2016年熊本地震直後から使用してきたMac mini (Late 2012,500G-SSDに換装) のCPUが,今春,サポート切れになり,OSのアップグレードが出来なくなったため,代わりにLinux OSを導入することにした.内蔵SSDに入れているMac OSを消去して,Linux OSを入れる手もあるが,これまでに集積したアプリと各種データを消去することはできないので,外付けSSDにLinux OSとしてUbuntu(GUI対応)を入れることにした.インターネット上には,関連する情報は数多存在するが,Ubuntuバージョンの違い,環境の違い等で,微妙に異なるため実際に自分の環境でやってみなければ分からない点も多い.以下はその備忘録である.
外付SSDによるデュアルブート
Mac mini (Late 2012) HDDはSSD(500DB)に換装
Mac OS Catalina (Version 10.15.7)
プロセッサ名: Dual-Core Intel Core i5
プロセッサ速度: 2.5 GHz
プロセッサの個数: 1
コアの総数: 2
メモリ: 16 GB
Macの外付けSSDからUbuntu OSを起動するために行ったこと
1)UbuntuのUSBインストールメディアを作成
ubuntu-22.04.4-desktop-amd64.isoのイメージをダウンロード
書き込みソフト.balenaEtcherのダウンロード,Etcherサイト
USBメディアの選択 手持ちのSDカードはだめ,カードリーダー経由のためか失敗
バッファロー BUFFALO USB3.2(Gen1)TypeC-A対応USBメモリ 32GBイエロー(RUF3-AC32G-YE)を使用
書込み時,パスワード入力が表示されない場合は,やり直せばよい.
2)外付けSSDの準備
外付けSSDは,250GBを使用.MacのディスクユーティリティでFATでフォーマット, パーチションなし.
3)インストール
USBインストールメディアをPCに挿し,optionを押してMacを起動 → 内蔵SSDとEFI-Bootが表示される.
ブートメディアEFI-Bootを選択.その際,同時にWi-Fiも設定しておく.丸で囲んだ⬆️をクリック
USBインストールメディアからUbuntuが起動
「試用するか」あるいは「インストールするか」の質問→インストールを選択
使用言語の選択 → 日本語選択
キーボードの選択 → Macを選択(Windowsキーボードの場合は異なる)
アップデートと他のソフトウェアの選択,以下の3点を考慮
通常選択
Ubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする.
グラフィックスとWiFiハードウエア等の設定項目選択(1回目はこれを選択しなかったためかWiFi機能せず)
インストールの種類
ディスクを削除してインストール
ドライブ選択 外部250GB-SSD(内蔵SSDではないことを確認)
ディスクに変更を書き込みますか 「続ける」を押下
時間設定,ユーザ名,PC名,パスワード
インストール開始,完了
Mac, Ubuntuの切り替え
起動時にオプションを長押して現れるOSメニューから選択すればよい.
起動後の画面
アプリ一覧(その1)
ターミナルによるCUI
これまでMacで使用してきたソフトウエアの機能がUbuntuでも再現できるか検証した.
1)Preview代替ソフト
MacのPreviewに相当する便利なアプリは存在しない.
写真,PDF等のアプリを選択可能
Macのクリックルック機能はQuickLookで可能
2)ワープロ,表計算
LibreOffice関連ソフトがプレインストールされている.
Writer(ワープロ),Calc(表計算),Impress(プレゼンテーション),Draw(ベクタードロー画像作成と視覚化ツール),Base(データベース),Math(数式エディタ)といった数々のアプリが含まれている.
Google Cromeブラウザからは,ドキュメント,スプレッドシートが利用できる.
3)化学構造描画
Chemtool, XDrawChem, ブラウザ上で動くMolviewの動作を確認, その他,MarvinSketchなど.
Chemtool
XDrawChem
Molview
4)分子描画
PyMOL, Jmol, Rasmol, Avogadro2の動作確認
PyMOL(タンパク質の立体構造)
Jmol(タンパク質1crnの立体構造)
Rasmol
Rasmol ステレオ表示
Avogadro2
Appimageを利用してインストール可能である。
Appimageという配付方式のアプリについて
分子描画ソフトのAvogadroは,コマンドでインストールすることにより入手可能であるが,動きがおかしい.そこで,Avogadro2をappimageとしてダウンロードしてみた.ところが,ファイルをダブルクリックしてみたが開かない.説明によると,右クリックして表示されるプロパティのパーミッションのExcuteをクリックしてプログラムとしての実行許可を与える必要があるとのことである.通常のアプリメニューには表示されない。サイドバーに登録するにはGear Leverのインストールが必要である(別稿で説明予定)。
5)画像編集ソフト
軽量のものはPinta,本格的編集はGimp
6)ブラウザ
Firefoxが初期設定されている,
Google Chromeは公式サイトから,.debファイルをダウンロード,インストールした.(https://www.google.com/intl/ja_jp/chrome/)
UbuntuでLINEを使用するには,Chromeの拡張機能を利用する必要がある.
7)メール
GmailはChromeブラウザ環境下で送受信可能.
Thunderbird
Macで使用しているJCOMケーブルテレビの電子メール,熊本大学生涯メールなどはThunderbirdで管理可能.メールのアドレスとパスワードを入力すればサーバの設定等は自動的に行われる.
8)ウエブカメラ,スキャナー
ウエブカメラのアプリとして,Cheeseが用意されているが,不安定のため新しいものに入れ替えた.エレコムUCAM-DLK130TBKで動作確認.また,guvcviewも利用可能.ドキュメントスキャナーはCanoScan N1240Uで動作確認.
9)その他(各種操作)
画面チャプチャー
Windowsキーボードの場合
Windows用のキーボードには右上にPrint Screenのキーが存在する.これにより画面のチャプチャーが可能である.Pictureの中のScreenshotsフォルダに保存される.
←Windowsキーボード ↑Macキーボード
Macキーボードの場合
MacキーボードにはPrint Screenキーは存在しないので設定が必要である.
手順:設定 → Keyboard ⇨ Keyboard Shortcutの次行のView and Castamize Shortcutsを選択 → Screenshots が開くので Take a shortcut interactively 「会話的にスクリーンショットをとる」を選択 ⇨ Set Shortcut画面(キーボード)が表示されるのでF14を選択.Launch5をF14にする.注:F14はWindowsキーボードのPrint Screenと同じ位置.
以後,F14でスクリーンショットが可能になる.以下は設定に関連する画像である.
設定メニューの部分図
Keyboard
→ Keyboard Shortcut
View and Castamize Shortcuts
→Screenshots
⇨ Set Shortcut
上図は設定後の画面のため,1 modifiedやLaunch5などが記載されている.
後で気付いたが,UtilitiesにScreenshotが存在する.少々使い勝手が異なる.
Utilitiesのメニュー,Screenshotは点線+四角マーク
なお,専用のアプリが開発されているが,私の環境ではうまく機能していない.
コピー/ペーストのショートカット
MacのCommand(⌘)ではなく, Controlキーを使ったCtrl-c/Ctrl-vである.右クリックのメニューからも実行可能.なお,gnome-tweaksを使用すれば,command+c、command+vでコピペできるように設定できる.
文字の入力
使用するキーボードに依存する.Macキーボードの場合,mozcを利用;米Google社が開発した「Google日本語入力」のオープンソース版という位置付け. 変換候補を推測して提示する「サジェスト」などの機能を備えている.
日本語ー英数字の切り替えは,先人の教えに従い,コントロール+スペースキーで行えるようにした.Macの場合と同様な英数&カナ(かな)キーを利用する方法も可能である.詳細は参考資料を見てほしい.
クリップボードマネージャー
CopyQが利用可能である.「Ubuntu Software」の検索欄に「copyq」と入力,検索するとヒットするので,インストールする.画面右上のメニューアイコン欄に,Wi-Fiのマークと列んで「ハサミ」のマークが表示される.「設定」の全般で自動的に起動するように設定する.
Wi-Fi接続
Mac OSでは,内蔵のWi-Fiモジュールは2.4GHz,5GHzの両方とも機能したが,Ubuntuでは2.4GHzのみで.5GHzでは接続することはできなかった.
そこで,USB子機(PLANEX GW-450D)を挿してみたら,ドライバ等をインストールすることなく5GHzで接続できた.ターミナルでlsusbと入力すると該当するデバイスが確認できた.
harano@harano-Macmini:~$ lsusb
Bus 003 Device 011: ID 2019:ab31 PLANEX GW-450D
Mac本体のWi-Fi機能は不要のため,設定で削除すると,PCI Wi-Fi未接続と表示された.
PCI Wi-Fi未接続
HUMAX-DCAAD-A
追記(再測定 2025.5.20)
無線LANの速度が極端に遅くなったので、OSの再インストールを実施したが、速度の改善は認められなかった。結果的には、USBハブに挿して使用していたUSB無線子機をPC本体のUSB端子に差し替えたら次図のように大幅に改善した。
❌ PC----USB HUB----無線子機
⭕️ PC----無線子機
データの共有, 移動
Mac本体に挿して使用しているSDカードを「情報を見る」で開き,「共有」をチェックしておけば、Ubuntu側からもファイル移動が可能である.Macに接続しているUSB ハブに挿しているUSBメモリーでもよい.また,Googleドライブ,Gmail(添付文書を含む)を利用すればWi-Fiを利用してデータの交換が可能.
Mac-Ubuntu共有フォルダを利用する方法は試していない.
Macで使用していたアプリや操作のほとんどをUbuntuで再現できるようになった.中には,ウエブ情報にそってインストールしても解決できないものもあった.また,ターミナルを用いてコマンドによるインストールが必要なソフトもあった.Mac miniのCPUサポート切れによって,アプリ更新の数が増え,使い物にならなくなった場合は,裏蓋を開けて内蔵SSDと外付けSSDを入れ替えてMacをサブにするつもりである.
(2024.9.22)