ドイツの街はなぜ元気なんだろう?/ 2014年のインターローカル・スクール プログラム

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ドイツの街はなぜ元気なんだろう?

2014年のインターローカル・スクール プログラム

2015年1月1日

執筆者 高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)

『インターローカル・スクールプログラム』と名づけた研修プログラムをエアランゲンで実施している。2014年は秋に複数の大学の学生さんがエアランゲンにお越しになった。そのうちの1つ、東京大学の修士・博士課程の皆さんのことを書いておきたい。

■終日喋りっぱなし

参加者は7人。いずれも元気な女性たち。加えて引率の同大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻の准教授・小林真理さんも実にパワフル。一行はドイツ国内の学会などいくつかの場所を回っておられて、そのうちの1日をエアランゲンでお過ごしいただいた。そして終日喋りっぱなし。闊達なやりとりをすることになる。

今回のテーマは『エアランゲンの魅力』。午前中はエアランゲン大学の一室をお借りして集中セミナーだ。都市としての魅力は何か、その魅力が生まれるメカニズムや背景にある歴史、といった内容。皆さん、それぞれに研究テーマをお持ちなので、私の話とクロスするところがあると、鋭い質問やコメントがとびだし、そして議論になる。

午前中のセミナー終了後に記念撮影。

昼食をはさんで、午後からエアランゲン市街を中心に散策。『オープンエア・クラス』だ。都市は丹念に見ていくと、その街の歴史や価値が集積しており、実際に雰囲気やスケールを体感しながら、『これが先ほどお話したものです』と続けることができる。そしてさらに議論が発生するわけだが、これで一気に理解が進むであろうし、洞察力も高まると思う。

最後はエアランゲンの地ビールが楽しめる店で夕食。日本からはピンと来ないかもしれないが、地ビールも地域文化としての存在感がドイツでは大きい。それを肴にしながらさらに議論が進んだ。

地ビールでさらにボルテージが上がる。

■日本のローカルでの活躍につながるか

私は日本でたびたび講演の機会をいただく。まちづくりなどのテーマのほかに環境問題、スポーツなどのテーマを扱うこともあるが、同じような課題を日本でもドイツでも各地域でかかえているものである。

講演では写真をふんだんに使ってお話しするが、『どうも伝わってない』と、もどかしく感じることがある。大きな理由は、直訳できる日独同じ単語でも、実は社会的な文脈が異なったり、背景の歴史やイメージが異なったりするものがたくさんあるからだ。こういったことは記事を書くときにも悩むところでもある。

かくいう私自身もドイツの事象をどこまでどう解っているのか疑わしい。日々できるだけ理解を深め、講演や記事執筆ではできるだけ端的に表現できるように努力している。それにしても『講演のあと、実物を見てもらえるといいのになあ』と常々考えていた。これがこのプログラムを作った理由だった。そしてドイツの『ローカル』で思考を鍛え、日本の『ローカル』での活躍につながることを想定し、『インターローカル・スクール プログラム』と名づけた。

今回お越しになった皆さんも日本の地域と関わりながら実践と研究を展開されているが、エアランゲンでのプログラムが何らかのかたちで役に立てば嬉しい。(了)

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※引用される場合、高松平藏が執筆したことを明らかにして下さい。