桧塚奥峰 大台ヶ原の秘峰

三重県  桧塚奥峰1,420m、 桧塚1,402m、明神岳1,432m  2010年9月18日~19日(テント1泊)

(桧塚、明神岳)関西百名山

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私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。

🌞🌞🌞🌞🌞

大台ヶ原の秘峰、桧塚と桧塚奥峰に沢からトライ。ヌタハラ谷に入り、巨大な夫婦滝を見て最初の感激。

ヌタハラ谷は私には難しくて沢通しは無理だったが、左岸に上がると作業道(杣道)がたくさんあり、それを辿って桧塚に到達。やや迷い、苦労した分、感無量だった。

尾根に上がると牧歌的な素晴らしい景観が広がる。それは緑の木々と薄緑の草原の美しいコントラストで、桧塚奥峰から見る桧塚は芸術的な美しさだった。

桧塚からは道があり、稜線漫歩で桧塚奥峰から明神岳まで往復。「山は楽しい」という木札があったが、まさにその通りだった。

桧塚奥峰頂上から見る牧歌的な桧塚。緑の木々と薄緑の草原のコントラスト。
ヌタハラ谷に入り、巨大な夫婦滝を見て最初の感激。
「山は楽しい」の木札
道端に枯れかけのホオズキ
D1 12:52 駐車地点(ヌタハラ谷出合)発14:46 夫婦滝、大高巻き16:17 沢下降16:49 テント設営・・・・・・・・・・登り3時間57分D2 6:17 テント場発 7:02 大高巻き 7:27 杣道遭遇 8:21 沢遭遇、沢を登る 8:58 尾根道到達、休憩 9:51 桧塚10:23 桧塚奥峰11:29 明神岳・・・・・・・・・・・・・・・登り5時間12分12:26 桧塚奥峰、北登山道を下る14:26 登山口、車道16:51 軽トラックに乗せてもらう19:23 駐車地点着・・・・・・・・・・・周回(含休憩)13時間6分

HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH

(1日目)

大阪を出たのが朝8時で、昼に着けば良いと思っていたが、ヌタハラ谷に着いたのは12時半とだいぶかかった(4時間半)。ヌタハラ谷出合に着き、蓮川(はちす)沿いの林道脇に駐車し、なにわナンバーのマツダ(レンタカー)に別れを告げて歩き出す。ダム湖ではたっぷり水をたたえていた蓮川も、このあたりでは深い谷の底を流れる細流になっている。

ヌタハラ谷左岸の林道から杣道*をしばらく歩き、破れた侵入禁止の黄色テープをくぐり、ゴルジュの先で沢に入る。きれいな滝を登り、直登困難な滝を高巻き、小滝の直登や杣道の高巻きを繰り返し、三連続の小滝を直登した先で夫婦滝が現われる。夫婦滝は逆くの字に曲がった三段の滝に見えているが、下段35m、上段55mとあるので、この上にもっと大きいのがあるようだ(上の滝は見ず)。ともかく、その巨大な姿を見て最初の感激。

*杣道(そまみち): 細くて険しい山道

夫婦滝を小さく高巻くルートを探ったが私には難しい。そこで左岸を更に登り、大高巻きにトライ。谷の上には植林帯があり、その間の作業道を利用できたが、だいぶ上まで登ってしまったので、そのまま不動滝までまとめて巻き、沢が上がってきて自然に踏み跡の高さに来たところで河原に下る。不動滝を見れなかったのは残念だが、そのときはそんな余裕はなかった。なんとかここまでたどり着き、とりあえず満足。

伏流帯の先の右岸の高いところにテントを張る。ソックスとスパッツの間にヒルがいてびっくり。少し血を吸われていたが、たいしたことはなかった。谷の中で星空はよく見えなかったが、真夏とは思えない涼しい一夜を過ごす。

(2日目)

翌朝、4時半前に起床して朝食をとるが、あたりは暗く、明るくなるまで待って出発は6時過ぎ。小滝が連続し、いずれも深い淵をもっていて二つ目は右側を慎重に直登。その先の三つの滝を過ぎた先で、手強そうな滝が見えてくる。7時。コウセ滝だったと思われるが、左岸を巻き、左下のゴルジュを流れる滝の群れを見る。その先で、更に先に滝がかかっているのが樹間に見え、いったん沢に降下してもまた高巻きになると思い、結局、更に上に登って大高巻きとなる。

7時半前に杣道に遭遇し、最初の休憩。もう桧塚まで近い(500mくらい)ので、そのまま尾根に上がることにする。8時半前に支沢に遭遇し、それを登って9時前、尾根道と思われる踏跡に遭遇。ザックを下ろして休憩3回目。バナナを食べ、西に向かう。

林の中の登りはきつく、一歩一歩がまんして登っていくと、やがて行く手に小さな標識が見えてくる。「桧塚」だ。その頂上は林の中にあって眺望はないが、三等三角点に古い頂上標識、それに小さな新しい頂上標識が木の幹に貼られている。つつましい頂上。去り難し。

桧塚を越えて林の中の尾根道を下っていくと次第に視界が開け、牧歌的な素晴らしい景観が広がる。それは緑の木々と薄緑の草原の美しいコントラスト。南に牧歌的な丸尾根があり、行く手に桧塚奥峰が見えてくる。登り返しとなり、分岐表示の奥10mが桧塚奥峰の頂上だった。三角形の台座に「台高山脈、桧塚奥峰」の標識、隣の枯れた切り株には、ふくろうをあしらった古い頂上標識。桧塚をバックにその標識を写す。牧歌的な風景写真。桧塚奥峰から見る桧塚は芸術的な美しさだった。

満足感に少し横になって目をつむり、次の目的地の明神岳に向かう。分岐表示のそばの木陰にザックを下ろし、小ザックのみで出発。林の尾根道を下っていくと「山は楽しい」と書いた木札。突然、尾根道をやってくる二人連れを見る。全く人気のない秘峰で、しかも昨日、沢に入ってから誰にも会っていなかったので、すごく不思議な感じ。この後も2~3のパーティに会っており、たぶん明神平から明神岳を越えて来ているのだろう。苦しい最後の登りで縦走路に出て、北に少し歩くと明神岳の頂上標識があった。頂上というよりは縦走路の途中である。

分岐表示のところに戻り、置いておいたザックを背負い、北の登山道を下る。車道まで下り、大きく東を回って駐車地点に戻る。道端に枯れかけのホオズキ。途中で軽トラックに乗せてもらうが、駐車地点に戻ったのは夜中だった。北の登山道に下るのではなく、往路の杣道を利用してヌタハラ谷に下るのが正解だろう。

難しい沢に苦戦し、大高巻きになってしまったが、苦労の末に緑のコントラストが美しい尾根と台高の三つの峰に到達でき、「山は楽しい」と記した木札の通りの山旅だった。

桧塚の尾根・・・・・下は蓮(はちす)ダム

小滝4:右を登る


三連小滝・・・・・直登


夫婦滝・・・・・左岸を大きく高巻く


テント


小滝13:右壁を登る


桧塚への尾根道


桧塚頂上


緑の木々と薄緑の草原

牧歌的景観



桧塚奥峰・・・・・桧塚付近より


明神岳・・・下りの斜面の途中で明神岳が見えるところがあり、大きな丸い山容を写す。


明神岳頂上

池木屋山・・・・・桧塚奥峰頂上より


「山は楽しい」の木札・・・・・桧塚奥峰から明神岳への道の途中


ホオズキ