GAMESS計算

64ビットMacOS

半経験的分子軌道計算プログラムであるMOPACが64ビットMac OSで実行可能になったため,非経験的分子軌道計算プログラムであるGAMESS(US)も実行できるようにした.これはその備忘録である.大学退職後は大学のメールが使えなくなったので,ダウンロードを遠慮していたが,ac.jpでない非大学メールでもユーザーネームとパスワードが送付されてきた.さっそく,最新版をアイオワ大学からダウンロードさせてもらった

gamess-OSX.30Jun2020R1.tar

ターミナルを起動し,アプリケーションフォルダに移動し,テストデータを使用して下記のように実行すると正常終了した.結果(exam01.log)はインプットデータと同じフォルダに書き出される.

./gms tests/standard/exam01


32ビットOSで重宝していたGUI入力処理を可能にするGamessQは同包されていないので.別サイトから64版をダウンロードした.

64ビットGamessQフォルダの内容

GamessQ.appをクリックして「ハッケージの内容を表示」をクリックすると,

GamessQ.app→Contents→MacOSの中にはGamessQが入っている.

32ビットMacOS上で正常に動くGAMESSでは,GamessQ.appは本体フォルダに配置されていて,gamessqdはContents->MacOSの中にGamessQと一緒に配置されている.

水分子アイコン(右図)をクリックしたら,アクセス許可を要求するメッセージが現れたので,許可すると,Dockに水分子が現れた.Dockの水分子をクリックするとアプリが起動するがエラーメッセージが出る.予め,gamessqdをクリックして起動した状態(ターミナル起動)にしておくと,起動できる.起動できたらGAMESSQのPreferenceを開き,SpoolとGAMRSSのpathを設定する.

以下の例では,入力データはDesktopのGMSフォルダ内に,GAMESSプログラムは/Application下のgamess2020フォルダ内に存在する.

GAMESSQからジョブの投入はできるが,しばらくするとフリーズする.しかし,計算はバックグラウンドで実行されていることがログファイルの増量変化で確認できる.フリーズ状態になると表示されるGAMESSQのエラーメッセージ(追記)に書かれているstopを押して,GAMESSQを終了させるgamessqdも同時終了する.GAMESSQを再起動するとジョブの実行履歴一覧には,何事もなかったかのようにDoneが表示される.

なお,macOS Mojave (10.14.6) におけるgamess.Aug112011R1.xでは,このような問題は起こらない.32ビット版に合わせてGamessQ.appやgamessqdの設置場所を変えたりしたが,関係ないようである.結論的にはジョブ管理プログラム64ビット版GamessQは未完成ではないかと思っている.

追記

エラーメッセージ

計算環境はMac mini (CPUはcore i5), OSはCatalinaである.GAMESS入力データはAvogadroで作成した.分子座標はMarvinSketchの2次元座標をAvogadroで読み込み,三次元化したものを力場計算で最適化した

とりあえず,半経験的および非経験的分子軌道計算が64ビットMacOS上で,すべてフリーソフトを利用して実行できるようになった.32/64ビットOS切り替え(Mojave/Catalina)のため,作業中の画面を閉じて再起動する必要はない.趣味の分子計算環境としては充分である.

(2022.8.7)