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しては、後ろに建てる建物との連携を図る必要もございますので、そういう場合には、建物の後ろ側については、一部穴があくといいますか、そういうこともあり得るのではないかというふうに考えております。

それから、(ロ)の表現でございますが、「駅舎の背後に、駅舎の形態保全を十分配慮しながら、新たな建物を建築する方法」と書いてございまして、これはぜひ今後検討するひとつの方法として残していただきたいというように考えております。

具体的な事業に当たりましては、いずれにいたしまして世の中に受け入れていただけるうなものでないといけないわけでございまして、委員会としては十分に配慮しなさいということをおっしゃっていただければよろしいのではないかというふうに考えているわけでございます。

10ページ、「事業化に向かっての検討課題」の②でございますが、これは8ページの「丸の内駅舎の取り扱いの方向」の(イ)、(ロ)、(ハ)に書いてあったことでございますけれども、これも前回の懇談会の意見等も踏まえまして、「事業化に向かっての検討課題」のほうで整理をさせていただいております。

「丸の内駅舎の保全のために多額な費用を要することが予想されることから、この費用の取り扱いについて今後検討する」ということでございます。

あと、開発負担の問題が議論としてございますけれども、これは事務的にわわれで検討させていただいて処理させていただきたいと思っております。

それから、このイメージ図でございますが、これも一応国土庁のほうの案ということでお示しさせていただいておりまして、2案ございまして、違っておりますのは、八重洲広場のところの絵柄がちょっと変わっております。1つは広場のほうの上空利用も考えたような画になってございます。これはきょう先生方にお気づきのことをいろいろ御指摘いただきまして、調整させていただい

105

て、最終的なまとめをさせていただきたいというふうに思っております。

よろしくお願いいたします。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

それから、後で配付されて「要旨」をちょっと説明していただけますか。これはどちらで配付していただいたのですか。

【事務局】 これはが前回の議事録の要旨でございますので、お読みいただけばよろしいかと思います。

【八十島委員長】 じゃ、これはよろしいですね。

【事務局】 はい。

次に、ヒヤリング調査結果のほうを簡単に説明させていただきたいと思います。

【八十島委員長】 はい。

【建設省】 それでは、お手元にございます横長の「丸の内駅舎の取り扱いに関するヒヤリング調査結果について」御報告いたしたいと思います。

今回の資料は、この表紙についております4人の方の御意見をまとめたものでございます。

あと御三方、予定しておりますが、さようまでにスケジュール等の関係でまだ御意見を伺えておりません。あとの三方と申しますのは、NHK報道局特別主幹の磯村尚徳さん、新日本建築家協会の丹下建三さん、日本商工会議所会頭の石川六郎さん、この御三方から御意見を伺う予定にしております。

きょう、きょう出しておりますこの4人の方の資料は、いずれも御本人に書きっぶり等を御確認をいただいたものでございます。

それでは順を追って御説明申し上げたいと思います。

50音順に整理しておりますが、まず最初は上智大学教授のグレゴリー・クラークさん。この方は、御承知のように比較文化学部の教授ということで、日本

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文化に大変造詣が深く、また最近では経済学者の立場として日本の土地問題についても非常に関心を持っておられる方でございます。

幾つか御意見のポイントを申し上げますが、まず丸の内駅舎についての評価でございます。クラークさんは、デザイン的にすぐれた建物とは言いがたい、ただ古い建物というのはそれなりに歴史的価値がある、という評価を持っておられます。

では、その取り扱いをどうすべきかということについて、欧米人でいらしゃる関係でしょうか、都市における歴史的遣産を保全するのは当然のことである。当然のことであるけれども、東京駅については全部を残す必要は必ずしもなく、部分的に残せばいいだろう、というふうに言っておられます。

では、残して何をするかということについて、世界の都市というのは、その都市を代表する建築物を持っているけれども、外国人の目から見て、それが東京にはない、この際、東京駅に東京を代表する国際的な建築物をつくって、そういう中央駅にすべきではないか、そのために丸の内駅舎を部分的に壊すことになっても躊躇すべきではないだろう、という御意見です。

では、その新しい建物の具体的な形については、ファサードだけを残して近代的なビルにしてはどうか、という提案をされております。

また、そのデザインの求め方についても、国際コンペとかをやってみてはどうかということをおっしゃってます。

その他、一般的事項についておっしゃっておりますが、特徴的なことを幾つか申し上げますと、我々の議論の中で、皇居と東京駅を結ぶ軸というものに非常に特別な感情を持っておるわけですが、外国人の目から見ると特別にそういう意味は感じてない、という御意見をいただいております。

また、ちょっと変わったところでは、次のページの上のほうになりますが、場合によっては公共住宅をつくるというようなことも都心で考えられていいの

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ではないか、というようなこともおっしゃっております。

続きまして、日本空港ビルディング社長の高橋寿夫さん。高橋さんは、運輸省のOBの方でいらっしゃいまして、現役時代にも国鉄関係の課長を務めておられましたし、その後、国鉄監査委員なども務めておられ、主に行政サイドから鉄道の問題については非常にお詳しい方でいらっしゃいます。

まず丸の内駅舎について、たまたま高橋さんのオフィスが新丸ビルの中にあり、ちょうど社長室の窓から赤煉瓦が見えるという位置なんてすが、駅舎について、奈良の仏像とか古代建築とかと同等に並べて論じることができるほどの価値があるとは思わない。ただ、歴史的な1つのモニュメントとしての価値はあると思う、というような評価をいただいております。

その取り扱いにつきましては、基本的に新しい物をつくるために足枷になるような古い物は必ずしも残す必要はない、ということをおっしゃっております。ただ、歴史的なモニュメントとして残す意味合いはあるので、今の場所ではなくて、別の場所に保全すればいいだろう、ということをおっしゃっております。具体的には、例えば東京湾の13号埋め立て地に持って行って、部分的に保存することでいいのではないかと。

それから、シンボル性ということについては、新しい建物が新しいシンボルとして丸の内の景観を形づくっていくものであろう、ということをおっしゃっております。

ファサード保存につきましては、ファサードだけ残して、後ろに超高層を建てるということは醜悪であるから、やめたほうがいい、ということをおっしゃっております。ただ、前の建物のデザインコンセプトみたいなものを新しい建物に生かすのはいいだろう、ということをおっしゃっております。

3番目のコストの話ですが、高橋さんは、移転をして保存すれげよいというお考えですが、そういう費用、その後のメンテナンスも含めて、東京駅を中心

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としたこの地域の再開発のコストの中に入れるべきである、という御意見をいただいております。

その他、一般的な御意見を幾つかいただいておりますが、景観問題につきましては、いずれにせよ新しい建物と皇居等で新しい景観をつくっていけばいいということをおっしゃっております。

丸の内の機能については、ビジネス街として、とにかく徹底的に発展させていくべざで高ろう、ということをおっしゃっております。

最後に東京駅周辺地区の開発主体について、先はどの移転・保存に要する費用についての意見とも関連するわけですが、第3セクターのような単一の開発主体が統一したデザインコンセプトによって再開発を行うべきではないか、というような御提案をされております。

続きまして、次のページ、京都大学の教授の西川幸治先生でございます。西川さんは、関西の学識者といたしまして、主に都市史、建築史についてお詳しく、町並み保存とか、そういったいろいろな活動を関西を中心に繰り広げられていらっしゃる方でございます。

まず丸の内駅舎について、建築史的に見て、近代建築の開拓者である辰野金吾の作品という意味で非常に価値がある、とおっしゃっております。

それから、社会史的に見ても、震災や戦災を体験しながら、大正以来の東京の歩みを見てきた。そういう近代の歴史の証人としての価値がある、という御意見をお持ちです。

そういう関係で、丸の内駅舎の取り扱いにつきまして、西川先生の基本的な御意見として、古い物を残しながら新しい物をつくっていくことが望ましい、ということをおっしゃっておられます。ですから、そういういわば年輪が刻み込まれているまちづくりが望ましい、という御意見でございまして、丸の内駅舎について、撤去して超高層にしたほうが経済的な効率はいいかもしれないけ

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れども、長い目で見るとそれは必ずしも効率的ではないのではないか、それにかえがたい価値があるのではないか、ということをおっしゃっております。

また、建築デザインの面から見ても、丸の内駅舎を残した上で周りの再開発をしたほうがおもしろい物ができるのではないか、ということをおっしゃっております。

それか、ら、右のはうの中ほどになりますが、保存の手法につきましても、固定的な保存、凍結するような保全ではなくて、動態保存一一一一少しずついにししがら残していく。中で生活なり活勤しながら残していくという方法がふさわしい、という御提案をされております。ですから、丸の内駅舎につきましても、復元するとか、今のまま保全するということを決めてしまわないで、まず現況のままで保全して、その後どうしていくかということは、これからゆっくり議論していけばいい、ということを提案されております。

次のページ、コストの関係ですが、赤煉瓦は、JRには悪いのですが、丸の内の資産であるというとらえ方もできるし、東京都の資産というとらえ方もできる。そういう公共財的な価値を見出して、その機能とか、保全のコストについても考えていったらどうか、ということをおっしゃっております。

最後に、赤煉瓦の東京駅を愛する市民の会代表で、作家であり、かつ前の文化庁長官でいらっしゃる三浦朱門さんです。

まず丸の内駅舎の評価について、三浦さんはいろんな観点から点数で評価をしていらっしゃいます。

建築史的に見るとそれほどすぐれた物とは思わないけれども、煉瓦造としてはほぼ最後のころのものであるので、5点評価で4点ぐらいであると。

社会史的に見ると、日本の近代の歴史の中で非常に重要な役割を果たしてきているので、5点評価の5点満点という高い評価をされております。

景観面でいきますと、景観は、この赤煉瓦の駅舎だけで決まるわけではない

110

という観点から、必ずしも今の景観を保存するということであれば、それは高い評価を与えがたい、意味がない、ということをおっしゃっております。

丸の内駅舎の取り扱いについて、基本的には保全してほしい、という御意見なんてすが、保全の形についてもかなり詳しく御意見をいただいております。

まず、外観については、創建時の形、すなわち3階建て、丸いドームに戻して復元・保存すべきである、とおっしゃっております。

建物の中については、積極的に改変したほうがいいと。その場合、1階の部分は駅機能にして、2階、3階についてはーー前文化庁長官であられた関係もありますが、国立美術館あるいは近代美術館の分室といったものにしたらどうかと。

それから、背後にビルを建てるということについても、ガラス張りの建物のようなバックスクリーン的効果のあるものであれば構わないというお考えをお持ちです。

赤煉瓦には直接関係ありませんが、中央郵便局についても御意見をいただいておりまして、中央郵便局については賛否両論あるけれども、あの時代のものはまだ幾つか残っているので、これは手をつけてもいいのではないか、もしこれが最後の1つになったら保存すべきであるけれども、それまでは無理に残す必要はない、という御意見をいただいております。

3番目の、駅舎を保全するための費用について、再開発を行う公団のような組織で保全のための費用を賄えばいい、という御意見をいただいております。

その他一般的事項として、市民の会の代表でいらっしゃるお立場から、市民運動の今後の展問といったことも含めて、いろいろな御意見をいただいております。

簡単でございますが、以上でございます。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

111p

そうすると、説明していただく資料はこれで全部でしょうか。

【事務局】 はい。

【八十島委員長】 それでは、主としてこの調査報告案について、いろいろ御意見なり御質問なりを伺いたいと思います。 どなたからでも結構でございます。

【村松委員】 調査報告の一番最後の2枚のものの第1案、第2案ですが、これについてちょっと説明をしていただけますか。あるいは、このままで出されて、一般の方、素人の方に理解できるかどうか、多少心配がございます。これについては、報告として出すときの取り扱いはどういうふうにされますか、さらに何か手を加えるとか、そういうことのお考えはないわけですか。

【国土庁】 イメージ図ということで、2枚の図面を載せておりますが、1枚目は八重洲口のほうにビルを建てかえるというケース、2枚目は、八重洲口は現状のままということをイメージして描いたところが、この2枚の図面の違いでございまして、建物の微細な形状については、今の段階では詰められませんので、あくまで建物の形状はイメージということで描かせていただいております。

7ページの次に概念図がございますが、その下のほうにかなり○とか△とかを使った概念図がございます。この整備単位ーー今の鉄鋼会館のある後ろ、八重洲口駅舎のあるあたり、国労会館のあるあたり、丸の内駅舎の後ろ、JR本社のあたり、中央郵便局舎のあるあたり、そういう整備単位があるわけですが、それぞれにこういうビルがあるいは建つのではないかというイメージ図として描き起こしたということと、丸の内駅舎については形態保全を図るという趣旨がわかるという意味で、上から見た図面ということでこのように描いております。

【村松委員】 それが、例えば丸の内駅舎の形態保存を図るということなんで 112

すけれども、こういう図面だけですと、我々は前回も第1~第5案等について、階数とか高さの記入のあった図面を見てますからわかりますけれども、例えばこの丸の内駅舎の東側というか、八重洲口側の真っ白いブランクのところが単なる空き地になるのか、ここにどのぐらいの建物を建てるかぐらいはわからないといけないのじゃないかと思うのです。

それから、線路敷を通って2本ーー恐らくオーバーブリッジじゃないかと思いますけれども、これは果たして何だろうかと、素人の方は当然疑問を持たれるのではないかと思いますが、そのあたりについて。これはオーバーブリッジで結ぶということですか。

【国土庁】 2本の細いものはオーバーブリッジというイメージです。

丸の内駅舎の後ろの白いところは、ここではツインタワーをイメージして描いております。

【村松委員】 ツインタワーで、腰の部分にはある程度の高さのものが赤煉瓦に接して建つということなんですね。

【国土庁】 はい。

【八十島委員長】 今の御質問にちょっと追加させてもらうと、赤煉瓦の後ろの部分というのはどんな高さのものですか。例えば赤煉瓦の屋根はそのまま残るような格好の高さなのか、赤煉瓦の屋根からさらに上に出るような建物なのか、その辺はどういうことになってますか。

【柳沢委員】 それは、私のほうからお答えいたします。

この図面は、実は建設省のほうで描いてもらったのですが、私どもも内部的にはこれではまだ問題があるということで、きょうこの図面を出すことについては、私どもとしては基本的に余り賛成してないという前提なのです。

今の御質問につきましては、この図の持っている意味合いが、今、先生方がいろいろ御質問されたようなレベルのことは漠然と表現しないということにで

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きるだけ努めるということで、前のほうの概念図レベルではこういう考え方はいいとして、それを強引に1つの形としてーー一般には、この概念図では全くイメージすら湧きませんから、そのイメージを一応持っていただくという程度の意味合いです。先ほどのオーバーブリッジについては、概念図では八重洲と丸の内を人の動線でかなり強く結ぶということを示しておりますから、それを仮に物理的にあらわせば、こんなオーバーブリッジもあり得るかという程度の意味です。

それから、赤煉瓦との関係につきましては、まさに今後の設計の工夫のレベルの話というので、ここでは、いつもなら後ろに何かあり得るという程度の意味で描いたと、そういうことでございます。

【八十島委員長】 ちょっと1つ……。

どうも話が細かくなるのだけれども、赤煉瓦の東側に白地がたくさんあるということは、線路の上にあるということですよね。

【柳沢委員】 そうです。

【八十島委員長】 線路の上というのは、仮に3階建てになっても、自動的に赤煉瓦の屋根より上に何らかの建築物を建てるということは、この絵から読み取れるような寸法かなという気もするのですが……。

【柳沢委員】 いや、これはデッキ的な非常に低い建築物もあり得る。高くするのであれば、それなりのことを相当考えてやる必要があるということは、前に文章で書いてあるわけですが、ここではそういうことについて余り具体的な示唆を与えないような図にしたいということです。

【井上委員】 私、遅刻いたしまして申しわけございませんでした。

きょう、これを取りまとめて、近く御発表になるということを伺っておりますが、御発表になるときには新聞が相手でございますから、今、先生がおっしゃったような何か具体的な1つのイメージをつくるか、あるいは概念的に東京

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駅旧駅舎を残して、こうして云々という文言だけにするか、そういうことが作戦としては非常に重要じゃないかという感じがいたします。

特に今話題になっております2つの図面は、ほとんど同じでございますが、現在の大丸百貨店のあの建物を入れて考えるのか、そうでないのか、21世紀までにあれが残るだろうかということを考えると、ここで2枚、これを出すよりも、1つに絞って、こういうような形のものになるという具体的なものが1枚欲しいように思うのですけれども、これが無理なことであれば、むしろ文言で勝負するということのほうがはっきりするのではないかというふうに私は思います。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

【日笠委員】 関連でございます。

私も、今、井上先生がおっしゃったように2枚は要らないのではないかと思うのです。どっちがいいかということなんてすが、最初の絵のほうがいいかなと思うのですけれども、何かこういうイメージがはっきりするような図面があったほうがいいと思います。1枚でいい。

ただし、今いろいろ御質問があったように、この図面の受け取られ方がかなり多様になると思うので、今御説明があったようにこれが本当のイメージ図であるとすれが、こういう意味の図だということをどこかに書いていただいたほうがいいのじゃないかという気がするのですが……。

もう1つ、容積なんですが、140haですか、これはこの前のA、B、C案でいくとどれに近いのですか。それから、容積率あたりはどのぐらいになるのですか、それをちょっと教えていただきたいと思います。

【柳沢委員】前回のA、B、Cのどれに該当するか、後で御説明しますが、ここでは一応140haという数字をお出しした粗っぼい考え方をざっと御説明いたします。

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今までは交通の容量からどの程度利用されるかというアプローチをいろいろレてきましたが、それは結局、具体的な数字を決め切るまでにはなかなかそれによって詰められない性質もありますので、ここでは若干その手順を変えまして、かなり初期にはその作業もやったわけですが、現在のこの25haの区域のうち、道路とか、明らかに線路敷で長期的に残るところとか、そういうものを除いた、建築敷地になり得る、あるいは現実に建築敷地である場所を選び出しまして、それに現在の容積率ーーこれは法律上、都市計画で決まっている容積率ですので、開発する立場から言えば当然の前提ということになりますから、それを掛けた値を出してみました。そうしますと、容積率には駐車場が一部カウント外ということになっておりますので、それを附置義務の駐車場程度を見込むとしますと、現在の敷地に対して120ha程度が建築できます。若干線路敷上空での取り扱いのフレキシブルなところがございますが、これまでの一連のJRのお立場から、どこまで使うかということも含めて考えますと、大体そんな数字になります。

それに対して、東京都、私どものほうからも通達という形で出しておりますが、特定街区という制度がございまして、これはその街区の環境改善に相当な努力をすれば、容積率のアップを認めるという制度でございまして、ここではまず全体を一体的に考えるということは、それ自体相当な評価を受けることではありますが、そのほかに駅広を整備するとか、あるいは赤煉瓦を残す努力をするとか、もろもろそういう努力がここでは見込まれますので、そういうことを考えますと、現在の東京都のーー森さんがいらっしゃいますが、東京都の基準でいきましてもマクシマム200%アップまでは手が届く。それを加味すると駐車場込みで140haまでは制度上、十分に射程に入るかなと思います。

逆に、それをした場合、周辺の交通の条件あるいは下水道の問題等が非常に問題になるかどうかということが問題ですが、下水道については、これまでか

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なり詳しいデータをもらいましたが、特に交通については非常に粗っぼい作業しかしておりませんけれども、そうひどいことにはならないであろうという大体の感触が得られたという段階でございます。ただ、それは相当粗過ぎますから、本文のほうにも書いてありますように、今後精査をする必要かおるということで、そこのところは今後少し修正かおるという含みを残してあるーーこんな感じでございます。

【日笠委員】 どうもありがとうございました。

建築敷地とおっしゃいましたが、除外した部分を除いた建築敷地に当たるところはどのぐらい面積かおりますか。

【柳沢委員】 大体12haです。

【八十島委員長】 ほかに……。

【細谷委員】 この最後のイメージ図でございますけれども、JRの立場からしますと、本文にも出てまいりますが、現在の駅舎の施設機能が十分働いてないわけでして、それに対して本文のほうも最後のところは、駅舎機能の整備という点が余り表現されてませんので、こういうイメージ図だけで見ますと、何か現状の駅舎機能をそのまま残すような受け取り方になると、我々としても将来、お客さんに対する動線の確保、あるいは利用者の利便を考えていくと、若干そのあたりのニュアンスがにじめ出てないのではないかということが第1点てございます。

それから、駅舎保存問題で、どういう形で再開発とバランスをとるかという課題からしますと、私どもとしまして、例えば駅前広場等の整備も含めまして1つの意見として申し上げましたように、駅前広場等の重層化等を進める中でいろんな開発も計画していきたいということで、南口のほうは最初のイメージ図ではそういう形になっているわけですけれども、北口のほうにつきましても同じような形で整理することのほうが望ましいのではないかと考えております

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が、そのあたりがちょっとこのイメージ図からは出てないのではないかということでございます。

第3点目としまして、オーバーブリッジのことでございますが、こうして2本描かれますと、我々もどういう形のお客さんの動線を考えて、駅舎機能を今後考えていったらいいか、今勉強中でございまして、2本の皆を引くということは、この絵を見た方に対してかえって先入観を与えるのではないかということで、強い動線機能というような形のイメージ図のほうがいいのではないかという気がいたします。

【八十島委員長】 ありがとうございました。

主にイメージ図に関してですが、今の点についてコメント、いかがでしょうか。

【内田委員】 関連。

我々の常識から言いますと、1図は、八重洲側の駅前広場に建物が建つわけですか。

【八十島委員長】 そうでしょうね。

【内田委員】 今の都市計画上から言って、駅前広場に建物を建てるということが、そんなに簡単にできるのでしょうか、その辺がどうも疑問なんですけれどもね。

【八十島委員長】 じゃ、先に今の質問に答えていただきます。

【柳沢委員】 今御指摘の問題もあり、この図はもうちょっと工夫したぼうがいいのじゃないかということなんですが……。

【内田委員】 これができると、今、JRからおっしゃったように北側も建物が建てられるのではないかと思うのですが、どうですか。

【柳沢委員】 今の制度では、これは道路ですので、道路上空の……

【内田委員】 だから、道路ですから、この八重洲口側の建物というのは、こ

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んなものが建てられるのかなという感じがするわけです。だから、こんなものを出した場合、今の常識から言うと、ちょっとおかしいのじゃないかという気がするわけです。そういうことは、大いに制度を変えるのだということが前提であれば、これはまた我々としても「そうですか」ということになるわけですけれども、その辺はどうですか。

【柳沢委員】 おっしゃるとおりで、これは法改正がないとできない絵ですから、そういう意味ではこの絵はもう一工夫する必要があるということは多分にございます。

【運輸省】 先はどの細谷委員と内田委員の御質問に対して、ちょっと補足説明させていただきたいと思います。

このイメージ図をまとめます際に、1つは丸の内駅舎のところの描きぶりで大分議論がございまして、特に丸の内駅舎部分は、コンコースが地下にしか取れてないという問題がございます。それから、線路を重層化した場合に、今の丸の内駅舎からどうやって上に上がっていくかという問題がありまして、かなり短い時間でまとめましたので、何かわけのわからない白いブランクになっておりますけれども、実際にはここはまだ高さは詰め切っておりませんけれども、線路を重層化すれば、いずれにしても何らかの屋根がかかる。そこに駅舎の中からエスカレーターなりエレベーターで上がっていくという施設が必要だろうということで、この辺、もう少し詰める必要があろうかと思います。

それから、オーバーブリッジにつきましても、この寸法でいけばちょっと狭過ぎますので、部長も御指摘のように少し工夫が要るのかなというふうに考えております。

駅前広場の上空利用につきましては、法解釈上、2つのポイントがございまして、1つは都市計画決定されてない広場につきましてはちょっと除外したいと思いますが、都市計画決定されております広場のうちでも、道路認定をされ

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ている部分と道路認定されてない部分がございます。道路認定されている部分につきましては、道路法の制約がかかってまいりますので、基本的には現在の法制度上では建物は建たないという理解をしております。

八重洲口広場の場合には、道路認定をされておりますのは外堀通りの部分でございまして、その内側については基本的には道路法の制約は受けないという法解釈をいたしております。

もう1つ、都市計画法上の制約がございまして、都市計画施設に何らかの手を加える場合には、都市計画決定権者の承認が要ることになっておりまして、ここのビルの絵を描いております部分につきましては、その承認事項になっておるということで、基本的には承認が得られれば、現在の法制度上でも可能でございます。

無条件に承認される建物としましては、たしか2階建てぐらいの建物で、駅前広場の機能を阻害しないものについては、例えばキョスクの売店とかレンターカーの事務所とか、ああいったものなら……

【内田委員】 公共のデッキなら今まででもあるけれども……。

【運輸省】 基本的には広場の機能を阻害しないかどうかというところで、駅広の重層化といったようなものも含めて今後進める必要かおるのかなということで、現在、関係者で勉強を重ねているところでございます。

【柳沢委員】 ちょっと補足をさせていただきます。

今、運輸省の方が説明されたので間違いではございませんが、都市計画決定された道路の上空の取り扱いというのは、基本的にはいずれ公共施設に組み入れられる候補地ですから、こういう本格的な建築物は、通常、許可を受けられる性質のものという取り扱いにはなりませんので、今の制度ではわりとやさしくできるようなニュアンスですが、これは内部の問題ですから、そう簡単ではありません。内田先生がおっしゃったように、かなり議論を要する性質のもの

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でございます。

【島崎委員】 今と同じ件でございますが、基準法の関係もございまして、基準法のほうでも公共施設の上の空間での建築は基本的に禁止となっております。これは公共空問の確保という、両様でまちをつくっていくという観点でございまして、非常に重要な問題だと思います。

【内田委員】 駅前広場の容積率を移転をする分はいいのでしょう。

【島崎委員】 駅前広場の広場自信の上にてすね。

【内田委員】 いや、上じゃなくて、それをよそへ移転レて建てるというのは

【島崎委員】 敷地かどうかの問題がございます。

【内田委員】 駅前広場の空間の分をよそへ移転して積み上げるということはできないのですか。

【島崎委員】 それは、その分は敷地としては除かれると思います。

それから、今おっしゃいますように敷地の取り方の問題が、鉄道敷地の部分についてどうとるかということ自身も、容積率との関係で非常に大きな話になってくると思います。

【内田委員】 私は、この絵そのものは非常にいいアイディアだと思うのですけれども、今までの法律と大分違った、非常にかけ離れたような感じがするので御質問したわけで、そういう意味では、今どなたかおっしゃったように概念図でお示しになることがいいので、ここは余り具体的にやっちゃうと、いろいろと問題かおるような気がいたしますね。

【八十島委員長】 さっきのJRからの御意見に対するコメントが後先になっちゃったのですが、いかがでしょうか。

【国土庁】 まず駅舎の形態保全に関連して、いろいろにじみ出てこないということなんてすが、そういう細かいところについては必ずしも詰め切ってない

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という現状でございますので、今後、表現にに工夫したいというように考えております。

それと、八重洲北口広場の重層化につきましてもいろいろ議論がございますので、調整を図っていきたいというふうに考えております。

オーバーブリッジについては、これはいかにも細いので、一本太いものを入れるとか、いろいろ表現の工夫をしていかなければならないと思っております。

【八十島委員長】そんあことでよろしいか。ほかには・・・・

【日笠委員】 関連ですか、こういう図面の引き方によってかかなりイメージが違ってくると思うのです。区域については、イメージ図ということでいいのですが、周りが全部かなりリアルに描いてあるので、たとええば東京都庁をちゃんと置くとか、丸ビルも建てようといっているらしいのですが、そういうところを少しぼかして表現できないかと思うのです。

それから、鉄道の線路敷も変わる可能性があるでしょう。そういうところもボカして描けないかという気がするのですが、そういう工夫はできるのかどうか。できれげいいと思うのですが、余りリアルに受け取られると誤解を招くような気もするのですけれども、いかがですか。

【柳沢委員】 どこまでできるかわかりませんが、今のようなご指摘のようにこのイメージ図自体も概念図に近いと言えるようなものにするよう努力してみたいと思います。

【八十島委員長】 先ほどから本文のほうよりもイメージ図に焦点が絞られてしまっているのですが、これはこれなりに国土庁が理由を考えてつけられたと思うのですが、今のようないろいろご意見について、何もないとわからないと言われる心配があるでしょうし、そうかと言って、細かく描くと、いろいろ意見と疑問が出てくるので、何か中間的なーーイメージ図というべきか、概念図

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というべきか、わからないような言き方というのけどうでしょうか。

【井上委員】「呉越同舟」という言葉がございますが、内田委員と私とは、どっちが呉で、どっちが越か分かりませんけれども、(笑声)内田委員を呉とすれば、昔は越だったわけです。わたしは昔は越で、今は呉になっている。ということは、内田委員は身に沁みて道路管理者の権力を知っておられる。私は身にしみて国鉄のいやらしさを知っている。(笑声)それが前の大丸百貨店、鉄道会館、これに対して恨み骨髄、そのために前のヤンマービルのところを下げ、そレてそれからおもむろに大丸百貨店が上に上がっていったといいういきさつがあるわけでございます。

にもかかわらす、21世紀のこの地区の考え方を考えるとするならば、私は先ほど申しましたように文言でそこら辺の仮定を設けまして、そしてこの上空を利用するということは私はいいことだとーー建設省の方がたくさんいますから、いよいよあいつはだめになったと思われるかもしれませんが、(笑声)そういうことをうたった上で、市民にわかるような図面がひとつ欲しいような気がするのです。これを今日納めるとするならば、あるいは無理かもしれませんが、無理だとするならば東京駅についてはこうする、今の様式にっいてはこうである、何はこうである、という文言で勝負する。そういう見取図的なものは新開にやたらと出ておりますから、それを見て、ああ、そうか、そうすると、いよいよ道路管理者は負けたかというようなふうにはおとりにならないと私は思うのです。

だけどーー森委員が今顔を上げられよしたが、「こいつめ」というつもりで顔を上げられたに違いない。(笑声)それも気をつけなければいけないということは、私は文言で勝負する以外にないのではないかと思うのです。そして、理解は、やはり図面が欲しいなと思う。これは多少無理な御注文でございますが、私はそういう感じがいたします。

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ちょっと一言。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

[鶴井委員] 委員長、ちょっと。

【八十島委員長】 はい、どうぞ。

【鶴井委員】 この2枚の図面は、ちょっと未調整のまま国土庁のほうから出させていただきまして、国土庁としては取りまとめをさせていただいております立場で、何かイメージ図は必要だなというふうに思っているわけでございます。

そんなことで、先生方に一応我々が考えております絵を見ていただいて、いろいろ御意見をいただいて、まとめさせていただきたいというふうに考えております。2枚ということではなくて、1枚にまとめさせていただきたいと思っております。

今、井上先生からお話がございましたが、実は文言では、9ページの「交通広場の整備」のところに考え方が書いてございます。

ちょっと読ませていただきますと、「特に八重洲口広場については、現在の広場が実質的に機能している面積は狭く……(中略)……地区区の再開発に合わせて改善を図る必要かおる。具体的な改善方法については、広場の立体的な利用も含め、そのおり方について早急に検討を行うものとする」ということで、考え方自体は一応書いてございます。

これをうまく絵にあらわせるかどうかということなんてございますけれども、それは皆で議論して工夫させていただきたいと思っております。

【井上委員】 どうも……。私もそれに賛成です。呉越が余りにもいろいろと議論があったむのですから、ちょっと申し上げただけです。

【八十島委員長】 今のに関連して、イメージ図の1枚目の八重洲口広場に当たるところにパッテンのついている四角かおるけれども、これは高層ビルをあ

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らわしているわけですか。

【酒井委員】 そうです。高層ビルです。

この絵では線路敷のほうは、ちょっと影を落とさないでおいてあるのですけれども……。

[八十島委員長] それから、これはJRの方に伺うのがいいかもしれないけれども、高架線の重層化という将来への可能性はどうでしょうか。現実には非常に難しい問題もあると思うけれども、こういう絵が出たときに、やるとしたらどっちなんですか。初めの1番線、2番線、3番線はもうやらないでおいてあと東海道線あたりでやろうということが絵から読み取れるのですが……。

【JR】 現在、1番、2番、3番は盛土構造になってまして、盛土の部分を将来高架にかえていくときに、このツインタワーのビルと直接当たらないところへ重層化のホームを持ってこれればいいのですけれども、ただそれを余りに八重洲のほうに近づければ近づけるほど、アプローチ部分が非常に難しくなってくるという問題がございまして、現在、3番ホーム、4番ホームの上あたりに持ってくるか、あるいはもう少し長期的に見て、4番、5番のほうへ寄せていくか、その辺についていろいろ検討しているところです。

【八十島委員長】 つまりホームがたくさん並んでいる真ん冲あたりに可能性があるというわけですか。

【JR】 はい。

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

もう1つ、このイメージ図で伺いたいのですが、北のほうの鉄鋼ビルも、この絵で見ると、一緒に加わってもらって超高層を建てましょうと。南のほうも国労会館などと一緒にまとまって超高層を建てましょうと、そういうふうに読めるわけですね。そのときにアクセスの道路はつけなくても大丈夫だという解釈だと見ていいでしょうか。つまり外堀通りとかなんとかがあればいいので、

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この中に1本道路をつけるとか、そんな必要はまずないという見方わけですか。

【JR】 はい。

[八十島委員長] ほかにいかがでしょうか。

【森委員】 8ページの開発規模のところですが、この開発規摸の算定は、先ほど鶴井さんなり柳沢さんから御説明がありまして、それはそれでいいわけでございますけれども、ここで最初の2行ほどー--「東京における将来の事務所床需要がなお相当見込まれること、特に丸の内地区におけるニーズの大きいことに対応していく必要がある」というふうにございますけれども、確かに今回の調査そのものが金丸懇を受けて、そういういろんな情勢の中で開発をしていくということはわかるわけですが、開発規模そのものは、そういうことではなくて、この置かれている位置の状況ですとか、いろんなものから判断をして、140haという数字が出てきているわけですね。そういう意味では、あえてここでもう1回そういうことをはっきり書く必要はないのではないかという感じがするわけですけれども、いかがでしょうか。

【八十島委員長】 どうでしょうか。じゃ、こういうふうに修正するといいという案がおありだったら、出していただくといいと思いますが……。

【森委員】 開発規模そのものですので、例えば「東京における……」という個所から「必要がある」までは切っても、意味は十分遥じると思うのです。

【鶴井委員】 東京駅周辺に相当のビルをつくるということになりますと、その意味合いというものを問われると思うのです。そのことは、この間、委員長からも御指摘がございましたので、私どもとしては一応ここには、そういう必要があるのだけれども、それはただ「ますますベース」じゃなくて、いろいろな制約条件のもとでこういうふうに規模を想定するというストーリーにしたかったのです。

【八十島委員長】 どうですか。

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【森委員】 先ほど申し上げたように意味はわかります。そういうこともあるわけですけれども、それは「開発規模」というような言い方をしていて、しかもこの東京駅の物理的な位置づけとか、いろんなことから、再開発の必要な地区として整備をされて、結果として開発規模はこの程度になりましたよという話ですから、直接同意を受けなくても十分表現できるのではないかと思いますすが……

【八十島委員長】 どうでしょうね。やっぱりこのくらいは書いておきたいですね。

【鶴井委員】 そうですね。

【八十島委員長】 先はどの御発言は、こう書いておくと、あの辺にどんどん建たせるべきだというふうにも読めちゃうということかなという気もしたのですけれども、どうでしょうか、これはこれでいいですか。

【井上委員】 そこは決心になるわけですね。

【八十島委員長】 関連して御意見ありませんか。

【宮崎委員】 この表現は、なかなかややこしい表現をしてあることからもおわかりいただけますように私自身、運輸省の清算事業団のほうとかかわりのほうでございますが、JRも含めまして、いねば地権者と申しますか、そういった立場で、できるだけ有効活用していきたいという話と、それから先ほど御指摘のあった金丸懇でのそういう風向きというふうなことでマッチして、こういった委員会で相互に協力しながら、いいまちづくりをしていこうということで発足しているわけでございます。

ただ、ここで今、森さんの御指摘のようなことで、前半の2行を落としますと、制約条件だけのことからやってきたようなーーそれは前半の趣旨でわかるじゃないかということもあるかと思いますが、ここのところは、地権者側の1つの期待と申しますか、要望というものも込められておるというような観点か

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ら、できれば残しておいていただきたい表現であるわけでございまして、その辺を御理解いただきたいと思います。

【八十島委員長】 いかがでしょうか。

よく読んでいただけば趣旨はわかると思いますので、ひとつこの線でいくということにいたします。

ほかに、いかがでしょうか。本文について御意見を出していただくことがありましたらと思いますが……。

もうひとつ、念のために伺いますが、「形態保存」という言葉は、先はども説明があったようですが、ある時期に委員会と懇談会で保存の種類を並べていただきましたね。あのときに、形態保存のほかに、イメージ保存とかなんとかということかおりましたが、、「形態保存」というのは、この形そのものを残すのだと。それから、ファサードという案もありましたが、ファサードとこれとはどういう関係にあるのですか。

【鶴井委員】 イメージ保存というのは、例えば新しい建物の中に東京駅のモティーフみたいなものを残すとか、そういう意味ではないかと思うのです。

【八十島委員長】 今ここで言わんとしていることは、それよりも現在の東京駅を残すということわけですか。

【鶴井委員】 少なくとも外観は残すということです。

【八十島委員長】 ただ、中身は当然近代化するし、後ろの全く見えないところは……

【鶴井委員】 一部つながったりするようなことはしていただきたいというとでございます。

【柳沢委員】 ちょっと補足しますが、最初「ファサード保存」という言葉で

ずっと来たのですが、先生方からいろいろ御指摘かおりまして、「ファサード」というと、正面の壁一枚を残すというようなケースも含み得るというので、そ

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の立体的な外形全体を基本的には残すという表現を少し工夫する必要があるのではないかというので、「形態保存」という言葉になってきたというふうに思うのです。

【村松委員】 今、「形態」とか「ファサード」と、いろいろ御意見が出ているようですけれども、確かにイメージというのではちょっと弱過ぎる。それから「ファサード」というと、柳沢さんが言われたように、正面だけの面的なものになりますね。 ただ、委員長が御心配になっておられたのは、前の懇談会かなんかで、「全体保存」というような言葉が使われていて、これはちょっと問題でばないかと私が意見を申し上げたことがありますが、今回の場合、我々がイメージしている保存の手法としたら、「形態保全」というのが一番適切な用語だと私は思います。

【八十島委員長】 そのときは正面だけのファサードというのは入らないのですか。

【村松委員】 もちろんファサードよりもっと優位な保全方法ですね。

【八十島委員長】 しかし、「全体保存」とは違うというわけですね。

【村松委員】 「全体」といいますと、うっかりすると内部まで保存するというように誤解されますから、この場合、「形態」というとあくまでも「外形」というような意味で、今ここで考えているのには一番ふさわしい用語だろうと思います。

【八十島委員長】。ありがとうございます。

【沢田委員】 前回の懇談会のときのお話を踏まえて、私ども、実は東京駅がどうなるかということで若干心配をしましたところ、建物を引き出すという議論がございましたけれども、果たして建物自体を引き出すことが可能かどうか、これは技術的に検討しなければいけないという問題がございます。

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もう1つは、現状の位置では、先ほどお話がありましたようにホームの重層化をした場合、北側にエスカレーター等の設備を行うとすると、少なくとも裏の壁は多少いじらざるを得ないというようなこともありまして、前回の懇談会では、「形態保存」という言葉がいいのか、あるいは「形態を尊重した保存」とか、何かそんな表現がいいのか、どちらがいいのかというような感じを実は持っております。

【八十島委員長】 ありがとうございました。

「形態保存」でも、今言われた趣旨が、さっきの村松先生のお話なら入っていると。裏の壁は、ということかおりますが……。

ほかにいかがでしょうか。

【日笠委員】 今の(ロ)のところの文章に「その上空の容積率」というのがありますが、これは今の赤煉瓦の上空なのか、後ろに建つ建物を低くして、その上空の容積率を持っていくというのか、ちょっとはっきりしない点があるような気がするのですが、どっちですか。

【鶴井委員】 赤煉瓦のほうです。

【日笠委員】 赤煉瓦のほうだったら、前のほうもかかるんじゃないでしょうかね。「駅舎の形態保全を十分配慮しながら、新たな建物を建築する方法……」この場合も、赤煉瓦の上空の容積率だったら、これも当然後ろの建物に乗

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つけてもいいし、ほかへ持って行ってもいいわけですね。両方に絡んで、対立してないような気がするのですが……。

【鶴井委員】 前半と後牛の違いは、敷地をどうカウントするかということなんですけれども、前半の、駅舎の背後に駅舎の新たな建物を建築する方法というのは、煉瓦造を保存するなら、その敷地の中での移転という感じでございまして、後半のほうはむしろ他の敷地に移転する、要するに飛ぶという概念ですね。単に同じ敷地の中で煉瓦造の後ろに物をつくるんじゃなくて、その煉瓦造

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の上の容積率を、例えば八重洲川とか反対側に移転するというふうな、飛ぶというイメージで書いていますので、すこしそれを分けて書いたほうがわかりやすいのではないだろうかというので、ここで2つかいておるということになります。

【日笠委員】 前のほうは、敷地の中で使うということですか。

【鶴井委員】 そうです。

【日笠委員】 それから「容積率の移転」というのは、要するに赤煉瓦の上空の容積率がどうなるかということですが、敷地内で使うか、外に持っていくかということですね。

【国土庁】 基本的には同じだ思いますけれども……。

【日笠委員】 そういうようにとれればいいと思うのですけれどもね。

【八十島委員長】 そういう理解でひとつこの文章は読白ということにしましょう。

【井上委員】 8ページの一番最後の行ですが、「建築する方法、あるいはその上空……」というように、[、]だけてなく、ひとつ間をあければ、これは誰が読んでも2つの考え方だということがわかるんじゃないでしょうか。

【八十島委員長】 どうですか。

【国土庁】 はい。

[八十島委員長] じゃ、よろしいてすか、「あるいは]を入れると……

【井上委員】 Γその上空]というのを、ちょっとくどいですけれども「駅舎の上空」としていただけばよくわかりますね。

【八十島委員長】 [あるいは駅舎の上空」ですか。

【井上委員】 はい。

【八十島委員長】 そうすると、「あるいは」は要らないですか。

【運輸愉省】 文章表現については任せていただいて……。

【八十島委員長】 そうですね。

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ほかに、いかがてしょうか。

そうしますと、ちょっと細かい修正は残りましたが、大体この報告はお認めいただいたとして、問題はイメージ図なんですが、これは幹事団でやっていただければいちばんいいと思いますが、タイミング的にどうなんですか。(「できるだけ早く・・・」と発言する人あり)

それでは、イメージ図は、なにかつけないと分かりにくいということと、つけたために誤解されないようにという難しい条件を満たすようなイメージ図を、また皆さんで考えていただくことにします。

それについて、委員の先生方で何かちゅうもんすることがおありでしたら・・・。

【内田委員】 誤解をまねくのはやっぱりりよくないてすね。

【井上委員】 そうですね。ほかはいいけど、八重洲口のところだけは、。

【八十島委員長】 その辺をひとつ……。

それから、いろんな説明、注記のたぐいもいくらか必要なものは入れてもいいですよね。現在図の注記は入っているけれども、今度の構想についての注記はまだ入っていないわけですね。

ほかに何かございませんか。

【村松委員】 最後に1つ。

この「報告書」は、これからどういう扱いになるのでしょうか。この「報告書」でどういう結果が出るかということが、かなり注目されている向きもございますので、ちょっと今後の計画を教えてください。

【広井委員】 東京駅の周辺の再開発につきまして、こういう勉強会といいますか、調査委員会を設けて調査しているということと、これは62年度の認査でございますので、年度末ごろに調査がまとまるのではないかということは、国鉄関係の人を初め、たくさんの人が承知しておりまして、そういう意味で注目

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されておつますので、きょうは先生方にこれをおまとめいただいたわけでございますが、これから残っている問題もございますので、それを調整させていただいて、これを公表するまでに事務的にしなければならないこともいくつかございます。いずれ公表することになると思いますが、その時期につきましては、関係省庁とこれから相談して決めさせていただきたいと思っております。

【八十島委員長】 今のご質問に関連してですが、発表されるときは、この報告書そのものが出るわけですか。

【鶴井委員】 汐留の『報告書」もこのぐらいのもので発表させていただいて折りますので、だいたいこのままでよろしいかというふうに考えておりますが……。

【八十島委員長】 いかがでしょうか、何か関連して……。

それじゃご発言も出尽くしたかと思いますので、そうしますとイメージ図はこれから少し煮詰めますというお話でしたし、それから8ページの若干の字句修正がございましたが、それらをやっていただくということで、この報告はお認めいただくとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【八十島委員長】 どうもありがとうございました。

大変な難問を、しかも今度は非常に時間が短かかったのですが、よく御協力いただき御審議くださいまして、どうもありがとうございました。

【八十島委員長】 「その他」の項目がありますが、何かございますか。

【鶴井委員】 きょうは「東京駅周辺地区再開発調査報告」についてお取りま

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とめいただいたわけでございますが、非常に短い時間に、懇談会が4圃、委員会が5回ということで、通常でしたら委員会が2回とか3回のものでございますけれども、非常に難しい重要な問題だということで、先生方には大変短い間に何回も懇談会を開いていただきご苦労をおかけいたしましてまことに恐縮に存じておりますが、残っておりますようなことにつきましては、また引き続き検討していきたいというふうに考えております。

きょう残りました問題につきましては、私どものほうで鋭意まとめまして、委員長にまた御目通しいただいて、そういうことでご了解いただきたいと存じております。

本当にご苦労をおかけして恐縮でございます。

本当にありがとうございました。

閉会

【八十島委員長】それでは、きょうに委員会は最終の委員会ですが、これで終了いたします。どうも大変御協力ありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。

-了-

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注:この議事録は当該委員会の事務局である(財)国土計画協会で作成した。コンサルタントのRIAが所蔵している議事録を、当時に作業担当した伊達がコピーしてここに載せた。今後の都市史研究の資料とするためである。(伊達美徳)