掃除機の話題


コードレス, ブラシレスDCモータ, 高性能磁石

2007年頃から使用していたナショナル(現在パナソニック)の掃除機(c)が壊れて使用できなくなってしまった. 本機は子ノズルをパイプの先端に装着したまま親ノズルに差し込み使用するという方式を採用していて, ペダルを踏んで持ち挙げて外すことができるため, 付属品を付け替える必要がない点が目玉であった.

壊れた個所は子ノズルの屈曲部でパイプとの角度を変える回転機構の軸受になっている個所で, プラスチックが割れてしまった.メーカーに在庫の有無を問い合わせたが, すでに生産中止で保守部品や代替品も皆無とのことであった.

ひび割れなら接着できるかもしれないが,割れて分離したかけらをつなぎ,使用するのは無理と思われる.

捨てる前に分解してみた.親ノズルの底板のネジを外すと, 鉄道模型部品のようなモーターがあらわれた.モーターが回転するとゴムベルトを介してブラシが回るという簡単な機構であった.ブラシは, 「強」にした時に回転する仕組みで,ゴミを検知した時に自動で切り替わる方式ではない.

回転ブラシはベルトから外して水洗いすることができるが, 電子回路を内蔵している親ノズルは丸洗いができない.そのためかなり汚れていた. そこまで分かると,必ずしも回転ブラシは必要はなく,汎用ノズルが使えそうなので,早速アマゾンで購入し,試してみた.

汎用ノズルコーワ スマート床ブラシ つぎ手パイプ付き 日本製 35012

本機は,排気ゼロの掃除機を購入して失敗した後に選んだ機種である.これでしばらくは使えると, 自己満足していたら,いつの間にか物置に移され, 代わりにダイソンの掃除機(下図 左)が収納充電スタンドに抱かれて鎮座していた. ダイソンを使用してみると軽くて使いやすく, 既存の掃除機の欠点を逐一改良した製品と言えそうである.  同社が独自開発したHyperdymiumモーター(ブラシレス, 後述)を搭載していると書かれている.

   実を言うと, 我家では2019年に類似の掃除機(下図 右, アイリスオーヤマ)を購入したが, 何となく使用しなくなった. 今回のダイソンと比較してみると, 使い捨てダストパックが小型で使いにくいこと, 充電時にはいちいちケーブルを抜き差しする必要があり, 設置台に置くだけで充電できる型式ではないこと等を挙げることができる..

   TDKの解説記事によると, 邪魔なACコードをなくした充電式のコードレスタイプ掃除機が従来のコード式より格段にパワーアップして, コード式のものと遜色ないのは, 回転部に強力な磁石を利用した高性能ブラシレスDC(BLDC)モータが使われているようである. 中学理科の実験で学んだブラシ付きDCモータは, 周囲に固定された永久磁石が作り出す磁界の中で, コイル(回転子)が発する磁界を制御して回転させ, 回転数を変えるには電圧を変える方式である. 一方, BLDCモータでは、回転子は永久磁石で, 周囲にあるコイルから発生する磁界の方向を変化させることで回転子を回し. コイルに流す電流の向きと大きさをIC回路で制御することで, 回転子の回転を制御するとのことである. 身近なものとしてはハードディスクドライブの駆動に使用されているほか, 最近はラジコン等もBLDCモータとのことである.

ロボット掃除機

親戚が購入したというので見せてもらったが, 室内が整頓された広々としたところならともかく, ごちゃごちゃした我家では使用できそうにない. 初期の製品はブラシモーターのため, 交換用の部品が用意されているという. ネット情報によると, 最近はBLDCモーターへの移行が進んでいるようである. 我国の伝統である学校の掃除も学生アンケートの結果を受けてロボット掃除機に任せる方式へ移行しているところも見られるとのことである.  

(2024.1.25)