筆者は,普段はMacを使い,Windows機は分子軌道計算用に使用している.両機の仕様は以下の通りである.
◎Mac mini:2012 late, Dual-Intel Core i5-3210M 2.5 GHz, RAM 16GB, 500GB SSD 2016年5月購入
◎Wndows: BTO, Dual-Intel Core i7‐2600K, 3.4 GHz, RAM 16GB, 1TB HDD 2011年11月購入
注)BTO (Build To Order)
両機とも10年以上,使用しているが,ホームページの作成,閲覧等で困ることはない.ところが,両機のCPUのサポート打ち切りが現実のものとなった.パソコンを取り巻く環境が一昔前とは様変わりしたのは事実である.近年の生成AIの爆発的な進化に伴う大量のデータ処理,AI対応で技術的に先行しているスマホとの連携に特化した中央演算装置(CPU)が必要になったということらしい.
「最新のソフトを動かすには,貴方のCPUは能力不足,早急に買い替えなさい」というわけである.
Mac機の場合
Mac miniは,2016年熊本地震直後に使用開始し.数年前にHDDをSSDに換装して快適に使用してきた.ところが,最近,Googleドライブとの同期を継続的に利用するためにはOSのアップグレードが必要とのメッセージが表示されるようになった.設定では,OSは自動更新にしているので,チェックすると「最新」と返ってくる.CPUがOSアップグレードに対応していると,新しいOSがリリースされた場合は,「今すぐアップグレード」と表示されるはずである.
調べてみると,ウエブに以下の記載があった.
Mac mini (Late 2012) 最終対応のオペレーティングシステム
OS X 10.8 Mountain Lion 2012/7 10.8.5
OS X 10.9 Mavericks 2013/10 10.9.5
OS X 10.10 Yosemite 2014/10 10.10.5
OS X 10.11 El Capitan 2015/9 10.11.6
macOS 10.12 Sierra 2016/9 10.12.6
macOS 10.13 High Sierra 2017/9 10.13.6
macOS 10.14 Mojave 2018/9 10.14.6
macOS 10.15 Catalina 2019/10 10.15.7 → 2024年3月末までサポート
macOS 11 Big Sur 2020/11 11.7.10 非対応
macOS 12 Monterey 2021/10 12.7.5 非対応
macOS 13 Ventura 2022/10 13.6.7 非対応
macOS 14 Sonoma 2023/9 14.5 非対応
使用機のOSのサポートはCatalina (10.15.7)までで,それ以上のOSにアップグレードはできない. 正確には,2024年3月末にサポートは切れてしまっていた.
MacOS Catalina 10.15 のサポートが終了すると,提供ベンダからの不具合の修正や機能のアップデートが提供されなくなり,セキュリティリスクが高まると言われている.
サポート期限切れから3ヶ月が過ぎた時点で,以下のような問題が起こっている.
アプリの更新も不能
ブラウザの更新の際,以下のメッセージが表示された.
今後,Google Chromeのアップデートを受信するには,macOS11以降が必要となります.このコンピュータではmacOS10.15が実行されています.
追記 8月26日にはLINEが使用できなくなった. 「Mac OS 12.0以降が必要です」と表示され, アップデートできなくなった.
Windows10機の場合
「PC正常性チェック」を実行すると,
「このPCは現在、Windows11のシステム要件を満たしていません」
「デバイスの仕様」ボタンをクリックすると 「このPCはWindows 11に対応していません」と表示された.
Windowsマシン,おまえもか?である.
CPU (Core i7 2600K) が古いため,Window11へのアップグレードはできないとのことである.Windows10マシンの場合は2025年10月14日まではサポートされるが,のんびりしていられない状況である.
分子軌道計算に関しては,ネットワークは使用しないので,オフラインでの実行が可能であり,計算機として使用するつもりである.
対応策
LINUX OS化
OSとしてLinux (UBUNTU) を入れて,ヂュアルブートにしてみた.
私の仕事内容では,Linuxにしても問題はない.一般的にはマイクロソフトのワープロや表計算が実行できないという点が最大の問題のように見えるが,代わりのフリーソフトが準備されているし,Googleアカウントによるメールや各種アプリが利用可能である.注)デュアルブートとは,一台のコンピュータに二つの異なるオペレーティングシステム(OS)を組み込み,どちらでも起動できるように設定すること.
裏技の適用
サポート切れの古いMac OSを強引にアップグレードする方法がウエブ上に提案されているが,一般ユーザ向けではない.Windows 10の場合の「裏技」も同様である.
新規購入
Wondow11マシンを新規購入するとしたら.何にするかあちこちのオンラインショップを調べてみた結果,手の平サイズの中華ミニパソコンで十分との印象を持った.実際に購入し利用している知人の話では,500GBSSD,16GB RAM,Wondow11インストール済で,3万円以下で購入可能とのことである.
「Windows10のサポート終了に伴い,パソコン2.4億台が廃棄される」というニュースが流れている.都市鉱山の埋蔵量が飛躍的に増大するのは必至であり,リサイクル業者が大いに潤うにちがいない.それにしてもいつまで米国巨大企業に振り回されるのだろうか.7月19日,ソフトウェアの更新をきっかけに起こった世界的なシステム障害等を回避するには我国独自のOSの開発が望まれる.
(2024.8.2)