GamessQ

wxMacMolPltとの連携

Gamess . GUI, wxMacMolPlt, 連携

1年前のブログで,非経験的分子計算プログラムGamessのGraphical User Interface( GUI) であるGamessQの利用について触れた.当時は不安定な点が見受けられ,消極的な推薦に終始したが,久しぶりに使用してみると途中でエラーがでることもなく使用できることがわかった.当時は,Mac OSを32ビットから64ビットへ変更したばかりの時期であり,再インストールなどによって修正されたものと思われる.

    今回は,GamessQのwxMacMolPltとの連携がうまく機能するかテストしてみた.結論から言うと,問題はなかった.以下は,後期高齢者用のメモである.

    GamessQを起動し,PreferencesからPATH,すなわち入力ファイルの在るフォルダとGAMESSの在るアプリケーションフォルダを指定する.計算結果は同じフォルダに書き出される.

    GamessQを起動すると以下のジョブの受付とスケジュールを管理するジョブキュー画面が現れる.左上の+マークを押し,入力ファイル選択,ジョブ投入を行う.

JOBSから ADD JOBSを選択してもよい.

入力ファイルを選択するための画面が表示される.以下はデスクトップ上のGMSフォルダに保存している入力ファイルを選択する例である.なお,入力データはAvogadroで作成しておいたものである.

ファイルを選択すると,CPU数の入力を促される.パソコンの環境によって異なるので,可能な個数を入力する..

Pendingの状態を示す画像

実行中(Running)を示す画像

処理終了(Done)を示す画像

計算結果の表示

計算終了後,Jobsから計算結果を確認する.

Jobsの内容

入力,実行,結果に分けてコマンドやショートカットが表になっている.

計算結果をテキストで確認するには View Logsを選択

計算画像を見る場合は Open in wxMacMolPltを選択,そのままHOMO等の軌道を見ることができる.


出力結果のチェック

リストから閲覧したいジョブ名(化合物名)を選択し,View Logsを押す.

最適化された構造の表示

リストから閲覧したいジョブ名(化合物名)を選択して,wxMacMolPltを押すと最適化構造が表示される.

最適化構造

HOMO軌道

分子軌道の表示

以下はベンゼンの分子軌道を表示させた例である.

Surfaceの選択

分子軌道の選択

表示条件(Grid Size, Contour Value)を適当に設定する必要がある.

入力データの作成

wxMacMolPlt上で分子を構築するのは,慣れないと非常にやり難い.MMで修正する機能がないので,かなりいい加減になるが,Gamessには半経験的分子軌道法も選択できるので,非経験的分子軌道を実施する前段階として,整形する意味で使用するとよい.極端な例として以下のようなものでも構わない.

部品の登録と利用

分子を組み立てる場合,母核に官能基を付けて目的とする分子を構築するが,一般的ではないユーザー特有の部品は準備されていない.そのために部品を登録し,再利用することができるようになっている.wxMacMolPltのメニューからBuilder → Show Build Tools → Prototypes → User-defined(左メニュー)と辿って,部分構造を利用することが可能である.

    ユーザー定義のプロトタイプを追加するには,必要に応じて分子ディスプレイに構造を構築する.次に,構造内のすべての原子を選択し,「ビルダー」メニューの「プロトタイプの選択」を選択する.プロトタイプの名前を入力すると,ユーザー定義プロトタイプで利用できるようになる.

xanthate基を登錄

ユーザ定義プロトタイプを使ってethyl xanthateを作成, GAMESS入力ファイル作成

GAMESSによる321G計算構造

エネルギープロット

HOMO

LUMO

フリーソフトを用いた分子計算環境構築の過程で,wxMacMolPltを単独で使用したことはあったが,Gamessとの連携の良さには気づかなかった.非経験的分子軌道計算を考えている方には薦めたい組み合わせツールである.Tetraphenylcyclopentadienone(C29H20O)の3-21G計算はcore i5,2CPUのマシンで約11分を要した.

参考資料

フリーウェアによる分子軌道の表示 (Avogadro, wxMacMolPlt, GAMESS)

GAMESS計算(2020年版, 64bitMac OS, アイオワ大学)

wxMacMolPltサイト

子プロトタイプの説明(折りたたみ文書)

分子構造の迅速な構築を容易にするために、ビルド ツール パレットにはプロトタイプ ライブラリも含まれています。ここから、システム定義およびユーザー定義の構造のコレクションを参照できます。これらの構造を表示するには、ドロップダウン メニューで適切なカテゴリを選択し、下のリストから構造を選択します。シンプルでインタラクティブなプレビューが右側に表示されます。表示された構造は、左クリックしてドラッグすると回転でき、中クリック (または Shift キーを押しながら左クリック) してドラッグすると拡大縮小できます。

プロトタイプの追加は、周期表から原子を追加するのと同じです。プロトタイプを選択し、分子表示の空白部分をクリックします。プロトタイプのすべての原子が所定の位置にドロップされます。

プロトタイプを既存の原子に結合するには、まず、プロトタイプのプレビューでプロトタイプ内の水素原子の 1 つがマークされていることを確認します。この水素は、プロトタイプの結合サイトを解放するために除去されます。別の水素原子をクリックすると、どの原子を枝刈りするかを変更できます。次に、分子表示に戻り、既存の塩基(base, 基本)原子の適切な結合部位をクリックします。プロトタイプは変形(transform, 移行)され、マークされた水素が除去された状態で所定の位置に投下(drop into)されます。

ユーザー定義のプロトタイプを追加するには、必要に応じて分子ディスプレイに構造を構築します。次に、構造内のすべての原子を選択し、「ビルダー」メニューの「プロトタイプの選択」を選択します。プロトタイプの名前を入力します。ユーザー定義プロトタイプで利用できるようになります。

Molecular Prototypes(原文)

To facilitate quick construction of molecular structures, the Build Tools palette also contains a Prototypes library. From this, you can browse through a collection of system- and user-defined structures. To view these structures, choose the appropriate category in the dropdown menu and select the structure in the list below. A simple, interactive preview is displayed to the right. The displayed structure can be rotated with a left-click and drag, and scaled with a middle-click (or Shift and left-click) and drag.

Adding a prototype is just like adding an atom from the periodic table. Select the prototype and then click on a blank portion of the molecular display. All atoms of the prototype will be dropped into place.

To bond a prototype to an existing atom, first note that one of the hydrogen atoms in the prototype is marked in the Prototypes preview. This hydrogen will be pruned in order to free a bonding site for the prototype. You can alter which atom is pruned by clicking on a different hydrogen atom. Now, return to the molecular display and click on the appropriate bonding site of the existing, base atom. The prototype will be transformed and dropped into place with the marked hydrogen removed.

To add a user-defined prototype, build the structure in the molecular display as desired. Then, select all atoms in the structure and choose "Prototype Selection" in the "Builder" menu. Enter a name for the prototype. It will now be available in the User-defined prototypes.

(2023.12.26)