甲ヶ山(かぶとがせん) 大山・外輪山の縦走路

鳥取県  甲ヶ山1,338m、矢筈ヶ山1,359m、船上山616m  2015年11月1日

(甲ヶ山、矢筈ヶ山、船上山)中国百名山

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名山一人旅

ゴジラの背びれのような岩尾根のてっぺんをダブルスティックでバランスを取りながら慎重に進む。足場はしっかりしているし、立って歩く方が早くて楽だろう。狭い甲ヶ山頂上に着いてほっとする。

甲ヶ山の頂上の先は断崖絶壁で、その向こうに矢筈ヶ山の二つのピークが見える。縦走路はどっちだろう。それは手前の東側にあった。ものすごく急な薙斜面を下るルート。少し迷ったが、ブッシュの中の道を発見。そこには足がかりも手がかりもあり、軽快に下ることができた。

大変なコースだと思うが、たくさん人が往来していた。ずいぶん人気があるようだ。景色もさることながら、険しいコースをクリアしていく醍醐味を楽しめる縦走路なのだろう。

縦走路の入口にある船上山は屏風岩の上にあって急峻に見えるが、頂上は広くて平。その昔、後醍醐天皇が仮宮を設けたという歴史の山。モニュメントも多く、散策によい山だと思う。

矢筈の姿をした矢筈ヶ山の頂上は平らな広場になっていて、一等三角点があった。南に黒いシルエットの烏ヶ山。

南側から見る甲ヶ山の薙斜面。ルートは右端ブッシュの部分を上から下り、右下に見える踏み跡をトラバースして薙斜面を横切り、左手前の縦走路に至る
甲ヶ山のゴジラの背びれ
屏風岩に囲まれた船上山
その名のとおり矢筈の姿の矢筈ヶ山
コミネカエデ?
5:48 東坂登山口駐車場発 6:30 船上山 6:54 船上神社 9:00 勝田ヶ山10:11 甲ヶ山・・・・・・・・・・甲ヶ山まで4時間23分11:27 矢筈ヶ山・・・・・・・・登り5時間39分11:42 矢筈ヶ山発12:37 甲ヶ山13:14 勝田ヶ山14:30 船上神社14:53 船上山15:19 東坂登山口駐車場・・・・往復(含休憩)9時間31分

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まだ暗いうちに東坂登山口を出発。急坂を登り切り、平坦になると船上山頂上。丘の上に大きな石碑があり、その手前に船上山休憩舎という2階建ての小屋が建っていた。「船上山行宮之碑」という大きな石碑の傍らに船上山の頂上標識があった。

船上山と後醍醐天皇行宮の説明

    • 頂上は広く平坦で、東西と北は柱状節理による高さ100m以上の崖(屏風岩)で天然の城塞を成している

    • 平安時代初期から山岳仏教が栄え、大山、三徳山と共に伯耆三山と呼ばれ、修験道の霊場であった

    • 元弘の乱により隠岐に流された後醍醐天皇が1333年に隠岐を脱出、名和長年に助けられて船上山合戦に勝利し、建武新政の礎となった歴史の山である

    • その後、奥の院北側に仮宮が造宮されたと推定し、船上山に約80日間行在された

船上山は屏風岩の上にあって急峻に見えるが、頂上は広くて平。その昔、後醍醐天皇が仮宮を設けたという歴史の山。モニュメントも多く、散策によい山だと思う。

この先、古い石段を登り、「船上山古石塔群」「寺坊跡」「西坂下り口」「金石寺本堂跡」を経て船上神社に着く。古い社殿と新しい社殿。裏から入って表の鳥居の前まで行ってみる。「大山縦走路」は奥にある。すっかり赤く紅葉したカエデやナナカマド。

紅葉の向こうに大山が見えてくる。樹間に見えた時は少し雲がかかっていたが、全体が見えた時はもう雲はとれていた。中央の剣ヶ峰の手前に三鉾峰、やや左前から見る姿。しかし、大山が見えたのは結局、この時だけだった。

勝田ヶ山頂上は開けた稜線上。壊れた頂上標識。大山は隠れてしまったが、豪円山や孝霊山が見えていた。行く手には手前に細い尾根を伸ばしている甲ヶ山。その尾根を歩いているパーティが見える。

ゴジラの背びれのような岩尾根が現われる。最初は平らなので楽だが、途中から傾いたり狭かったりとなる。岩の下に巻き道もあるようだったが、ダブル・スティックを使い、岩尾根のてっぺんをバランスを取りながら進む。足場はしっかりしているので、下手に手を使うより、この方が早くて楽。細い岩の左側にルートを取り、ロープのあるところは手を使って登る。そして先客数人で賑わっている甲ヶ山頂上に着く。

甲ヶ山頂上は狭く、三角点もなし。ケルンがあり、そこに頂上名を記載した岩が置いてある。頂上の先は断崖絶壁で、その向こうに矢筈ヶ山の二つのピーク。縦走路はどっちだろう。それは手前の東側にあった。ものすごく急な薙斜面を下るルート。スティックを畳み、ザックに収納して出発する。

東斜面全体に広がる薙になっている岩の急斜面を下る途中、ペンキ目印を見失ってしばらく目印のないところを下る。どうも変だ。手掛かりもなくて危ない。ルートが崩壊しているのだろうか。引き返すか迷い始めたとき、はるか下を登ってくる人を見る。普通の登山スタイルでヘルメットも手袋もなし。やっぱり左手(北側)のブッシュの中にルートがあるようなので、そちらに移動し、登山道を発見する。やれやれ。

急な斜面だが、ブッシュの中に手ごろな足がかりの岩があり、支えになる灌木がたくさんあるので。枝を掴みながらの下りは意外に楽。

登ってきた男性とすれ違う。「しんどいですね」と言っていたが、私はほっとしたこともあり、軽快に下っていく。下りが終了して南西にトラバースするルートとなり、薙の下を通過して稜線の林の中に入る。トラバースの途中で3人連れに会う。こんなルートだと知っていたら、ヘルメットくらいは持ってくるんだった。

矢筈ヶ山・北峰に登っていくと、背後に鋭角の甲ヶ山が見えてくる。東側の薙斜面は45度を越える斜度に見えるが、あんなところをロープもなして降りてきたのか。行く手には印象的な形の烏ヶ山(からすがせん)が見えている。矢筈北峰もかなりの鋭角で、南側は岩尾根になっていて、ここは固定ロープがあった。赤く染まった木の実。

矢筈ヶ山の頂上は平らな広場になっていて、一等三角点があった。最初は一人だったのでザックを下ろして三角点を写し、周囲を撮影し、それから隅に座って休憩。そのうちに二人連れが西から、男性が一人北からやってきた。南に黒いシルエットの烏ヶ山。

私はこの後、縦走路を戻ったが、この人たちも私同様、縦走路を北上し、甲ヶ山の薙斜面を登ってきた。北からやってくる団体さんにも会い、甲ヶ山のゴジラの岩尾根の北側で座って休んでいるパーティが3組ほどいた。大変なコースだと思うが、ずいぶん人気があるようだ。景色もさることながら、険しいコースをクリアしていく醍醐味を楽しめる縦走路なのだろう。

船上山・・・・・船上山ダム付近より(朝は真っ暗で見えず。帰りに撮影したもの)。頂上は広く平坦で、東西と北は柱状節理による高さ100m以上の崖(屏風岩)で天然の城塞を成している。東坂登山口は写真の右端にある。

船上山頂上・・・・・「船上山行宮之碑」という大きな石碑の傍らに船上山の頂上標識があった。

元弘の乱により隠岐に流された後醍醐天皇が1333年に隠岐を脱出、名和長年に助けられて船上山合戦に勝利。その後、奥の院北側に仮宮が造宮されたと推定され、船上山に約80日間行在されたという

船上神社(鳥居と表の社殿)・・・・・古い石段を登り、「船上山古石塔群」「寺坊跡」「西坂下り口」「金石寺本堂跡」を経て船上神社に着く。古い社殿と新しい社殿。裏から入って表の鳥居の前まで行ってみる。「大山縦走路」は奥にある。

船上神社(奥の社殿)

大山・・・・・勝田ヶ山への途上より。樹間に見えた時は少し雲がかかっていたが、全体が見えた時はもう雲はとれていた。中央の剣ヶ峰の手前に三鉾峰、やや左前から見る姿。しかし、大山が見えたのは結局、この時だけだった。

紅葉1:コミネカエデ?

紅葉2:コミネカエデ?

紅葉3:ナナカマド

勝田ヶ山・・・・・甲ヶ山岩尾根手前付近より

勝田ヶ山頂上・・・・・壊れた頂上標識

豪円山・・・・・甲ヶ山岩尾根手前付近より。大山の北側にあるスキー場のある山

孝霊山・・・・・甲ヶ山岩尾根手前付近より。背後に弓ヶ浜。左は米子市

甲ヶ山・・・・・勝田ヶ山頂上付近より、手前に細い尾根を伸ばしている甲ヶ山を眺める。その尾根を歩いているパーティが見える。

甲ヶ山の岩尾根・・・・・ゴジラの背びれのような岩尾根が現われる。

最初は平らなので楽だが、途中から傾いたり狭かったりとなる。岩の下に巻き道もあるようだったが、ダブル・スティックを使い,岩尾根のてっぺんをバランスを取りながら進む。足場はしっかりしているので、下手に手を使うより、この方が早くて楽。細い岩の左側にルートを取り、ロープのあるところは手を使って登る。そして先客数人で賑わっている甲ヶ山頂上に着く。

甲ヶ山頂上・・・・・甲ヶ山頂上は狭く、三角点もなし。ケルンがあり、そこに頂上名を記載した岩が置いてある。頂上の先は断崖絶壁で、その向こうに矢筈ヶ山の二つのピーク。縦走路はどっちだろう。それは手前の東側にあった。

甲ヶ山の薙斜面・・・・・ものすごく急な薙斜面を下るルート。スティックを畳み、ザックに収納して出発する。

東斜面全体に広がる薙になっている岩の急斜面を下る途中、ペンキ目印を見失ってしばらく目印のないところを下る。どうも変だ。手掛かりもなくて危ない。ルートが崩壊しているのだろうか。引き返すか迷い始めたとき、はるか下を登ってくる人を見る。普通の登山スタイルでヘルメットも手袋もなし。やっぱり左手(北側)のブッシュの中にルートがあるようなので、そちらに移動し、登山道を発見する。やれやれ。

甲ヶ山の薙斜面の脇にあるブッシュの中の登路・・・・・急な斜面だが、ブッシュの中に手ごろな足がかりの岩があり、支えになる灌木がたくさんあるので。枝を掴みながらの下りは意外に楽

甲ヶ山・・・・・矢筈ヶ山・北峰に登っていくと、背後に鋭角の甲ヶ山が見えてくる。東側の薙斜面は45度を越える斜度に見えるが、あんなところをロープもなして降りてきたのか。

紅葉4:赤く染まった木の実。ナナカマド?

その名の通り矢筈の姿の矢筈ヶ山・・・・・甲ヶ山より

矢筈ヶ山・北峰・・・・・矢筈ヶ山・南峰より。矢筈北峰もかなりの鋭角で、南側は岩尾根になっていて、ここは固定ロープがあった。

矢筈ヶ山頂上・・・・・矢筈ヶ山の頂上は平らな広場になっていて、一等三角点があった。最初は一人だったのでザックを下ろして三角点を写し、周囲を撮影し、それから隅に座って休憩。そのうちに二人連れが西から、男性が一人北からやってきた。

黒いシルエットの烏ヶ山・・・・・矢筈ヶ山より

紅葉5:コミネカエデ?