常念岳 北アルプス表銀座の絶景

長野県  常念岳2,857m、大天井岳2,922m、燕岳2,763m、餓鬼岳2,647m 、蝶ヶ岳2,677m、大滝山2,616m    2008年8月1日~4日(テント3泊)

(常念岳)日本百名山

(大天井岳、燕岳、餓鬼岳)日本二百名山

(蝶ヶ岳、大滝山)信州百名山

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名山一人旅

私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。

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蝶ヶ岳から常念岳までの縦走路は槍・穂高の絶好の展望所。なんと浮世離れした景色なのだろう。登ったことのある峰が記憶を呼び起こし、まだ登っていない峰を見て胸が高鳴る。

白い岩肌の美しい燕岳は白と緑をちりばめた芸術品のよう。それと対照的に、荒々しい剣ズリの尖峰尾根の餓鬼岳。めくるめく絶景の連続。これぞ登山の境地。

初日の大滝山には花がいっぱいの草原。縦走路・雪渓跡のチングルマのかわいいこと。そして燕岳の赤いコマクサの群落。花々が人々を惹きつける。

大滝山は静かだったが、蝶ヶ岳から常念岳までは正に表銀座の人通り。人々で賑わう常念岳を過ぎると静かな山旅で大天井岳。燕岳周辺は散策を楽しむ人たちでいっぱい。そして、剣ズリの尖峰尾根では辛いアップダウンを一人黙々と辿る。万華鏡のような山旅だった。

縦走路の南側から見る常念岳。遠くからでも目立つ山だが、こうして目の前に見る常念はなかなか存在感がある。
穂高連峰と登山者パーティ
燕岳頂上・・・・頂上は狭く、この人たちは私がどくのを待っている。奥に燕山荘が見える
剣ズリの岩峰
大滝山のフウロ
アオノツガザクラ(大天井岳の南)
燕岳のコマクサ
D1 10:08 三股登山口発15:15 蝶ヶ岳テント場着・・・・・登り5時間7分15:31 蝶ヶ岳テント場発16:44 大滝山18:22 蝶ヶ岳テント場着・・・・・往復2時間51分、D1合計8時間14分D2 6:38 蝶ヶ岳テント場発11:40 常念岳・・・・・・・・・・・・・・・登り5時間2分14:49 横通岳(トラバース)17:30 大天井テント場・・・・・・・D2合計10時間52分D3 6:13 大天井テント場発 6:34 大天井岳 6:46 大天井テント場・・・・・・・・往復33分10:31 燕岳・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間45分12:36 東沢乗越・・・・・・・・・・・・・下り2時間5分17:02 剣ズリ(トラバース)18:26 餓鬼小屋テント場・・・・・登り5時間50分、D3合計12時間13分D4 6:40 餓鬼小屋テント場発 6:49 餓鬼岳 7:19 餓鬼小屋テント場発 8:29 剣ズリ(トラバース)12:25 東沢乗越・・・・・・・・・・・・・・下り5時間6分16:20 中房温泉・・・・・・・・・・・・・・下り3時間55分、D4合計9時間40分

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1日目

三股登山口に9時半すぎに着くと、さすが銀座通り、駐車場はほぼ満車。この手前に第二、第三駐車場というのもあった。登山口近くの空きスペースに止めて準備。学生風の人や年配夫婦などがいる。

標高差1,350mを5時間、休憩3回で蝶ヶ岳頂上に着く。なんとか大滝山まで行けそうだ。テントを、風の当たらないところでなく、槍・穂高が正面に見える位置に設営する。結果的には余り良くなかったが、こんなに眺めのいいところはそうなかろう。15時半。小ザックにボトルを入れ、大滝に向かう。

大滝山への長い尾根を登っていくと、池や花の中を通る。黄色い花や白い花がたくさん咲いている。コルから登りとなり、ピークをひとつ過ぎ、ひょっこり池塘に出る。にごった水だが、思いがけない景観。2000mは越しているところの池塘。登山道は一番奥の池塘の上の浮橋を渡って、向こうに見えるピークに向かう。

北峰(最高点)に着き、そこが頂上かなと思ったが、その先を下ったところに小屋があり、外で団体さんが食事中。「大滝山の頂上はまだこの先、10分くらい」と言われ、更に尾根を辿り、大滝山の三角点峰に達する。常念に似た姿を予想していたが、全く違っていた。ピークの全くない平らな山頂。山腹に隠された花畑と池塘。思いがけない発見で心が少し豊かになった。

テント場で夜中にトイレに起きると、たくさん星が見えるが分かるのはカシオペアのみ。あの明るいのはベガかなあ。遠いトイレの帰り。

2日目

蝶ヶ岳からの縦走路は槍・穂高の絶好の展望所であった。五月に西側から眺めた槍・穂高を、今度は東側から眺める。涸沢カールに槍沢の長い谷が雄大。南の岳沢から前穂高や西穂高に至るルートも見える。前日登った大滝山の低く長い頂上も見えている。前穂高とそのルンゼがよく見える。岳沢から前穂高には、あのルンゼの雪を登ることになるのだろう。

因みに、蝶ヶ岳の頂上標識は最高地点2,677m(長塀ノ頭)のテントサイトの近くに立っているが、三角点2,665mはそこから1kmほど北にあり、その100m先に蝶槍2,660mがある。いずれもこの日に通過。ぽつんとしている三角点から蝶槍と常念を見る。眼下には1,000m下の上高地から槍沢への谷。

やがてルートは最低鞍部の林の中に入り、ニッコウキスゲを見て、そして登りに転ずる。前方に再び見えてきた常念はちっとも近くなっていない。団体さんと追いつ追われつ。松本に来るたびにたいてい最初に見るのが常念岳で、もうなじみの山になってしまっていたが、こうして目の前に見る常念はなかなか存在感のある山だ。松本から見る常念、涸沢から見る常念もいいが、この常念もまた大きく裾を広げていて、とても身近に感ずる、愛着のわく山だ。

ようやく着いた常念岳の頂上で、うとうとして少し眠り込んでしまう。身近に感ずる山に登り、とりあえず、今回最大の目的の山に到達した達成感。下った先の常念小屋のまわりも大勢の人。さすが北アルプス銀座通り。広いテント場。蝶ヶ岳の二倍はあるだろう。素通りして横通岳に向かう。とたんに人どおりが減り、横通の頂上付近をトラバースし、下りにかかると、いつしか誰もいなくなる。けれども、雪渓のそばに咲いているチングルマのかわいいこと。

大天井まで一人旅となり、道を間違えたかと思うほどだったが、大天井小屋は盛況で、小屋にはたくさん人がいた。どうもここは燕の方から来て、常念でなく、槍ヶ岳の方に向かう通過点になっているようである。テントを張り、受付。またビールを買う。

3日目

テント場のすぐ近くにある大天井に空身で往復。その頂上からは、槍・穂高に加え、黒岳や鷲羽に三俣蓮華、燕尾根などの大展望。真夏だが、朝の風は冷たい。稜線上は風が冷たいのでレインウェアを着込むが、斜面を下って風が当たらなくなると、とたんに汗がふきだす。

燕岳が近づくと、白い花崗岩の砂でできた斜面にコマクサが花を咲かせている。大群落のなかに、ものすごくたくさん花をつけたコマクサがあった。こんなのは初めて見た。そして石垣もある立派な燕山荘(えんざんそう)に到着。広い敷地に散策を楽しむ登山客。まさにホテルのロビーのような広いフロントに余裕の係員。餓鬼小屋はこことは大違いだった。

燕岳は予想通りとても美しい花崗岩の山であった。白と緑の積み木を複雑に積上げたような形。コマクサの大群落の稜線を歩いて頂上に登る。意外に小さい頂上は登山客で満員。頂上に立つのに順番を待ち、美しい山の頂上に立つ。立っていた時間は短いが、この感激は永遠に記憶に刻まれる。さあ、次の人に譲ろう。座り込んでいる人の横を飛び降りて北に向かう。花崗岩の砂の道を下っていくと、コマクサの大群落。ロープの間を進み、デジカメを向けるが、いいアングルがない。

燕尾根の末端付近まで歩き、東沢乗越に下っていくと、花咲く草原があり、雪渓跡には、またチングルマ。

谷向こうには、餓鬼岳の剣ズリから大きなナギが落ちているのが見える。餓鬼岳は、東沢岳と剣ズリの険しそうな尾根の向こうに見えていたが、行ってみると本当に大変な登山道だった。東沢岳へは1時間で比較的楽に着く。なんという名前か知らないが、鳥がたくさん飛び回っていた。行く手の尾根には岩峰がそびえ、比較的なだらかに見える餓鬼岳の手前に、ごつごつ坊主頭の剣ズリが待ち構える。標識があり、ここから大巻きに下る。林から抜けたと思ったら大ナギを横切る。すさまじい傾斜で、台風のあとなんかだと踏跡が無くなるだろう。剣ズリの手前から大きく南側に下巻き、西側を登り返して鉄ハシゴのところに出る。剣ズリを越えると普通の道となり、やっとたどり着いた餓鬼岳小屋はトタンのくたびれた小屋で、燕や常念とは大違い。ところが意外に大勢の客がいた。水をもらいテントを張る。

4日目

朝、ザックを置いて餓鬼岳に向かう。ガスで視界がないのは残念だが、古い祠といくつかのケルンと大きな三等三角点のある頂上。ガスの中を奥のピークまで行ってみる。昨日は一度は諦めようとしていた餓鬼岳の頂上でしばらくうろうろ。苦労してたどりついた頂上ほど愛着がわく。

北下山口に向かうべきか、小屋の人に聞いてみたが、北の登山口には何も無く、タクシーを呼ばないといけないという。中房温泉のほうがよいという感じであった。テントをたたみ、往路を戻る。

大ナギを横切ってコルから登り返し、G5の頂上で休憩。これでひと山こえた。こんな天気では誰もこないだろうと思っていたが、G5への登り返し以降、5~6パーティに会う。「ここからは楽ですか」と聞かれ「いや、まだまだ」と答えておく。G5頂上では、夫婦にグレープフルーツをもらう。とてもうまかった。

東沢乗越には12時半前着。テント場を出てから5時間。ガイドの3時間ではとても無理だ。因みに前日の往路は6時間弱。この先、中房温泉までの5.2kmもしんどかった。ようやく沢筋に降りてきて、パイプの吊橋を渡る。その先の小さな板橋を渡ったところでゆかたの温泉客と出会う。三叉路の右にゆくと白滝の湯というのがあるらしい。温泉客を見てびっくりしたが、向こうもこっちをみてびっくりしていた。そうだろう。

花1:大滝山のハクサンフウロ

花2:ミヤマカラマツ?

大滝山の花畑


大滝山の池塘・・・・・写真のとおり水は黒かった


花3:ミヤマセンキョウ

花4:クルマユリ

花5:イブキトラノオ?

花6:キンポウゲ?

大滝山の三角点と標識・・・・・避難小屋の先にある


大滝山(蝶ヶ岳付近より)


蝶ヶ岳頂上標識と南岳

花7:イワツメクサ?

穂高連峰・・・・・蝶ヶ岳・三角点付近より

蝶ヶ岳から見る穂高岳・・・・・左から奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳


前穂高岳とルンゼ


蝶ヶ岳から見る槍ヶ岳

南岳、中岳、大喰岳、槍ヶ岳

蝶ヶ岳・三角点から見る蝶槍と常念岳

蝶ヶ岳・北コルの花畑

花9:ニッコウキスゲ

常念岳から見る蝶ヶ岳と大滝山


常念岳


常念岳頂上

常念岳頂上標識と私


大天井岳と横通岳(右手前)


花10:チングルマ・・・・・横通岳と大天井岳の間の雪渓脇

花11:ツガザクラ?

花12:イワギキョウ?

穂高連峰の吊尾根・・・・・前穂高岳と奥穂高岳

槍ヶ岳と小槍


大天井岳頂上と祠


大天井岳・・・・・燕岳への縦走路より

三俣蓮華岳

鷲羽岳

黒岳(水晶岳)

野口五郎岳

立山

燕尾根・・・・・燕岳は遠くからは目立たない


燕岳


燕山荘


燕岳頂上・・・・頂上は狭く、この人たちは私がどくのを待っている。奥に燕山荘が見える


花13:燕岳のコマクサ

花13:コマクサの大群落

燕尾根末端の岩峰

燕尾根末端から見る槍・穂高

花3:ノラニンジン?

花1:フウロ・・・・・東沢乗越付近

花6:キンポウゲ?

花10:チングルマ

東沢岳の小鳥

東沢岳

東沢岳の頂上・・・・・左下をトラバース

剣ズリのナギ

剣ズリの岩峰

剣ズリのナギの横断

餓鬼岳

剣ズリの岩峰

餓鬼岳頂上

花14:ギボウシ?