白滝天狗岳 尾根歩きとパウダー滑走

北海道・大雪山系  白滝天狗岳1,553m、前天狗1,438m、小天狗1,313m  2015年12月25日

北海道の雪山ガイド

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私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。

⛄⛄⛄⛄⛄

小天狗の反射板まで登るとガスが晴れてきて、次第に前天狗から天狗岳への稜線が見えてくる。ずいぶん近く見えるが、小天狗からはすぐ近くに見えた天狗岳は遠かった。

マイナーピークをいくつか越してようやく岩がむき出しになっている天狗岳頂上が見えてくる。岩だらけの尾根だったが面倒なのでスキーでそのまま登り、すっかり錆びついた屋根の祠の少し先の最高地点1,553mに到達。ここには三角点はない。

これだけ雪が降っていればトレースは消えるだろう、と考え、林を抜けてゲレンデに出て、パウダーを滑る。これがごきげんパウダーで、電波塔でシールを外したときはへとへとだったのに、それまでの疲れも吹き飛び、腰の痛みもすっかり忘れて滑りまくる。

雪は深く、腰くらいまで埋まるが、まるで軽い雪なので、ふわりと浮きあがってターンする。こいつは気持ちいい。今回北海道ツアーのハイライト。

この登山については、道北ヤブ山日記ameblo.jo/kunbetuの記事およびアドバイスを参考にしました。ありがとうございます。

❄❄❄❄❄

腰まで埋まる深雪だってェ

すっ転ばないように気をつけな-

波乗りの要領なんだよォ

泳いだことはないけどナ

そーら、すっ飛ばすぞォ

(パウダーの煙)

2018年5月に北東側から見た白滝天狗岳。右端のスキー場沿いに電波塔の見える小天狗に登り、急坂を登って前天狗を経て黒い岩峰の白滝天狗岳に至る。
チトカニウシから見た白滝天狗岳。東尾根(写真の左)を辿って登ったが、小天狗からはすぐ近くに見えた天狗岳は遠かった。
パウダー滑走
小天狗の反射板
白滝天狗岳頂上の祠
7:30 路肩駐車地点発 8:22 リフト1頂上駅横 9:42 リフト2頂上駅横10:26 リフト3頂上駅横10:40 小天狗・反射板12:19 前天狗13:15 白滝天狗岳・・・・・・・・・・・・・・・・登り5時間45分13:18 白滝天狗岳発14:07 前天狗トラバース14:50 小天狗・反射板、滑走開始15:06 リフト3頂上駅横15:13 リフト2頂上駅横15:35 リフト1頂上駅横15:47 路肩駐車地点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復(含休憩)8時間17分

********

朝起きると曇空に雪。携帯天気予報も雪。だいぶ降っている。ダメかなあと思いつつも着替え、スキーにシールを貼り、ホットレモンを作る。とりあえず白滝スキー場へ。スキー場の駐車場(ここは駐車してはいけないはず)を過ぎるとヒュッテ北大雪というのがあり、その前が広く除雪されていたが、「私有地、立入禁止」の看板があるので、駐車しない方がいいだろう。そこから出ていくと入れ替わりにトラックが入っていった。ネット情報に従い、スキー場駐車場の外の路肩に行く。ところで、道の駅を出たときはこの日に登るつもりは全くなかったのだが、路肩に停め、ゲレンデ横の登りやすそうな林間斜面を見て、登ることにしてしまう。小雪が降っていて視界が悪く、これまでなら絶対に登らなかっただろうが、GPSがあれば方角は分かる。道はやたらに広いので、路肩に停めても問題なかろう。準備していると、近くでクロスカントリーのためらしい除雪をしていた圧雪車の人が「登山?」と聞いてきたので、これもネット情報に従い、「登山です」と答えた。トラックでやってきた若い方はスノーモービルに乗っていた。

シールスキーで道を横断し、林に入る。ゲレンデ横の林間を登るが、縦3列あるリフトの2列目の傾斜がきつく、休み休みの登りとなる。林の中の縦の隙間に沿って登ると、何回か作業道のようなのを横切り、林の中になり、そして最初のリフトの頂上駅に着く。ウォークマン&ワイヤレススピーカを起動。パットマステロットを聞きながら登る。手数の多いせわしないドラミングににぎやかなサンプリング。こんな小さいスピーカなのに低音もそこそこ聞こえる。ちょっと元気回復。その先で平坦になり、林が混んできたのでゲレンデの端を歩く。ゲレンデから林に入り、またきつくなった傾斜を登ると二つ目のリフト駅。リフト3の脇の林を登り、最後のリフト頂上駅に着く。ここで最初のピーク小天狗が見える。雲に霞んだ太陽。最後のリフトからまばらに木々のある広い雪原を進むと小天狗の反射板が見えてくる。反射板のまわりは岩が出ていて、借地権の木標。GPSの小天狗1,313m標高点は反射板のやや西側にあり、ここには何も書いてない木標。このときガスが晴れてきて、次第に前天狗から天狗岳への稜線が見えてくる。ずいぶん近く見える。前天狗の手前に白い北東斜面(パウダー斜面)が見える。だが、小天狗からはすぐ近くに見えた天狗岳は遠く、その手前にある前天狗へのパウダー斜面の登りがきつかった。

小天狗1,313mからいったん下り、尾根を進むが、ウォーク・モードでの滑走で少し油断し、転んでしまう。マイナーピークに上がると更にガスが晴れ、前天狗の右後に天狗岳の頂上が見えた。尾根を進み、前天狗のパウダー斜面を登る。傾斜がきつく、辛い登り。高度が上がると背後に小天狗の反射板が見えてくる。しかし、前天狗の頂上の手前でガスが流れ出し、遠景は見えなくなる。縦走路は前天狗頂上の右側をかすめていたが、一応、前天狗頂上(GPS標高点1,468m)まで行っておく。前天狗から下り、狭い尾根をたどって天狗岳に向かう。マイナーピークをいくつか越してようやく岩がむき出しになっている天狗岳頂上が見えてくる。岩だらけの尾根だったが面倒なのでスキーでそのまま登り、すっかり錆びついた屋根の祠の少し先の最高地点1,553mに到達。ここには三角点はない。

さて、そこから有明山に行くつもりだったが、ガスで見えていない。スキーでは下れない急な岩の出ている斜面。やや北西に伸びている尾根の先にピークが見えており、そこまで行くのにいったん手前まで降りて北側をトラバースしようと思い、引き返す。しかし、風が強く、吹雪になってきた。下ったところで時間を確かめ、1時半を過ぎていたので、もう帰ることにする。有明山への尾根は南西方向であり、まだ1㎞もあった。また来て登ろう。前天狗では北西側をトラバースして雪斜面に出て、そこでスキーブーツをスキーモードに切替え、シールのままでパウダー斜面を滑る(実はここでシールを外して滑走し、小天狗もトラバースすればよかった)。吹雪いており、疲れ切っていたので、小天狗まで写真を撮っていない。ようやく小天狗の反射板に着き、強風のなかでシールを外し、ホットレモンを飲んで滑走開始。ホットレモンはぬるくなっていた。

反射板から右手に下ったが、GPSを見るともっと左なのでトラバース。気付くとリフト3頂上駅が目の前にあった。往路の登りトレースもすっかり消えており、これだけ雪が降っていればトレースは消えるだろう、と考え、林を抜けてゲレンデに出て、パウダーを滑る。これがごきげんパウダーで、電波塔でシールを外したときはへとへとだったのに、それまでの疲れも吹き飛び、腰の痛みもすっかり忘れて滑りまくる。すぐにリフト2頂上駅に到着。傾斜があり、より広いゲレンデをパウダー滑走。雪は深く、腰くらいまで埋まるが、まるで軽い雪なので、ふわりと浮きあがってターンする。こいつは気持ちいい。今回北海道ツアーのハイライト。やがて傾斜のあるゲレンデの先に傾斜の無いゲレンデが見えてくる。あそこは滑らないだろうな、と思ったが、その通りだった。平坦ゲレンデの手前で登りトレースが現れる。そのあたりは余り風が吹かないのだろう。林に入り、再びゲレンデへ。滑らないので登りトレースに乗って進むとリフト1頂上駅。傾斜のない1列目のゲレンデはやや歩いて登りトレースをたどり、林に入る。最後の林の中は傾斜があり、そこそこに滑って車道に着き、車道を渡って駐車地点に帰着。疲れた。吹雪で、もう薄暗かった。

翌日は札幌なので、比布方面の温泉に行きたかったが、疲れていて調べたくなかったので、前日と同じ丸瀬布(まうれ)に向かう。上を外で着替え、車に入ると寒くて震えた。車を出した16時半過ぎはもう真っ暗。カーナビは東を指していたが、山越えの道かもしれないので引き返し、高速に乗る。長く感じたが1時間弱で丸瀬布温泉に着き、熱い湯につかって生き返る。

上川まで行けばスーパーはあるだろう、と思ったが、なかった。セイコーマートで夕食購入。二日前よりも走りにくい道になっていて、遅い車もいたが、早い車もいた。80㎞から90㎞で走る。疲れてきたので、札幌までいくのは止め、岩見沢SAで止まることにする。大雪が降っていて、追い越し車線をトラックが追い越していくと、雪煙で一瞬、何も見えなくなる。遅い車を何台か抜いたが、とんでもなく早い車もいる。ところが、高速の放送があり、美唄インターの先は事故のため通行禁止だという。それは岩見沢SAの手前だ。仕方ないので、その手前の茶志内PAに入る。このPAがあるのに早く気付いてよかった。

北大雪スキー場

朝起きると曇空に雪。携帯天気予報も雪。だいぶ降っている。ダメかなあと思いつつも着替え、スキーにシールを貼り、ホットレモンを作る。とりあえず白滝スキー場へ。スキー場の駐車場(ここは駐車してはいけないはず)を過ぎるとヒュッテ北大雪というのがあり、その前が広く除雪されていたが、「私有地、立入禁止」の看板があるので、駐車しない方がいいだろう。そこから出ていくと入れ替わりにトラックが入っていった。

ヒュッテ北大雪(跡?)

広い車道

ネット情報に従い、スキー場駐車場の外の路肩に行く。ところで、道の駅を出たときはこの日に登るつもりは全くなかったのだが、路肩に停め、ゲレンデ横の登りやすそうな林間斜面を見て、登ることにしてしまう。小雪が降っていて視界が悪く、これまでなら絶対に登らなかっただろうが、GPSがあれば方角は分かる。道はやたらに広いので、路肩に停めても問題なかろう。準備していると、近くでクロスカントリーのためらしい除雪をしていた圧雪車の人が「登山?」と聞いてきたので、これもネット情報に従い、「登山です」と答えた。トラックでやってきた若い方はスノーモービルに乗っていた。

路肩駐車地点から林間に入る


林間の登り

シールスキーで道を横断し、林に入る。ゲレンデ横の林間を登るが、縦3列あるリフトの2列目の傾斜がきつく、休み休みの登りとなる。林の中の縦の隙間に沿って登ると、何回か作業道のようなのを横切り、林の中になり、そして最初のリフトの頂上駅に着く。ウォークマン&ワイヤレススピーカを起動。パットマステロットを聞きながら登る。手数の多いせわしないドラミングににぎやかなサンプリング。こんな小さいスピーカなのに低音もそこそこ聞こえる。ちょっと元気回復。その先で平坦になり、林が混んできたのでゲレンデの端を歩く。ゲレンデから林に入り、またきつくなった傾斜を登ると二つ目のリフト駅。リフト3の脇の林を登り、最後のリフト頂上駅に着く。ここで最初のピーク小天狗が見える。雲に霞んだ太陽。最後のリフトからまばらに木々のある広い雪原を進むと小天狗の反射板が見えてくる。反射板のまわりは岩が出ていて、借地権の木標。GPSの小天狗1,313m標高点は反射板のやや西側にあり、ここには何も書いてない木標。このときガスが晴れてきて、次第に前天狗から天狗岳への稜線が見えてくる。ずいぶん近く見える。前天狗の手前に白い北東斜面(パウダー斜面)が見える。だが、小天狗からはすぐ近くに見えた天狗岳は遠く、その手前にある前天狗へのパウダー斜面の登りがきつかった。


リフト1頂上駅

リフト2頂上駅

リフト3頂上駅

小天狗と反射板・・・・・北見峠付近より(2015年12月24日映像)

小天狗の反射板

小天狗1,313mからいったん下り、尾根を進むが、ウォーク・モードでの滑走で少し油断し、転んでしまう。マイナーピークに上がると更にガスが晴れ、前天狗の右後に天狗岳の頂上が見えた。尾根を進み、前天狗のパウダー斜面を登る。傾斜がきつく、辛い登り。高度が上がると背後に小天狗の反射板が見えてくる。しかし、前天狗の頂上の手前でガスが流れ出し、遠景は見えなくなる。縦走路は前天狗頂上の右側をかすめていたが、一応、小天狗頂上(GPS標高点1,468m)まで行っておく。

前天狗と雪原斜面・・・・・右奥が白滝天狗岳

白滝天狗岳・・・・・手前が東峰、奥が本峰


前天狗の雪原斜面


前天狗の頂上部分

大岩・・・・・白滝天狗岳頂上の一つ手前の東峰にある


白滝天狗岳(東峰付近より)

前天狗から下り、狭い尾根をたどって天狗岳に向かう。マイナーピークをいくつか越してようやく岩がむき出しになっている天狗岳頂上が見えてくる。岩だらけの尾根だったが面倒なのでスキーでそのまま登り、すっかり錆びついた屋根の祠の少し先の最高地点1,553mに到達。ここには三角点はない。

白滝天狗岳頂上

頂上から祠

北見峠から見る白滝天狗岳(2015年12月24日映像)

前天狗・雪原斜面の滑走

さて、そこから有明山に行くつもりだったが、ガスで見えていない。スキーでは下れない急な岩の出ている斜面。やや北西に伸びている尾根の先にピークが見えており、そこまで行くのにいったん手前まで降りて北側をトラバースしようと思い、引き返す。しかし、風が強く、吹雪になってきた。下ったところで時間を確かめ、1時半を過ぎていたので、もう帰ることにする。有明山への尾根は南西方向であり、まだ1㎞もあった。また来て登ろう。前天狗では北西側をトラバースして雪斜面に出て、そこでスキーブーツをスキーモードに切替え、シールのままでパウダー斜面を滑る(実はここでシールを外して滑走し、小天狗もトラバースすればよかった)。吹雪いており、疲れ切っていたので、小天狗まで写真を撮っていない。ようやく小天狗の反射板に着き、強風のなかでシールを外し、ホットレモンを飲んで滑走開始。ホットレモンはぬるくなっていた。

小天狗頂上と反射板

リフト3下のパウダー滑走

反射板から右手に下ったが、GPSを見るともっと左なのでトラバース。気付くとリフト3頂上駅が目の前にあった。往路の登りトレースもすっかり消えており、これだけ雪が降っていればトレースは消えるだろう、と考え、林を抜けてゲレンデに出て、パウダーを滑る。これがごきげんパウダーで、電波塔でシールを外したときはへとへとだったのに、それまでの疲れも吹き飛び、腰の痛みもすっかり忘れて滑りまくる。すぐにリフト2頂上駅に到着。傾斜があり、より広いゲレンデをパウダー滑走。雪は深く、腰くらいまで埋まるが、まるで軽い雪なので、ふわりと浮きあがってターンする。こいつは気持ちいい。今回北海道ツアーのハイライト。やがて傾斜のあるゲレンデの先に傾斜の無いゲレンデが見えてくる。あそこは滑らないだろうな、と思うが、その通りだった。平坦ゲレンデの手前で登りトレースが現れる。そのあたりは余り風が吹かないのだろう。林に入り、再びゲレンデへ。滑らないので登りトレースに乗って進むとリフト1頂上駅。傾斜のない1列目のゲレンデはやや歩いて登りトレースをたどり、林に入る。最後の林の中は傾斜があり、そこそこに滑って車道に着き、車道を渡って駐車地点に帰着。疲れた。吹雪で、もう薄暗かった。

リフト2下のパウダー滑走

林間滑走

翌日は札幌なので、比布方面の温泉に行きたかったが、疲れていて調べたくなかったので、前日と同じ丸瀬布(まうれ)に向かう。上を外で着替え、車に入ると寒くて震えた。車を出した16時半過ぎはもう真っ暗。カーナビは東を指していたが、山越えの道かもしれないので引き返し、高速に乗る。長く感じたが1時間弱で丸瀬布温泉に着き、熱い湯につかって生き返る。

丸瀬布温泉(まうれ)

上川まで行けばスーパーはあるだろう、と思ったが、なかった。セイコーマートで夕食購入。二日前よりも走りにくい道になっていて、遅い車もいたが、早い車もいた。80㎞から90㎞で走る。疲れてきたので、札幌までいくのは止め、岩見沢SAで止まることにする。大雪が降っていて、追い越し車線をトラックが追い越していくと、雪煙で一瞬、何も見えなくなる。遅い車を何台か抜いたが、とんでもなく早い車もいる。ところが、高速の放送があり、美唄インターの先は事故のため通行禁止だという。それは岩見沢SAの手前だ。仕方ないので、その手前の茶志内PAに入る。このPAがあるのに早く気付いてよかった。

(2018年5月4日)

北から見る白滝天狗岳

北東から見る白滝天狗岳

右端のスキー場沿いに電波塔の見える小天狗に登り、急坂を登って前天狗を経て黒い岩峰の白滝天狗岳に至る。


白滝天狗岳(上記の拡大)