やっと現れたわたしと同じ意見の東京駅復元反対論(2003)

やっと現れたわたしと同じ意見の東京駅復元反対論

(2003)

伊達美徳

ついに一般ジャーナリズムに登場しました、うれしいな。

なにがっ、て、東京駅赤レンガ駅舎復元反対の意見ですよ。

雑誌「ラピタ」(おとなの少年誌LAPITA2003年8月号)61ページに、「赤レンガ駅舎ドーム復元に思う 文・種村直樹」と題したSPECIAL ESSAYが載っている。

重要なところだけを引用すると、諸外国の駅舎保全を紹介した後に次のようにある。

『東京駅赤レンガ駅舎も、日本国民に愛着のもたれる記念碑的建造物で、丸の内地区の都市景観を構成するランドマークとして調査委員会で評価され、保存の方向が決まったのは嬉しい。

JR東日本は、「旧新橋停車場」を復元した(財)東日本鉄道文化財団にゆだね、1914(大正3)年開業時のドーム屋根3階建て駅舎に復元すると表明している。

ドーム復元派が多数意見のようだが、僕としては今の角屋根2階建てを補強して保存した方がよいと考える。赤レンガ駅舎が戦災に耐え、戦後の物資不足の中で仮復旧した貴重な証ではないか。しかも、もう角屋根駅舎に慣れ親しんだ人のほうがはるかに多くなっている。

ドームに復元せねばならないなら、スケールを小さくしてでもよいから、今の姿の模型を作って新駅内に展示しよう』

レイルウェイ・ライターなる肩書きで有名な種村さんは、基本的にはわたしの言ってきたことを、要約しておっしゃっていただいたようである。

最後のところで遠慮していらっしゃるのが残念だが、わたしに言わせればその逆で、昔の模型を作っておいて置けばよろしいのである。

ところで旧新橋停車場は、周りの超高層ビル群に踏みつけられたごとくに復元されている。以前から昔の駅舎の写真を見知っていて、こちらについては復元に期待していたのだ。

しかし、現実にできあがった復元建物が、どうも今ひとつピンとこないのは、その建物自体の形態ではなく、周辺との関係による景観の不自然さ、アンバランスである。せっかくの2階建て復元駅舎は、巨大ビル群に踏んづけられて、かわいそうなのである。

東京駅赤レンガ駅舎の数百億といわれる復元資金は、駅舎が許された開発容積率のうちでまだ使い切っていない分を、まわりの土地開発業者に売って確保するのだそうだ。それを買い取った周りの開発事業者は、自分の持分の容積率分にそれを足して巨大ビルをつくって、復元赤レンガ駅舎を踏んづけることだろう。

もしも、私の論をどこかのだれかが聞いてくれて、復元しないことになったとしても、多分、JRさんは容積率移転は行うでしょうねえ、いい儲け口なんだから、、。東京駅周辺にはこれから、いったいどのような風景が現れるのだろうか。

どうでしょう、臨海副都心あたりに、東京駅の容積率を買う企業がいらっしゃると、いいのですがねえ、法的にはなんとか考えることにしてね。あっ、いっそのこと上海にでも、、なんてことはないだろうなあ。(2003/07/12)

追記:種村さんはその後、つぎのようなことをご自分のWEBLOGに書いておられる

『2005/01/23 12:02 事実を書き記しておきたい -産経新聞-談話取材について』

http://www.railwaywriter.jp/mt/archives/000041.html