三体相互作用

三体相互作用 (Three system interaction)

Cope 転位 ([3,3]-Sigmatropy転位) 反応等の分子内反応を,分子を二つに分割して, あたかも分子間反応(Diels-Alder 反応等)のように解析することができる. 三体相互作用では, 反応系を3個のパーツに 分けて, その FMO相互作用を環状で考える. ここでは, 2個のπ軌道を HOMO, σ軌道1個を LUMO とする.

三体相互作用において安定化が得られる理由

電子の詰まった二つの HOMO が相互作用すると2個の電子は安定化するが, 残りの2個は不安定化するため, HOMO-HOMO相互作用は起こらないが, 不安定化した電子を安定化させる空の軌道 (LUMO) が存在すると, 矢印で示すような LUMO-HOMO相互作用により, 系全体は安定化する (この説明は数式を使わない簡易理解法である). π-HOMO と π-HOMO が相互作用すると, 結合性軌道に加えて電子の詰まった反結合性軌道が生成する. この軌道は不安定であるが, 第3番目のσ*軌道 (LUMO) と相互作用することにより安定化する.

この解析方法は, 分子分割による三体相互作用と呼ばれる. 馴れると二体相互作用より分りやす い. 立体的に書くとシクロヘキサンの椅子型になる.

三体相互作用を, いろいろな反応に適用可能な概念として捉えることができる. ベンゼンの芳香族性なども解釈可能である.

もう一つの三体相互作用

HOMO, LUMO, LUMOの間ですべて位相のあった軌道相互作用で安定化が起こる.

上記のような関係が成り立つと考える. LUMOとLUMOが相互作用してできる下の軌道とHOMOが相互作用すると考えると分かりやすい.

応用例を以下に示した.

三対相互作用