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舞踏と幼稚園

藤條虫丸さん、ドイツ幼稚園でワークショップ


2012年05月24日



執筆者 高松平藏ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)


ダンスアーティスト・藤條虫丸(ふじえだ・むしまる)さんは、このほどドイツ公演ツアーの一環でエアランゲン市(バイエルン州)を訪問。同市内の幼稚園でワークショップを行った。その様子をお伝えする。

ほっぺに白い点
今月22日、藤條虫丸さんはエアランゲン市内にあるキンダーセンター・トミチールで子供と保護者を対象にしたワークショップを行った。同幼稚園は日本でいうところの児童保育も兼ねており、2~12才までの子供が通っている。2003年のヨーロッパツアーでも、同幼稚園でワークショップを行なっており、今回は2回目。

ワークショップは園内の芝生のある庭で行われた。白いパンツ状の衣装に上半身裸、そして頬に白い点を施した藤條さんが現れると、子供たちは好奇の目で見る。自己紹介をしたのち踊って見せ、その踊りを続けながら、おしろいの入った箱を片手に参加者の子供や保護者たちの頬に白い点をつけていく。藤條さんに喜んで顔を差し向ける子供、逃げる子供、はにかむ子供、いろいろな反応がある。
ほっぺに白い点

『はい、みんなほっぺに僕と同じ白い点をつけました。みんなこれで友達です』と藤條さん。

そのあとは子供たちを惹きつける豊富な内容を展開した。
たとえばネコ、猿、鶏、蛇などの動物になったり、あるいは色々な声を出し、自分の体を叩いて音を出してみて、その『音楽』と一緒に踊るなど、身体を使って遊ぶような内容だ。
いろんな動物になろう
声と体で音楽

小休止のあと、ある保育士から『日本のアルファベットをやってよ』とリクエスト。2003年に行ったワークショップでは『いろは歌』を吟じるように皆で発声し、それを日本のアルファベットと紹介した。この保育士の女性は いろは歌の発声がよほど楽しく、印象に残っていたようだ。藤條さんもリクエストに気軽に応じた。
子供たちと一緒に踊る藤條さん
■ドイツにおける舞踏
藤條さんは自らを『天然肉体詩人』と称している。その名のとおり、自分のまわりの環境や人、音などに触発されながら踊っていくような即興のダンスを展開することもしばしばある。そして舞踏に分類されることが多い。

舞踏は戦後、舞踊家の土方巽、大野一雄らによって、かたち作られてきた分野だ。1980年代に入って、白虎社、山海塾といった舞踏グループが世界的に活躍し、日本のオリジナルのダンス『Butoh』として知られた。剃髪に全身を真っ白に塗った姿で踊る舞踏家が多く、それが舞踏のイメージとして固定された向きもある。

現在も世界で活躍する舞踏ダンサーも多い。加えて日本人アーティストの指導を経て、活躍する『外国人舞踏ダンサー』も少なくない。またタンゴと融合させた舞踏など独自の展開を行うケースなども見られる。

ドイツでも1980年代に舞踏は広く知られ、近年ヒットした映画『HANAMI』(2008年 監督:ドリス・デリエ)では舞踏ダンサーの入月絢さんが東京にやってきたドイツ人の主人公と行動をともにする『舞踏ダンサー』の役で登場し、また作中劇で同じく舞踏ダンサーの遠藤公義さんが出演している。

それにしても最近は広くメディアに取り上げられることも少なくなり、若い世代に舞踏はあまり知られていない。今回も藤條さんのことを『舞踏ダンサー』であり『天然肉体詩人』と紹介されたが、若い保育士などにとっては未知のもので新鮮に映ったようだ。(了)
幼稚園内に貼りだされたポスターの前で

追記:後日、5月26日付けの地元紙『エアランガー・ナッハリヒテン』紙に小さな記事が載りました。
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