妙義山     奇岩と景勝の殿堂、緊張の表妙義縦走

群馬県  1,104m  2008年10月4日

(表妙義・北陵・白雲山: 相馬岳1,104m、天狗岳1,084m)

(表妙義・南稜・金洞山: 東岳1,094m、中之岳1,080m、鷹戻1,050m)

日本二百名山

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名山一人旅

私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。

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ヘルメットとロープを持って表妙義の主稜線を歩く。それはまさに奇岩と景勝の殿堂。(*)

西遊記にでもでてきそうな針のような岩峰は金洞山。なんとも現実離れした景観。その一つ一つの岩峰(鷹戻、東岳、中之岳、西岳、星穴岳)にも個性がある。

下から見上げる北陵・白雲山は緑の林の上に立つゴツゴツした岩峰。それらの岩峰(天狗岳、相馬岳)の間の垂直に近いギャップに下り、登り返して越えていく。

北陵の最高峰・相馬岳は樹林に覆われた重厚な岩峰。

鷹戻は南陵・金洞山の門番。それは頭上に途方もなく高く出現し、鷹も戻ってしまう迫力。

中之岳の二つ目のピーク(金洞P6)の先に白い祠。するとここが中之岳なのだろう。

垂直に近いギャップや針のような岩尾根に設けられたルートを時間をかけ、慎重に越えていく。中之岳から降りて周回を終え、張りつめていた緊張感から解放され、ぐったり。

この後、道の駅までは、ぶらぶらと気楽な車道歩き。

 西遊記にでもでてきそうな針のような岩峰、金洞山(左から東岳、西岳、星穴岳。東岳の手前が鷹戻、中之岳は東岳の奥に重なっている)
 緑の林の上に立つゴツゴツした岩峰、北陵・白雲山
大のぞきを下る長い鎖
 樹林に覆われた重厚な岩峰、相馬岳
 鷹も戻ってしまう迫力の「鷹戻」
中之岳の二つ目のピーク(金洞P6)の先に白い祠。するとここが中之岳なのだろう。
リンドウ
  6:55 道の駅妙義発  7:48 「大」の字  8:45 見晴(ビビリ岩)・・・主稜線に出る  9:23 大のぞき10:00 天狗岩(天狗岳)1,084m10:42 相馬岳1,104m・・・表妙義・最高地点・・・・・登り3時間47分12:19 堀切(ホッキリ)13:40 鷹戻1,050m14:27 東岳1,094m・・・金洞山・最高地点14:59 中之岳1,080m15:58 見晴台16:16 中之岳神社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・縦走片道9時間21分17:45 道の駅妙義(車道を歩いて戻る)・・・・周回10時間50分

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ついに妙義に登る日がやってきた。雪山と沢山の次は妙義と鋸。岩山に向かう。このところ使っている佐野藤岡インターで降りて太田桐生、関越に入り、長野道の松井田妙義インターで降りる。まだ6時前で、白雲・相馬の左に傾いた姿が黒々と浮かぶ。白雲の真下にある道の駅妙義に入り、車の中で夜明けを向かえ、朝食をとる。準備をして出かけるときにはもう明るくなっていて、やっぱり出遅れたか、と思う。どんなかっこうで行くか少し迷ったが、ヘルメットにハーネスを着け、ロープとヤッケを小ザックに入れていく。表妙義を縦走するのが最終目標だが、表の最高峰、相馬岳に登るのが第一の目標。

民家の屋根の上、緑の林の上に聳える表妙義の北稜・白雲山はゴツゴツした岩峰。中腹に「大」の字が小さく見えている。車道を北に少し戻り、妙義神社の大きな鳥居をくぐる。正面に白雲だが、電線がたくさん手前にかかっている。神社の階段を登り、「白雲山」の鳥居をくぐり、登山道に入る。「登山者専用道路」の表示のところに登山者カード入れあり。軽装の男性が一人、先に登っていく。7時半に最初の長い鎖(たいしたことはない・・・・・いやいや、少し骨のある鎖だな)を登りきり、「大」の字のところに到着。下から見ると小さいが、傍らに立つとでっかい「大」の字。「ここより一般登山者禁止」の看板が立っている。「大」の字の立つ大きな岩の上に鎖を伝って登る。真っ青な快晴に白雲の山稜はまだはるか高い。薄上着とウォーキング・スティックをザックにしまう。ここからはヘルメットとロープを持って表妙義の主稜線を歩く。それはまさに奇岩と景勝の殿堂だった。(*)

戻ってトラバース路を少し行った先に「辻」の標識。「第一見晴」に下る分岐点であることを岳人特集マップで確認。このマップには黄色マーカーで相馬山のところからタルワキ沢を下るルートを記している。時間がかかるようならこのルート。鎖を登った先に奥の院。岩の洞窟の梯子を登ったところに「白雲山妙義大神」の石標。戻って垂直の鎖を登る:「3連30mの直立した鎖」。登る途中で奥の院の中が見える場所がある。鎖を登りきったところで最初の休憩。垂直の鎖を登って体力を消耗した。

奥の院を過ぎ、鎖6を登っていくと(「7m外傾鎖」)、迫力の岩峰が並んでいるのが見えてくるが、それは南東にある金渓山と筆頭岩だった。この先、何度もながめ、何度も写す。856mしかないが、迫力の岩峰が並び、登山禁止。白雲の稜線はまだ頭上だが、頭上を鷹が舞い、足元にはアザミの花。鎖場を登り、稜線上の「見晴」(ビビリ岩というらしい)に着くと西の裏妙義が見える。奇岩奇勝の見事な造形。丁須ノ頭、赤岩、烏帽子岩が並んでおり、その背景に浅間山。丁須ノ頭の岩峰の上に小さくT字の丁須が見える。西に大きく離れて谷急山だが、奇岩が並ぶ妙義のなかで谷急のみが普通の山に見える。まだ紅葉を楽しむ余裕。あまりにたくさんの岩峰が目に入り、最初はどれがどれだか分からず。すぐ西隣に低く見えているのは妙義富士らしい。登山ルートはなし。妙義富士の尾根は表妙義の稜線と平行しており、その向こうに裏妙義が見えている。そして北には松井田の街並に上信越自動車道が間近に見える。ずいぶん町に近い。妙義富士との間は沢登りコースの大沢だが、上からは底まで見えない。

鎖8を登って白雲P1に出る。東側が再び見え、切り立った崖の真下に人家や駐車場が見える。行く手に更に高いピークが見え、相馬岳かと思ったが、天狗岳だったようだ。進んでいくうちに玉石に着くが、この手前に白雲の山頂標識があったらしい。目立たないらしく、気付かなかった。また鶏冠山が見え、天狗岳の垂直の崖の向こうに金洞山の一角が見えている。いったんコルに下る。先のピークが相馬岳だと思い違いをしていて、コルにタルワキ沢への分岐表示があるはずだと思っていたが、もちろんなかった。登り返したところが「大のぞき」で、石標やらがたくさんある。「御岳三社大神」の石標があり、行く手には天狗岳の頂上が平らな垂直岸壁。とてつもなく豪快。

「大のぞき」の長い鎖をコルに下り(「スベリ台状30mの鎖」)、天狗岳に登り返す。途中で振返ると、「大のぞき」の鎖を下っている人を発見。その背後に妙義富士の岩峰が見えている。最初の天狗のピークの上に立つ。草木の生えた土がめくれて岩がむき出しになっている。岩尾根の少し西側の登山道に戻り、次のピークに「天狗岩」の標識。ここが天狗岳なのだろう。後で大のぞきの鎖を下っていた男性は、景色を写している間に登山道を先に行ってしまった。その先の天狗P3から表妙義・最高峰の相馬岳の樹木に覆われた重厚な姿が谷向こうに見える。天狗の垂直よりもやや傾斜があるが、少し高そうだ。主稜線は西に大きくくびれており、谷急と裏妙義が正面に見える。

コルに下ると、まず「大沢コース、危険立入禁止」の標識があったが、タルワキ沢への分岐標識も健在。相馬岳に登り、先に進めなければ、ここに戻って下ればよい。両側が岩壁になっている狭い空間に踏跡が下っている。相馬岳に登り返し、最初のピークから天狗の垂直壁を振り返る。相馬岳への登り返しは妙義と思えない広い林の中の道で、木々に囲まれた頂上1,104mに着く。男性二人の先客。大きな三角点。そして、南の主稜線の先に金洞山の印象的な岩峰が立っている。西遊記にでもでてきそうな針のような岩峰。なんとも現実離れした景観。その一つ一つの岩峰(鷹戻、東岳、中之岳、西岳、星穴岳)にも個性がある。最前列の鷹戻は東岳の手前、中之岳は東岳の奥に重なっていて、ここから見る南陵・金洞山は東岳、西岳、星穴岳の三つのピークに見える。金洞の背後に遠く見えているのは荒船山だろうか。

男性二人は金洞山のほうへ出発。二人はヘルメットもなしの軽装。頂上で休憩しどうするか考えたが、ここまで4時間弱は予想以上に早い。日没の18時までまだ7時間あるし、中之岳神社から駐車場までの戻りは暗くなってもヘッドランプで歩けるだろう。縦走路に向かって出発。いったん茨(ばら)尾根への下りとなり、視界のない細尾根のアップダウンを進む。薄紫のリンドウ。P4に西の国民宿舎への分岐表示あり。そこから急な下りとなり、木の枝を伝って降りていく。鎖もロープもない岩場に出てロープを初めて使う。ロープなしでもなんとかなりそうだが、ロープがあれば時間はかかるが安心感がある。岩場の沢沿いのルートになって更に下り、茨(ばら)尾根に登り返すあたりで休憩。

茨尾根は視界のない細尾根のアップダウンで、ホッキリ(堀切)表示の手前の茨尾根ピーク(P2)が視界良好の展望所であった。ひょっこり視界良好の展望所に出ると、相馬岳のやや右に傾いた巨体が後にそびえ、真横に金鶏山、そして鷹戻のピークが近くに迫っている。鷹戻は南陵・金洞山の門番。それは頭上に途方もなく高く出現し、鷹も戻ってしまう迫力。ここからも金洞山は三つのピークだが、東岳が鷹戻の向こうに隠れている。西には裏妙義。烏帽子岩の手前に風穴尾根が見えており、三方境から谷急が近くに見える。茨尾根の展望所から下ると視界は無くなり、堀切(ホッキリ)に着く。ここも下山する分岐点で、一般登山者禁止の看板:「この先、滑落等の事故が多くあり危険ですので、技術・体力に自信のない方は引返して下さい」とある。そして「鷹戻」の表示の先に岩尾根の急な上り坂が現われる。

しかしこの鎖のアップダウンはまだ茨尾根の一部で、茨P4で鷹戻の垂直のピークを見上げる。これも実に印象的。鎖のトラバースを伝って(「岩根沿いの外傾バンド8m」「鎖トラバース15m」)茨P5、その先のコルに「女坂」分岐表示がある。「国民宿舎」「星穴沢橋」という表示もあるが、国民宿舎の前の橋のところに出るのだろう。その先に更なる注意表示「この先、鷹戻し付近滑落死亡事故が多発しています。上級者でも非常に危険な箇所です。ザイル等の装備のない方は登山を自粛してください」とある。先の二人、その前の男性はどうしたのだろう。ホッキリか女坂で降りたのか、それとも前進したのか。ザイルを持っている私としては、前進。

相馬岳から見た、針のような岩尾根に設けられたルートに向かう。女坂分岐から鷹戻までは1時間かかり、その間にピークが二つ。急な岩場を登り降りし、鷹戻、そして東岳の複数のピークを時間をかけ、慎重に越えていく。最初のピークの次から鎖、梯子の連続となる:「数連の鎖と数段のハシゴ計50m」。金洞P2の手前で視界が開け、背後には大きな相馬岳の手前に今越してきた金洞P1。西には谷急山が近く、その手前に白いP2の砲弾、その右に連なるP1が見えている(ただしこれは後で写真で確認したもので、その時にはなだらかな山稜しか目に入っていなかった)。東にはやや低く、金鶏山と筆頭岩が縦位置になっている。山腹に見える赤い屋根は何だろう。垂直の鎖、梯子、また垂直の鎖と登り、視界が更に開ける。青い花はリンドウだろうか。行く手にほぼ同じ高さになった金洞の4つのピーク(鷹戻、東岳、西岳、星穴岳。中之岳は東岳の後で見えない)が並び、P2に着く。

ほぼ同じ高さになった相馬岳はどっしりした土台の上に多面の岸壁が積み重なっているように見える。頂上直下の岸壁は垂直。手前に赤い紅葉。東の眼下には金鶏の南の車道のそばに赤い建物(国定公園管理事務所?)と大きな駐車場。前に見た赤い建物はやや遠くなった。13時40分、鷹戻に着く。東西に長い頂上尾根の真ん中にロープと鎖の垂直の下り口が続いている。頂上尾根の東端からは、東にややオーバーハングしているP2と、その後の相馬岳。東の眼下には赤い屋根の駐車場と、もっと南にもっと大きな大駐車場が見える。東岳は間近になり、その右後に西岳と岩峰だらけの星穴岳が並ぶ。

垂直のルンゼは鎖があるが、ひどく下りにくい:「ルンゼ内、2段25mの鎖」。一応、ロープも使うが、足場の確保がポイントのようだ。腕力のみで全体重を支えるのは避け、足場で体重を支えるようにする。直立せずに、身体を「く」の字にして足場をつくるのがよいようだが、ふらつかないように片手を鎖から離して壁を押したくなる。片手の鎖は危ない。こうなると、ハーネスに通したロープが心の頼り。なんとか無事に登山道に下りると、ヤッケの忘れ物。下まで届けようと思ってザックに詰める(失敗だった)。東岳への登り返しのところに、「第四石門」の表示あり。すぐ近くなのかなと行ってみるところだったが、もう14時を回っていたので止めておく(これは正解。第四石門までいってると、中間道まで降りてしまう)。

草むらの坂を東岳に着く直前、東の眼下に大砲岩と見晴台と小さな人影が見える。ロープを首にひっかけたままここまで歩いてきた。東岳からの下りに備える:「2段のやせた直立岩場5m、鎖無く、初心者、要ザイル」。そして東岳の頂上。背後に鷹戻の二重ピークとその後の相馬岳。鷹戻の側面は少しオーバーハングしてるくらいで、頂上に草むらがあるとは思えない。この東岳も似たような造りかな。頂上の南側の10mくらい下にハトが止まっている。行く手にようやく中之岳が見える。鷹戻と似たような東側が垂直で頂上が草むらの岩峰。それほど印象的ではない。西岳のほうが横幅があって立派に見える。

さて、プラン時点から準備していた東岳からの垂直に近い下り、「2段のやせた直立岩場5m、鎖無く、初心者、要ザイル」にかかる。確かに鎖も固定ロープもなく、木の枝もないので、どうやって降りたらいいのか難しい。鷹戻の垂直岩場ではないが、草や小枝をつかんで降りるしかなかろう。だが、首にかけたロープがある。木の枝にロープをひっかけ、悠々と懸垂下降。このくらいは軽い、軽い。下りきってロープを回収。コルから見上げる東岳はギザギザの岩尾根と草木の緑がなかなか見事。固定ロープを伝い、中之岳の一角のピークに立つ。ギザギザの東岳が大きく、鷹戻も相馬岳も見えない。よって、鷹戻や相馬岳から中之岳は見えない訳だ。ここから先、西岳と星穴岳方面は立入禁止なので、ここで中之岳神社に下る。はるか眼下の展望台に芥子粒のような人たちが立っているのに気付く。それはなにやら、別世界から見下ろしているような感じ。

中之岳の二つ目のピーク(金洞P6)の先に白い祠。するとここが中之岳なのだろう。頂上尾根はやや西に向かい、そこからは西岳が谷向かいにそびえる。西岳のふところに曲がりくねった細尾根が見えるが、あれが登山道だろうか。きつそうなルート(立入禁止だった)。そしてギザギザの東岳の頂上尾根の上に相馬岳がわずかに見える。さて、中之岳で休憩をとり、最後の下りにかかる。もう15時を回った。「急な2段の鎖」をロープも使ってゆっくり下る。展望台に三人立っているのが見える。大駐車場にも車が10数台。

コルへの途中まで下って振り返ると、中之岳の頂上が岩屏風のように直立しており、その中央に下ってきた長い鎖が見えている。さらに固定ロープ付きのトラバースをゆっくり下り、コルに到着して休憩。コルの向かいは西岳のはずだが、ロープで遮断されており、「一般登山者は登らないでください」の古い表示。大きな岩の左に曲がって中之岳神社へ下る道となっている。主稜線の縦走を終え、張りつめていた緊張感から開放され、ぐったり。

鎖を伝ってコルから下る。見上げると二つの岩壁の間に空と木の葉が見えている。急な坂を下っていくと次第に岩場から歩きやすい道になっていく。大きな一般登山者禁止の標識や登山カード入れが並んでいるところを過ぎ、第四石門、見晴台と中之岳神社の分岐に着く。見晴台には祠あり。頭上に聳えている岩屏風が中之岳のようだ。なかなか立派。左手には西岳が見えており、右手には東岳や鷹戻は見えず、相馬岳がわずかに見えている。すぐ目の前には小さな岩峰がたくさん生えている。どれが大砲岩なんだろう。木が生えているやつか、キノコのような低いやつか、東屋のそばの岩峰か(キノコかな)。

やがて若いアジア人の一行がやってきたので、帰途につく。もう16時となり、薄暗い。広い整備された階段を下り、簡素な中之岳神社に着く。無事下山のお礼を言い、左手に廻りこんで休憩。ペットボトルのお茶を飲む。家族連れがやってきて、また長い階段を下っていった。階段を下ると鳥居の手前に登山カード入れがある(夜中にここに戻ってきて、ヤッケを預けることになる)。鳥居を左に曲がると店に住居が並んでいる。ここで記念品を買っておくべきだった。住居の上にドラゴン・ボール・チックな金色の巨大な大黒天。更にその上に中之岳の岩屏風が見えている。大きな石鳥居をくぐり、車道に出る。中之岳神社から道の駅までは、ぶらぶらと気楽な車道歩き。

車道からは天を突く金鶏山の筆頭岩が見えていた。車道の左にも似たような岩峰がたくさん立っている。無料休憩所というのを過ぎ、駐車場を右手下に見て、一本杉のところで車道を離れる。車道は金鶏山の東側をまわっていくが、この道は西側をショートカットしていく。一本杉の休憩所からは筆頭岩は幅広に見える。大人場(おにんば)というところを過ぎ、再び車道に下る。行く手の左上方に見えている岩峰は相馬岳だろうか。やがて後方に金鶏山と針の筆頭岩が見えてくる。

もうだいぶ暗くなり、車道からパノラマパークの中を通って駐車場に下る。ウォーターコースターかな。車に戻り、国民宿舎裏妙義に電話してみたが、満室。車中泊にすることにし、車道に案内の出ていたもみじの湯に行く(500円)。温泉の人にヤッケを引き取ってもらおうと思ったが断られ、紹介してもらった交番に数km車を走らせたが誰もおらず、作戦変更してコンビニで夕食を買い込み、中之岳神社の登山者カードのところに置いておくことにする。妙義山神社のほうが近いが、登山者カードまで階段を登らないといけない。

夜になってスポーツカーが何台も車道を上がっていく。レースでもするんだろうか。巻き込まれたくないと思いながら中之岳神社に向かい、ヘッドランプをつけて登山者カードまで歩くと、犬が二匹飛び出してきてびっくり。駐車場に戻り、車中泊。道の駅の駐車場はスポーツカーでうるさいので、向かいの登山者用の駐車場にする。他にも何台かいて、テントを張ってるのもいる。翌日は谷急を目指す。ロープを持っていなければこの日の妙義縦走はできなかっただろう。充実の一日。

「岳人」の妙義山特集を事前に子細に調べておいたのが役に立った。この情報が無ければ登れなかっただろう。感謝。

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 (*)日本三大奇勝: 四国小豆島の寒霞渓、九州大分県の耶馬(やば)渓、群馬県の妙義山

白雲山(駐車場より)・・・・・民家の屋根の上、緑の林の上に聳えるゴツゴツした岩峰

ついに妙義に登る日がやってきた。雪山と沢山の次は妙義と鋸。岩山に向かう。このところ使っている佐野藤岡インターで降りて太田桐生、関越に入り、長野道の松井田妙義インターで降りる。まだ6時前で、白雲・相馬の左に傾いた姿が黒々と浮かぶ。白雲の真下にある道の駅妙義に入り、車の中で夜明けを向かえ、朝食をとる。準備をして出かけるときにはもう明るくなっていて、やっぱり出遅れたか、と思う。どんなかっこうで行くか少し迷ったが、ヘルメットにハーネスを着け、ロープとヤッケを小ザックに入れていく。表妙義を縦走するのが最終目標だが、表の最高峰、相馬岳に登るのが第一の目標。

白雲山中腹に見える「大」の字

民家の屋根の上、緑の林の上に聳える表妙義の北稜・白雲山はゴツゴツした岩峰。中腹に「大」の字が小さく見えている。車道を北に少し戻り、妙義神社の大きな鳥居をくぐる。正面に白雲だが、電線がたくさん手前にかかっている。神社の階段を登り、「白雲山」の鳥居をくぐり、登山道に入る。「登山者専用道路」の表示のところに登山者カード入れあり。軽装の男性が一人、先に登っていく。7時半に最初の長い鎖(たいしたことはない・・・・・いやいや、少し骨のある鎖だな)を登りきり、「大」の字のところに到着。下から見ると小さいが、傍らに立つとでっかい「大」の字。「ここより一般登山者禁止」の看板が立っている。「大」の字の立つ大きな岩の上に鎖を伝って登る。真っ青な快晴に白雲の山稜はまだはるか高い。薄上着とウォーキング・スティックをザックにしまう。

「大」の字の近くを通過

戻ってトラバース路を少し行った先に「辻」の標識。「第一見晴」に下る分岐点であることを岳人特集マップで確認。このマップには黄色マーカーで相馬山のところからタルワキ沢を下るルートを記している。時間がかかるようならこのルート。鎖を登った先に奥の院。岩の洞窟の梯子を登ったところに「白雲山妙義大神」の石標。戻って垂直の鎖を登る:「3連30mの直立した鎖」。登る途中で奥の院の中が見える場所がある。鎖を登りきったところで最初の休憩。垂直の鎖を登って体力を消耗した。

金鶏山と筆頭岩の迫力の岩峰・・・・・白雲山の南東にある山稜

奥の院を過ぎ、鎖6を登っていくと(「7m外傾鎖」)、迫力の岩峰が並んでいるのが見えてくるが、それは南東にある金渓山と筆頭岩だった。この先、何度もながめ、何度も写す。856mしかないが、迫力の岩峰が並び、登山禁止。白雲の稜線はまだ頭上だが、頭上を鷹が舞い、足元にはアザミの花。鎖場を登り、稜線上の「見晴」(ビビリ岩というらしい)に着くと西の裏妙義が見える。奇岩奇勝の見事な造形。丁須ノ頭、赤岩、烏帽子岩が並んでおり、その背景に浅間山。丁須ノ頭の岩峰の上に小さくT字の丁須が見える。西に大きく離れて谷急山だが、奇岩が並ぶ妙義のなかで谷急のみが普通の山に見える。まだ紅葉を楽しむ余裕。あまりにたくさんの岩峰が目に入り、最初はどれがどれだか分からず。すぐ西隣に低く見えているのは妙義富士らしい。登山ルートはなし。妙義富士の尾根は表妙義の稜線と平行しており、その向こうに裏妙義が見えている。そして北には松井田の街並に上信越自動車道が間近に見える。ずいぶん町に近い。妙義富士との間は沢登りコースの大沢だが、上からは底まで見えない。

空を舞う鷹

アザミ

 

岩斜面を登る

  

「見晴」の標識・・・・・この先で展望が開ける

鎖8を登って白雲P1に出る。東側が再び見え、切り立った崖の真下に人家や駐車場が見える。行く手に更に高いピークが見え、相馬岳かと思ったが、天狗岳だったようだ。進んでいくうちに玉石に着くが、この手前に白雲の山頂標識があったらしい。目立たないらしく、気付かなかった。また鶏冠山が見え、天狗岳の垂直の崖の向こうに金洞山の一角が見えている。いったんコルに下る。先のピークが相馬岳だと思い違いをしていて、コルにタルワキ沢への分岐表示があるはずだと思っていたが、もちろんなかった。登り返したところが「大のぞき」で、石標やらがたくさんある。「御岳三社大神」の石標があり、行く手には天狗岳の頂上が平らな垂直岸壁。とてつもなく豪快。

裏妙義:(左から)烏帽子岩、赤岩、丁須の頭・・・・・岩尾根の上に並ぶ岩峰、更にその上に立つT字の岩

背景に浅間山

丁須ノ頭

裏妙義・谷急山1,162m・・・妙義山最高峰、奇岩奇勝の中の普通の山

白雲山・稜線の紅葉・・・・・まだ余裕あり

天狗岩(天狗岳)(大のぞきより)・・・・・頂上が平らな垂直岸壁。とてつもなく豪快

大のぞきを下る長い鎖

「大のぞき」の長い鎖をコルに下り(「スベリ台状30mの鎖」)、天狗岳に登り返す。途中で振返ると、「大のぞき」の鎖を下っている人を発見。その背後に妙義富士の岩峰が見えている。最初の天狗のピークの上に立つ。草木の生えた土がめくれて岩がむき出しになっている。岩尾根の少し西側の登山道に戻り、次のピークに「天狗岩」の標識。ここが天狗岳なのだろう。後で大のぞきの鎖を下っていた男性は、景色を写している間に登山道を先に行ってしまった。その先の天狗P3から表妙義・最高峰の相馬岳の樹木に覆われた重厚な姿が谷向こうに見える。天狗の垂直よりもやや傾斜があるが、少し高そうだ。主稜線は西に大きくくびれており、谷急と裏妙義が正面に見える。

天狗岩(天狗岳)頂上1,084m

相馬岳(天狗岳より)・・・・・樹林に覆われた巨大な岩峰

 

裏妙義(谷急山(左)、烏帽子岩、赤岩、丁須の頭)

相馬岳頂上1,104m・・・表妙義最高地点

コルに下ると、まず「大沢コース、危険立入禁止」の標識があったが、タルワキ沢への分岐標識も健在。相馬岳に登り、先に進めなければ、ここに戻って下ればよい。両側が岩壁になっている狭い空間に踏跡が下っている。相馬岳に登り返し、最初のピークから天狗の垂直壁を振り返る。相馬岳への登り返しは妙義と思えない広い林の中の道で、木々に囲まれた頂上1,104mに着く。男性二人の先客。大きな三角点。そして、南の主稜線の先に金洞山の印象的な岩峰が立っている。西遊記にでもでてきそうな針のような岩峰。なんとも現実離れした景観。その一つ一つの岩峰(鷹戻、東岳、中之岳、西岳、星穴岳)にも個性がある。最前列の鷹戻は東岳の手前、中之岳は東岳の奥に重なっていて、ここから見る南陵・金洞山は東岳、西岳、星穴岳の三つのピークに見える。金洞の背後に遠く見えているのは荒船山だろうか。

金洞山

 

樹間の金洞山

 

  

リンドウ

男性二人は金洞山のほうへ出発。二人はヘルメットもなしの軽装。頂上で休憩しどうするか考えたが、ここまで4時間弱は予想以上に早い。日没の18時までまだ7時間あるし、中之岳神社から駐車場までの戻りは暗くなってもヘッドランプで歩けるだろう。縦走路に向かって出発。いったん茨(ばら)尾根への下りとなり、視界のない細尾根のアップダウンを進む。薄紫のリンドウ。P4に西の国民宿舎への分岐表示あり。そこから急な下りとなり、木の枝を伝って降りていく。鎖もロープもない岩場に出てロープを初めて使う。ロープなしでもなんとかなりそうだが、ロープがあれば時間はかかるが安心感がある。岩場の沢沿いのルートになって更に下り、茨(ばら)尾根に登り返すあたりで休憩。

堀切・・・・相馬岳と鷹戻の間の茨尾根のコル

茨尾根は視界のない細尾根のアップダウンで、ホッキリ(堀切)表示の手前の茨尾根ピーク(P2)が視界良好の展望所であった。ひょっこり視界良好の展望所に出ると、相馬岳のやや右に傾いた巨体が後にそびえ、真横に金鶏山、そして鷹戻のピークが近くに迫っている。鷹戻は南陵・金洞山の門番。それは頭上に途方もなく高く出現し、鷹も戻ってしまう迫力。ここからも金洞山は三つのピークだが、東岳が鷹戻の向こうに隠れている。西には裏妙義。烏帽子岩の手前に風穴尾根が見えており、三方境から谷急が近くに見える。茨尾根の展望所から下ると視界は無くなり、堀切(ホッキリ)に着く。ここも下山する分岐点で、一般登山者禁止の看板:「この先、滑落等の事故が多くあり危険ですので、技術・体力に自信のない方は引返して下さい」とある。そして「鷹戻」の表示の先に岩尾根の急な上り坂が現われる。

鷹戻・・・・・南陵・金洞山の門番が頭上に途方もなく高く出現。鷹も戻ってしまう迫力

しかしこの鎖のアップダウンはまだ茨尾根の一部で、茨P4で鷹戻の垂直のピークを見上げる。これも実に印象的。鎖のトラバースを伝って(「岩根沿いの外傾バンド8m」「鎖トラバース15m」)茨P5、その先のコルに「女坂」分岐表示がある。「国民宿舎」「星穴沢橋」という表示もあるが、国民宿舎の前の橋のところに出るのだろう。その先に更なる注意表示「この先、鷹戻し付近滑落死亡事故が多発しています。上級者でも非常に危険な箇所です。ザイル等の装備のない方は登山を自粛してください」とある。先の二人、その前の男性はどうしたのだろう。ホッキリか女坂で降りたのか、それとも前進したのか。ザイルを持っている私としては、前進。

東岳1,094m・・・金洞山最高地点。針のような岩尾根のピークの一つ

相馬岳から見た、針のような岩尾根に設けられたルートに向かう。女坂分岐から鷹戻までは1時間かかり、その間にピークが二つ。急な岩場を登り降りし、鷹戻、そして東岳の複数のピークを時間をかけ、慎重に越えていく。最初のピークの次から鎖、梯子の連続となる:「数連の鎖と数段のハシゴ計50m」。金洞P2の手前で視界が開け、背後には大きな相馬岳の手前に今越してきた金洞P1。西には谷急山が近く、その手前に白いP2の砲弾、その右に連なるP1が見えている(ただしこれは後で写真で確認したもので、その時にはなだらかな山稜しか目に入っていなかった)。東にはやや低く、金鶏山と筆頭岩が縦位置になっている。山腹に見える赤い屋根は何だろう。垂直の鎖、梯子、また垂直の鎖と登り、視界が更に開ける。青い花はリンドウだろうか。行く手にほぼ同じ高さになった金洞の4つのピーク(鷹戻、東岳、西岳、星穴岳。中之岳は東岳の後で見えない)が並び、P2に着く。

ほぼ同じ高さになった相馬岳はどっしりした土台の上に多面の岸壁が積み重なっているように見える。頂上直下の岸壁は垂直。手前に赤い紅葉。東の眼下には金鶏の南の車道のそばに赤い建物(国定公園管理事務所?)と大きな駐車場。前に見た赤い建物はやや遠くなった。13時40分、鷹戻に着く。東西に長い頂上尾根の真ん中にロープと鎖の垂直の下り口が続いている。頂上尾根の東端からは、東にややオーバーハングしているP2と、その後の相馬岳。東の眼下には赤い屋根の駐車場と、もっと南にもっと大きな大駐車場が見える。東岳は間近になり、その右後に西岳と岩峰だらけの星穴岳が並ぶ。

相馬岳と鷹戻(手前)・・・東岳より。二頭の巨大な生き物のように斜めに空をにらみつけている

垂直のルンゼは鎖があるが、ひどく下りにくい:「ルンゼ内、2段25mの鎖」。一応、ロープも使うが、足場の確保がポイントのようだ。腕力のみで全体重を支えるのは避け、足場で体重を支えるようにする。直立せずに、身体を「く」の字にして足場をつくるのがよいようだが、ふらつかないように片手を鎖から離して壁を押したくなる。片手の鎖は危ない。こうなると、ハーネスに通したロープが心の頼り。なんとか無事に登山道に下りると、ヤッケの忘れ物。下まで届けようと思ってザックに詰める(失敗だった)。東岳への登り返しのところに、「第四石門」の表示あり。すぐ近くなのかなと行ってみるところだったが、もう14時を回っていたので止めておく(これは正解。第四石門までいってると、中間道まで降りてしまう)。

草むらの坂を東岳に着く直前、東の眼下に大砲岩と見晴台と小さな人影が見える。ロープを首にひっかけたままここまで歩いてきた。東岳からの下りに備える:「2段のやせた直立岩場5m、鎖無く、初心者、要ザイル」。そして東岳の頂上。背後に鷹戻の二重ピークとその後の相馬岳。鷹戻の側面は少しオーバーハングしてるくらいで、頂上に草むらがあるとは思えない。この東岳も似たような造りかな。頂上の南側の10mくらい下にハトが止まっている。行く手にようやく中之岳が見える。鷹戻と似たような東側が垂直で頂上が草むらの岩峰。それほど印象的ではない。西岳のほうが横幅があって立派に見える。

中之岳・・・・・針のような岩尾根の中央のピーク

さて、プラン時点から準備していた東岳からの垂直に近い下り、「2段のやせた直立岩場5m、鎖無く、初心者、要ザイル」にかかる。確かに鎖も固定ロープもなく、木の枝もないので、どうやって降りたらいいのか難しい。鷹戻の垂直岩場ではないが、草や小枝をつかんで降りるしかなかろう。だが、首にかけたロープがある。木の枝にロープをひっかけ、悠々と懸垂下降。このくらいは軽い、軽い。下りきってロープを回収。コルから見上げる東岳はギザギザの岩尾根と草木の緑がなかなか見事。固定ロープを伝い、中之岳の一角のピークに立つ。ギザギザの東岳が大きく、鷹戻も相馬岳も見えない。よって、鷹戻や相馬岳から中之岳は見えない訳だ。ここから先、西岳と星穴岳方面は立入禁止なので、ここで中之岳神社に下る。はるか眼下の展望台に芥子粒のような人たちが立っているのに気付く。それはなにやら、別世界から見下ろしているような感じ。

中之岳頂上の祠

中之岳の二つ目のピーク(金洞P6)の先に白い祠。するとここが中之岳なのだろう。頂上尾根はやや西に向かい、そこからは西岳が谷向かいにそびえる。西岳のふところに曲がりくねった細尾根が見えるが、あれが登山道だろうか。きつそうなルート(立入禁止だった)。そしてギザギザの東岳の頂上尾根の上に相馬岳がわずかに見える。さて、中之岳で休憩をとり、最後の下りにかかる。もう15時を回った。「急な2段の鎖」をロープも使ってゆっくり下る。展望台に三人立っているのが見える。大駐車場にも車が10数台。

眼下の見晴台と「芥子粒のような」人たち・・・・・なにやら、別世界から見下ろしているような感じ。

中之岳(下山路より)・・・・・直立する巨大な岩屏風。中央やや右に下ってきた長い鎖が細く見えている。

コルへの途中まで下って振り返ると、中之岳の頂上が岩屏風のように直立しており、その中央に下ってきた長い鎖が見えている。さらに固定ロープ付きのトラバースをゆっくり下り、コルに到着して休憩。コルの向かいは西岳のはずだが、ロープで遮断されており、「一般登山者は登らないでください」の古い表示。大きな岩の左に曲がって中之岳神社へ下る道となっている。主稜線の縦走を終え、張りつめていた緊張感から開放され、ぐったり。

鎖を伝ってコルから下る。見上げると二つの岩壁の間に空と木の葉が見えている。急な坂を下っていくと次第に岩場から歩きやすい道になっていく。大きな一般登山者禁止の標識や登山カード入れが並んでいるところを過ぎ、第四石門、見晴台と中之岳神社の分岐に着く。見晴台には祠あり。頭上に聳えている岩屏風が中之岳のようだ。なかなか立派。左手には西岳が見えており、右手には東岳や鷹戻は見えず、相馬岳がわずかに見えている。すぐ目の前には小さな岩峰がたくさん生えている。どれが大砲岩なんだろう。木が生えているやつか、キノコのような低いやつか、東屋のそばの岩峰か(キノコかな)。

ドラゴンボール・チックな大黒天

やがて若いアジア人の一行がやってきたので、帰途につく。もう16時となり、薄暗い。広い整備された階段を下り、簡素な中之岳神社に着く。無事下山のお礼を言い、左手に廻りこんで休憩。ペットボトルのお茶を飲む。家族連れがやってきて、また長い階段を下っていった。階段を下ると鳥居の手前に登山カード入れがある(夜中にここに戻ってきて、ヤッケを預けることになる)。鳥居を左に曲がると店に住居が並んでいる。ここで記念品を買っておくべきだった。住居の上にドラゴン・ボール・チックな金色の巨大な大黒天。更にその上に中之岳の岩屏風が見えている。大きな石鳥居をくぐり、車道に出る。中之岳神社から道の駅までは、ぶらぶらと気楽な車道歩き。

車道から、天を突く金鶏山の筆頭岩

車道からは天を突く金鶏山の筆頭岩が見えていた。車道の左にも似たような岩峰がたくさん立っている。無料休憩所というのを過ぎ、駐車場を右手下に見て、一本杉のところで車道を離れる。車道は金鶏山の東側をまわっていくが、この道は西側をショートカットしていく。一本杉の休憩所からは筆頭岩は幅広に見える。大人場(おにんば)というところを過ぎ、再び車道に下る。行く手の左上方に見えている岩峰は相馬岳だろうか。やがて後方に金鶏山と針の筆頭岩が見えてくる。

もうだいぶ暗くなり、車道からパノラマパークの中を通って駐車場に下る。ウォーターコースターかな。車に戻り、国民宿舎裏妙義に電話してみたが、満室。車中泊にすることにし、車道に案内の出ていたもみじの湯に行く(500円)。温泉の人にヤッケを引き取ってもらおうと思ったが断られ、紹介してもらった交番に数km車を走らせたが誰もおらず、作戦変更してコンビニで夕食を買い込み、中之岳神社の登山者カードのところに置いておくことにする。妙義山神社のほうが近いが、登山者カードまで階段を登らないといけない。

夜になってスポーツカーが何台も車道を上がっていく。レースでもするんだろうか。巻き込まれたくないと思いながら中之岳神社に向かい、ヘッドランプをつけて登山者カードまで歩くと、犬が二匹飛び出してきてびっくり。駐車場に戻り、車中泊。道の駅の駐車場はスポーツカーでうるさいので、向かいの登山者用の駐車場にする。他にも何台かいて、テントを張ってるのもいる。翌日は谷急を目指す。ロープを持っていなければこの日の妙義縦走はできなかっただろう。充実の一日。

「岳人」の妙義山特集を事前に子細に調べておいたのが役に立った。この情報が無ければ登れなかっただろう。感謝。