青薙山 南アルプス南端の絶景
静岡県 2,406m 2015年10月12日~13日(テント1泊)
静岡県の山
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私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。
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赤崩は凄まじく広大な崩壊地。その上に青空と紅葉の青薙山。崩れゆくものの上に立つ毅然とした姿。その対比がいっそうこの山を美しく感じさせる。
大きな谷の反対側には、南アルプス、悪沢岳と赤石岳がわずかに雪をかぶり、青空の下に輝いていた。雪の白が山肌を際立たせ、赤石岳の荒々しい姿は印象的。南アルプス南端で見た絶景。
時間切れで稲又山まで行けなかったのが残念だったが、南アルプス南端の青薙山はルートファインディングの楽しみがある、深南の雰囲気の味のある山だった。
稲又山・・・・・引き返し点から見る稲又山(中央)。その奥右が笊ヶ岳と布引山
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(1日目)
沼平ゲートを早朝に出たが、先行パーティが二組3人いた。暗いけれど5時出発というのは早くないのだろう。最初の二人と後から来た4人目の男性は畑薙大吊橋を渡って行ったが、3人目の男性は林道を直進。登山口で休憩している男性に聞くと、青薙山に登るとのこと。登山口で私が先に登ったが、すぐに追い越される。軽装に見えたがテントを積んでいたようだ。
道が荒れているのは覚悟の上だったが、重いザックをしょっての登りはきつく、次第に辛くなる。やっと池の平に着き、すばやくテントを設営し、軽いザックで青薙、稲又に向かう。少し登ると赤崩・崩壊地。これは凄まじく広大な崩壊地で、その上に青空と紅葉の青薙山が見えた。崩れゆくものの上に立つ毅然とした姿。その対比がいっそうこの山を美しく感じさせているのだろう。
大きな谷の反対側には、南アルプス、悪沢岳と赤石岳がわずかに雪をかぶり、青空の下に輝いていた。絶景。雪の白が山肌を際立たせている。悪沢や聖岳から見るのとは異なる赤石岳の荒々しい姿が特に印象的で、最初は赤石とは分からなかった。
赤崩の脇を登り、赤崩ノ頭に達し、今度は真上から赤崩を見下ろす。はるか下に大井川と赤い鉄橋(畑薙橋)が見える。今にも崩れ落ちそうな赤崩の淵に立つ美しい広葉樹。はかない命が美を際立たせている。対岸の稜線上には悪沢、赤石に加え、聖、上河内、茶臼、光岳が並ぶ。南アルプス南端の絶景。
この後、赤崩から青薙に向かうところで、おもいがけず下ってくる若い二人に会ったが、椹島から来たのだろうか。最初は平坦な林と草原、それから林の尾根登りとなり、植林時のものと思われる踏跡がたくさんあって迷いがち。ルートファインディングの楽しみがある、深南の雰囲気。数箇所で樹間から西の南アルプスと東の山伏を見る。紅葉のまっさかり。頂上直前で池の平に下っていく女性に会い、頂上手前には青いテントが張ってあった。途中で追い越していった男性のものだろう。
青薙山の頂上は林の中にあり、大きな頂上標識と二等三角点があった。青薙まで3時間、稲又まで4時間で登れると計算したが、青薙までが遠く、4時間かかってしまい、稲又まで更に2時間はかかりそうなので、途中で諦めて引き返す。池の平から稲又山までの5.3kmを8時間で往復しようとしたのは無理があったようだ。池の平に泊まって翌日、一日かけて往復、もしくは初日に青薙手前まで登るのが正解だった。稲又山への途中に山伏への分岐があり、引き返し点で行く手の稲又山とその向こうの笊ヶ岳を見る。
下りは休みながら歩けたが、植林時の脇道が多く、GPSがないと道に迷っただろう。薄暗くなった池の平にはもう一つのテント。青薙手前で会った女性のものだろう。テントに入る前に、テントサイトの十数メートル下にある池に下りてみる。それは窪地の湧き水の池で、流れ込む沢はなく、湧き出た水は北西にある滝になって数十メートルを流れ落ち、大きな音をたてている。不思議な情景。テントに入ってシュラフにもぐりこんでしばらく休み、暗くなってから起きて野菜スープを作って食べる。水の音が響く林の中の静かな一夜。
(2日目)
ゆっくり起きて沼平ゲートに戻る。稲又山まで行けなかったことをくどくど考えてしまう。まあ、また来ればいいさ。
沼平ゲート・・・登山届ポストいた2パーティの後に並び、記入して出発。
畑薙大吊橋の少し先にある青薙山の登山口。階段は雑草に覆われ、登山口標識の文字は読めない
池ノ平の標識・・・この右手にテントサイトがあり、その更に右、十数メートル下った窪地に湧き水の池がある。その池から北西に向かって水が滝になって流れ落ちている
赤崩・・・・・池ノ平から少し登ると赤崩の脇に出る。凄まじく、広大な崩壊地。その脇を登っていく。
赤崩の上の青薙山
真上から見下ろす赤崩・・・・・赤崩ノ頭付近より。はるか下に見えているのは大井川と赤い鉄橋(畑薙橋)
危うい美・・・・・赤崩の淵に立つ紅葉樹。はかない命が美を際立たせる
悪沢岳・・・・・樹間にわずかに見えていた南アルプスの群雄が赤崩の脇のあたりから姿を現わす。最初に見えるのは白い雪をかぶった悪沢岳
赤石岳・・・・・・最初は前山(白蓬ノ頭)の裏に隠れていた赤石岳が、高度が上がると見えてくる。悪沢や聖から見る姿とは異なる荒々しい岸壁が印象的
聖岳・・・・・青薙山への尾根を登るあたりで、前山(上千枚山)の影からようやく見えてきた聖岳
上河内岳・・・・・聖岳の南に続く稜線上、丸い頭の上河内岳。右手前は上千枚山
茶臼岳・・・・・聖岳の南に続く稜線上、上河内岳の南。あまり目立たないピーク
光岳・・・・・茶臼岳の更に南の稜線上。左奥が光岳、右手前はイザルガ岳。よく見ないとわからない
山伏・・・・・南アルプスとは反対側の東側の情景。中央の目立たないピークが山伏、その左奥が行田山(わずかに大谷崩が見える)と思われる
青薙山頂上・・・・・林の中で眺望はない。手前に青いテントがあったが、テントを張れそうな平らなところはたくさんある
紅葉1
紅葉2
紅葉3
稲又山・・・・・引き返し点から見る稲又山(中央)。その奥右が笊ヶ岳と布引山
笊ヶ岳・・・・・双耳峰の笊ヶ岳。登山道と三角点は左の峰にある