金峰山     奥秩父の主稜線、林と展望の旅

山梨県  金峰山2,599m、朝日岳2,579m、北奥千丈岳2,601m、国師ヶ岳2,592m  2004年11月6日

(金峰山)日本百名山

(国師ヶ岳)日本三百名山

124

ふと振り返ると、ガスの間から五丈石と金峰山が見えている。これが見納めかもしれないと思い、デジカメに撮る。富士山も雲海に浮かんでいる。

国師岳に着くと、南アルプスが雲海の上に雄大に浮かんでいる。高曇りで日は射していないが、塩見の坊主頭に悪沢、赤石と思われるピークが良く見える。甲斐駒と八ヶ岳の間には、遠く中央アルプスも見える。

早く着いたので、北奥千丈岳から奥千丈岳まで下ってみる。それまでの歩きやすい遊歩道から打って変わった、深い林の中の道。行き過ぎて引き返し、三角点の近くの木の幹に頂上標識発見。

次第に青空が広がり、ついに日が射すようになってきた。快晴の秋空に南アルプスの諸峰が並び、行く手には五丈石の金峰山が美しい。その向こうには八ヶ岳。朝日岳東側のガレ場に出ると金峰山は姿を変え、鉄山との絶妙のスロープ。

コルの深い林の中で、分岐を鉄山(くろがねやま)まで登ってみる。深田久弥の記述が頭をよぎる、奥秩父の一角。

岩場を越えていくとやがて人声がして金峰頂上に着く。そこを越えて初めて五丈石に対面した。逆光になっていて黒いシルエット。その前に3~4人がカメラを構えている。とりあえず金峰頂上に立ってデジカメを撮る。ここでのターゲットはやはり瑞牆山。ギザギザの岩峰をたくさん突き立てた峻嶮とした姿。二日前はあの上から金峰山と五丈岩を見ていた。

それから五丈石のところへ。東正面に鳥居があるが、裏にまわり、下から見上げるとでっかい。

金峰山から往路を戻ると、今朝歩いた鉄山に朝日、国師に北奥、その向こうに三宝、甲部信、木賊が並んでいる。緑の奥秩父の稜線。

寝不足で頭が痛かったが、心行くまで奥秩父の絶景と林を体験した山旅だった。

 五丈石と金峰山・・・・・次第に青空が広がり、ついに日が射すようになってきた。行く手には五丈石の金峰山が美しい。
 緑の奥秩父の稜線:左から朝日岳、国師岳(中央左ピーク)と北奥千丈岳、鉄山(右手前)
 鉄山と金峰山の絶妙のスロープ・・・・・朝日岳のガレ場より
 瑞牆山: ギザギザの岩峰をたくさん突き立てた峻嶮とした姿
 奥千丈岳の頂上標識
鉄山の頂上標識
 西側から見上げる五丈石五丈石のところへ。東正面に鳥居があるが、裏にまわり、下から見上げるとでっかい。
 南アルプスのパノラマ: 左から赤石岳と悪沢岳(左端)、塩見岳・農鳥岳・間ノ岳・北岳(中央)、仙丈岳・甲斐駒ヶ岳・鋸岳(中央右)
  7:04 大弛峠発  7:59 国師岳  8:14 北奥千丈岳  9:38 奥千丈岳・・・・・・・・・・・・・・・大弛峠から奥千丈岳まで片道2時間34分10:42 北奥千丈岳11:20 大弛峠・・・・・・・・・・・・・・・・・大弛峠から奥千丈岳まで往復4時間16分12:45 朝日岳13:17 鉄山14:01 金峰山・・・・・・・・・・・・・・・・・大弛峠から金峰山まで片道2時間41分14:47 金峰山発15:52 朝日岳16:52 大弛峠・・・・・・・・・・・・・・・・・大弛峠から金峰山まで往復5時間32分二つの往復・合計9時間48分

******************************************

朝4時、甲府から西を回って長野県側に入り、川上に向かう。途中、電光掲示で「山梨側大弛峠通行止」と出ていた。つまり、長野側からは登れるということか。当初、廻目平から金峰に登り、それから北奥千丈、国師に行き、大弛峠に戻って車道を下ろうと計画していたが、廻目平へ行ってみるとやはり大弛まで登れそうなので直進。だんだん明るくなってくる中を石ころ道をゆっくり登る。最後はロウで行く。下の分岐から50分で大弛。残念ながらガスがかかっていて山頂は見えない。山梨側は舗装されていて、道沿いの駐車場に停める。他に2~3台停まっているが、風もあり、寒そう。出発7時。木の立派な階段がついており、すぐ上に国師小屋。工事をしている。木の階段はその後も中腹くらいまで続く。ふと振り返ると、ガスの間から金峰が見えている。これが見納めかもしれないと思い、デジカメに撮る。富士山も浮かんでいる。

前国師に着き、右手に北奥千丈の丸い山頂、左手にそれより小さい国師の頂上が見える。北奥への分岐を過ぎ、国師に着いてみると、富士山と南アルプスが雲海の上に雄大に浮かんでいる。二日前の瑞牆からは北岳と間ノ岳は良く見えたが、塩見や悪沢には雲がかかっていた。今日は高曇りで、日は射していないが、塩見の坊主頭に悪沢、赤石と思われるピークが良く見える。甲斐駒と八ヶ岳の間には、遠く中央アルプスも見える。国師には男性が一人。

国師から北奥へ向かい、奥秩父最高地点の頂上の岩の上に登り、四周を写す。まだ8時。時間があるのでそのまま下って奥千丈岳に向かう。ここから山道は悪くなる。通る人が少ないため、整備も行き届いていないのだろう。笹が濡れていてズボンが濡れるので、途中でレインウェアをはく。大きなザックをしょって下っていく人に会う。かなり下ったところで突然三角点。標識なし。もう少しかなと思って更に下る。何もない。マップを調べ、標識は無いのかもしれないと思いながらも更に下り、ついに9時半前に引き返す。だいぶ登り返したところでひょっと前を見ると奥千丈の標識。その右奥にさっきの三角点がある。木の幹に打ち付けてあるので気付かなかったのだ。30分のロス。倒木が多く、またいだりくぐったり。一ヶ所、大回りしないと通れない箇所あり。200mの差をようやく北奥まで戻る。奥千丈への往復は全く眺望なし。後で朝日から見ても特徴のないところ(ピークですらない)で、正に行ってみただけ。今度は東の方も晴れてきて、三宝、甲武信、木賊の3つのピークが並んで見える。こうして見ると甲武信というのはあまり際立った存在ではない。木道を降りていくと、学生がたくさん木材をかついで登ってくる。アルバイトかな。上まで階段を付ける気なのだろう。

大弛峠まで降り、(11:30頃、デジカメのメモリが失われており、記録なし)すぐに反対側を朝日岳に向かって登る。高曇だった空は次第に青空が広がり、ついに日が射すようになってきた。しかし私は、昨日少ししか寝ていないせいか頭が痛くなってきた。暑くなってきたので、下のレインウェアを脱いだのがいけなかった?朝日への登りの途中の岩場で一度展望開ける。岩の上でデジカメを写していると、学生風のが三人、上から降りてきた。晴れてきて大弛への山梨側の舗装路が曲がりくねったのが良く見えるが、逆に南アルプスは雲で隠れてしまった。朝日の山頂は東西に長く、頂上までだいぶかかる。頂上の東側がガレ場で開けており、正面に金峰と鉄山のスロープが見える(この時は鉄山とは知らず)。少し休み、ガレ場を下る。林の中に入って眺望なくなり、少し行くと道が分かれている。

左手の登りのルートを行くと、鉄山頂上に出た。といっても眺望なく、さえない標識が置いてあるのみ。余り人が来ないのか、鉄山ルートは荒れている。トラバース・ルートに戻り、金峰への登り。朝日から鉄山への登りかえしに比べると、鉄山から金峰へは楽だった。岩場に出るとケルンが積んであり、小川山に瑞牆山が見える。振り返るとずんぐりした朝日。岩場を越えていくとやがて人声がして金峰頂上に着く。そこを越えて初めて五丈石に対面した。逆光になっていて黒いシルエット。その前に3~4人がカメラを構えている。とりあえず金峰頂上に立ってデジカメを撮る。ここでのターゲットはやはり瑞牆。二日前とは逆。それから五丈石のところへ。東正面に鳥居。裏にまわると、底からの高さが1/3くらい高くなっており、下から見上げるとでっかい。登るとしたら東側からだろうが、止めておく。金峰頂上に戻り、食事。もう14時を回っているので、大弛着は17時を回ってしまうだろう。寒くて頭も痛いが、やはりビールは飲む。

(*)「(金峰山の)頂上で1時間ほど休んで、鉄山へ向かって尾根を進みかけたが、ハイマツが深くて道が分からない。断念して川端下(かわはけ)に下る道を探ったがとうとう途中で日が暮れ、おまけに雨が降り出し、寒い野しゃがみの一夜を送って翌日ようやく梓山に出た。」(日本百名山・金峰山)

大弛峠へ戻る途中、金峰から降りていく太った二人を追いこす。彼等はその後どうしたのだろう。大きなザックをしょっていたから、途中テント泊なのかもしれない。他にも金峰頂上にいた人たちはたぶん小屋泊まりだろう。逆に朝日の方からやってくる人もいた。瑞牆に別れを告げ、鉄山に下り、今度はトラバース路を行く。(といっても、登りの分岐には気付かす)つらい朝日への登りかえし。頂上でザックを下ろして休憩。ここで金峰に別れを告げる。朝日から大弛までは眠いのと頭の痛いのがつらかった。目をつぶったまま、3~4本歩いたりした。

最後の下りでは、林の中で暗くなってきた。やっと林の向こうに駐車場が見えてきて、17時前大弛着。林を出るとまだ明るい。昼前はかなり多かった車はだいぶ残っている。ザックを積込みさっそく出発。学生バイトらしき人が歩いている。山道を下っているとどんどん暗くなっていく。途中、正面に甲武信と三宝、木賊が並んで見える箇所があったが、もう暗くて写らない。ロウで降りていき。やっと舗装路にでてたところでストップして休憩。18時になると真っ暗。川上の道を走っていると、ドラッグストアがあったので、パブロン・エースを買う。パブロンを飲み、暖房をつけて暖かくすると、ホテルに着く頃には頭痛は治まった。途中、コンビニに寄ってスパゲッティとサラダを買い、ホテルで食べる。もう外出は止め、シャワーをあび、テレビで日米野球を見ながら食事。アメリカが勝っていた。4番オルティスのホームラン。たぶん22時頃寝てしまう。目覚は4時半にセット。5時に出よう。

***********

上記は当時のメモ。この頃はホテルに泊まるという優雅な山登りをしていた。それにしても雲海の幻想的情景から快晴秋空に名山諸峰を眺める稜線漫歩のものすごい山旅だった。金峰は五丈石があるので同定しやすいが、鉄山との絶妙のスロープが見る位置によって変わっていく。当時のメモにはこの絶景についてほとんど触れず、奥千丈や鉄山への地味な旅について書いているが、ガイドブックに記載のない、自分で見つけたことを書き留めたかったのだろう。鉄山は、深田久弥が初めて奥秩父に登った時の記録に出てくる山で、是非登ってみたかった山だった。メモの記述はそっけないが、登れてすごくうれしかったことを覚えている。

大弛峠・・・・・北側の川上から大弛峠に車道を登る。石ころ道をゆっくり登り、最後はロウ。下の分岐から50分で大弛峠。残念ながらガスがかかっていて山頂は見えない。山梨側は舗装されていて、道沿いの駐車場に停める。

大弛小屋・・・・・木の立派な階段がついており、すぐ上に国師小屋。工事をしている。

木の階段・・・・・木の階段はその後も中腹くらいまで続く。。

雲海と五丈石と金峰山・・・・・ふと振り返ると、ガスの間から金峰が見えている。これが見納めかもしれないと思い、デジカメに撮る。

国師岳頂上・・・・・背後は北奥千丈岳

雲海と富士山・・・・・国師岳に着いてみると、富士山と南アルプスが雲海の上に雄大に浮かんでいる。

雲海と南アルプス1: 左から仙丈岳、甲斐駒ヶ岳、鋸岳(右のギザギザ)

雲海と南アルプス2: 左から塩見岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳

今日は高曇りで、日は射していないが、塩見の坊主頭に悪沢、赤石と思われるピークが良く見える。

塩見岳の坊主頭・・・・・上の写真の拡大

雲海と南アルプス3:

たぶん、

中央右:悪沢岳

中央左:赤石岳(悪沢と重なっている)

その左:聖岳

左中央:上河内岳

雲海と八ヶ岳

中央アルプス

甲斐駒と八ヶ岳の間には、遠く中央アルプスも見える。

北奥千丈岳頂上・・・・奥秩父の最高地点に立つ

奥千丈岳頂上標識

北奥千丈岳頂上から深い林に下る。かなり下ったところで突然三角点。標識なし。もう少しかなと思って更に下る。何もない。マップを調べ、標識は無いのかもしれないと思いながらも更に下り、ついに9時半前に引き返す。だいぶ登り返したところでひょっと前を見ると奥千丈の標識。その右奥にさっきの三角点がある。木の幹に打ち付けてあるので気付かなかったのだ

奥千丈岳の三角点

青空と南アルプス1: 仙丈岳、甲斐駒ヶ岳、鋸岳

奥千丈岳から稜線に戻ると、高曇だった空は次第に青空が広がり、ついに日が射すようになってきた。

青空と南アルプス2: 塩見岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳

青空と南アルプス3:

たぶん、

中央右:悪沢岳

中央左:赤石岳(悪沢と重なっている)

その左:聖岳

左中央:上河内岳(雲に隠れてしまった)


青空と八ヶ岳


青空と五丈石と金峰山

金峰山と南アルプスと八ヶ岳・・・・・前国師付近より

左遠景:南アルプス(仙丈岳、甲斐駒)

中央:金峰山と朝日岳(中央右)

右遠景:八ヶ岳

男山と天狗山・・・・・北の情景1

御座山(おぐら)・・・・・北の情景2

浅間山・・・・・北の情景3、御座山の右奥

茅ヶ岳と金ヶ岳(画面中央)・・・・・南アルプス、北岳の手前

三宝山、甲部信岳、木賊山・・・・・今度は東の方も晴れてきて、三宝、甲武信、木賊の3つのピークが並んで見える。こうして見ると甲武信というのはあまり際立った存在ではない

国師岳(左ピーク)、北奥千丈岳(中央)と奥千丈岳(右のスロープのどこか)

晴れてきて大弛への山梨側の舗装路が曲がりくねったのが良く見える。

樹間の五丈石

朝日岳頂上

木の枝の氷

五丈石と金峰山・・・・・朝日の山頂は東西に長く、頂上までだいぶかかる。頂上の東側がガレ場で開けており、正面に金峰と鉄山のスロープが見える

鉄山(左)と金峰山の絶妙のスロープ

鉄山の頂上標識・・・・・左手の登りのルートを行くと、鉄山頂上に出た。といっても眺望なく、さえない標識が置いてあるのみ。余り人が来ないのか、鉄山ルートは荒れている。

*****

鉄山は、深田久弥が初めて奥秩父に登った時の記録に出てくる山で、是非登ってみたかった山だった。メモの記述はそっけないが、登れてすごくうれしかったことを覚えている

朝日岳のガレ

朝日岳・・・・・金峰山付近より

朝日岳(左)、国師岳、北奥千丈岳、鉄山(右手前)・・・・・金峰山より

小川山・・・・・奥秩父西端の山

屋根岩

鉄山

瑞牆山・・・・・金峰頂上に立ってデジカメを撮る。ここでのターゲットはやはり瑞牆。

ギザギザの岩峰をたくさん突き立てた峻嶮とした姿。二日前はあの上から金峰山と五丈岩を見ていた。

瑞牆山から見た金峰山(二日前の映像)

八ヶ岳と瑞牆山

金峰山頂上

五丈石

五丈石と鳥居

西側から見上げる五丈石

青空と富士山

霞む富士山

霞む金峰山

夕日の奥秩父