今年は森のクリスマス┃高松平藏・在独ジャーナリスト

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今年は森のクリスマス

エアランゲン市の広場とクリスマス市場

2012年12月22日

執筆者 高松平藏(ドイツ在住ジャーナリスト、当サイト主宰)

クリスマスシーズンのドイツの町ではクリスマス市場が開かれる。ドイツ南部のエアランゲン市(人口10万人、バイエルン州)でも市街中心地の広場では毎年開かれている。

エアランゲンのクリスマス市場

クリスマス市場は広場などでクリスマスの飾り付けが施され、屋台が並び、仮設舞台などがしつらえられるものだ。観光地としてはニュルンベルクなどがよく知られている。

11月30日から12月24日まで開かれているエアランゲン市のクリスマス市場は今年リニューアル。『森のクリスマス市場』をテーマに市場の中心には木のチップが敷かれ、木の彫刻などが置かれた。仮設舞台では連日コンサートなどが行われるほか、すぐ近くにスケートリンクが作られた。

歴史的にいえば、ドイツの町は市壁に囲まれたかたちで発達。広場はその中心にある。『市街中心地』といえばだいたい、壁に囲まれていたあたりの旧市街地をさすことが多い。また言葉尻からいえば、今も『町へ行く』といったときに、『町(壁)の中へ行く』という言い方になる。

現代のエアランゲンは壁の外へも町は広がっているが、市壁のあとは残っており、クリスマス市場が開かれている広場も市の中心地にある。

また広場は何かと人が集まりやすい。

同市の広場でもイベント会場になることも多く、クリスマス市場もそのような『使われ方』のひとつのバリエーションだ。ホットワインを飲みながら、あるいは、屋台をみてまわりながら、友達や家族と過ごすような空間だ。10万人ぐらいの町のサイズの広場だと、一人でふらりと立ち寄っても知人や友人を見つけるようなことも少なくない。

ところでこの広場、モータリゼーションだった時代には駐車場として使われていた。前市長ディートマー・ハールベーク博士は70年代後半からモータリゼーションに対する疑問から、自転車道を先駆的に整備。市街地も自動車の通行を禁じ、広場からも自動車を追い出した。その結果、市街地はのびのびと歩けるようになり、広場ではクリスマス市場も開けるようになった。(了)

1960年代の広場。自動車の駐車場になっているあたりが、クリスマス市場が開かれているところ。

24日にプレゼントを持ってくるのは「クリスマスキント」という女の子。ニュルンベルクでは2年に一度クリスマスキントに扮する女性が選ばれる。『福娘』の類のような存在でエアランゲンのクリスマス市場にもやってきた。

森がコンセプト

スケート場も設えられた

趣のあるメリーゴーラウンドが毎年やってくる。

※引用される場合、高松平藏が執筆したことを明らかにして下さい。