寂地山     山口県最高峰

山口県  寂地山1,337m、右谷山1,233m  2012年11月15日

(寂地山)中国百名山

34

❄❄❄❄❄

紅葉と落葉の犬戻歩道を進むと、最初の大滝が現われる。垂直に近いゴルジュの左岸に張り出した階段やテラスをたどり、最初の大滝の落ち口近くに上がる。木々で遮られているが、なかなかの迫力と高度感。流れはいったん緩やかになり、行く手に紅葉の中を流れ落ちる二条の滝が見えてくる。美しい情景だが、それは犬戻の滝の本体で、その奥に滝が続いているらしい。

麓に雪は無かったが、登るに従い雪一色となり、登山道に積もった雪を踏んで静寂の寂地山頂に着く。頂上標識も祠もテーブルとベンチも雪で真っ白。「寂」には、「寂しい」の他に、「古びて味わいのある」、「仏道の修行により生死を超越した悟りの境地に入ること」の意もあるらしく、その名の通り静かで、味わいがあり、境地のような頂上だった。

寂地山から右谷山への縦走路では吹雪となり、思いがけない耐久ツアーとなる。車に戻って暖房をつけ、暖まる。こんな一日がかりになるとは思わなかったが、辛さもまた良き思い出のツアーだった。

******

5年後、晴天の秋の日、小五郎山から寂地山を見る。それは右谷山から東西に伸びる稜線上に飛び出たピークであった。あの雪の寂地山がなつかしく思い出される(2017年11月3日)

 晴天の秋の日、小五郎山から寂地山を見る。それは右谷山から東西に伸びる稜線上に飛び出たピーク(2017年11月3日)
 登山の翌日、莇岳から遠望した寂地山(そこだけ雪が降っているのだろうか)
 犬戻の滝: 紅葉の中を流れ落ちる二条の滝
 静寂の寂地山頂に着く。頂上標識も祠もテーブルとベンチも雪で真っ白
 帰路、ミノコシ峠を越えたあたりで雲間に青空が見える
 7:16 駐車地点発  7:29 犬戻の滝  8:18 登山口の橋  9:49 寂地山1,337m・・・・・・・・登り2時間33分11:43 右谷山1,233m・・・・・・・登り4時間27分(右谷山まで)14:51 登山口の橋15:27 犬戻の滝15:39 駐車地点・・・・・合計8時間23分

JJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ

鹿野SAの朝はやはり雨。寂地狭に入ると、行く手に紅葉と白い岩肌の山が見え、集落には宿泊客らしき人影。集落を過ぎると寂地狭案内所の大きな建物がある。そこから寂地山に登り、寂地峡を下るという周回路も魅力があるが、この天気なので車で林道を登る。

林道は途中で車両侵入禁止になっており、その手前の犬戻歩道の入口に停めて出発する。このときは全く雪は無く、出かける時もレインウェア。犬戻歩道入口には東屋があり、犬戻の滝の案内があった: 「犬戻し十八滝の中枢部は10m余りの三つの滝が連なっている。この三つの滝が一般的に犬戻の滝と言われている」

紅葉と落葉の犬戻歩道を進むと、最初の大滝が現われる。垂直に近いゴルジュの左岸に張り出した階段やテラスをたどり、最初の大滝の落ち口近くに上がる。木々で遮られているが、なかなかの迫力と高度感。階段の一角に雪を見る。遊歩道は沢に沿って右に曲がっていき、流れはいったん緩やかになり、行く手に紅葉の中を流れ落ちる二条の滝が見えてくる。美しい情景だが、それは犬戻の滝の本体で、その奥に滝が続いているらしい。案内 「犬戻の滝: この滝は犬戻峡随一の滝であり、両岸に聳え立つ黒雲母花崗岩の絶壁の中を流れ落ちる三段の滝から成っている。昔から滝が険しく、犬の一匹も通ることができずに後戻りすると言われており、犬戻の滝と呼ばれている。別名、犬戻峡奥の滝とも呼ばれている」*

*この犬戻の滝よりも下流にある五竜の滝の方がよく知られているらしい。「犬戻峡にある犬戻十八滝のうち、特に龍の名を冠した5つの滝は総称して寂地峡五竜の滝と呼ばれ、日本の滝百選に選定されている(wikipedia)」

登山道はこの犬戻の滝の左岸を登るように付けられていて、急な斜面の階段を登る。ここもまだ雪はなし。階段を登り切った先で、さっきの林道の上部(通行止め部分)に出る。山頂まで3.3kmの表示。林道を進むにつれ雪が広がり始め、林道終点は真っ白な雪で覆われていた。図らずも雪山になってしまったのは、那須の三倉山のとき以来。雪で真白な橋を渡ると案内があり、頂上までは60分、いや、手書きで75分としてある。結構あるな。ここからの登山道は三倉山と同じく雪を踏んでいく。途中で手袋を雨用から防寒用に替える。道は山の右側からトラバースして奥に回り込み、今度は左側を九十九折りに登って頂上の西尾根の上に着く。そこには分岐表示があり、右が寂地頂上、左は右谷山と小五郎山。

まず頂上に向かい、10時前に静寂の寂地山頂に着く。頂上標識も祠もテーブルとベンチも雪で真っ白。「寂」には、「寂しい」の他に、「古びて味わいのある」、「仏道の修行により生死を超越した悟りの境地に入ること」の意もあるらしく、その名の通り静かで、味わいがあり、境地のような頂上だった。雪が無ければゆっくり休みたいところだが、ひとわたり写真を撮っただけで出発。林の中なので晴れていても視界はあるまい。**

**伝説によれば、その昔、この川には大蛇が棲んでおり木々をなぎ倒したり毒気を含んだ息を吐いて草花や作物を枯らして住民を悩ませていた。そこに寂地坊という旅の僧が現れて祈祷を行い大蛇を見事に退治した。寂地の名はその僧に由来する(wikipedia)

分岐点に戻る前に雪が降り出し、ウェストバッグが真っ白になる。分岐表示から縦走路を辿ると、すぐに次の表示があり、右谷山まで2.4km。10時20分頃、ザックを下ろし、立ったままでバナナを食べる。栄養補給。この前後が南寂地山の頂上だったが、往路ではその頂上標識に気づかなかった。雪が本降りの様相で降っており、吹雪とまではいかないが、風もあって寒い。

しばらく尾根の南側をトラバースし、また尾根に戻り、11時頃にミノコシ峠に着く。ここは三叉路になっていて、左へ尾根を降りると寂地峡に出る。しかし、これだけ雪が降っていては、往路を引き返すのが賢明だろう。そこからは錦岳までの登りかえしで、錦岳の頂上と思われるところには標識があり、直角に左に曲がった先、5分で右谷山とある。いったん細尾根を下り、登り返したところが右谷山の頂上だった。ベンチと雪のついた頂上標識。雪を払うと右谷山の文字が現われた。三等三角点。「登山と写真を楽しむ会」の小さな頂上標識。この先、小五郎までの道が続くが、プラン通りにここまできたことで満足し、帰路につく。

帰路、ミノコシ峠を越えたあたりで雲間に青空が見える。そして登り返した先のピークに南寂地山の小さな頂上標識を発見。寂地山まで1.2kmの標識のあるところ。そのピークからいったん下り、登り返したところで、坂にすわって2回目の休憩。今度はパンを食べた。再び歩き始めると、「クマ注意、マムシ注意」のマンガの標識。そこ以外にもたくさん置いてあった。そして登り返した次のピーク、寂地山まで0.9km標識の先で、また南寂地山の小さな頂上標識を見つける。どちらも標高1,309mとあるが、どちらが正しい南寂地山なのだろう。

この後、分岐から林道に向けて下り、だいぶ雪の融けた林道終点の橋を渡り、紅葉の林道を歩き、犬戻の滝遊歩道を下り、駐車地点に戻る。15時半過ぎ。朝から8時間半弱の吹雪の耐久ツアーを終了し、車に入って暖房をつけ、暖まる。こんな一日がかりになるとは思わなかった。寂地峡案内所により、寂地山登頂記念バッジを購入。この天気なのに観光客の車が1、2台来ていた。上は雪だったが、下は雨。こんなに天気が違うのか。錦町の案内所を出発し、深谷峡温泉で風呂に入り、六日町で買い物をし、道の駅六日町温泉に入る。

山口県で一番高い山、寂地山は雪だった。麓は雨、中腹まで登る林道も雨。ところが、林道の終点から雪一色となり、登山道に積もった雪を踏んで頂上に到達。寂地山から右谷山への縦走路では吹雪となり、思いがけない耐久ツアーとなる。車に戻って暖房をつけ、暖まる。こんな一日がかりになるとは思わなかったが、辛さもまた良き思い出のツアーだった。

寂地峡入口 

鹿野SAの朝はやはり雨。寂地狭に入ると、行く手に紅葉と白い岩肌の山が見え、集落には宿泊客らしき人影。集落を過ぎると寂地狭案内所の大きな建物がある。そこから寂地山に登り、寂地峡を下るという周回路も魅力があるが、この天気なので車で林道を登る。

駐車地点、犬戻歩道入口

林道は途中で車両侵入禁止になっており、その手前の犬戻歩道の入口に停めて出発する。このときは全く雪は無く、出かける時もレインウェア。犬戻歩道入口には東屋があり、犬戻の滝の案内があった: 「犬戻し十八滝の中枢部は10m余りの三つの滝が連なっている。この三つの滝が一般的に犬戻の滝と言われている」

最初の大滝

紅葉と落葉の犬戻歩道を進むと、最初の大滝が現われる。垂直に近いゴルジュの左岸に張り出した階段やテラスをたどり、最初の大滝の落ち口近くに上がる。木々で遮られているが、なかなかの迫力と高度感。階段の一角に雪を見る。遊歩道は沢に沿って右に曲がっていき、流れはいったん緩やかになり、行く手に紅葉の中を流れ落ちる二条の滝が見えてくる。美しい情景だが、それは犬戻の滝の本体で、その奥に滝が続いているらしい。案内 「犬戻の滝: この滝は犬戻峡随一の滝であり、両岸に聳え立つ黒雲母花崗岩の絶壁の中を流れ落ちる三段の滝から成っている。昔から滝が険しく、犬の一匹も通ることができずに後戻りすると言われており、犬戻の滝と呼ばれている。別名、犬戻峡奥の滝とも呼ばれている」*

*この犬戻の滝よりも下流にある五竜の滝の方がよく知られているらしい。「犬戻峡にある犬戻十八滝のうち、特に龍の名を冠した5つの滝は総称して寂地峡五竜の滝と呼ばれ、日本の滝百選に選定されている(wikipedia)」

渓谷

犬戻の滝

登山口、雪で真っ白な橋

登山道はこの犬戻の滝の左岸を登るように付けられていて、急な斜面の階段を登る。ここもまだ雪はなし。階段を登り切った先で、さっきの林道の上部(通行止め部分)に出る。山頂まで3.3kmの表示。林道を進むにつれ雪が広がり始め、林道終点は真っ白な雪で覆われていた。図らずも雪山になってしまったのは、那須の三倉山のとき以来。雪で真白な橋を渡ると案内があり、頂上までは60分、いや、手書きで75分としてある。結構あるな。ここからの登山道は三倉山と同じく雪を踏んでいく。途中で手袋を雨用から防寒用に替える。道は山の右側からトラバースして奥に回り込み、今度は左側を九十九折りに登って頂上の西尾根の上に着く。そこには分岐表示があり、右が寂地頂上、左は右谷山と小五郎山。

雪の寂地山頂上

まず頂上に向かい、10時前に静寂の寂地山頂に着く。頂上標識も祠もテーブルとベンチも雪で真っ白。「寂」には、「寂しい」の他に、「古びて味わいのある」、「仏道の修行により生死を超越した悟りの境地に入ること」の意もあるらしく、その名の通り静かで、味わいがあり、境地のような頂上だった。雪が無ければゆっくり休みたいところだが、ひとわたり写真を撮っただけで出発。林の中なので晴れていても視界はあるまい。**

**伝説によれば、その昔、この川には大蛇が棲んでおり木々をなぎ倒したり毒気を含んだ息を吐いて草花や作物を枯らして住民を悩ませていた。そこに寂地坊という旅の僧が現れて祈祷を行い大蛇を見事に退治した。寂地の名はその僧に由来する(wikipedia)

雪の縦走路

分岐点に戻る前に雪が降り出し、ウェストバッグが真っ白になる。分岐表示から縦走路を辿ると、すぐに次の表示があり、右谷山まで2.4km。10時20分頃、ザックを下ろし、立ったままでバナナを食べる。栄養補給。この前後が南寂地山の頂上だったが、往路ではその頂上標識に気づかなかった。雪が本降りの様相で降っており、吹雪とまではいかないが、風もあって寒い。

ミノコシ峠

しばらく尾根の南側をトラバースし、また尾根に戻り、11時頃にミノコシ峠に着く。ここは三叉路になっていて、左へ尾根を降りると寂地峡に出る。しかし、これだけ雪が降っていては、往路を引き返すのが賢明だろう。そこからは錦岳までの登りかえしで、錦岳の頂上と思われるところには標識があり、直角に左に曲がった先、5分で右谷山とある。いったん細尾根を下り、登り返したところが右谷山の頂上だった。ベンチと雪のついた頂上標識。雪を払うと右谷山の文字が現われた。三等三角点。「登山と写真を楽しむ会」の小さな頂上標識。この先、小五郎までの道が続くが、プラン通りにここまできたことで満足し、帰路につく。

雪の右谷山頂上

雪の尾根道

雪山の青空

帰路、ミノコシ峠を越えたあたりで雲間に青空が見える。

二つの南寂地山・頂上標識

そして登り返した先のピークに南寂地山の小さな頂上標識を発見。寂地山まで1.2kmの標識のあるところ。そのピークからいったん下り、登り返したところで、坂にすわって2回目の休憩。今度はパンを食べた。再び歩き始めると、「クマ注意、マムシ注意」のマンガの標識。そこ意外にもたくさん置いてあった。そして登り返した次のピーク、寂地山まで0.9km標識の先で、また南寂地山の小さな頂上標識を見つける。どちらも標高1,309mとあるが、どちらが正しい南寂地山なのだろう。

クマ注意、マムシ注意

寂地山?

寂地山?

日の当たる雪道

登山口、雪解けの橋

この後、分岐から林道に向けて下り、だいぶ雪の融けた林道終点の橋を渡り、紅葉の林道を歩き、犬戻の滝遊歩道を下り、駐車地点に戻る。15時半過ぎ。朝から8時間半弱の吹雪の耐久ツアーを終了し、車に入って暖房をつけ、暖まる。こんな一日がかりになるとは思わなかった。寂地峡案内所により、寂地山登頂記念バッジを購入。この天気なのに観光客が1、2台来ていた。上は雪だったが、下は雨。こんなに天気が違うのか。錦町の案内所を出発し、深谷峡温泉で風呂に入り、六日町で買い物をし、道の駅六日町温泉に入る。

紅葉

山口県で一番高い山、寂地山は雪だった。麓は雨、中腹まで登る林道も雨。ところが、林道の終点から雪一色となり、登山道に積もった雪を踏んで頂上に到達。寂地山から右谷山への縦走路では吹雪となり、思いがけない耐久ツアーとなる。車に戻って暖房をつけ、暖まる。こんな一日がかりになるとは思わなかったが、辛さもまた良き思い出のツアーだった。