聖岳 南アルプス南部の縦走

静岡県  聖岳3,013m、上河内岳2,803m、光岳2,591m、易老岳2,354m  2007年8月14日~8月17日(テント3泊)

長野県  茶臼岳2,604m

(聖岳、光岳)日本百名山

(上河内岳)日本二百名山

(茶臼岳)日本三百名山

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聖岳頂上に着くと、全方位に絶景が広がっていた。正面に南アルプスの盟主たる赤石岳、東には逆光に黒く浮かぶ富士山。南にはこれから縦走する上河内岳、茶臼岳、光岳。快晴の3,000m地点から見る絶景にしばし見とれる。

上河内の肩にザックを置いて頂上を目指すとき、稜線にはガスがかかっていた。他にもザックが数個置いてあり、頂上に登ってる人、降りてくる人。

3日目の朝、茶臼岳の頂上からは雲を引く聖岳と上河内岳を見る。絶景。雲が取れると、頂上の右に奥聖を延ばした姿の聖岳。これもまた絶景。

似たような緑の丸いピークの3~4個目でようやく易老岳の頂上に着く。林の中の小さな空地に頂上標識。

光岳の頂上の先にある光石は、確かに白い大きな石だった。その上に登って腰を下ろすと、深田久弥のこの山の記述が思い出される。

光岳からテント場に戻ると激しい夕立が降り、雷鳴が轟いた。

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3泊4日で約24㎞。縦走路からの絶景に美しい花。この聖岳・光岳の縦走路もまた忘れられない、もう一度歩きたい山旅の一つ。このとき見た山のうち、その時点で登っていたのは半分も無かったが、この後、かなりの山に登った。記録と写真を見返すと、当時の思い出と共に、それらの山々に登った思い出も懐かしく思い出される。

聖岳・・・・・頂上(前聖岳)の右に奥聖岳を延ばした姿。茶臼岳付近より。
光石(テカリ)・・・・・光岳頂上の奥にある
上河内岳・・・・・聖岳付近より
茶臼岳頂上・・・・・背景は聖岳と上河内岳
仁田岳
D1 7:51 便ヶ島駐車場発15:32 聖平小屋(テント)・・・・・・・・・・・・登り7時間41分D2 4:59 聖平小屋発 7:38 聖岳 8:04 奥聖岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間5分10:30 聖平小屋10:55 聖平小屋発15:00 上河内岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聖平小屋から4時間5分15:20 上河内岳発17:10 茶臼小屋(テント)・・・・・・・・・・・上河内岳から1時間50分、聖平小屋を最初に出てから12時間11分D3 6:15 茶臼小屋発 7:13 茶臼岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り58分 8:48 仁田岳11:06 易老岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・茶臼岳から3時間53分14:26 イザルガ岳14:55 光岳小屋(テント)・・・・・・・・・・・・易老岳から3時間49分15:18 光岳小屋発15:39 光岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り21分15:51 光石16:32 光岳小屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・茶臼小屋を出てから10時間17分D4 5:45 光岳小屋発 6:12 光岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り27分 6:35 光岳小屋 7:17 光岳小屋発 7:37 イザルガ岳10:09 易老岳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・光岳小屋から2時間52分13:20 易老渡・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・易老岳から3時間11分14:02 便ヶ島駐車場・・・・・・・・・・・・・・・・・・易老渡から42分、光岳小屋を最初に出てから8時間17分

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D1

吊橋のたもとの易老渡登山口を過ぎ、便ヶ島登山口の聖光小屋駐車場に着く。易老渡の狭い駐車場は満車だったが、こちらは広々とした駐車場で空きあり。それでも駐車場はだいぶ埋まっていて、登山者が大勢いることが分かった。ここもやはり人気スポットなのだろう。

8時前に出発。最初は遊歩道で、やがて西沢渡(にしさわど)の徒渉点に着く。鉄製のカゴ(渡し篭というらしい)を使って対岸から渡ってくる二人がいて、それをマネして対岸に渡る。荷物用のカゴらしいが、がっちりしていて結構重い。私の後で太った人が座り込んでいたが、あの後どうしただろう。

急な坂を登っていくと古い大きな小屋がある。もう使われていないらしくあちこち壊れていたが、ビンビールのケースがむなしく積まれたままになっていた。団体さんと擦れ違い、急な坂の連続をゆっくり登る(この頃は異常なほどのスローペースで登っていた)。ずっと林の中なので日は射さない。バテないようにゆっくりゆっくり登り、11時に聖平まで1/2の地点、13時前に苔平というところに出て昼食とする。15時にガスのかかってきた稜線の分岐、薊畑に出る。黄色い花はオオハンゴンソウ?北を見上げると大きなピークが見えていて、それが聖岳だった。ガスのかかった稜線を下り、聖平の分岐が見えてくると、歩いている団体さんが見えてくる。東側に聖平小屋の屋根が見えている。

聖平小屋は東海フォレストの立派な小屋で、水道やトイレも完備。受付で500円を払い、ビールを800円で買うが、途中で落として穴があき、あわてて栓をあけて飲む。油断大敵。テント場は盛況で、スペースを探してテントを張る。まだ16時頃なので、もう一本ビールを買い込み、ゆっくり夕食をとる。どうも椹島の方から登ってきている人が多いようだ。この夜は大きなサソリ座を見る。

D2

翌日朝、4時に起きて朝食を食べ、出かけようと靴の紐を力強く引っ張ると、ブチンと音がしてヒモが切れ、あわてる。なんとか靴ヒモをつないで結び直す。テント場から軽装で聖岳まで往復だが、これがいくら登ってもなかなか頂上に着かない。前日、聖平小屋に下る前にガスの合間に見えたピークが聖岳で、やけに近く見えるのだが、見た目よりもずっと遠かった。聖岳への登りで、ツメクサやイワギキョウを見る。

聖岳頂上に着くと全方位に絶景が広がっていた。正面に南アルプスの盟主たる赤石岳、東には逆光に黒く浮かぶ富士山、北から西にかけて赤石岳の左に大沢岳と兎岳、その背景に塩見岳、槍・穂高、中央アルプスと御岳、それに恵那山。南にはこれから縦走する上河内岳、茶臼岳、光岳が見えており、富士山の手前の笊ヶ岳、その右の青薙山、大無限山なども同定。快晴の3,000m地点から見る情景にしばし見とれる。三角点のある奥聖まで30分かけて行ってみたが、そこからは赤石岳の右後に、やや傾いた悪沢岳を見ることができた。

聖平小屋でテントをたたみ、聖平から上河内岳への登りも長かった。手前の南岳からいったん鞍部に下り、登りかえすが、へばってきて鞍部の日蔭になったところで横になって少し休む。薄紫のマツムシソウ。上河内の肩にザックを置いて頂上を目指すとき、稜線にはガスがかかっていた。他にもザックが数個置いてあり、頂上に登ってる人、降りてくる人がいる。ガスの上河内頂上にたどり着き、少し休憩。この後、茶臼岳への縦走路には「南アルプスお花畑」という名の細長い草原があり、ハクサンフウロを見る。

谷を下ったところにある茶臼小屋のテントサイトはやや狭いが、水もトイレもビールもある。100円で買った冷えたトマトが無性にうまかった。

D3

翌朝、テントで目覚めると外は深いガスだったが、稜線まで登るとガスは薄れ、茶臼岳の頂上からは雲を引く聖岳と上河内岳を見る。絶景。雲が取れると、頂上の右に奥聖を延ばした姿の聖岳。これもまた絶景。聖、上河内、茶臼の頂上は岩峰だが、その後登った易老岳や光岳の頂上は緑の樹木に覆われている。茶臼から縦走路を下り、分岐を仁田岳に寄ったときは、聖の頂上は雲に隠れてしまい、その日はもう見えなかった。

似たような緑の丸いピークの3~4個目でようやく易老岳の頂上に着く。林の中の小さな空地に頂上標識。人の声がして、易老渡から登ってきたらしい一行が現われ、ザックを置き、「やっと着いた・・・」と言っている。この日の翌日、易老岳から易老渡に下ったが、長く急な山道で、これを登るのは相当大変だろうと思われた。

いったんコルに下って登り返し、草原の木道手前の分岐にザックを置き、イザルガ岳まで往復。四周が開けているが、ガスで聖岳は隠れていた。

県営光岳小屋にテントを張り、30分で登れると言われた光岳に向かう。林の中の小さな丘にある頂上は聖岳の方向を向いていたが、あいにく聖岳は雲の中であった。頂上の先に南側が見える展望所があり、加加森山や池口岳が正面に見え、眼下の山腹に光石らしき白い岩が見えている。50mほど下って、光石まで行ってみる。それは確かに白い大きな石で、その上に登って腰を下ろすと、深田久弥のこの山の記述が思い出される。

この頃から雲が流れだしていたが、テント場に戻ると激しい夕立が降り、雷鳴が轟いた。

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3泊4日で約24㎞。縦走路からの絶景に美しい花。この聖岳・光岳の縦走路もまた忘れられない、もう一度歩きたい山旅の一つ。このとき見た山のうち、その時点で登っていたのは半分も無かったが、この後、2016年までに、かなりの山に登った。記録と写真を見返すと、当時の思い出と共に、それらの山々に登った思い出も懐かしく思い出される。

D1

1.便ヶ島駐車場・・・・・易老渡の狭い駐車場は満車だったが、こちらは広々とした駐車場で空きあり。それでも駐車場はだいぶ埋まっていた

2.西沢渡(にしさわど)の徒渉点・・・・・鉄製のカゴ(渡し篭というらしい)を使って対岸に渡る。荷物用のカゴらしいが、がっちりしていて結構重い

3.花1: マルバタケブキ・・・・・稜線の薊畑

4.花2: イブキトラノオ・・・・・稜線の薊畑

D2

5.聖平小屋のテントサイト

6.聖岳・・・・・途中にある小聖岳より

7.富士山・・・・・東には逆光に黒く浮かぶ富士山。手前は笊ヶ岳(左)と布引山

8.奥聖岳

9.悪沢岳・・・・・奥聖まで行くと、赤石岳の右後に、やや傾いた悪沢岳を見ることができた。

10.赤石岳・・・・・聖岳頂上から正面に南アルプスの盟主たる赤石岳が大見える

11.塩見岳・・・・・赤石岳と大沢岳の間に遠く見える

12.大沢岳・・・・・赤石岳の左。コルに小さく百閒洞小屋が見えている

13.穂高岳と槍ヶ岳・・・・・塩見岳の更に左の背景

14.御岳と中央アルプス・・・・・大沢岳と兎岳の間、下の鋭鋒は奥茶臼山

15.兎岳・・・・・大沢岳の左。背後左は恵那山

16.恵那山・・・・・兎岳の背後左

17.光岳・・・・・緑に覆われ、頂上は平たんで、名前に反して地味な姿

18.茶臼岳・・・・・聖岳から見る姿は穏やかだが、頂上は岩場で、西からは鋭鋒に見える。この先から縦走路は林となる。背後左は大無限山

19.上河内岳・・・・・がっしりした風格の山

20.稲又山と青薙山・・・・・中央ピークが青薙で、稲又はその左手前と思われる

左背後に富士山

21.花3: タカネツメクサ・・・・・聖岳への登り

22.花4: イワギキョウ・・・・・聖岳への登り

23.花5: マツムシソウ・・・・・上河内岳への登り

24.ホシガラス

25.聖岳・・・・・ガスがかかり始めた

26.上河内岳の肩・・・・・ここにザックを置いて頂上往復

27.上河内岳頂上・・・・・ガスに囲まれて視界なし

28.「南アルプスお花畑」・・・・・茶臼岳への縦走路にある細長い草原。ハクサンフウロを見る。

29.花6: アケボノフウロ?

30.茶臼小屋・・・・・テントサイトはやや狭いが、水もトイレもビールもある。100円で買った冷えたトマトが無性にうまかった

D3

31.雲を引く聖岳と上河内岳・・・・・稜線まで登ると、茶臼岳の頂上からは雲を引く聖岳と上河内岳を見る。絶景。

32.聖岳・・・・・雲が取れると、頂上の右に奥聖を延ばした姿の聖岳。これもまた絶景。

33.兎岳

34.茶臼岳頂上・・・・・背後に聖岳と上河内岳

35.仁田岳・・・・・稜線の分岐にザックを置いて往復

36.仁田岳頂上・・・・・四方は開けている。背景は上河内岳と茶岳

37.上河内岳(左)と茶臼岳・・・・・いずれも鋭鋒に見えている。易老岳手前より

38.光岳・・・・・中央左手前がイザルガ岳、中央右が光岳頂上。仁田岳付近より

39.易老岳・・・・・中央右の目立たないピーク

40.易老岳手前のピーク(2,315m峰?)・・・・・似たような緑の丸いピーク3~4個目でようやく易老岳の頂上に着く

41.易老岳頂上・・・・・林の中の小さな空地に頂上標識

42.イザルガ岳への分岐・・・・・ベンチにザックを置いて往復。木道の先にもうすぐ光岳小屋

43.イザルガ岳頂上・・・・・四方が開けている

44.光岳小屋

45.イザルガ岳・・・・・光岳頂上付近より

46.光岳頂上・・・・・林の中

47.光石・・・・・光岳頂上の先に南側が見える展望所があり、眼下の山腹に光石らしき白い岩が見えている。

48.分岐表示: 左が光(テカリ)石、右は加加森山

49.光石・・・・・50mほど下って、光石まで行ってみる。それは確かに白い大きな石で、その上に登って腰を下ろすと、深田久弥のこの山の記述が思い出される。

50.加加森山・・・・・光岳頂上の先に南側が見える展望所があり、加加森山や池口岳が正面に見えていた

51.池口岳・・・・・双耳峰で、左・南峰2,376m、右・北峰2,392m

D4

52.上河内岳・・・・・易老岳から易老渡への下りにて

53.易老渡・登山口の橋・・・・・ここから便ヶ島駐車場まで車道を歩く