白山 北陸の霊峰、三峰周遊と滑走
石川県 2,702m 2007年5月11日~12日(山小屋1泊)
(御前峰2,702m、大汝峰2,684m、剣ヶ峰2,677m)
日本百名山
58
名山一人旅
私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ずっと下から見えていた二本の細い柱の一本には、「白山頂上」と書いてある。では、ここが頂上なのだ。もう一方の柱には「御前峰」。ついにあこがれの白山頂上についたのだ。もう夕方6時を過ぎていた。「日本百名山」で何度も読み、身近に感じていた、あこがれの白山の頂上についに到達し、万感の思い。
さっきまで明るかった太陽が西の雲間にかかり、夕日の空の色に変わる頃、頂上直下から室堂まで滑走。途中で止まって斜面の向こうの夕日を眺める。美のひとしずく。室堂に着き、夕日になりそうな青空の御前峰を見上げる。これも白山で見た美しい景色の一つ
翌日、雪の三峰を巡り、剣ヶ峰頂上では思いがけず、色刷りの頂上標識に出会う。山に登った時、最高峰以外のピークにも登りたくなるのは私だけではないだろう。道のないピークにある手作りの頂上標識はそんな山好きの夢のあと。
大汝峰に登り、振り返ってみる御前峰と剣ヶ峰は、日本百名山の文庫本の写真と同じ構図になっていた。初めて見たのだが、昔馴染みの風景に出会ったような気がした。
エコーラインの斜面は確かにかなりの急傾斜。前日、苦労して登ってきた雪斜面を軽快に滑走、と言いたいところだが、三峰巡りでだいぶ疲れていた上に、重いザックを担いでいたため、数ターン滑ってはしばらく休憩。一息つきながら写真をとりつつのんびり滑っていると、歩いて降りている人が追いついてくる。あっちの方が元気が良さそうだ。
苦労して登って頂上に到達する喜び、山の上を巡って思いがけない発見をする喜び、雄大な眺望、そして開放的な大斜面の滑走、白山には、山登りの魅力が満ちていた。
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(D1)
さて、自転車を出し、ザックにスキーとストックを付け、スキー靴をコンビニ袋に入れて自転車のハンドルに掛け、出発。自転車をこいだのは全体の1割くらいで、ほとんどは押して歩く。最初は後方(東)に大長山が見える。眼下には手取川上流の砂防ダムがたくさん並んでいる。
やがて別当出会に着き、自転車を置き、スキー靴をはいて吊橋を渡る。ガイドでは5月連休初めなら、吊橋を渡ったところから雪、シールと書いてあったが、今回は全く雪無し。淡々と夏道を歩く。
中飯場に着き、大長山の左手に赤兎山、前方には前山の向こうの別山の稜線が少しみえてくる。中飯場を過ぎると残雪が出てきて、やがてべったりとなり、手頃なところでシールを貼る。
まだ風は感じないが、上は風があるようで、白いガスが稜線上を舞っている。雪はほどよい融け具合でシール・スキーに絶好の状態。歩くには時々踏み抜きがありそうで、歩きにくいだろう。
雪斜面を登っていくと後の視界が開け、登ってきた谷とくねくね続く車道が遠く見える。しかし、目の前の稜線を登るルートが分からなくなる。
「斜面をトラバースして途中でエコーラインに入るが、切替場所が分かりにくい」というガイドの説明に従い、スキーを外してザックに取り付け、右手の尾根を越える。枝につかまって無理やり登り、尾根の上に出ると、果たして向こう側に雪原がある。
エコーライン斜面に出たところで座って休憩。眺めはすばらしく、別山が正面に見える。急斜面をシールでカットを切りながら登っていくと、雪原の丸いオーバーハングの上に青い空。
まず、御前峰の頂上部分が見える。それから、広い雪原が見えてきた。雪原の真ん中に指導旗が立てられており、それを辿る。斜面を登って左側から室堂に到着。「白山荘」は大広間の三階建。一番奥のまだ明るいところにザックを置き、隣の室堂センターで受付。軽装で雪原を真っ直ぐ頂上に向かい、雪の上から岩場に上がる。
ずっと下から見えていた二本の細い柱の一本には、「白山頂上」と書いてある。では、ここが頂上なのだ。もう一方の柱には「御前峰」。ついにあこがれの白山頂上についたのだ。もう夕方6時を過ぎていた。「日本百名山」で何度も読み、身近に感じていた、あこがれの白山の頂上についに到達し、万感の思い。富士山、立山と並ぶ日本三霊山のひとつであり、富士山と日本アルプスと八ヶ岳の次に高い2,702mもある山。日本百名山の著者、深田久弥の故郷の山である。
一等三角点に初めて見る剣ヶ峰と大汝峰。立派な社にお参りし、方位盤のところにいって周囲を眺める。南には別山とその左奥に大日、東には室堂、西には三方崩山。東南の遠くに御岳がぼんやり見えていた。
さっきまで明るかった太陽が西の雲間にかかり、夕日の空の色に変わる頃、頂上直下から室堂まで滑走。風で雪がクラストしているので、慎重に滑り、途中で止まって斜面の向こうの夕日を眺める。美のひとしずく。室堂に着き、夕日になりそうな青空の御前峰を見上げる。これも白山で見た美しい景色の一つ
山小屋の一夜は寒かったが、ウイスキーのお湯割りを何杯か飲み、毛布をたくさんかぶって寝る。夜中にトイレに起きると、満天の星。天の川がかかり、東の空にサソリ座が見える。その上の明るい星は射手座(のアンタレス?)かなあ。北の空には北斗七星。他の星も同定したかったが、寒くて断念。
(D2)
5時頃には明るくなり、窓から日が射しこむ。稜線が見えているので、晴のようだ。だが、間違いなくアイスバーンだろうから、しばらく寝て待ち、6時過ぎに起きる。
室堂の、半分雪に埋まった大きな社と鳥居を拝んでから御前峰に向かう。前日は雪の上をシールで登ったが、この日は雪の消えた夏道を歩く。青石というのがあり、天上界と地上の境界とある。四周を見ると、地平線には薄く雲がかかっており、下は曇で山の上のみ雲の上で晴れているようだ。いい気分。
頂上に昨日とは反対側から着き、社にお参りし、方位盤のところで四周の山々の同定を楽しむ。まず、東の空に北アルプスが並ぶ、南から御岳、乗鞍、穂高・槍、黒岳から薬師、そして立山と剣。その下に人形と三方岩、猿と三方崩。北には剣ヶ峰の真上に笈と大笠が並ぶ。剣ヶ峰の頂上部分は雪がないが、頂上標識の柱が見えるので、岩場を登ろう。
南に目を転ずれば、別山の稜線の左に大日。これは間違いない。しかし右にくっついて見える縦長の稜線は野伏ヶ岳だと思うが、方位盤には名前は見えない。南西では大長山が目立つが、その左にあるのが赤兎岳、奥が経ヶ岳、左奥に霞んでいるのが荒島岳らしい。荒島の名前も方位盤にはなく、能郷白山の名前があるが、更に遠い山陰だろう。
剣ヶ峰に向けて滑降。結構な急斜面なので東側に急傾斜をトラバースし、剣ヶ峰の基部に滑り込む。大きな岩の手前でスキーを置き、そこから岩登り。小さな雪原斜面をアイゼンで登り、最後に岩を登って頂上到達。剣ヶ峰頂上では思いがけず、色刷りの頂上標識に出会う。山に登った時、最高峰以外のピークにも登りたくなるのは私だけではないだろう。道のないピークにある手作りの頂上標識はそんな山好きの夢のあと。
剣ヶ峰を下り、大汝の西の基部に滑り降り、アイゼンに替えて登り始める。オーバーハングの上に出ると陣地のような頂上社を囲む石壁が見えてくる。振り返ってみる御前峰と剣ヶ峰は、日本百名山の文庫本の写真と同じ構図になっている。初めて見たのだが、昔馴染みの風景に出会ったような気がした。石壁の東側にザックを下ろし、社にお参り。少し離れたところに小さな避難小屋がある。大汝の頂上は御前や剣ヶ峰と違って広くて平である。
東の空の北アルプスがさっきよりもくっきり見えており、何度も写す。その手前の笈もずいぶん近く感じ、登頂ルートを検分。ブナオ山というのはあれかなあ。西には別山の主稜線の手前に登ってきた砂防新道の尾根、その対面が観光新道の尾根、その更に手前が白山釈迦岳の尾根だろうか。北の稜線は中宮からの七倉尾根と、その右の三方岩山への稜線。東には大倉尾根と大倉山らしき低い峰。しばらく雄大な眺望を楽しむ。
お茶の残りを飲み干し、スキーを履いて滑降。火口に下り、ビンディングを外してほぼ同じルートを辿って御前峰の東肩の下まで歩き、アイゼンに替えて登り始める。眼下に雪に埋まった池。東肩に上がると、歩いている人がいる。本日見る初めての人。大汝に行くのかと思ったらこちらに登ってきて、御前峰頂上に行ってしまった。室堂を経由しないほうが早いのかな。
さて、昨日と同じく頂上雪原のトップでスキーをはいて滑降。室堂方面を見ると、建物のあたりや斜面を登っている人が何人か見える。頂上雪原を滑り降り、少しハイ松の上を歩き、広がった雪面を滑って室堂に到着。白山荘に戻り、残してきた荷物をザックに入れ、最後の滑走に向かう。
調子よく下の大雪原目指して滑る。さっきのスキーヤーはもう大雪原にも見えないが、これから下りようとしている男性が一人。大雪原を歩いて横断してエコーラインの尾根まで行くと、傾斜が出てきて滑りだす。
昨日の尾根乗越地点を過ぎて滑降。やがてスキートレースは尾根に向かい、ヤブひとまたぎ程度の乗越点があった。これなら簡単だ。ガイドにはハイライトとされていたエコーラインの斜面だが、確かにかなりの急傾斜。前日、苦労して登ってきた雪斜面を軽快に滑走、と言いたいところだが、三峰巡りでだいぶ疲れていた上に、重いザックを担いでいたため、数ターン滑ってはしばらく休憩。一息つきながら写真をとりつつのんびり滑っていると、歩いて降りている人が追いついてくる。あっちの方が元気が良さそうだ。
別当覗きという標識を過ぎ、ますます減ってきた雪面をすべり、いくつかヤブをかわし、もうこれ以上は無理というところでスキーを外し、滑走終了。
夏道で休んでいる男性。下りなので登りのときより全然楽だが、スキー靴なのでスピードは出せない。特に岩があるとバランスとるのに苦労。山道のカーブを曲がったところで吊橋が見え始め、九十九折を下っていってついに吊橋の正面に達する。吊橋を渡りながら白山を見ると、正面に下ってきたエコーラインの雪面が見えている。
別当出合に到達し、自転車のところでザックを下ろし、靴をスニーカーに履き替えて出発。快調に自転車を飛ばし、20分弱で市ノ瀬に到着。
山登りの魅力、苦労して登って頂上に到達する喜び、山の上を巡って思いがけない発見をする喜び、雄大な眺望、そして開放的な大斜面の滑走、白山にはそれらすべてがあった。
D1
市ノ瀬ゲート
さて、自転車を出し、ザックにスキーとストックを付け、スキー靴をコンビニ袋に入れて自転車のハンドルに掛け、出発。自転車をこいだのは全体の1割くらいで、ほとんどは押して歩く。最初は後方(東)に大長山が見える。眼下には手取川上流の砂防ダムがたくさん並んでいる。
細谷川と南尾根、大屏風
別当出合
やがて別当出会に着き、自転車を置き、スキー靴をはいて吊橋を渡る。ガイドでは5月連休初めなら、吊橋を渡ったところから雪、シールと書いてあったが、今回は全く雪無し。淡々と夏道を歩く。
吊橋と大長山
別当覗き付近、シール
中飯場に着き、大長山の左手に赤兎山、前方には前山の向こうの別山の稜線が少しみえてくる。中飯場を過ぎると残雪が出てきて、やがてべったりとなり、手頃なところでシールを貼る。
2,345m峰とエコーライン
まだ風は感じないが、上は風があるようで、白いガスが稜線上を舞っている。雪はほどよい融け具合でシール・スキーに絶好の状態。歩くには時々踏み抜きがありそうで、歩きにくいだろう。
雪斜面を登っていくと後の視界が開け、登ってきた谷とくねくね続く車道が遠く見える。しかし、目の前の稜線を登るルートが分からなくなる。
「斜面をトラバースして途中でエコーラインに入るが、切替場所が分かりにくい」というガイドの説明に従い、スキーを外してザックに取り付け、右手の尾根を越える。枝につかまって無理やり登り、尾根の上に出ると、果たして向こう側に雪原がある。
パノラマ1:別山
エコーライン斜面に出たところで座って休憩。眺めはすばらしく、別山が正面に見える。急斜面をシールでカットを切りながら登っていくと、雪原の丸いオーバーハングの上に青い空。
エコーライン
見えてきた御前峰
まず、御前峰の頂上部分が見える。それから、広い雪原が見えてきた。雪原の真ん中に指導旗が立てられており、それを辿る。斜面を登って左側から室堂に到着。「白山荘」は大広間の三階建。一番奥のまだ明るいところにザックを置き、隣の室堂センターで受付。軽装で雪原を真っ直ぐ頂上に向かい、雪の上から岩場に上がる。
御前峰
弥陀ヶ原と御前峰
パノラマ2:弥陀ヶ原・中央に室堂の建物・背後に別山
御前峰の祠
ずっと下から見えていた二本の細い柱の一本には、「白山頂上」と書いてある。では、ここが頂上なのだ。もう一方の柱には「御前峰」。ついにあこがれの白山頂上についたのだ。もう夕方6時を過ぎていた。「日本百名山」で何度も読み、身近に感じていた、あこがれの白山の頂上についに到達し、万感の思い。富士山、立山と並ぶ日本三霊山のひとつであり、富士山と日本アルプスと八ヶ岳の次に高い2,702mもある山。日本百名山の著者、深田久弥の故郷の山である。
御前峰頂上
一等三角点に初めて見る剣ヶ峰と大汝峰。立派な社にお参りし、方位盤のところにいって周囲を眺める。南には別山とその左奥に大日、東には室堂、西には三方崩山。東南の遠くに御岳がぼんやり見えていた。
パノラマ3:御前峰から見る大汝峰と剣ヶ峰
大汝峰
夕日
さっきまで明るかった太陽が西の雲間にかかり、夕日の空の色に変わる。頂上直下から滑走。風で雪がクラストしているので、慎重に滑る。途中で止まって斜面の向こうの夕日を眺める。美のひとしずく。
室堂に着き、夕日になりそうな青空の御前峰を見上げる。これも白山で見た美しい景色の一つ
山小屋の一夜は寒かったが、ウイスキーのお湯割りを何杯か飲み、毛布をたくさんかぶって寝る。夜中にトイレに起きると、満天の星。天の川がかかり、東の空にサソリ座が見える。その上の明るい星は射手座(のアルテミス?)かなあ。北の空には北斗七星。他の星も同定したかったが、寒くて断念。
D2
朝の室堂・大鳥居と御前峰
5時頃には明るくなり、窓から日が射しこむ。稜線が見えているので、晴のようだ。だが、間違いなくアイスバーンだろうから、しばらく寝て待ち、6時過ぎに起きる。
室堂の、半分雪に埋まった大きな社と鳥居を拝んでから御前峰に向かう。前日は雪の上をシールで登ったが、この日は雪の消えた夏道を歩く。青石というのがあり、天上界と地上の境界とある。四周を見ると、地平線には薄く雲がかかっており、下は曇で山の上のみ雲の上で晴れているようだ。いい気分。
別山
パノラマ4:別山
パノラマ5:荒島岳、赤兎山、経ヶ岳、大長山、取立山?
北アルプス、槍・穂高
頂上に昨日とは反対側から着き、社にお参りし、方位盤のところで四周の山々の同定を楽しむ。まず、東の空に北アルプスが並ぶ、南から御岳、乗鞍、穂高・槍、黒岳から薬師、そして立山と剣。その下に人形と三方岩、猿と三方崩。北には剣ヶ峰の真上に笈と大笠が並ぶ。剣ヶ峰の頂上部分は雪がないが、頂上標識の柱が見えるので、岩場を登ろう。
南に目を転ずれば、別山の稜線の左に大日。これは間違いない。しかし右にくっついて見える縦長の稜線は野伏ヶ岳だと思うが、方位盤には名前は見えない。南西では大長山が目立つが、その左にあるのが赤兎岳、奥が経ヶ岳、左奥に霞んでいるのが荒島岳らしい。荒島の名前も方位盤にはなく、能郷白山の名前があるが、更に遠い山陰だろう。
一等三角点
剣ヶ峰頂上
剣ヶ峰に向けて滑降。結構な急斜面なので東側に急傾斜をトラバースし、剣ヶ峰の基部に滑り込む。大きな岩の手前でスキーを置き、そこから岩登り。小さな雪原斜面をアイゼンで登り、最後に岩を登って頂上到達。思いがけず、色刷りの頂上標識に出会う。山に登った時、最高峰以外のピークにも登りたくなるのは私だけではないだろう。道のないピークにある手作りの頂上標識はそんな山好きの夢のあと。
剣ヶ峰のケルン
大笠山と笈ヶ岳
パノラマ6:剣ヶ峰から見る御前峰
パノラマ7:剣ヶ峰から見る大汝峰と北尾根:大汝峰、大笠山、三宝岩山、野田荘司山
三方岩岳、野田荘司山、妙法山
パノラマ8:三峰を見上げる。火口中央から周囲を撮影したものの合成。
実際には右端の大汝峰は中央の御前峰と向かい合っている
剣ヶ峰
パノラマ9:大汝峰から見る御前峰と剣ヶ峰
剣ヶ峰を下り、大汝の西の基部に滑り降り、アイゼンに替えて登り始める。オーバーハングの上に出ると陣地のような頂上社を囲む石壁が見えてくる。振り返ってみる御前峰と剣ヶ峰は、日本百名山の文庫本の写真と同じ構図になっている。初めて見たのだが、昔馴染みの風景に出会ったような気がした。
人形山、三ヶ辻山、三方岩岳、野田荘司山
猿ヶ馬場山?
奥三方岳
パノラマ10:大笠山、笈ヶ岳、野田荘司山、猿ヶ馬場山、奥三方岳
大汝峰の祠
石壁の東側にザックを下ろし、社にお参り。少し離れたところに小さな避難小屋がある。大汝の頂上は御前や剣ヶ峰と違って広くて平である。
大汝峰頂上
東の空の北アルプスがさっきよりもくっきり見えており、何度も写す。その手前の笈もずいぶん近く感じ、登頂ルートを検分。ブナオ山というのはあれかなあ。西には別山の主稜線の手前に登ってきた砂防新道の尾根、その対面が観光新道の尾根、その更に手前が白山釈迦岳の尾根だろうか。北の稜線は中宮からの七倉尾根と、その右の三方岩山への稜線。東には大倉尾根と大倉山らしき低い峰。しばらく雄大な眺望を楽しむ。
千蛇ヶ池
お茶の残りを飲み干し、スキーを履いて滑降。火口に下り、ビンディングを外してほぼ同じルートを辿って御前峰の東肩の下まで歩き、アイゼンに替えて登り始める。眼下に雪に埋まった池。東肩に上がると、歩いている人がいる。本日見る初めての人。大汝に行くのかと思ったらこちらに登ってきて、御前峰頂上に行ってしまった。室堂を経由しないほうが早いのかな。
御前峰と弥陀ヶ原
さて、昨日と同じく頂上雪原のトップでスキーをはいて滑降。室堂方面を見ると、建物のあたりや斜面を登っている人が何人か見える。頂上雪原を滑り降り、少しハイ松の上を歩き、広がった雪面を滑って室堂に到着。白山荘に戻り、残してきた荷物をザックに入れ、最後の滑走に向かう。
調子よく下の大雪原目指して滑る。さっきのスキーヤーはもう大雪原にも見えないが、これから下りようとしている男性が一人。大雪原を歩いて横断してエコーラインの尾根まで行くと、傾斜が出てきて滑りだす。
エコーラインの滑走
昨日の尾根乗越地点を過ぎて滑降。やがてスキートレースは尾根に向かい、ヤブひとまたぎ程度の乗越点があった。これなら簡単だ。ガイドにはハイライトとされていた斜面だが、確かにかなりの急傾斜。前日、苦労して登ってきた雪斜面を軽快に滑走、と言いたいところだが、三峰巡りでだいぶ疲れていた上に、重いザックを担いでいたため、数ターン滑ってはしばらく休憩。一息つきながら写真をとりつつのんびり滑っていると、歩いて降りている人が追いついてくる。あっちの方が元気が良さそうだ。
甚之助小屋付近の滑走
別当覗きという標識を過ぎ、ますます減ってきた雪面をすべり、いくつかヤブをかわし、もうこれ以上は無理というところでスキーを外し、滑走終了。
夏道で休んでいる男性。下りなので登りのときより全然楽だが、スキー靴なのでスピードは出せない。特に岩があるとバランスとるのに苦労。山道のカーブを曲がったところで吊橋が見え始め、九十九折を下っていってついに吊橋の正面に達する。吊橋を渡りながら白山を見ると、正面に下ってきたエコーラインの雪面が見えている。
別当出合
別当出合に到達し、自転車のところでザックを下ろし、靴をスニーカーに履き替えて出発。快調に自転車を飛ばし、20分弱で市ノ瀬に到着。
山登りの魅力、苦労して登って頂上に到達する喜び、山の上を巡って思いがけない発見をする喜び、雄大な眺望、そして開放的な大斜面の滑走、白山にはそれらすべてがあった。
白山遠望
大日ヶ岳頂上から見た白山(中央左:別山、中央右:御前峰、、手前は大日如来像(2007年3月17日)
金剛堂山からの初秋の白山(左から御前峰、剣ヶ峰、大汝峰)(2006年10月9日)
野伏ヶ岳から見る白山(2007年3月23日)
黒部五郎から見る白山(2007年4月29日)
穂高岳から見る白山(2005年5月3日)