20年前に、大枚を叩いて購入したChemOffice2002を現在も利用している。主な用途はAvogadroで3D化する前の構造式(2D)を描画するためである。
Macの場合、ChemDrawはOSX、Chem3DはOS9で動くという変則的な作業環境が必要である。そのため、PowerPC版でClassic環境が使える最後のOSであるMac OS X v10.4 (Tiger)を搭載したiBoook G4(1999-2003が手放せない。
この環境をM1 Mac上で実現すべく、仮想マシンの一つであるUTMを利用してみた。
iBook G4 Mac OS 10.4(Tiger) + OS9
iBookの環境をM1のUTM上に構築
→
UTMでTiger (OS10.4)を動かすことはすでに確立されているため、以下の報告に従い構築した。
UTMでM1 MacにMac OS 10.4 Tigerをインストール
M3 MacのUTMで Mac OS 10.4 Tigerのインストールについて、できない時の参考に
インストールは問題なく完了したが、環境に依存する細かい設定では試行錯誤することとなった。
以下、その備忘録である。
マシン環境
Mac mini(2000) M1
OS Sequoia 15.6.1
HDD 250GB
RAM 16GB
外付SSD 960GBをUSB(Type C)で接続。UTM関連ファイル(16.38GB)の保存用。
1)M1とTiger間のファイル移動
アプリのインストールのためには、本件が最も重要である。
Tiger側でパーソナルファイル共有を開始する。
次いで、M1のFinderの移動メニューから「ネットワーク」を選択することで、Tigerのファイルをブラウズすることができる。ファイルの「出し入れ」はドロップボックス経由で実行する。
M1側の書類、画像ファイルはドロップボックスに乗せるとコピーされる。
ワープロ、ブラウザ等のアプリ類は、M1側でダウンロードあるいはCDからimg化したものを、Tiger側にコピーして解凍、インストールした。
2)ネットワークについて
UTMの編集でネットワークモードをブリッジ、ブリッジインターフェースはen1にした。en0では起動しなかった。
Tigerのネットワーク
3)各種アプリの対応状況
ブラウザ
TenFourFox7450をM1側でダウンロード。
有線接続で、TenFourFoxを起動。Wi-Fiに切り替えても閲覧可能
「サーバが見つからない」と表示され、接続できない場合は、M1のWi-FiをOFF/ONするか、あるいはM1を再起動する。
ChemOffice2002
Chem3D
Chem3DはOS9下で起動する。Chem3D環境でMOPAC実行可能、計算結果はMOPACフォルダに保存される。必要なファイルをドロップボックスに入れると、M1側から閲覧可能。
ChemDraw
OS9ではなく、Mac OS X Tiger 10.4で起動する。
4)OSについて
アップデート
M1側でMacOSXUpdCombo10.4.11PPC.dmgをダウンロードして、ドロップボックス経由でTigerに移し、インストールした。
10.4.6 → 10.4.11
ClassicはOS9.2.2
Classic環境の起動
元々OS9が必要なアプリは自動的に起動する。OS9専用のデスクトップが現れるわけではない。
M1 Wi-Fiの詳細
三種のOSが共存中の画像
結論
懸案のChemOfficeはUTM Tigerの環境で使用可能。速度的にも問題ない。
WordPerfectもOS9環境で利用可能。
ホームページの閲覧はTenFourFoxブラウザで可能であるが、速度的に問題あり。
追記
SheepShaverを利用すれば、WordPerfectとChem3Dは実行可能、ChemDrawに関してはWineの環境が必要である。
カスタムインストールにしなかったため、プリンタドライバ(1.5GB)はインストール後に削除した。