ピリカヌプリ 南日高の名峰

北海道(日高)  1,631m  2015年9月21-23日(テント2泊)

日本の山1000

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名山一人旅

私の登る山には名山と呼べない山もあるだろう。だが、登っているときに心ときめくものがあれば、それは私にとって名山だ。

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念願のピリカヌプリに登り、青空の南日高を見る。ようやく登頂できた喜びには限りがなかった。

しかし、ヌビナイは私の手には負えない沢だった。

「滝には全て巻き道があり、難しい箇所には固定ロープがある」と文献やネットで紹介されているヌビナイだが、核心部には固定ロープの無い高巻きや渡渉が無数にある。安易に入り込まないようにすべき沢である。

ピリカヌプリに登るのが目的なら、頂上で会った男性のように、神威岳から稜線を辿るか、残雪期に野塚トンネルから目指すのが正解だろう。

右の写真は、主稜線到達地点から見上げる草黄葉のピリカヌプリ。
核心部後半のゴルジュ
七ツ釜
ピリカヌプリ北面沢・F1・・・・・みかけは豪快。上下2段の滝で、往路は右から中央を登り、復路は右岸巻き道から左の水際を下る
ピリカヌプリの二等三角点
ソエマツ
D1 6:19 林道終点発 7:13 入渓17:00 上二俣・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り10時間41分D2 7:54 上二俣発11:34 1220m三俣14:32 ピリカヌプリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り6時間36分15:53 1220m三俣18:25 上二俣・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復合計10時間31分D3 5:57 上二俣発18:54 崩壊林道19:48 林道終点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・下り13時間51分

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(一日目)

ヌビナイ沿いの林道昭徳線を走り、鹿鳴橋を渡った先の終点付近に駐車。最初は林道を歩き、林道がヌビナイから逸れ始めるあたりで沢に下る。水量が多く、徒渉するのに場所を選ぶ。水温も冷たく、あまり水につかりたくない。岸に赤テープと踏み跡があり、テントサイトもあった。

右岸に二つ目のテントサイトがあり、そこが中二俣だった。ここからがいよいよ核心部だが、すぐに急流になっている地点に遭遇。水量が少なければ通過できるのだろうが、このときは水量が多く、これは無理だと感じた。いったん諦めて引き返すが、思い直して再チャレンジし、先に進む。

この後の道のりは辛く、厳しいものとなった。私の技量では手に負えない。体力も消耗する。

ようやく上二俣のテントサイトに着き、テント設営してシュラフにもぐりこみ、とりあえず休息。深夜に起きて夕食をとる。

(二日目)

この日はピリカヌプリに向かう。いつものようにゆっくり写真を撮りながら歩く。

ピリカヌプリ北面沢で唯一の滝といわれるF1がすぐ現われる。みかけは豪快。上下2段の滝で、往路は左岸から中央を登り、復路は右岸巻き道から右岸の水際を下る。

1,220m三俣の手前でようやくピリカヌプリ頂上部分が見えてくる。右俣がガレ沢となって稜線直下まで突き上げているのが見える。ガレ沢を登ると背後の視界が開け、ソエマツ、神威岳が次第に見えてくる。

疲れと撮影のため、足が進まない。ようやく到達した主稜線は思ったよりも狭く、ピリカヌプリを見上げると、なんと男性が一人、こちらに降りてくる。この男性は、神威岳から稜線を辿ってきたという。ピリカヌプリとソエマツに登るなら、そちらの方が確かに正解だろう。男性は水を汲みにガレ沢を下っていった。

そしてついにピリカヌプリの二等三角点に到達し、感無量。さっきの男性のテントが張ってあった。やや雲が出てきたが、南日高の景観が南北に広がる。北には主稜線の1,471m峰の左右にソエマツと神威岳、その北の稜線に中ノ岳、1839m峰、ペテガリ、カムエク。南には1,512m峰の向こうにトヨニの複数の峰、更にその南にぼんやり見えるのは十勝岳と楽古岳だろう。

下っていくと、ガレ沢から水が出ている箇所で男性が休んでいた。神威岳頂上とソエマツの肩に泊まり、3泊目だという。「ヌビナイは難しいと聞いたが、どうか、トラバースにはロープがあるのだろう」、と聞かれ、「ロープ以外にも難しいところがたくさんある。明日の下山は気が重い」、と答える。本心。

(三日目)

初日と同様に辛い、厳しいものとなった。疲れもたまっていた。暗くなって駐車地点に到着。長い三日間だった。

ヌビナイ下流部



急流地点(核心部手前)


核心部・最初の徒渉地点


核心部・最初の右岸トラバース・・・・・滝とゴルジュの長い高巻き。固定ロープが張られている

核心部・最難関とされる左岸トラバース・・・・・固定ロープが張られている


核心部・後半のゴルジュ・・・・・テラスで休憩中に写す。


七ツ釜


ピリカヌプリ北面沢・F1・・・・・みかけは豪快。上下2段の滝で、往路は右から中央を登り、復路は右岸巻き道から左の水際を下る


ピリカヌプリ・・・・・頂上部分が初めて見える


ガレ沢・・・・・稜線直下まで突き上げている


ソエマツ・・・・・いかついゴツゴツした印象。右がソエマツ頂上、中央はソエマツ肩


神威岳・・・・・均整のとれた美しい頂上




主稜線(南側)・・・・・中央は1,512m峰。その左奥がトヨニ諸峰、更にその南にぼんやり見えるのは十勝岳と楽古岳だろう。



トヨニの諸峰・・・・・4つのピークの左から2番目が北峰1529m、3番目が南峰1493mと思われる。

奥の黒いシルエットの左が楽古岳、右が日高十勝岳と思われる。

ピリカヌプリ二等三角点

1839m峰(奥右の双耳峰)と中ノ岳(たぶん中央の二等辺三角形峰)

主稜線(北側)・・・・・中央手前は主稜線の1,471m峰。その左奥に神威岳、中央やや右にソエマツ、その更に北の稜線に中ノ岳、1839m峰、ペテガリ、カムエクが見えている