武尊山 上州の名山に南西尾根から登る
群馬県 沖武尊山2,158m 、剣ヶ峰山2,020m 2007年4月1日 (ver2)
奈良ノ頭1,640m 2007年3月19日
(武尊山)日本百名山
94
(北西尾根)
奈良ノ頭(*)の先から視界が広がり、西尾根の剣ヶ峰山らしきピークが見える。晴間と青空も出てきて、ついに武尊本峰が見えてくる。よおし、あそこまで登ってやる。
しかし、雪が深く、2歩歩いては休憩する状態だったので、頭上の藤原岳(*)頂上直下のくぼみのところに達したところで引返すことにする。天気が良ければもう少し登っていただろう。
シールをはがして滑走開始。雪は粉雪で最高のパウダー。たっぷり楽しみながら滑る。ワオー
(南西尾根)
九十九折のゲレンデの最後のカーブを曲がるとリフト終点が見える。その先の剣ヶ峰山の細尾根は相当急そうだ。細尾根基部でアイゼンに変える。
剣ヶ峰山頂上を越え、広い稜線に降り立つと、ガスが晴れてきて沖武尊山(武尊山)が見えてくる。最初のパノラマに息をのむ。沖武尊と南東尾根、そして北西尾根。長大な尾根が交錯する情景。
そしてついに沖武尊山(武尊山)の頂上に到達。半分雪が解けており、一等三角点に標識に石碑に方位盤がある。周囲は真冬だが、ここだけ春のようだ。頂上から北と東のパノラマにも目が釘付けになる。あれは至仏、あれは奥白根。
沖武尊から豪快に滑走していくと、行く手に二つの剣ヶ峰。ひとつは白い巨塔、一つは黒き岩峰。
剣ヶ峰山から滑走して祠のところで振り返ると、剣ヶ峰山の白い巨塔の隣に、沖武尊が雄大にたたずんでいた。剣を二つ持つ優しき巨人のように。
南西尾根(2007年4月1日)10:20 稼働リフト最上部(剣ヶ峰山へのリフト稼働を待ったが、動かず)10:37 シール歩行開始11:19 停止中リフト最上部12:21 剣ヶ峰山14:29 沖武尊山・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間9分14:48 沖武尊山発16:41 剣ヶ峰山17:10 停止中リフト最上部17:22 スキー場基部・・・・・・・・・・往復(含休憩)7時間2分
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北西尾根(2007年3月19日)
武尊へは当初、オグナほたかスキー場から前武尊、剣ヶ峰を越えて登ろうと思っていたが、インターネットを見ると遭難さわぎがあって、スキー場からの登山は禁止となっていたため、北側の登山口(雪山登山ガイドに出ていたルート)を登ることにする。距離6km、標高差1,200mなので5~6時間で十分と思ったが、長岡は雪で、高速に除雪車も出ている状況。関越トンネルを過ぎると晴れるかなと思ったが、やはり雪。こいつはダメかなと思いつつも登山口の宝台樹スキー場に向かう。ブルドーザーを追越し、開店前のスキー場横を通って道を進むと、除雪最奥部分に駐車スペースがあり、武尊登山口とある。さすが百名山。これなら迷うことなく頂上まで行けるだろう。
小雪の舞う天気だが、一応雪原に上がってみて、トレースが続いているのを確かめ、準備して出発。スキーはロシニュールB2。スキー帽にサングラスの通常スタイル。森に入り、すぐに沢沿いの道となる。林道めいたところに登ったり、外れたり。急なところをシールで登るのに時々苦労。先週あたりからジェネシスを聞いていて、アバカブのマン・オン・ザ・コーナーから順に聞いていく。時計が無くても時間の経過が分かるが、静かな曲でやや憂鬱。昨夜からの雪で、トレースは次第に薄くなり、尾根取付からはほとんど消えてしまう。深雪をジグザグに登り、稜線まで長く感じたが、出発から約3時間半で稜線。
正面の武尊は雲の中だが、その両側の稜線ピークはうっすら見えている。稜線の右下にピンク色のものが見えたと思ったらやはりリボンで、その上の稜線にもリボンあり。トレース以外に全く標識が無かったのが不安だったが、これで一安心。この奈良ノ頭(*)というのが夏道の取付ルートのようだ。奈良ノ頭の先から視界が広がり、西尾根の剣ヶ峰山らしきピークが見える。晴間と青空も出てくる。その先に大きな下りがあってがっかりだが、滑り降りて先に進む。稜線上の下りはもう二回ほどあり、いずれも稜線の東側斜面を下る。ついに武尊本峰が見えてくる。
最初は手前のごつごつしたのが藤原岳(*)かと思った(ごつごつした峰は藤原岳の手前の1700m地点だったようだ)。細尾根を登って分かれ道を左にとり(マーキングあり)、藤原岳の基部らしきところに出る。「ホ」に山冠のいかにも武尊らしい小さな標識があった。たぶん山小屋のあるとこころだったのだろう。藤原岳のごつごつしたピークが目の前に迫り、急坂をひたすら登る。雪が深く、雪庇もあるので登りにくい。次第に傾斜が増し、尾根をまっすぐ登りにくくなり、尾根の東側の雪原斜面をトラバース気味に登り始める。
途中で尾根に登ろうと思ったが、尾根には大きな雪庇があり、近づくのはやめて雪斜面を登る。このときにはもう13時を回っていて、雪も降っており、体も疲れていて、どこまで行って、もしくは何時までで引返すか考え始めていた。最初は15時までにたどり着けば、3時間で戻って18時、4時間で19時とも思ったが、雪が深く、2歩歩いては休憩する状態だったので、頭上の藤原岳らしきピークまでで引返そうと思う。しかし風も出てきて天気が悪くなり、頂上直下のくぼみのところに達したところでザックを下ろし、ここで引返すことにする。14時半。いい判断だったと思うが、天気が良ければもう少し登っていただろう。
お茶を飲み干し、シールをはがして滑降。雪は粉雪で最高のパウダー。雪崩がこわいがデブリも見えないし、たっぷり楽しみながら滑る。取付までずいぶん長く感じたが20分(登り3時間強)。ここからアップダウンがあるが、東斜面のトラバースなどでやりすごす。最初の大きな登り返しのところでシールを貼って登り、1時間弱で奈良ノ頭に到着。シールを外し、少し休憩してから出発。
緩い斜面を調子よく滑っていると、自分の登りトレースが突然西斜面にまっすぐ下り始める。どうやらこの尾根はまだ北に続いているが、登ってきた尾根はここから下るらしい。危ないところだったかも。急傾斜を木を避けながらの滑降。瞬く間に取付まで降り、あとは沢沿いの滑走。意外と沢の左右に渡るので、流れにはまらないよう注意して滑る・・・が、パウダーを蹴散らせながら滑っていて、雪の中に隠れた枝にスキーがひっかかって転倒。これにはまいった。そんなにスピードだしてなかったのが幸い。
沢沿いには新しい踏み跡にスキートレースもあり、どうやら取付まで登ってきたパーティがいたようだ。林から平原にでるともう17時。最後の滑走を決めて駐車場に降りる。
(*)「奈良ノ頭1,640m」「藤原岳2,040m」の名称は地理院地図に記載はないが、「日本雪山登山ルート集(2002年版)」から引用した。標高は地理院地図からの推定。
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南西尾根(2007年4月1日)
前週、頂上目前で中途断念した武尊にリベンジ挑戦。
宝台樹からではなく、川場スキー場から登る。最初に剣ヶ峰山を越さなくてはならないが、それさえ過ぎればあとは楽らしい。マップを見ても剣ヶ峰山からは1時間経程度と出ているので、計2時間くらいで登れるだろう。8時半過ぎにスキー場到着。東京からのスキー客も集まっている。
山スキーを入れてくれるか心配だったが、ザックをかついでリフトに乗ってもとがめられず。最初のリフトに乗ると、隣の人が話しかけてきた。「シールで登ろうとしたが、剣ヶ峰山を登れなかった」「オグナスキー場は表向き禁止しているが、実際は黙認している。地元で客集めしてるので取り締まりできない」「一番上のリフトが剣ヶ峰山の頂上直前までかかっているが、今は止まっている。じき動き出すだろう」とのこと。
心配していた天気は夜通し雨だったのが関越トンネルに入る頃には上がり、スキー場が近づくと青空も広がる。ただし、山肌が見えているのは山腹のみで、山頂付近はガスで見えない。一番上のリフトも左手正面の山頂に達しているように見えるが、その向こうに剣ヶ峰山の頂上が隠れているとのこと。モグル競技の隣の斜面を滑り、二つあるリフト乗場に行くと、剣ヶ峰山へのリフトはシャッターが降りており、落雷のために調査中だがじき動くとのこと。隣のリフトに乗って隣の無名峰頂上に登ると、剣ヶ峰山リフトの終点付近が見える。剣ヶ峰山自体は見えない。滑り降りると、ゲレンデを歩いて登っていく登山者発見。なるほど、歩いても悪くないなと思いつつ、リフト乗場の隣のレストハウスに入って待つことにする。レストハウスの中には、同様にリフトを待つ登山者の一行。
少し待つと果たしてリフトは動き出した。まだテストでシャッターは開いてない。じっと待つ。9時半から10時近くまで待ち、ふと見上げるとリフトが止まっている。今度動いたらokと思いつつ待ったが動き出す気配なし。10時を回り、ついに団体さんが動き出した。頃合かなと思い、私も出発。
隣のリフトに乗って途中からトラバースしていくことにする。無名峰の頂上からは今度は剣ヶ峰山が見えている。丸い山頂の左端に雪がついており、その狭い尾根を登らねばならないようだ。頂上付近からもトラバースできそうだったが、木々が密集してるように見え、2/3くらい下ったところから入る。そこも密集具合は余り変わらないが、行ってみると隙間はある。ゲレンデの端に出てシールを付け、出発。
ゲレンデに出るとすぐに団体さんがやってきた。団体はすぐそばのコンクリのところで休憩に入ってしまったのでその後はずっと一人旅となる。忘れていた日焼け止めを塗り、傾斜の緩いスロープを登っていると、右手にオグナ側の剣ヶ峰が見えてきた。ごつごつ黒々としている。その先の家ノ串らしきピークまでは見えるが、沖武尊は見えない。川場の剣ヶ峰山は黒々としているが丸くて、頂上は平らなようだ。細尾根さえ登ってしまえばあとは楽かな。
九十九折のゲレンデの最後のカーブを曲がるとリフト終点が見える。その先の剣ヶ峰山の細尾根は相当急そうだ。リフト終点建物に人の気配がするなあ、と思ったら、いきなりリフトが動き出した。今まで(あと1時間)待ってればよかったのだが、まあ、この時間になるなら歩いて正解だったろう。ゲレンデから危険標示を越えて坂を登り、細尾根に向かう。尾根の向こうに獅子ヶ鼻山が近い。これも先週、反対側から見た。そういえば、先週反対側から見た剣ヶ峰山はだいぶ厳しそうだったと思い出す。細尾根基部の雪庇のだいぶ内側を歩くが、ストックが空隙にはまるので、笹や木が出ている西側ぎりぎりを歩く。標識があったので、そこでザックを下ろし、アイゼンに変える。
標識には剣ヶ峰山まで500mとある。細尾根正面の斜面は避け、西側のヤブのでている斜面を登る。正解だったようで、登っていくと赤リボン発見。夏道に出る。頂上部分は平で、夏道は東側の雪原をトラバースしてるようなので、最高点を目指してヤブの立つ雪原を進む。時々足が埋まって歩きにくい。最初最高点と思ったピークの先に更に高いピークが現われ、結局、夏道と合流して祠の立つピークに到達。すると、祠ピークの更に奥に高いピークが立っている。あれが頂上だ。雪庇のある斜面を登って頂上に立つ。最高点よりも少し手前に頂上標識あり。
この頃から時々ガスが薄れてまわりの景色が垣間見える。頂上からの下りはスキーでは無理な岩場で、後ろ向きになって慎重に下る。その先もヤブの間を歩いて下り、尾根に戻ると眼下に雪原が見える。ガスっているので最初迷ったが、歩いて降りた雪原は武尊への稜線だった。スキーに履き替えるが、正面には小ピークも見えており、単調ではなさそう。その小ピークの向こうに沖武尊とその稜線が見え、慌ててシャッターを切るが、沖武尊との間には相当なギャップがありそうだ。
最初の急斜面を滑り、やがて沖武尊がその全身を現す。左手には登り損ねた藤原岳、右手には中岳。藤原岳の西には、前週辿った尾根が低く続いている。それにしても遠い。14時到着予定を15時に切り替え、遅くなることを覚悟して歩く。これが最低鞍部と思った鞍部が3回くらいあり、ついに最後の登りとなる。ここまで、雪原となっている東斜面をできるだけ避け、西側のヤブを踏みながら進んできた。急傾斜をシールで登るのが少しはうまくなったかなと思う。キックターンしていくのに比べて、体力を使わずに済むようだ。手にも足にも力を入れず、ブーツに体重を預けて少しづつ前進すると、意外にシールは滑らない。
雄大な沖武尊を正面に見て、振り返ると、剣ヶ峰山が細い尖塔になっている。たいへんなところを越してきたものだ。帰りはガイドの通り、東の川場沢を滑降し、最後にスキー場まで登り返すほうが速そうだ、とそのときは思う。最低鞍部のところでは、下の川場沢から登ってきたと思われるシールの跡を発見。やはり、剣ヶ峰山を避けて登っている人もいるようだ。そういえば、先に登っていった人たちはもう頂上かなあ、と思っていると、果たして頂上付近を歩く二人を発見。最初に発見したのは稜線を1/3くらい進んだところで、次に見たときは中岳の方に滑っていくところだった。オグナから登ってきたスキーヤー。従って、川場沢に降りても彼らのトレースは無いことになる。
もうギャップのない、沖武尊への基部に到達したのは14時前。頂上まで30分、いや1時間かなあと思う(30分で登れた。体力が残っていたのが大きい)。頂上直下はかなりの傾斜で、崩れそうな雪斜面を避けて、わざとヤブを踏みながら登る。傾斜が緩むともう藤原岳も眼下。前週登った東の雪斜面が見える。こうしてみると、もう30分のところまできていたのだ(でも、前週は体力を使い果たしていたので、1時間はかかっていたかも)。狭い夏道を避けてヤブの雪原を横切って行こうとすると、ヤブ雪原の雪が相当に解けていて足をとられ、ストックは利かないので、早々に夏道に戻る。
藤原岳には三つほどのピークがあり、一番手前の一番高いのが頂上なのかな、それとも、西側から見えていたはずの一番端のだろうか。前週、ずっと高みにあった沖武尊の北尾根もはるか下に見えている。そして、ふと北の空に目を転ずると、なんと至仏と燧が見えている。至仏の手前にあるのは笠ヶ岳だろう。藤原岳の上には、うっすらと谷川らしき山かげ。
そしてついに沖武尊の頂上に到達。半分雪が解けており、一等三角点に標識に石碑に方位盤がある。周囲は真冬だが、ここだけ春のようだ。頂上の反対側にはスキーの跡と、中岳の手前の雪原。それらの向こうの空には、皇海と奥白根。これらの山々まで見れたのはラッキー。デジカメの写りは悪いだろうが、夢中で写す。東の低いところに見えるスキー場は昔行った武尊牧場かなあ。北側の斜面と藤原岳とその先の沢筋の、前週辿ったルートを何度も写す。食事をしている暇はないが、まだ15時前だったので、ひとしきりデジカメを写してから出発。片足のビンディングを止めてなくて、バランスを崩して平地で転倒。よく分からないことをやってる
慎重に狭い夏道を下り、西斜面を豪快に滑る。さて、ここから先だが、剣ヶ峰への登りかえしは200mほどだが、川場沢に下ってからのスキー場への登り返しもそのくらいはありそうだ。ならば、一度辿ったルートを戻るのが正解、と決断(正解だったと思う。下手に沢に下ると、現在位置はともかく、進むべき正確な方向はわからなくなる)。最低鞍部(のひとつ手前?)までスキーで通し、小ピークは西側のトラバースでやりすごす。それからシールを貼るが、びしょぬれになっていて、スキーもよく拭かなかったので、剣が峰手前ではがしたときは雪がたくさん入り込んでいた。前止めシールでは外れてしまっていたかも。
登り返しを淡々とこなしながら、まだ青空の沖武尊を何度も写す。剣ヶ峰山が近づくと、登りのときはガスだったので、初めて見る風景もある。藤原岳の北端にコブが見える。剣ヶ峰山が近づくと、まだ高い太陽が薄雲にかげる。剣ヶ峰山の左手下には、リフトがあるはずの無名峰。ついに剣ヶ峰山直下に達し、アイゼンに変え、腰を下ろして少し休憩。ここまで全く腰を下ろしていなかった。意外に、スキーで滑ると腰から下に負担がきて、腰を下ろしての休憩が必要になるようだ。アイゼンでの歩きは、シールに比べて体力を消耗するのは確実。特に、踏ん張った足が雪にとられると体力を消耗する。時間もかかる。このときはしかし、十分に体力は残っていて、ほとんど休まずに剣が峰山頂に達する。頂上でアイゼンとピッケルを外し、標識に腰掛けてデジカメのメモリーカードを交換する。
剣ヶ峰山からの滑降は、最初の下りが見えなくて慎重に歩いたが、実は雪原が広がっていて、それが見えてからは豪快に滑って祠のところに達する。その後も雪原を滑り、細尾根手前からは横滑りで夏道とヤブを下り、雪原が広がったところでスキー場に滑り込む。スキー場ゲレンデを、まだ見えている武尊と剣ヶ峰山を写しながら滑走。もう17時を回っており、誰もいない。スキー場基部まで降りると、作業してるらしい人たちが数人。そういえば、剣ヶ峰山から下には新しい踏み跡がいくつかついており、団体さんが登ってきたようだ。剣ヶ峰山までで戻ったのだろうか。
建物に入るとまだ従業員らしき人たちがたくさん。エレベーターに乗って下の駐車場に向かうが、どの階に止めたのかわからなくて何度も乗り直す。ゲレンデは8階、止めた駐車場は3階だった(1、7、6、5、4階にゆく)。ゆっくり着替えをしてスキー場発6時前。ガソリンが無かったのでGSに向かい、それから川場温泉ふれあいの湯というのに行く。一日券で250円。古くて狭くて混んでるが、ハーフ露天あり。悪くない。温泉を出ると外はもう真っ暗。
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ジェネシスの静かな曲でやや憂鬱な武尊の北西尾根
諦めたけど、スキーの帰りは軽いパウダー
川場から剣ヶ峰山を越え、やっと着いたぞ沖武尊
頂上は春の雪解け!
(春の詩・武尊山)
2007年3月19日
登山口標示
宝台樹スキー場横を通って道を進むと、除雪最奥部分に駐車スペースがあり、武尊登山口とある。さすが百名山。これなら迷うことなく頂上まで行けるだろう。
沢沿いトレース
小雪の舞う天気だが、一応雪原に上がってみて、トレースが続いているのを確かめ、準備して出発。
森に入り、すぐに沢沿いの道となる。林道めいたところに登ったり、外れたり。急なところをシールで登るのに時々苦労。
先週あたりからジェネシスを聞いていて、アバカブのマン・オン・ザ・コーナーから順に聞いていく。時計が無くても時間の経過が分かるが、静かな曲でやや憂鬱。
奈良ノ頭(付近)
昨夜からの雪で、トレースは次第に薄くなり、尾根取付からはほとんど消えてしまう。深雪をジグザグに登り、稜線まで長く感じたが、出発から約3時間半で稜線。
正面の武尊は雲の中だが、その両側の稜線ピークはうっすら見えている。稜線の右下にピンク色のものが見えたと思ったらやはりリボンで、その上の稜線にもリボンあり。トレース以外に全く標識が無かったのが不安だったが、これで一安心。この奈良ノ頭というのが夏道の取付ルートのようだ。
獅子ヶ鼻山
剣ヶ峰山
奈良ノ頭の先から視界が広がり、西尾根の剣ヶ峰山らしきピークが見える。晴間と青空も出てくる。その先に大きな下りがあってがっかりだが、滑り降りて先に進む。稜線上の下りはもう二回ほどあり、いずれも稜線の東側斜面を下る。ついに武尊本峰が見えてくる。
沖武尊山と藤原岳
最初は手前のごつごつしたのが藤原岳かと思った(ごつごつした峰は藤原岳の手前の1700m地点だったようだ)。細尾根を登って分かれ道を左にとり(マーキングあり)、藤原岳の基部らしきところに出る。
「ホ」標識
「ホ」に山冠のいかにも武尊らしい小さな標識があった。たぶん山小屋のあるとこころだったのだろう。
藤原岳直下
藤原岳のごつごつしたピークが目の前に迫り、急坂をひたすら登る。雪が深く、雪庇もあるので登りにくい。次第に傾斜が増し、尾根をまっすぐ登りにくくなり、尾根の東側の雪原斜面をトラバース気味に登り始める。
頭上の藤原岳らしきピークの頂上直下のくぼみのところに達したところでザックを下ろし、ここで引返すことにする。14時半。いい判断だったと思うが、天気が良ければもう少し登っていただろう。
尾根の滑走
お茶を飲み干し、シールをはがして滑降。雪は粉雪で最高のパウダー。雪崩がこわいがデブリも見えないし、たっぷり楽しみながら滑る。取付までずいぶん長く感じたが20分(登り3時間強)。ここからアップダウンがあるが、東斜面のトラバースなどでやりすごす。最初の大きな登り返しのところでシールを貼って登り、1時間弱で奈良ノ頭に到着。シールを外し、少し休憩してから出発。
躓いた木の枝
緩い斜面を調子よく滑っていると、自分の登りトレースが突然西斜面にまっすぐ下り始める。どうやらこの尾根はまだ北に続いているが、登ってきた尾根はここから下るらしい。危ないところだったかも。急傾斜を木を避けながらの滑降。瞬く間に取付まで降り、あとは沢沿いの滑走。意外と沢の左右に渡るので、流れにはまらないよう注意して滑る・・・が、パウダーを蹴散らせながら滑っていて、雪の中に隠れた枝にスキーがひっかかって転倒。これにはまいった。そんなにスピードだしてなかったのが幸い。
道標
沢沿いには新しい踏み跡にスキートレースもあり、どうやら取付まで登ってきたパーティがいたようだ。林から平原にでるともう17時。最後の滑走を決めて駐車場に降りる。
南西尾根(2007年4月1日)
川場スキー場・・・・・右上がリフトのある無名峰(1,745m)
前週、頂上目前で中途断念した武尊にリベンジ挑戦。
宝台樹からではなく、川場スキー場から登る。最初に剣ヶ峰山を越さなくてはならないが、それさえ過ぎればあとは楽らしい。マップを見ても剣ヶ峰からは1時間経程度と出ているので、計2時間くらいで登れるだろう。8時半過ぎにスキー場到着。東京からのスキー客も集まっている。
山スキーを入れてくれるか心配だったが、ザックをかついでリフトに乗ってもとがめられず。最初のリフトに乗ると、隣の人が話しかけてきた。「シールで登ろうとしたが、剣ヶ峰山を登れなかった」「オグナスキー場は表向き禁止しているが、実際は黙認している。地元で客集めしてるので取り締まりできない」「一番上のリフトが剣ヶ峰山の頂上直前までかかっているが、今は止まっている。じき動き出すだろう」とのこと。
レストハウス
二つあるリフト乗場に行くと、剣ヶ峰山へのリフトはシャッターが降りており、落雷のために調査中だがじき動くとのこと。隣のリフトに乗って隣の無名峰頂上に登ると、剣ヶ峰山リフトの終点付近が見える。剣ヶ峰山自体は見えない。滑り降りると、ゲレンデを歩いて登っていく登山者発見。なるほど、歩いても悪くないなと思いつつ、リフト乗場の隣のレストハウスに入って待つことにする。レストハウスの中には、同様にリフトを待つ登山者の一行。
少し待つと果たしてリフトは動き出した。まだテストでシャッターは開いてない。じっと待つ。9時半から10時近くまで待ち、ふと見上げるとリフトが止まっている。今度動いたらokと思いつつ待ったが動き出す気配なし。10時を回り、ついに団体さんが動き出した。頃合かなと思い、私も出発。
稼働中リフト最上部の無名峰(1,745m)
隣のリフトに乗って途中からトラバースしていくことにする。無名峰の頂上からは今度は剣ヶ峰山が見えている。丸い山頂の左端に雪がついており、その狭い尾根を登らねばならないようだ。頂上付近からもトラバースできそうだったが、木々が密集してるように見え、2/3くらい下ったところから入る。そこも密集具合は余り変わらないが、行ってみると隙間はある。ゲレンデの端に出てシールを付け、出発。
ゲレンデを登る
ゲレンデに出るとすぐに団体さんがやってきた。団体はすぐそばのコンクリのところで休憩に入ってしまったのでその後はずっと一人旅となる。忘れていた日焼け止めを塗り、傾斜の緩いスロープを登っていると、右手にオグナ側の剣ヶ峰が見えてきた。ごつごつ黒々としている。その先の家ノ串らしきピークまでは見えるが、沖武尊は見えない。川場の剣ヶ峰山は黒々としているが丸くて、頂上は平らなようだ。細尾根さえ登ってしまえばあとは楽かな。
剣ヶ峰山・・・・・剣ヶ峰山リフト最上部手前より。頂上は見えていない
九十九折のゲレンデの最後のカーブを曲がるとリフト終点が見える。その先の剣ヶ峰山の細尾根は相当急そうだ。リフト終点建物に人の気配がするなあ、と思ったら、いきなりリフトが動き出した。今まで(あと1時間)待ってればよかったのだが、まあ、この時間になるなら歩いて正解だったろう。
剣ヶ峰(オグナ側)・・・・・剣ヶ峰山リフト最上部の手前より
剣ヶ峰(オグナ側)・・・・・剣ヶ峰山の北の稜線より
剣ヶ峰山リフト最上部
ゲレンデから危険標示を越えて坂を登り、細尾根に向かう。尾根の向こうに獅子ヶ鼻山が近い。これも先週、反対側から見た。そういえば、先週反対側から見た剣ヶ峰山はだいぶ厳しそうだったと思い出す。細尾根基部の雪庇のだいぶ内側を歩くが、ストックが空隙にはまるので、笹や木が出ている西側ぎりぎりを歩く。標識があったので、そこでザックを下ろし、アイゼンに変える。
剣ヶ峰山への登り・・・・・途中でシールからアイゼンに変える。復路では、スキーの横滑りから雪原に滑り込む
標識には剣ヶ峰まで500mとある。細尾根正面の斜面は避け、西側のヤブのでている斜面を登る。正解だったようで、登っていくと赤リボン発見。夏道に出る。頂上部分は平で、夏道は東側の雪原をトラバースしてるようなので、最高点を目指してヤブの立つ雪原を進む。時々足が埋まって歩きにくい
獅子ヶ鼻山・・・・・剣ヶ峰山の北の稜線より
剣ヶ峰山頂上手前の祠
最初最高点と思ったピークの先に更に高いピークが現われ、結局、夏道と合流して祠の立つピークに到達。すると、祠ピークの更に奥に高いピークが立っている。あれが頂上だ。
剣ヶ峰山頂上
雪庇のある斜面を登って頂上に立つ。最高点よりも少し手前に頂上標識あり。
この頃から時々ガスが薄れてまわりの景色が垣間見える。頂上からの下りはスキーでは無理な岩場で、後ろ向きになって慎重に下る。その先もヤブの間を歩いて下り、尾根に戻ると眼下に雪原が見える。ガスっているので最初迷ったが、歩いて降りた雪原は武尊への稜線だった。スキーに履き替えるが、正面には小ピークも見えており、単調ではなさそう。その小ピークの向こうに沖武尊とその稜線が見え、慌ててシャッターを切るが、沖武尊との間には相当なギャップがありそうだ。
剣ヶ峰山頂上の標識
沖武尊山・・・・・剣ヶ峰山の北の稜線より。左ピークが藤原岳、中央が沖武尊山、右ピークが中岳
最初の急斜面を滑り、やがて沖武尊がその全身を現す。左手には登り損ねた藤原岳、右手には中岳。藤原岳の西には、前週辿った尾根が低く続いている。それにしても遠い。14時到着予定を15時に切り替え、遅くなることを覚悟して歩く。これが最低鞍部と思った鞍部が3回くらいあり、ついに最後の登りとなる。ここまで、雪原となっている東斜面をできるだけ避け、西側のヤブを踏みながら進んできた。急傾斜をシールで登るのが少しはうまくなったかなと思う。キックターンしていくのに比べて、体力を使わずに済むようだ。手にも足にも力を入れず、ブーツに体重を預けて少しづつ前進すると、意外にシールは滑らない。
藤原岳・・・・・沖武尊山の南斜面より
剣ヶ峰山・・・・・沖武尊山への稜線より
雄大な沖武尊を正面に見て、振り返ると、剣ヶ峰山が細い尖塔になっている。たいへんなところを越してきたものだ。帰りはガイドの通り、東の川場沢を滑降し、最後にスキー場まで登り返すほうが速そうだ、とそのときは思う。最低鞍部のところでは、下の川場沢から登ってきたと思われるシールの跡を発見。やはり、剣ヶ峰を避けて登っている人もいるようだ。
スキーヤー二人
そういえば、先に登っていった人たちはもう頂上かなあ、と思っていると、果たして頂上付近を歩く二人を発見。最初に発見したのは稜線を1/3くらい進んだところで、次に見たときは中岳の方に滑っていくところだった。オグナから登ってきたスキーヤー。従って、川場沢に降りても彼らのトレースは無いことになる。
奈良ノ頭・・・・・沖武尊山への稜線より
もうギャップのない、沖武尊への基部に到達したのは14時前。頂上まで30分、いや1時間かなあと思う(30分で登れた。体力が残っていたのが大きい)。頂上直下はかなりの傾斜で、崩れそうな雪斜面を避けて、わざとヤブを踏みながら登る。傾斜が緩むともう藤原岳も眼下。前週登った東の雪斜面が見える。こうしてみると、もう30分のところまできていたのだ(でも、前週は体力を使い果たしていたので、1時間はかかっていたかも)。狭い夏道を避けてヤブの雪原を横切って行こうとすると、ヤブ雪原の雪が相当に解けていて足をとられ、ストックは利かないので、早々に夏道に戻る。
藤原岳・・・・・沖武尊山頂上より
藤原岳には三つほどのピークがあり、一番手前の一番高いのが頂上なのかな、それとも、西側から見えていたはずの一番端のだろうか。前週、ずっと高みにあった沖武尊の北尾根もはるか下に見えている。そして、ふと北の空に目を転ずると、なんと至仏と燧が見えている。至仏の手前にあるのは笠ヶ岳だろう。藤原岳の上には、うっすらと谷川らしき山かげ。
至仏山(中央)と笠ヶ岳(左)・・・・・沖武尊山頂上より
燧ヶ岳・・・・・沖武尊山頂上より
谷川岳?
沖武尊山頂上
そしてついに沖武尊の頂上に到達。半分雪が解けており、一等三角点に標識に石碑に方位盤がある。周囲は真冬だが、ここだけ春のようだ。頂上の反対側にはスキーの跡と、中岳の手前の雪原。それらの向こうの空には、皇海と奥白根。これらの山々まで見れたのはラッキー。デジカメの写りは悪いだろうが、夢中で写す。東の低いところに見えるスキー場は昔行った武尊牧場かなあ。北側の斜面と藤原岳とその先の沢筋の、前週辿ったルートを何度も写す。食事をしている暇はないが、まだ15時前だったので、ひとしきりデジカメを写してから出発。片足のビンディングを止めてなくて、バランスを崩して平地で転倒。よく分からないことをやってる
一等三角点
剣ヶ峰(オグナ側)・・・・・沖武尊山頂上より
皇海山(奥)と家ノ串・・・・・沖武尊山頂上より
錫ヶ岳(奥)と中ノ岳・・・・・沖武尊山頂上より
奥白根山
武尊牧場スキー場
沖武尊山・・・・・南斜面より
慎重に狭い夏道を下り、西斜面を豪快に滑る。さて、ここから先だが、剣ヶ峰への登りかえしは200mほどだが、川場沢に下ってからのスキー場への登り返しもそのくらいはありそうだ。ならば、一度辿ったルートを戻るのが正解、と決断(正解だったと思う。下手に沢に下ると、現在位置はともかく、進むべき正確な方向はわからなくなる)。最低鞍部(のひとつ手前?)までスキーで通し、小ピークは西側のトラバースでやりすごす。それからシールを貼るが、びしょぬれになっていて、スキーもよく拭かなかったので、剣が峰手前ではがしたときは雪がたくさん入り込んでいた。前止めシールでは外れてしまっていたかも。
登り返しを淡々とこなしながら、まだ青空の沖武尊を何度も写す。剣ヶ峰山が近づくと、登りのときはガスだったので、初めて見る風景もある。藤原岳の北端にコブが見える。
沖武尊山の滑走
剣ヶ峰山・・・・・復路で、沖武尊山から下り、登り返す
剣ヶ峰山が近づくと、まだ高い太陽が薄雲にかげる。剣ヶ峰山の左手下には、リフトがあるはずの無名峰。ついに剣ヶ峰山直下に達し、アイゼンに変え、腰を下ろして少し休憩。ここまで全く腰を下ろしていなかった。意外に、スキーで滑ると腰から下に負担がきて、腰を下ろしての休憩が必要になるようだ。アイゼンでの歩きは、シールに比べて体力を消耗するのは確実。特に、踏ん張った足が雪にとられると体力を消耗する。時間もかかる。このときはしかし、十分に体力は残っていて、ほとんど休まずに剣が峰山頂に達する。頂上でアイゼンとピッケルを外し、標識に腰掛けてデジカメのメモリーカードを交換する。
剣ヶ峰山の滑走1
剣ヶ峰山からの滑降は、最初の下りが見えなくて慎重に歩いたが、実は雪原が広がっていて、それが見えてからは豪快に滑って祠のところに達する。その後も雪原を滑り、細尾根手前からは横滑りで夏道とヤブを下り、雪原が広がったところでスキー場に滑り込む。スキー場ゲレンデを、まだ見えている武尊と剣ヶ峰を写しながら滑走。もう17時を回っており、誰もいない。スキー場基部まで降りると、作業してるらしい人たちが数人。そういえば、剣ヶ峰山から下には新しい踏み跡がいくつかついており、団体さんが登ってきたようだ。剣ヶ峰山までで戻ったのだろうか。
剣ヶ峰山の滑走2
夕方のスキー場
建物に入るとまだ従業員らしき人たちがたくさん。エレベーターに乗って下の駐車場に向かうが、どの階に止めたのかわからなくて何度も乗り直す。ゲレンデは8階、止めた駐車場は3階だった(1、7、6、5、4階にゆく)。ゆっくり着替えをしてスキー場発6時前。ガソリンが無かったのでGSに向かい、それから川場温泉ふれあいの湯というのに行く。一日券で250円。古くて狭くて混んでるが、ハーフ露天あり。悪くない。温泉を出ると外はもう真っ暗。
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