秋田駒ヶ岳 白銀の名峰
秋田県 1,637m 男女岳(おなめ)、1,623m 男岳(おたけ) 2007年2月17日
(秋田駒ヶ岳)日本二百名山
44
名山一人旅
私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。
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雲が晴れると青空が広がり、白銀の秋田駒が現われた。
リフト最上部からシールとアイゼンで雪尾根を登ると、空から見下ろしているような高度感に白く輝く雪斜面が美しい。男岳頂上には雪ボールになった祠。
尾根を北に噴火口に降りると、男女岳が霧の中から現れる。幻想的。その男女岳頂上から見下ろす噴火口もまた美しい。
男岳からは空から見下ろす高度感抜群のダウンヒル。前半は固い細尾根を慎重に滑り、後半は雪質抜群の広い斜面にショート・ターンを刻む。
❄❄❄❄❄
奈落の底を見下ろし
静かに、断崖絶壁の縁から滑り込む
パウダースノーを巻き上げ、アイスバーンに鋭く切り込み
軽やかに、風を切る
(ダウンヒル)
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秋田駒へは2年前にスキー場には行ったが頂上がガスで登らず、スキー登山は未完であった。この日も青森は曇で八甲田山も岩木山も見えていない。若干の不安。岩手山も雲をかぶっている。こいつはダメかな。またゲレンデ・スキーかな。仙岩トンネルを抜け、見えた秋田駒はやはり雲をかぶっていたが、上空には青空が広がり、晴れる予感。こいつはいけそうだ。スキー場手前でまだ雲の取れない秋田駒を正面から写す。立派。スキー場の一番上から男岳に続く尾根が見えている。細尾根だがスキーで滑れそうだ。黒森の上の駐車場まで登る。比較的すいていて、正解だったようだ。
ランチ800円付きの一日券を買う。3,800円。スキー場に入るともう秋田駒の雲は取れ、男岳の全容と、左奥の男女岳の先端が白く見えている。青空に映えて美しい。2本目のリフトに行く途中で田沢湖が見えた。一番上に2本あったリフトは一本に減っていたようだ。
最上部に上がるとスキーとボードでこれから登ろうとしている団体がいた。先に行ってもらうことにしてゆっくり準備。ヘッドホンを付け、GPSをマーキングし、スキー・アイゼンを付ける。最初から急斜面なのでビンディングを上げておいてから出発。
硬い雪に薄く新雪が乗ってる感じで、登りやすい。でも上はアイスバーンだろう。団体さんはスロープの右端の向こうに回ってから登るらしい。一呼吸置いてからスロープをまっすぐ登る。先行のスキー組とボード組は歩くルートが違っていたが、こちらも独自のルートを登る。最近歩幅が狭くなっているので、広い歩幅のトレースはかえってたどりにくい。今日の雪ならトレースがなくても大丈夫ではある。青空の雪山を写しながら登るが、団体さんはペースが遅いようだ。一旦ガスがかかった頂上は全くの青空となり、調子よく登っているといつしか団体さんを追い抜いてしまった。
急斜面をスキーアイゼンを利かせながらなんとか登る。しかし、アイスバーンでシールが滑るようになり、急斜面をもうすぐ登りきるところでアイゼンに切り替える。団体さんはもうはるか下で、追いついてきそうもない。さきほどからツボ足のトレースを追っている。なんとなく跡を追いたくなるルート取り。急斜面を登りきると思ったとおり頂上にはまだ道半ば。団体は尾根の向こうに見えなくなり、広くなった尾根スロープの自分の影を写す。
しかし、男岳の頂上間近でガスが出てきて、頂上に着いたときはガスに囲まれてしまった。たぶん祠か社と思われる雪ボール。その少し先の方が高いので、そこまで歩いてみる。しかし、その先は断崖と雪庇のようで、行過ぎないように注意。マップとGPSで確認し、シールをはがしてスキーで北に向かう。
しかし滑っていった先がやや登りになっていて、カニ歩きで登る。先行の足跡が頼り。男岳の北の肩も東側が断崖になっているようで、反対の西側に滑り降りる。真北に行こうかとも思ったが、足跡は北西に下っていた(真北はかなりの断崖で、北西でよかった)。ずいぶん新しい足跡だと思っていたら、登ってくる本人と遭遇。ガスの中から忽然と現われ、すぐに見えなくなる。
噴火口の雪原に滑り降り、左右に分かれた足跡の右を辿る。左手にぼんやり男女岳が見えており、ここらで登ろうとザックを下ろしてアイゼンを付けようとすると、突然ガスが晴れて目の前に白い男女岳が現われる。あわてて写真をとりまくる。振り返ると太陽の光の下に男岳の北の壁が立っている。噴火口の奥には山小屋。
アイゼンを付けて柔らかい雪にバランスを取りながら登る。見下ろした噴火口には小屋に続く足跡と木道らしい跡。頂上直前で前方の視界が開け、傾いた頂上の岩手山が見える。頂上から下は雲の中。その手前には笹森山。男女岳の頂上はやや平たくなっており、中央は少し窪んでいるようだ(前回来た時の記憶とはだいぶ違う)。
頂上標識の雪ボールのところに行くと、ツボ足のほかにスキーの跡が数本付いている。たぶん北のスキー場から来たのだろう。北斜面のところまで歩いてみると、果たしてはるか左下にスキーヤーの姿が見えた。
右手下の白い噴火口が美しい。山小屋はおもちゃのよう。後でマップと照合すると、岩手山の手前が三角山、その右手が高倉山、岩手山の左手前の大きいのが湯森山と笊森山(並んでいる)、その左奥が乳頭山のようである。乳頭はやがてガスに隠れ、後方の男岳にもガスがかかり始める。しかし、男岳の左奥に女岳が少しだけ見えていた。テルモスのお茶を飲み、頂上に15分ほどいて出発。迷わず来たルートを戻る。
シュカブラが硬くて滑りにくいがジャンプターンで降りる。下に着くとガスの中。トレースを辿り、アイゼンに変えて斜面を登る。北の肩に着いたところでザックを下ろしてスキーを履こうとしていると、突然スキーを担いだ人が現われた。飾りのように旗をたくさんもっている。小屋に行くと言っていた。
男岳山頂に着くとまたガスが晴れだした。少し待っていると、北の肩の男性の向こうに左にややかしいだ男女岳が見え、噴火口の小屋が見え、岩手山の頂上も見えた。さて、滑り降りようとすると眼下のスキー場に細尾根も見えてきた。なかなか手強そうだが見えている分には問題ないだろう。しかし、念のため、スキー流れ止めをつける(これで安心して思い切ってターンできる)。
最初の斜面を快調に滑り、急な細尾根を慎重に下る。北側の斜面が比較的障害物が少なくて滑りやすい。急斜面からいったん広い斜面に出て次の細尾根ではやや南側を滑る。さっきまではるか眼下だった南の尾根がもう目の高さになっている。そこからの広い尾根は雪質も抜群で、快適にショートターンを刻む。その先の木立のところで休んでいる一団がいる。朝の団体かもしれない。その右横をとばしてリフト最上部に到着。男岳から17分(登り1時間40分)。なかなか楽しめた。
もう15時だが、リフト終了16時まで1時間ある。森山のリフトまで降り、キムチラーメンでランチ。すごく辛いがうまかった。食事の後、再度リフトに乗って最上部から滑る。いったん見えなくなってきた田沢湖が夕日に少し見えていた。駐車場に戻り、帰路につくが、いったん引返して温泉に入る。2年前に来たところだが、白く濁っている。露天はなし。先週に比べると全く大満足の一日であった。私よりのろいパーティもいるというのも分かった。
雲をかぶった秋田駒
秋田駒へは2年前にスキー場には行ったが頂上がガスで登らず、スキー登山は未完であった。この日も青森は曇で八甲田山も岩木山も見えていない。若干の不安。岩手山も雲をかぶっている。こいつはダメかな。またゲレンデ・スキーかな。仙岩トンネルを抜け、見えた秋田駒はやはり雲をかぶっていたが、上空には青空が広がり、晴れる予感。こいつはいけそうだ。スキー場手前でまだ雲の取れない秋田駒を正面から写す。立派。スキー場の一番上から男岳に続く尾根が見えている。細尾根だがスキーで滑れそうだ。黒森の上の駐車場まで登る。比較的すいていて、正解だったようだ。
雲のとれた秋田駒
ランチ800円付きの一日券を買う。3,800円。スキー場に入るともう秋田駒の雲は取れ、男岳の全容と、左奥の男女岳の先端が白く見えている。青空に映えて美しい。2本目のリフトに行く途中で田沢湖が見えた。一番上に2本あったリフトは一本に減っていたようだ。
リフト最上部
最上部に上がるとスキーとボードでこれから登ろうとしている団体がいた。先に行ってもらうことにしてゆっくり準備。ヘッドホンを付け、GPSをマーキングし、スキー・アイゼンを付ける。最初から急斜面なのでビンディングを上げておいてから出発。
田沢湖
男岳への登り1
硬い雪に薄く新雪が乗ってる感じで、登りやすい。でも上はアイスバーンだろう。団体さんはスロープの右端の向こうに回ってから登るらしい。一呼吸置いてからスロープをまっすぐ登る。先行のスキー組とボード組は歩くルートが違っていたが、こちらも独自のルートを登る。最近歩幅が狭くなっているので、広い歩幅のトレースはかえってたどりにくい。今日の雪ならトレースがなくても大丈夫ではある。青空の雪山を写しながら登るが、団体さんはペースが遅いようだ。一旦ガスがかかった頂上は全くの青空となり、調子よく登っているといつしか団体さんを追い抜いてしまった。
白く輝く雪壁
男岳への登り2
急斜面をスキーアイゼンを利かせながらなんとか登る。しかし、アイスバーンでシールが滑るようになり、急斜面をもうすぐ登りきるところでアイゼンに切り替える。団体さんはもうはるか下で、追いついてきそうもない。さきほどからツボ足のトレースを追っている。なんとなく跡を追いたくなるルート取り。急斜面を登りきると思ったとおり頂上にはまだ道半ば。団体は尾根の向こうに見えなくなり、広くなった尾根スロープの自分の影を写す。
男岳への登り3・・・・・空から見下ろしているような高度感
男岳
しかし、男岳の頂上間近でガスが出てきて、頂上に着いたときはガスに囲まれてしまった。たぶん祠か社と思われる雪ボール。その少し先の方が高いので、そこまで歩いてみる。しかし、その先は断崖と雪庇のようで、行過ぎないように注意。マップとGPSで確認し、シールをはがしてスキーで北に向かう。
男岳頂上の祠の雪ボール(復路で晴れていたときの写真)
しかし滑っていった先がやや登りになっていて、カニ歩きで登る。先行の足跡が頼り。男岳の北の肩も東側が断崖になっているようで、反対の西側に滑り降りる。真北に行こうかとも思ったが、足跡は北西に下っていた(真北はかなりの断崖で、北西でよかった)。ずいぶん新しい足跡だと思っていたら、登ってくる本人と遭遇。ガスの中から忽然と現われ、すぐに見えなくなる。
噴火口から、ガスから現れる男女岳
噴火口の雪原に滑り降り、左右に分かれた足跡の右を辿る。左手にぼんやり男女岳が見えており、ここらで登ろうとザックを下ろしてアイゼンを付けようとすると、突然ガスが晴れて目の前に白い男女岳が現われる。あわてて写真をとりまくる。振り返ると太陽の光の下に男岳の北の壁が立っている。噴火口の奥には山小屋。
噴火口から見る男岳北壁
噴火口から見る男女岳
アイゼンを付けて柔らかい雪にバランスを取りながら登る。見下ろした噴火口には小屋に続く足跡と木道らしい跡。頂上直前で前方の視界が開け、傾いた頂上の岩手山が見える。頂上から下は雲の中。その手前には笹森山。男女岳の頂上はやや平たくなっており、中央は少し窪んでいるようだ(前回来た時の記憶とはだいぶ違う)。
岩手山
男女岳頂上
頂上標識の雪ボールのところに行くと、ツボ足のほかにスキーの跡が数本付いている。たぶん北のスキー場から来たのだろう。北斜面のところまで歩いてみると、果たしてはるか左下にスキーヤーの姿が見えた。
山小屋
右手下の白い噴火口が美しい。山小屋はおもちゃのよう。後でマップと照合すると、岩手山の手前が三角山、その右手が高倉山、岩手山の左手前の大きいのが湯森山と笊森山(並んでいる)、その左奥が乳頭山のようである。乳頭はやがてガスに隠れ、後方の男岳にもガスがかかり始める。しかし、男岳の左奥に女岳が少しだけ見えていた。テルモスのお茶を飲み、頂上に15分ほどいて出発。迷わず来たルートを戻る。
頂上から見る噴火口・・・・・窪みは阿弥陀池
北のスキー場へのスロープ・・・・・スキーヤーが小さく見えている
北のスロープのスキーヤー
男岳北壁から見る男女岳とスキーヤー
シュカブラが硬くて滑りにくいがジャンプターンで降りる。下に着くとガスの中。トレースを辿り、アイゼンに変えて斜面を登る。北の肩に着いたところでザックを下ろしてスキーを履こうとしていると、突然スキーを担いだ人が現われた。飾りのように旗をたくさんもっている。小屋に行くと言っていた。
男岳からの滑走1
男岳山頂に着くとまたガスが晴れだした。少し待っていると、北の肩の男性の向こうに左にややかしいだ男女岳が見え、噴火口の小屋が見え、岩手山の頂上も見えた。さて、滑り降りようとすると眼下のスキー場に細尾根も見えてきた。なかなか手強そうだが見えている分には問題ないだろう。しかし、念のため、スキー流れ止めをつける(これで安心して思い切ってターンできる)。
男岳からの滑走2
最初の斜面を快調に滑り、急な細尾根を慎重に下る。北側の斜面が比較的障害物が少なくて滑りやすい。
男岳からの滑走3
急斜面からいったん広い斜面に出て次の細尾根ではやや南側を滑る。さっきまではるか眼下だった南の尾根がもう目の高さになっている。そこからの広い尾根は雪質も抜群で、快適にショートターンを刻む。
滑走尾根
スキー場のすぐ上
その先の木立のところで休んでいる一団がいる。朝の団体かもしれない。その右横をとばしてリフト最上部に到着。男岳から17分(登り1時間40分)。なかなか楽しめた。
スキー場に到着
もう15時だが、リフト終了16時まで1時間ある。森山のリフトまで降り、キムチラーメンでランチ。すごく辛いがうまかった。食事の後、再度リフトに乗って最上部から滑る。いったん見えなくなってきた田沢湖が夕日に少し見えていた。駐車場に戻り、帰路につくが、いったん引返して温泉に入る。2年前に来たところだが、白く濁っている。露天はなし。先週に比べると全く大満足の一日であった。私よりのろいパーティもいるというのも分かった。