MO計算結果表示      

JSmol

MO計算,オープンソース,オフライン利用,ブラウザ設定

分子軌道法計算の結果を表示するソフトウェアにJSmolというオープンソースがある.その説明には次の記載がある.

本Webアプリケーションは、Webサーバーにアップロードして利用するものですが、Webブラウザーの設定を変更することにより、 PCのローカル環境で起動して使用することも可能です。

そこで,Macのローカル環境で使用する方法を試してみた.結論的には,ChromeなどのWebブラウザーを用いて,JSmol(jsmol_viewer.html)をローカルPCから起動した場合.エラーが発生する.Webブラウザのローカルアクセスは許可されていないので,エラー回避のため設定変更を行う必要がある.Windows OSの設定は資料2に紹介されているのでそちらを見てほしい.Macの場合は,資料3を参考に以下のように設定した.

Google Chromeの場合
ターミナルからローカルアクセスを許可するコマンドを実行する.

/Applications/Google\ Chrome.app/Contents/MacOS/Google\ Chrome --allow-file-access-from-files

スーパーユーザーでの実行は求められなかった.Chromeを再起動して,アプリをクリックすると無事に起動する.

   追記 1  以下のコマンドを使用してChromeをオープンしてもよい.

                   open -a Google\ Chrome --args -allow-file-access-from-files

                   Maxの場合,Automatorを利用すると便利である(参考資料4).

   追記2   拡張機能について

                  Mac OS 10.15.7,Chrome Version. 121.0.6167.139では機能しなかった.

Safariの場合(こちらが簡単)

ターミナルを用いてコマンドを使用することなく,設定可能である.手順は以下のとおりである.

Safari > [環境設定] > [詳細設定] >「メニューバーに”開発”メニューを表示」をチェックする.「✓」が付加される.

メニューバーに「開発」ツールバーが表示される.そのドロップダウンに表示されるローカルファイルの制限を無効にする」オプションをオンにする.「✓」が付加される.

バージョン15.6.1の場合,テキストエンコーディングをUnicode(UTF-8)に設定する必要があった.

計算結果の表示

分子構造を表示させるには,jsmolフォルダ内のmodel.htmlをクリックすればよい.分子軌道,振動の表示は対応するhtmlを起動する.

画像表示させようとする分子の計算結果はhtmlファイルと同じ階層に置く必要がある.「データファイルの指定」から「ファイルの選択」でファイル名を表示させ,「ファイルのロードと描画」で改めて読み込むと分子が表示される.同包されているデモ用ファイルが参考になる.

上記のほか,二面体角も表示させることができる.

非経験的分子軌道計算であるGAMESSの場合,結果の画像表示にはwxMacMolPlotが使用できる,半経験的分子軌道計算の結果を表示させるソフトのひとつとして利用できることが判明した.

MOPAC計算の場合,分子軌道の表示 , 振動計算の結果表示のためにはvectors, force等のキーワードの設定が必要である.計算が終了したら,それぞれに対応したmo.htmlあるいはvibration.htmlを起動する

分子軌道表示

*  PM6      - The PM6 Hamiltonian to be used

*  PRECISE  - CRITERIA TO BE INCREASED BY 100 TIMES

*  VECTORS    - FINAL EIGENVECTORS TO BE PRINTED

*  BONDS      - FINAL BOND-ORDER MATRIX TO BE PRINTED

*  GRAPH      - GENERATE FILE FOR GRAPHICS

振動表示

 *  PM6      - The PM6 Hamiltonian to be used

 *  PRECISE  - CRITERIA TO BE INCREASED BY 100 TIMES

 *  FORCE    - FORCE CALCULATION SPECIFIED

 *  T=       - A TIME OF 172800.0 SECONDS REQUESTED

 *  DUMP=N   - RESTART FILE WRITTEN EVERY  7200.000 SECONDS

三次元表示

JSmolを利用すると結果を立体的に表示することができる.簡単なウエブサイトを作ってみた.ビタミンCの分子にマウスを重ね,左ボタンを押しながらマウスを動かすと分子は回転する.また.ホイールを回転させると拡大縮小する.

ブラウザによっては左側に分子が表示されない場合があります.そのような場合は,キャッシュをクリアする必要があるようです.特にSafari, Firefoxでそのような傾向があります.Chrome, Edgeでは問題なく表示します.

 スマホやタブレットの場合は,指でなぞると回転,拡大はピンチアウト(画面の上に2本指を置き、間隔を広げるように指を動かす操作)する.

分子軌道の表示等などの詳細については別稿で紹介したい.

(2024.2.1)