滋賀県比良のしそジュースがドイツに届いた日
■しそジュースと地域の社会的組織
このしそジュースの商品名を『Hira Perilla(ひらペリラ)』という。滋賀県の湖西、比良に所在する一般社団法人『比良里山クラブ』の事業として作られたものだ。藤田さんによると『環境活動をしている仲間が作っていて、凄く美味しい上、無農薬。滋賀の良さが伝わるもので、将来比良の名物になると思う』とのこと。
比良里山クラブって何なの?と思い、ホームページを見てみると獣害と高齢化で放棄されつつある山際の農地を活性化させようという狙いで2008年から赤じそ事業着手。赤じそ栽培は鹿や猪などに荒らされることがないようだ。夏には収穫したての葉をその場でジュースにする体験ツアーなどされているらしい。
それから同クラブの活動は赤じそ事業がメインというわけでもない。2003年に<里山の保全や子どもたちの自然体験・環境学習をテーマに活動することを目的に設立され>たとのこと。<地元比良の皆さんとの交流を通じて、湖西(旧志賀町)地域に残る伝統文化や自然の資源を生かすためのさまざまな課題に取り組みながら、里山の活性化と魅力づくりに取り組んで>おり、しそジュースはそれらの活動の一環ということのようだ。
■ドイツから見た比良里山クラブ
ホームページで見た限り、このクラブ、ドイツの感覚でいえば、郷土保護・スポーツ・休暇・環境・青少年のNPOが一緒になったような印象を受けた。NPOなどの社会的組織・活動はドイツの場合、歴史もすでに100年以上あり、範囲も広い。経済・行政・政治などとの協力関係もあり、様々なインフラもすでに整っている。そしてこれによって地域の人々の『信頼の網目』のようなものもできている。
蛇足ながら最近報じられる地域発電なども、こういった社会的動きのひとつであることが多い。日本でも20年ほど前から社会的セクターについての議論が活発になってきてたが、比良里山クラブの存在は『強い社会』をつくる継続的活動の一例を垣間見た気分だった。
また、昨今の日本での議論でいえば、里山クラブのしそ事業は里山資本主義として位置づけることができるだろう。里山資本主義とは資本主義社会の欠陥を補うサブシステムと位置づけ、里山にある自然環境や人間関係などを資源とみなし、活用を促進していこうという考え方だ。
日本は消費市場経済とでもいえる傾向が強い国だが、それでも、社会的な視点からの発想が求められてきた。そこで出てきたのが『里山資本主義』というわけだろう。ともあれ、里山資本主義という考え方は里山クラブの存在意義を強調してくれるし、換言すれば、里山資本主義の具体例といってもよいだろう。
■ジュース?もちろんおいしいでした
最後に、しそジュースの感想をのべておこう。ジュースは濃縮ゆえ、何かと割って飲むのがよい。とりあえず3通りの方法を試してみた。
しそソーダ
まずは炭酸水と割ってみた。ドイツのミネラルウォーターといえばガス入が主流。それでリンゴジュースなどを割ってよく飲む。そのスタイル。しその香り、なかなかがよいが、一口目は塩気をすこし感じるのが特徴だ。夏場など汗をかく季節などはちょうどよいかもしれない。
スカっと爽やか。夏向きかな?
しそ茶
次に湯で割ってみた。これも一口目は塩気が少し感じられるが、なかなか美味しい。ドイツでリンゴやオレンジ、しょうがなどのお茶がティーパックでも売られている。シナモンなどもブレンドされていて、私も仕事中飲んでいることがある。しそジュース、湯で割るとこのカテゴリーの味だ。ティーパックのようなかたちに加工しても商品になりそうだが、どうだろう。
私の仕事のおとものカップに。カップの下はキャンドルがついていて保温が効く。
ホットしそカクテル
最後はジンを加えてお湯割りに。これまた、ドイツ風の解釈でいえば、グリューワイン(ホットワイン)の感覚に近い。グリューワインはシナモンやバニラなどを赤ワインにまぜて温めて作る。クリスマスシーズンに街のクリスマス市場で飲むことが多い。ひるがえってジンもクセのある香りがあるが、しそジュースとあわせると、どういうわけか、けっこうまろやかになった気がした。今回はジンとお湯だけでわったが、グリューワインのように他の香辛料とブレンドしてみてもよいかもしれない。
グリューワイン風に。ジンとあわせると妙にまろやか。
季節柄、仕事のおともに『しそ茶』として飲むことが増えそうだ。藤田さん、ありがとうございました!(了)
・循環型社会創造研究所 えこら http://ekora.jp/
・比良里山クラブ http://hira-satoyama.net/
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