PyMOLは.Protein Data Bank (PDB) データの立体構造を表示させるための優れたフリーウェアのひとつである.しかし, 表示様式や設定項目が多彩なため, 使いこなすのは簡単ではない. 以下は標準的な操作法の備忘録(高齢者用)である.
PyMOLでPDBを表示するには, PDB IDを入力して「Download」ボタンを押す.以下は1FELの例である.1felは,レチノイドと血漿レチノール結合タンパク質との複合体の結晶構造に関するデータである.
↑初期画面
PDB ID入力画面→
PyMOLの表示示では遠近感を自動的に考慮しており, 奥行きを自然に感じることができる.
PyMOLでは,新しいPDBファイルをロードすると自動的に分子がCartoonモードで表示される.Cartoon表示では,αヘリックスを形成している部分は大きな螺旋で描かれ,βストランド(βシート)を形成している部分は矢印で描かれる..
まず,右上に表示される図中の略号の意味を知る必要がある.
SはShow,AはAction,HはHide,LはLabel,CはColorの略である.
レチノールの構造を見やすくするために,その部分だけをSpheres(球)に切り替えてみた.
手順:A S H L C のS(Show)を選択すると表示されるプルダウンメニューからOrganicを選ぶと左側に分子の表示様式が表示される.メニューからSpheresを選ぶと球で表示される.球以外に,lines, sticksが選択可能である.
表示結果
Ribbon表示にするには,S (Show) → as → As: → ribbon と移動し,ribbonを選択する(次図)
Ribbon表示で,S → Organic → Spheresを実行すると,低分子化合物が球で表示される.
分子の回転, 移動, 拡大のボタン操作について
Mouse Modeをクリックすると,Picking とSelectiongが切り替わる.読み込んだ分子全全部を回転,移動させるには,Pickingモート(下図右)にした後,マウスの左ボタンを押しドラッグすると回転,ホイールを押し動かすと並進させることができる.ゲスト分子のみを対象にする犀は,shiftキーを押し同様の操作を実行する.
分子表示の種類や動かし方の基本が分かったら,その他の場合については実際にやってみて理解すればよい.
Surface表示
高分子はsticks表示,低分子はspheres表示
メッシュ表示
低分子は球表示
リボン表示で螺旋構造を見る.
背景を白に変更.Displayメニューを利用
赤い+群は水分子,表示しないようにするにはH(Hide)からnonbondedを選択する.
今回は,タンパク質複合体を表示することに焦点を絞り後期高齢者用の備忘録を記した.それ以外の高度な処理は専門家の解説記事を参考にしてほしい.
1FELについて(折りたたみ文書)
1FEL
CRYSTALLOGRAPHIC STUDIES ON COMPLEXES BETWEEN RETINOIDS AND PLASMA RETINOL-BINDING PROTEIN
1FEL の概要
エントリーDOI 10.2210/pdb1fel/pdb
分子名称 RETINOL BINDING PROTEIN, N-(4-HYDROXYPHENYL)ALL-TRANS RETINAMIDE (3 entities in total)
機能のキーワード transport protein
由来する生物種 Bos taurus (cattle)
タンパク質・核酸の鎖数 1
化学式量合計 21487.20
構造登録者
Zanotti, G.,Marcello, M.,Malpeli, G.,Sartori, G.,Berni, R. (登録日: 1994-08-29, 公開日: 1994-11-01, 最終更新日: 2011-07-13)
主引用文献
Zanotti, G.,Marcello, M.,Malpeli, G.,Folli, C.,Sartori, G.,Berni, R.
Crystallographic studies on complexes between retinoids and plasma retinol-binding protein.
J.Biol.Chem., 269:29613-29620, 1994
Cited by
実験手法 X-RAY DIFFRACTION (1.8 Å)
(2025.12.20)