各国の軍事費

2024年4月,スウェーデンのストックホルム国際平和研究所 (SIPRI)は世界各国の軍事費に関する最新データを発表した.論文のタイトルは以下の通りである.

Trends in World Military Expenditure, 2023(世界の軍事支出の傾向、2023 年)

注)STOCKHOLM INTERNATIONAL PEACE RESEARCH INSTITUTE (SIPRI)

去年の世界の軍事費の合計は,2兆4430億ドル,前年と比べ6.8%増えている.日本円でおよそ378兆円になった.9年連続の増加で,記録がある1988年以降,最高額を更新したという,

ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢が要因だと分析している.ロシアは前の年と比べ24%増え,推計1090億ドルとなった.2022年11位のウクライナは51%増え2023年には8位と順位を上げ,648億ドル.パレスチナ自治区ガザへの侵攻を続けるイスラエルは24%増え,275億ドルとなった.
    軍事費が最も多い国は1位がアメリカ,2位が中国で,ロシア,インドと続き,日本は前の年と比べ11%増えた502億ドルで10位である.
「前例のない軍事費の増加は,世界の安全保障環境の悪化を反映している」と指摘している.

軍事費の単位は10億ドル.

米国の916は9160億ドルの意味.

論文の表を引用.

米国の占める割合は濃緑色部分

軍事費の年次変化

世界の軍事支出は9年連続で増加

2023年には総額24430億ドルに達する。 2023 年には 6.8% 増加, 2009年以来の大幅な前年比上昇となり、世界の支出を押し上げた. SIPRI がこれまでに記録した最高レベルに達しました (図 1 を参照)。世界の軍事負担 - 世界総支出に占める軍事支出の割合として定義される国内生産(GDP)—2023 年には 2.3% に増加。

政府支出に占める支出の割合は0.4パーセント増加した. 2023 年には 6.9 パーセントを指し、世界の 1 人当たりの軍事支出は1990年以来最高値の306ドル

2023 年の世界の軍事支出の増加は主に次の要因によるものと考えられます。

軍事支出は5つの地理的地域すべてで増加し、ヨーロッパとアジアそしてオセアニアと中東で大幅な支出増加が記録された. 

論文には地域ごとの考察結果なども記されている.それにしても我が国がいつのまにか上位十位にランクされているとは認識不足だであった.各種の統計で,先進国なのにビリの方に位置していることが多いのに軍事費は別格らしい.政府が進めている国防費増強計画が実現すると,世界3位になるとのことである.何となく歴史が繰り返す方向へ動いている感じがするのは私だけだろうか.

4月23日の朝日新聞朝刊の天声人語に,哲学者カントは,「戦争はあたかも人間の本姓に接ぎ木されたかのようである」,放っておけば必ず戦争になる.だから止める手立てをと説いたと書かれていた.

    今夏,戦後79年を迎える.私は,終戦の時6歳であったが,出征して行く兵士の行進,民家分宿,鉄回収, 天井板の強制撤去,防空壕掘り,消火訓練等をはっきりと記憶している.戦中,戦後に経験したことを次世代の人達には経験して欲しくない.自由に情報が入手できる時代は何時まで続くか分からない.平和の間に,他人の戦争体験を自分のこととして,世の中の動きに敏感になることを期待したい.

憲法の復習
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 ② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。

参考資料

Trends in World Military Expenditure, 2023(世界の軍事支出の傾向、2023 年)

Dr Nan Tian, Dr Diego Lopes da Silva, Xiao Liang and Lorenzo Scarazzato

https://doi.org/10.55163/BQGA2180

Publisher: SIPRI

SIPRI, Stockholm:

April, 2024