2025年10月1日の放送法改正の完全施行により、インターネットを通じた放送番組の安定的な提供がNHKの必須業務となった。その背景には、テレビがなくてもインターネット経由で放送番組の配信を利用する人が増えたため、これまでのNHKプラスから「NHK ONE」へサービスが統合・刷新された。この改正により、インターネット配信のみを利用する場合でも、受信契約の対象となり、受信料の支払いが必要となった。サービス名の「ONE」には、放送、ニュース、動画などの様々な情報を一つにまとめて、すべての人に届けたいという思いが込められているという。
今回の改正は、一見、時代の要請に沿った方向に向かっているように見えるが、依然として無駄な業務も認められる。その一つがテレビの深夜放送である。
2020年、運転免許証を返納し、愛車を処分した際にそれまでに購入した歴代のカーナビゲーション三台が残った。処分する前に何か用途はないかとマニュアルを眺めていたら、そのうちの2台は、ワンセグでテレビを見ることができることがわかった。パナソニックのGorilla(CN-DP530D)をベッドサイドに置いてニュースを見ていたら、そのまま寝入ってしまった。途中目覚めたら、テレビの放映は続いていた。昔は放送終了後は、砂嵐の画面になっていた記憶がある。 人間が寝ている間は電波を出す必要はないと思い、その後も何回か確かめてみたが、同様な状態であった。
カーナビの画面
AVのメニューからTVを選択
「なぜ深夜放送されているのか」を生成AI に尋ねてみた
以下はその回答例である
質問 nhkテレビ 深夜に電波を出す理由 (生成 AI は試験運用中のため、品質にむらがある可能性があります)。
NHKは、公共放送としての性格上、深夜時間帯に突発的な災害や大事件などが発生した場合への迅速な対応も兼ねて終夜放送を行っています。
また、機械が壊れる前に不調を察知できるように定期的なメンテナンスも実施しています。機器の調整作業や新しい機械への切り替え工事などは、テレビ放送を休止している深夜に行っています。
NHKは、第一次オイルショック(1973年 - 1974年)の際、節電のためテレビジョン放送の放送休止を行いました。郵政省は1973年11月20日、各テレビ局に深夜放送の自粛を要請し、各社は翌年1月期の改編(NHK:1974年1月7日、民放:1月16日)からこれに応じました。
質問 NHKにおける深夜番組
NHKは総合・教育共に基本的には深夜放送と無縁だった時代が長かった。1970年代前半までは24時までだったが、オイルショックの影響でその後1974年に23時終了に短縮。その後は総合テレビは23:15(週末だけ24:00)に放送終了、放送開始は6:00という時代が続いた。教育テレビはその後24時までの放送をすぐに再開している。総合テレビの24時までの放送延長は1984年4月まで待たねばならなかった。
例外は、台風などの接近が予想される場合や、海外でオリンピックなどのスポーツ中継がある場合、『ゆく年くる年』に代表される年越し番組が放送される場合(12月31日深夜〜1月1日未明)などである。その他、1978年に未明にサッカーワールドカップ(アルゼンチン大会)を放送した事例もある。
NHK総合テレビが深夜枠を重視する様になるその先駆けとなった番組は、1985年放送の『スタジオL』である。その後、衛星放送の開始などもあり、民放には遅れたが1990年代半ばから深夜枠の大幅拡大、さらには終夜放送に至った。NHKの場合は、公共放送としての性格上、深夜時間帯に突発的な災害や大事件などが発生した場合への迅速な対応も兼ねて終夜放送を行っている (ラジオの深夜番組である『ラジオ深夜便』もこれと同様の体制を取っている)。
NHKは,「深夜の放送の休止などは行わないのか」の問に対して、次のような回答を掲載している。
総合テレビ、BS1、BSプレミアム、ラジオ第1、FMについては、緊急災害報道等に迅速に対応するため24時間放送を実施しています。
一言で言えば、電波を止めていたら緊急の放送に間に合わないということらしい。そのために一晩中電波を出し続けているのは無駄と思うのは筆者だけだろうか。
災害時テレビを見る余裕はない
筆者は2016年の平成熊本地震を経験したが、テレビは倒れないまでも部屋の中を動き回って使い物にならない。スイッチを入れること自体、不可能である。結果的には、小さい携帯ラジオ(9X5X2センチ)が役に立った。台風などの場合も、アンテナが折れたりパラボラアンテナが風で吹き飛んだりすることがある。さらに停電になればテレビを見ることができない。最近はインターネットが普及し、避難所ではスマホを利用する手があるが、通信回線の障害があると役に立たない。そのような時に役に立つのは小さい携帯ラジオである。電池さえあればどこにいても、放送を聞くことができる。
平成熊本地震の際、どのようなテレビ放送が行われたのか現時点で知ることはできないが、 検証が必要である。強いてテレビの深夜放送の意義を探しても、被災地以外の人達が見るくらいしか見当たらない。安否を気遣っている遠方の親戚や知人は携帯電話やスマホで直接情報を得ているのが実情ではないだろうか。
結論として、ラジオが一番信頼できる情報源ということになる。このように考えてくるとテレビの深夜放送は中止して、FMあるいはAM放送に特化すれば良い。同様の考えを記述した論文の内容の一部を以下に示した。
参考資料2の見解
メディアが多様化した現在、従来のマスコミ4媒体 (新聞、雑誌、ラジオ、テレビ) だけでなくソーシャルメデ ィアなどが広く普及し、利用されている。しかし、自然災害などによってインフラやライフラインに被害が生じた場合、インターネットなどは使用不可能となることから 電波メディアの存在意義はいまなお大きいといえる。中でも音声だけのメディアであるラジオは受信機と電池があればどこでも聴くことができ、テレビが見られない状況においてもリアルタイムの情報を入手できるため「災害に強いメディア」とされている。
内閣府が行った調査でも、災害に備えて45.1%が「携帯ラジオ・懐中電灯・医薬品などを常備している」と答えており、「非常時にはラジオ」という意識は一般にも浸透しているものと考えられる。
無駄と思われる事例は、深夜放送以外にも見受けられる。4Kテレビ放送はその典型的なものである。4K放送の問題点として、制作・運用コストの増大、視聴できるコンテンツの少なさ、地上波での対応が未定、さらに視聴環境整備への負担などが挙げられている。特に民放は、広告収入の伸び悩みや制作費の高騰から、2027年の免許更新時期を目処にBS4K放送からの撤退を検討する動きが広がっている。
参考資料
深夜の放送の休止などは行わないのか(NHK)
非常時にラジオが果たす役割と日常の放送との関連性についての研究、民放ラジオ局アンケート調査をもとに、地域安全学会論文集No.38, 2021.3。著者 大牟田 智佐子、澤田 雅浩, 室﨑 益輝
追記
携帯ラジオは日頃の手入れが肝心である。電池の液漏れ、スイッチ、イヤフォン等の接点不良を防止するために時々スイッチを入れ、正常に稼働することをチェックしておくことが必要。
自動車に取り付けたテレビの受信契約は必要か(NHK)
世帯ですでに受信契約をしている場合は、自家用車に取り付けた受信機(ワンセグ機能付きのカーナビなど)について、別に契約する必要はない。
(2025.11.30)