あなたの町にどのぐらいある?運動できる余暇空間丨高松平藏/在独ジャーナリスト

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あなたの町にどのぐらいある?運動できる余暇空間

夏休みに体験したジョギングメニュー

2017年8月24日

執筆者 高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)

私はドイツのスポーツクラブで柔道をしているが、夏休みの特別メニューとしてジョギングを行った。スポーツクラブはNPOのような運営形態によるもので、地域に不可欠な健康・余暇インフラという役割がある。また運動ができる空間が身近にあることも重要。都市計画の一部だ。

■夏の特別メニュー

日本でスポーツクラブというと、会員制の私企業によるフィットネスクラブなどを想像する人が多いだろう。しかしドイツの場合、NPOのような法人で各地にあり、歴史も長い。その数も9万1000を数える。各クラブは複数の競技を扱っていることも多く、私が柔道を行っているクラブもサッカーはじめ、様々な競技を扱っている。

さて、夏休みともなると、人々は休暇に出かけることも多く、柔道のトレーニングに来る人の数もぐっと減る。そんなのんびりした時期限定で、私が普段通うコースでは柔道をする前にジョギングコースをとりいれた。ある日の様子を紹介しよう。

■非体育会系のメニュー

参加者は約10名。平日19時過ぎに道場に集合。参加者は20代から60代の老若男女。道場前で軽い準備運動をして走り出した。

パートナーを組んで、かわりばんこに運ぶことも。

走り方は、いわゆる「体育会系」のように掛け声をかけながら、隊列を組むわけではなく、ばらばら。参加者は競技よりも、健康や余暇のために柔道をしている人たちだ。そのため体力の個人差も大きく、どうしても遅れる人がいる。だが途中で何度か立ち止まり、エクササイズをすることになっているため十分追いつける。メニューを組んでくれたトレーナーがそれを意図したのかどうかはわからないが、なかなかうまく作ったものである。

階段になっているところを横向きになって素早く登るエクササイズ

エクササイズの一部を紹介すると、次のようなものだ。 市内には小高い丘があるが、そこまで走るとちょっとした場所があるので、自重トレーニング。さらに走って、彫刻作品が並ぶ、「彫刻公園」でパートナーをかついで走ったり、腹筋運動。小さな公園ではブランコの上の部分に柔道帯をかけて懸垂をするといった具合だ。

ブランコに柔道帯をかけて懸垂。特にノルマはない。

■運動ができる余暇空間は都市計画の一部

都市計画の見地からいうと、ジョギングなどの運動ができる空間は、生活の質を支える一端で、町の中にどぐらいあるのかは重要だ。高齢化社会においては健康寿命を伸ばす意味でも有効だ。

自治体も「わが町の土地利用で、余暇用にこのぐらい使っている」という土地利用の統計データを明示しているケースもある。また「ドイツ自治体会議」「ドイツ都市会議」などもスポーツ組織と共同で、スポーツが地域の生活の質を高め、様々な社会的課題を進めるとし、スポーツ環境の整備強化を強調する。

エアランゲン市内の自然保護区。散歩やジョギングなどに「使える緑」だ。

エアランゲン市の場合、森が周囲を囲むかたちになっているほか、けっこうな広さの自然保護区もある。さらに紹介したジョギングのコースになった公園なども緑がたくさんある。 こういう場所は、比較的どのエリアにも点在しているため、誰もがアクセスしやすい。夕方や休日ともなると、走ったり、散歩したり、サイクリングをしている人も多い。(了)

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※引用される場合、高松平藏が執筆したことを明らかにして下さい。

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