戸隠山 北信州、岩尾根の霊峰
長野県 1,904m 2006年9月3日
(戸隠山1,904m、八方睨1,900m、九頭龍山1,883m)
日本二百名山
52
名山一人旅
二つ目のピークの上に出ると蟻の戸渡だった。両側が切れ落ちた細い岩尾根だが、傾斜はそれほどなく、足場もしっかりしている。張ってあったロープは使わず、ダブル・スティックでバランスをとりながら通過。
刃渡りの先を登って20分ほどで八方睨に着く。方位盤があり、曇ってなければ絶景だろう。標識には西岳180分とあるが、西岳方面はすごい下りになっていた。岩場の途中に白いコゴメグサ。
一不動方面に向かい、15分弱で戸隠山頂。1,911mとあり、マップの1,904mと異なるが、どちらが本当なのだろう(**)。
この年(2006年)の3月に戸隠連峰の雪の岩屏風を初めて見て、こいつは手ごわそうだと思っていた。あの険しい岩尾根を登れるんだろうか。
そしてやってきた戸隠は、古い祠や仏像が岩場や鎖場の中に現われる霊峰、長い歴史を持つ修行の岩尾根だった。慎重に鎖や足場に気を使い、仏像や花が見ているのに気付いてはっとする。
戻った駐車場の背後には、朝は見えていなかった岩尾根の戸隠が傲然と立っていた。今日、あの岩尾根の上をたどってきたとは、にわかには信じられなかった。
駐車場に戻ってから温泉に入り、戸隠ソバというのを食べたくてソバ屋に寄っていくと、窓から西岳が見えた。いつかは登ってみたい。
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奥社の駐車場を6時過ぎに出発。鳥居をくぐり、大きな杉の並ぶ道を歩く。途中の随神門は屋根に草が生えていて、建替えの募金をしているようだ。立派な狛犬。駐車場から2kmくらい歩いたところにある奥社登山口にある建物は寺というよりは住宅。山そのものが奥社なのだろう。登山届けを書いて出発。二人が追いついてきた。「西岳方面は土砂崩れで通れない」との張り紙あり。薄紫のツリガネニンジンに似たソバナ(ツリガネニンジンは花を輪生する)。
この年(2006年)の3月、飯縄山に登った時、反対側に戸隠連峰の雪の岩屏風を見ており、こいつは手ごわそうだと思っていた。あの険しい岩尾根を登れるんだろうか。
それにしても今日は曇っている。急な坂を登り、2時間弱で五十間長屋。そこから百間長屋の方に向かうと、お地蔵さんが立っていた。ここからが鎖場の連続で、垂直に近い岩壁を鎖につかまって登る。普通はもっと楽な巻き道を作るのではないかと思う。鎖場の途中の岸壁の穴に祠。数十メートルの鎖場を登り切って立木の尾根上に出て一安心。
二つ目のピークの上に出ると蟻の戸渡だった。ロープが貼ってあり、団体さんが通過中のようなので新聞を読みながら待つことにする。しかし、なかなか団体さんは終わらない。後からもう一人がやってくると、団体さんの一人が、「間違えて巻き道に下りてしまったので、今なら上は通れます」と言っている。そこで、先に行かせてもらうことにした。ダブル・スティックでバランスをとりながら歩く。ギャップを飛び降りると、ルートの右下に団体さんがいた。終盤で蟻の刃渡りという狭い部分があり、ここはルート左の足がかりに降りて進む。それほど難しいルートとは思わなかった。山を登っているとよく出くわす状況である。むしろ長い鎖場の方がしんどかった。(*)
(*)「それほど難しいとは思わなかった」とはこの時のメモの通りだが、具体的に分析すると、「両側が切れ落ちた細い岩尾根だが、傾斜はそれほどなく、足場もしっかりしている」のでそれほど難しくないということ。足場が滑りやすいと途端に難しくなるケースを、この後、たくさん経験した。
刃渡りの先を登って20分ほどで八方睨に着く。方位盤があり、曇ってなければ絶景だろう。標識には西岳180分とあるが、西岳方面はすごい下りになっていた。岩場の途中に白いコゴメグサ。
一不動方面に向かい、15分弱で戸隠山頂。1,911mとあり、マップの1,904mと異なるが、どちらが本当なのだろう(**)。狭い頂上で、そのまま通過する。北西に高妻の山腹が見えてきたが、残念ながら山頂部は最後まで見えなかった。稜線上のアップダウンを繰り返し、1時間強で三角点と思われる大きな石柱のあるピークに着く。ここが九頭竜山だろう。この稜線の下りは硬くて濡れており、どうにも滑りそうで慎重に降りていると、何人かに抜かれる。尻餅をついている人もいた。
(**)地理院地図によると、戸隠山頂上の標高は1,904mであり、1,911mの地点はその付近にはない。因みに、2kmほど南西にある本院岳2.030m、西岳2,053mが2,000mを越えており、北にある高妻山2,353mがこの山域で一番高い。
終盤の屏風岩の裏側らしきところで休憩し、そこからの下りを降りきると突然、一不動の小屋が現れた。そこからは前日、高妻山に登ったときの沢沿いの道となる。前日に比べて格段に元気。足の裏も痛くない。それでも、氷清水で休憩してから降りる。
牧場登山口に着き、牧場の中の道を歩くと、真昼の牧場には大勢の人。駐車場にはご主人を待つ女性。車は奥社駐車場なので、牧場入口まで行って車道と平行している自然観察路に入る。しかし、伐採作業中で奥社まで行けないとあったので、途中で車道に出る。戻った奥社駐車場はいつの間にかなんと満車。忍者小屋やら、遊ぶ場所は豊富なのだろう。その駐車場の背後には、朝は見えていなかった岩尾根の戸隠が傲然と立っていた。今日、あの岩尾根の上をたどってきたとは、にわかには信じられなかった。駐車場に戻ってから温泉に入り、戸隠ソバというのを食べたくてソバ屋に寄っていくと、窓から西岳が見えた。いつかは登ってみたい。車に乗って帰路につくと、青空の下に斑尾山が見えていた。
北信州・五岳信仰の戸隠山は、古い祠や仏像が岩場や鎖場の中に現われる霊峰だった。私には技術的に難しくて登れないかもと思っていたので、緊張しながらも岩尾根を通過でき、満足いっぱいの山旅となった。
奥社駐車場の鳥居 ・・・・・奥社の駐車場を6時過ぎに出発。鳥居をくぐり、大きな杉の並ぶ道を歩く
随神門・・・・・途中の随神門は屋根に草が生えていて、建替えの募金をしているようだ。
立派な狛犬
奥社登山口 ・・・・・駐車場から2kmくらい歩いたところにある奥社登山口にある建物は寺というよりは住宅。山そのものが奥社なのだろう。登山届けを書いて出発。
花1 :ソバナ
(ツリガネニンジンではない。ツリガネニンジンは花を輪生する)
百間長屋の仏像 ・・・・・百間長屋の方に向かうと、お地蔵さんが立っていた。ここからが鎖場の連続。
天狗ノ路地の鎖場 ・・・・・岩場の途中に祠
上の拡大・・・・・この鎖につかまって登る
蟻ノ戸渡・・・・・ダブル・スティックでバランスをとりながら歩く。ギャップを飛び降りると、ルートの右下に団体さんがいる。終盤で蟻の刃渡りという狭い部分があり、ここはルート左の足がかりに降りて進む。それほど難しいルートとは思わなかった。山を登っているとよく出くわす状況である。むしろ長い鎖場の方がしんどかった。
花2 :コゴメグサ・・・・・蟻ノ刃渡終盤付近
八方睨 ・・・・・蟻ノ刃渡りの先を登って20分ほどで八方睨に着く。方位盤があり、曇ってなければ絶景だろう。標識には西岳180分とあるが、西岳方面はすごい下りになっていた。
戸隠山頂上 ・・・・・八方睨から、15分弱で戸隠山頂。1,911mとあり、マップの1,904mと異なるが、どちらが本当なのだろう。狭い頂上で、そのまま通過する。北西に高妻の山腹が見えてきたが、残念ながら山頂部は最後まで見えなかった。(写真の左奥が高妻山の山腹)
ヨメナ・・・・・稜線上にて
九頭竜山・三角点 ・・・・・稜線上のアップダウンを繰り返し、戸隠山頂上から1時間強で三角点と思われる大きな石版のあるピークに着く。ここが九頭竜山だろう。
アキノキリンソウ・・・・・九頭竜山の近く
一不動の避難小屋 ・・・・・終盤の屏風岩の裏側らしきところで休憩し、そこからの下りを降りきると突然、一不動の小屋が現れた。そこからは前日、高妻山に登ったときの沢沿いの道となる。
牧場登山口 ・・・・・牧場登山口に着き、牧場の中の道を歩くと、真昼の牧場には大勢の人。駐車場にはご主人を待つ女性。車は奥社なので、牧場入口まで行って車道と平行している自然観察路に入る。
西岳 ・・・・・戸隠ソバというのを食べたくてソバ屋に寄っていくと、窓から西岳が見えた。いつかは登ってみたい。
雪の戸隠山・・・・・戸隠スキー場より(2006年3月映像)。右端は高妻山
雪の西岳・・・・・上の写真の左(西)(2006年3月映)
斑尾山 ・・・・・車に乗って帰路につくと、青空の下に斑尾山が見えていた。