大崩山     原生林と岩峰の秘境

宮崎県  1,643m  2006年11月5日              

(大崩山1,643m、上和久塚1,450m?、中和久塚1,410m?、小積ダキ1,391m、下和久塚1,370m?、袖ダキ1,261m?)

日本二百名山

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名山一人旅

最初の岩峰、袖ダキに登ると、頭上に銀色の岩峰(下和久塚)が現れた。なめらかな金属のような岩肌。青空に向かって飛び立とうとする銀色のロケットのようだ。

河原から見える最初の岩峰の小積ダキ、四角いノッペラボーの中和久塚、稜線の上にそびえる巨大な岩峰の上和久塚。異なる個性の岩峰群。その上に立つ小さな人の姿。幻想的。まるでCGの世界。

尾根の北の広大な谷には岩がばらまかれた原生林。谷の向こうには鹿納山から夏木山への稜線。その向こうは傾山だ。

幻想の世界から登山道に戻り、たどり着いた大崩山頂上は、ごく普通の笹に囲まれた頂上だった。

 青空に向かって飛び立とうとする銀色のロケット、下和久塚
 河原から見える最初の岩峰、小積ダキ
 四角いノッペラボー、中和久塚
 稜線の上にそびえる巨大な岩峰、上和久塚
 袖ダキからの景観:  小積ダキ(左)、大崩山(中央奥)、下和久塚(右)
 中和久塚岩場からの景観:  上和久塚(左端)、中和久塚頂上(手前中央から右)、鹿納山から傾山(背後)
 中和久塚東端からの景観:  木山内岳(左上)、桑原山(上中央左)、下和久塚(左下)、中和久塚頂上(中央から右)
  リンドウの丘からの景観:  上和久塚(左端)、中和久塚(中央)、下和久塚(右中央)、袖ダキ(右下)
  7:09 駐車地点発  8:03 和久塚(湧塚)尾根分岐  9:33 袖ダキ10:12 下和久塚(下湧塚)11:03 中和久塚(中湧塚)12:02 上和久塚(上湧塚)1,571m13:11 大崩山1,643m・・・・・・・・・・・・・登り6時間2分13:46 大崩山発14:24 リンドウの丘14:59 小積ダキ1,391m17:01 大崩山荘(分岐合流点)17:35 駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・周回10時間26分

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車で登山口に向かう途中で、明るくなってきた空に巨大な岩峰、小積ダキが見えてくる。こいつはすごそうだ。駐車地点から登山口まで歩き、登山カードを書いてから登り始める。団体さんの先に行かせてもらい、大崩山荘。三里河原との分岐で河原に出て祝子川を渡り、和久塚の尾根を登る。尖峰の姿の小積ダキ。

袖ダキの上に出ると青空のパノラマが広がり、頭上に下和久塚の銀色の岩峰が立っている。青空に映える滑らかな岩肌は金属のようで、飛び立とうとしているロケットのようだ。谷向こうに巨大な小積ダキがそびえるが、それは、背後の太い尾根の末端であることが分かる。その太い尾根の右奥に、草木に覆われた大崩の山頂部分も見えている。

ハシゴやロープの上から降りてくる人がいて、途中で譲ってくれるので、先に登っていくのに疲れてくるが、いつの間にか回り込んで下和久塚の頂上が真下に見えていた。眼下にさっきまでいた袖ダキの上の団体が小さく見えている。そして、上には中和久塚の岩峰。四角いノッペラボー。尾根の北の広い谷には岩がばらまかれた原生林が広がり、その向こうに鹿納山、五葉岳、夏木山の稜線が連なり、稜線の向こうには丸い姿の傾山が見えた。前日に登ったばかりだったので感動的。

ハシゴとロープを登っていくと、今度は中和久塚頂上の岩場に出る。それは東西に長い頂上部になっていて、西側の岩に登ると、稜線の上に上和久塚の巨大な尖塔がそびえているのが見える。

こいつは高い。上和久塚の尖塔の頂上には草木が繁っていて、その少し手前の岩場に人が立っている。幻想的な情景。いったん戻り、中和久塚の東端まで行くと、岩の上に水溜りのような穴があいていて、そこに座り込んで休憩。東の対岸に木山内岳と桑原山、眼下には尖峰の下和久塚、更に下に袖ダキが小さく見えている。まるでCGの世界。感覚が麻痺しそうだ。

尖峰の上和久塚の基部に達し、岩の割れ目のロープを使い、山頂部に登る。今度はそこから中和久塚の四角い岩峰の上に人が立っているのを見る。対岸の桑原山やもう眼下になった小積ダキが見えるが、ここからはもう下和久や袖ダキは見えない。

岩場から林の道となり、背より高い笹の中の道をたどり、石塚の先で三角点のある大崩山頂上に着く。地味な頂上で、背の高い笹に囲まれて全く視界はないが、かえって落ち着いて休憩できる。頂上近くにある大きな岩から傾山が見えた。

帰路に寄ったリンドウの丘は小積ダキの尾根の上から張り出しているテラスで、そこからは全く違う角度からの和久塚尾根が広がる。上和久塚はあいかわらず稜線の上にそびえる巨大な岩峰だが、中和久は鞍のようにくびれた頂上の姿。縦に見ると急な岩峰だが、横から見ると岩の積み重なった尾根である。袖ダキ、下和久塚は尾根上のテラスのように見えている。

15時前に小積ダキとの分岐に着き、頂上まで行ってみる。横長の、思ったよりゆったりした山頂。尾根を降りてゆく人の話し声が聞こえる。岩峰の形になった中和久塚。北の空には遠く、夏木山の上に傾山が浮かんでいる。東南を振り仰ぐと逆光の向こうに大崩山の頂上がそびえている。祝子(ほおり)川渓谷がよく見え、川べりの建物や集落が見える。

小積ダキの横顔の脇を下り、坊主岩を見上げ、登山口に着いたときはもう薄暗くなっていたが、登山者ノートに書き込んでいると、二人降りてきた。まだ登っていた人もいたようだ。美人の湯によっていく。露天の正面に大崩山が見える結構な温泉。

こんなに盛りだくさんの山とは思わなかった。一回来ただけではとても足りない。是非また来なければ。次はモチダ谷に行ってみたい。

 朝の小積ダキ・・・・・河原から見える最初の岩峰

祝子川

尖峰の姿の小積ダキ・・・・・祝子川渡渉点付近より

 袖ダキより

袖ダキ

 谷向こうに巨大な小積ダキがそびえる

銀色のロケット、下和久塚


大崩山


 下和久塚の少し上より

  下和久塚頂上

中和久塚の四角い頭と人

  

岩のばらまかれた原生林とその向こうの稜線(北東)

・傾山(中央)

・夏木山(右から2番目)

・新百姓山(右端)

岩のばらまかれた原生林とその向こうの稜線(北西)

・鹿納山(左端)

・五葉岳(中央)

 中和久塚より

祝子川の対岸の桑原山・・・・・左下は尖峰の下和久塚、右は中和久塚頂上の一角

上から見る下和久塚

はるか眼下の袖ダキ(右)

中和久塚・・・・・岩の上に水溜りのような穴があいていて、そこに座り込んで休憩

樹木の生えた巨大な岩峰、上和久塚と人・・・・中和久塚頂上より

 上和久塚より

上和久塚頂上・・・・・中央奥は桑原山、右の黒は眼下となった小積ダキ

 


中和久塚と人・・・上和久塚頂上より


 大崩山より

大崩山頂上

頂上近くにある大きな岩から傾山が見えた

 坊主尾根より

リンドウの丘から見る中和久塚

小積ダキ付近から見る上和久塚と中和久塚・・・・・岩峰の形になった中和久塚

小積ダキ頂上・・・・・横長の、思ったよりゆったりした山頂

北の空には遠く、夏木山の上に傾山が浮かんでいる

東南を振り仰ぐと逆光の向こうに大崩山の頂上がそびえている

祝子(ほおり)川渓谷がよく見え、川べりの建物や集落が見える

小積ダキの横顔

坊主岩