カリキュラムとは、大学の目的、学部学科の人材養成の目的を達成するために、開設する授業科目を配列し、どのような知識・能力を身につけることになるのかを体系的に示したものです。
国際観光学科では、1年次に観光学に関する基礎的な理論を身につけるために、専門必修科目に加えて、共通科目、語学必修科目を履修し、幅広い教養・知識を涵養します。
そして、2年次以上では学問領域や卒業後の進路(キャリアプラン)に照らし合わせて、「ツーリズム・マネジメント」、「ホスピタリティ・マネジメント」、「観光地域計画」、「国際観光文化」の4分野に配置された科目を学生自身の興味によって選択・履修します。なお、学生はキャリアプランを念頭に、どの分野に重点を置くか考える必要がありますが、それ以外の分野の科目を履修することができます。あわせて2年次から各分野で演習科目も設定しており、主体的な学びを伸ばす環境として活用できます。なお、語学科目は2年次も修学し、一層の発展のためのオプションとして、留学や海外研修などがあります。また、キャリア関連科目履修やインターンシップなどを通じて、自らのキャリアプランを深く考えながら、就職活動などに備えることも必要です。
3年次以降は、専門性の高い授業の履修とともに、ゼミに所属して活動するとともに、学修の集大成となる卒業課題に取り組みます。
|ツーリズム・マネジメント分野
本分野は、旅行者と地域(国)を観光で結ぶ方法をビジネスの視点から考えていく領域です。例えば「旅行者が楽しみ地域を理解できる旅行商品や観光コンテンツを企画する」「交通の利便性や在り方を考える」「旅行者への訴求や発信を考える」「販売方法や契約を考える」「事業運営の在り方を考える」などがこれに当たります。
世界中からインバウンド旅行者が増え、国内旅行者のニーズも多様化している一方で、オーバーツーリズムやサスティナビリティといった観光の責任も考えねばなりません。こうした中、価値ある商品・サービスを考え旅行者と地域(国)をつないでいくことが交流人口の拡大や地域理解、消費拡大に寄与し、観光による社会貢献ともなります。
現在、観光に携わるビジネスプレーヤーも増え、旅行会社や交通事業者、宿泊事業者のみならず、金融機関やコンサルティング会社、不動産会社、小売など多くの業種に及びます。こうした様々なビジネスシーンにおいて旅行者と地域(国)を観光で結ぶための商品・サービス・事業を生み出せる力を養成するとともに、多くのプレーヤーと連携、コーディネートができる人材を育成します。
|ホスピタリティ・マネジメント分野
本分野は、ホスピタリティ産業を取り巻く諸問題の解決や、ホスピタリティ概念を軸とした関係性のマネジメントに関する理論や知識を習得し、関連する技量を身につけることと、それらをマネジメントするための視点や能力を養うことを目指します。
ホスピタリティ・マネジメントとは、人と人とが接するサービス提供場面のみならず、企業同士の取引や社会全般との関係など、さまざまな主体内や主体間のマネジメントを考えるものです。ホスピタリティ産業と呼ばれる特定の産業分野における経営上の諸問題を検討するという方向性と、ホスピタリティ概念を軸として多様な主体間の関係性マネジメントを検討する方向性があります。ホスピタリティ・マネジメント分野が対象とする産業界は、宿泊(ホテル・旅館など)産業、料飲サービス産業、セレモニー産業、航空業界などを中心に多岐にわたります。これらをマーケティング論、人的資源管理論、組織論、社会学、会計学、不動産学などのさまざまな理論に基づき、多面的に学んでいきます。
この分野での学びを通して、ハード・ソフト・ヒューマンの全般にわたり、多様な関係性をマネジメントしうる人材の育成を目指します。
|観光地域計画分野
本分野は、観光を活用して地域の活気を生み出し、住民の地域への誇りや愛着を高め、持続可能なまちづくりを推進するために必要な知識とスキルを習得することを目指します。具体的には、「観光まちづくり」「観光地域マネジメント」「自然環境保全」「持続可能な観光地域」に関する考え方や実践例を学びます。さらに、「観光DX(デジタルトランスフォーメーション)」「地域ブランディング」「旅行者の行動特性」など、観光まちづくりに関連する要素技術も習得します。また、地域を良い方向に導くための観光政策やインバウンド観光の受入環境整備についても取り上げます。
これらは、データやエビデンスに基づいた地域の現状把握と、望ましい地域像実現とのギャップを埋めるために必要な社会科学と自然科学に基づく論理的思考を含む学問領域です。そして、行政、観光地域づくり法人(Destination Management / Marketing Organization)、観光協会等における必須の資質であると同時に、地域振興を支援するシンクタンクやコンサルティング業界で必要なスキルでもあります。観光による地域振興や社会貢献を目指し、そのための人材育成を目指します。
|国際観光文化分野
本分野は、我が国と世界の歴史、宗教、言語、文学、美術に関する幅広い教養を身につけることで、国内外の多様な価値観を理解し、異なる世代の人、国籍・宗教・文化・ライフスタイルが違う人々とも交流をもてるコミュニケーション能力を身に付けることを目指します。文化とは学問、信仰、芸術、道徳など人間の精神的活動から生まれたものです。そして、各地域にある固有の文化は、旅の目的になると同時に、人々の相互交流によって発展し、新しい価値を創造してきました。一方で、訪問客には訪れた土地の生活や文化を尊重する責任が求められています。「観光は平和へのパスポート」といわれるように、観光を通した相互交流は異文化理解、そして多文化共生社会への貢献が期待されています。グローバル社会を生き抜くための探究する力を身に付け、観光を通して多文化共生社会の実現に貢献する力を養いたい方に適した学問領域です。これらの学びを通して、持続可能な観光を実現するとともに、観光の社会的責務を理解し、世界を舞台に多様な観光産業で活躍できる人材育成を目指します。
国際観光学部は、参加型・双方向のアクティブラーニングを実現する取り組みとして、各種ゼミ活動、演習・実習を充実させています。1年次では観光基礎演習として、大学での学びとはいかなるものか、調査・研究とはどのように進めていけばいいのかという基礎的な知識を習得します。
2年次では、PBL演習(Problem Based Learning Seminar)が開講されます。この演習は、グループ作業を通じてメンバー1人ひとりのスキルや経験を最大限に活かし、目標を達成できるチームを作り上げながら課題解決を探るものです。分野別に春・秋学期に開講されるPBL演習各々で課題が提示され、まず現状や問題点把握とその要因の構造化を行います。それをもとに改善策を関係主体による優先順位、実現可能性を考慮しながら最終提案を行います。一部の演習では、外部関係者に対する最終プレゼンテーションの実施も検討しています。
そして、3年次から国際観光研究、いわゆるゼミ活動が始まります。これは4年次まで基本的には同一ゼミに所属し、卒業課題もそのゼミ担当教員の指導を受けることになります。ゼミは自分の専門分野の知識を深化させるだけでなく、教員やゼミ生等の討議を踏まえて新規性、信頼性、有用性を有する論文等を作り込みます。様々な指摘を受けて、どのように情報収集をして、他者に説明したらよいのか、どう研究したらよいのか、という「勉強方法」自体を客観的に見つめ直す過程が大切になります。
※社会情勢等の急変によって、学外で行う活動の計画が変更になる場合もあります。初回の講義や学期の初めのガイダンス等で確認してください。
国際観光学部の学生は英語学習として、「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」の4技能を学びます。また英語必修カリキュラムでは、4C(Critical thinking, Creativity, Communication and Collaboration)つまり、批判的思考、創造性、コミュニケーション、共同学習の観点からカリキュラムが設計されており、深い学習経験を積むことができます。
必修の英語科目では1年次に語学力のしっかりとした基礎を養成します。スピーキング科目は入学時に実施するテストによりクラス分けを行い、日本における重要な問題について英語で話し合う能力を向上させます。リーディングの科目はTOEICスコアによりクラス分けを行い、読解力を身につけます。また、学習にあたっては外部ソフトを利用して、読む力を身につけるだけでなく、英語で読む楽しさも味わってもらいます。学生は初年度において英文ライティングの技能を身につけます。
2年次においては、学生は1年次で学んだスキルを活かして、観光学に関するプロジェクトに1年を通じて取り組みます。そのようなプロジェクトは英語の語学力を向上させるだけでなく、観光学の分野に対する理解をさらに深める機会を与えます。国際観光学部において、英語を集中的に学習することを通じて、視野を広げ海外留学を行うのと同等の効果をあげることを期待しています。
1年次および2年次の学生に対して TGL Campを行っています。昼休みに、英語教員やゲストスピーカーによって英語で講演が行われ、言語を学習するだけでなく、外国の文化を直に知る機会となっています。また、TGL Campに参加することによって東洋大学TGL(Toyo Global Leader)プログラムにも役立ちます。
3年次からは英文ライティングやホスピタリティ、ビジネス、時事問題などを扱う選択クラスを履修することができ、観光に関する知識を英語で得ることができます。また、TOEICテストや観光英語検定のような資格試験への挑戦をサポートする科目もあり、将来の就職への準備だけでなく、その先のキャリアを目指し自己を高めるような学習を提供しています。
国際観光学部におけるグローバル教育の一環として、英語の語学科目だけでなく、英語で開講される専門科目を履修する機会も設けています。このような専門科目は、留学から帰国した学生や英語学習を継続したい学生、または留学はせず日本で自分なりの英語学習のゴールを達成したい学生にふさわしい科目です。自らの英語レベルに真剣に向き合い、高いレベルで英語力の習得を目指す方は積極的に履修しましょう。
本学部の外国語教育の特徴として、英語に加えて多様な言語の学習(韓国語・中国語・スペイン語・フランス語・ドイツ語)も挙げられます。これは、今まで学習したことのない外国語を学ぶことで、世界を広げ、新しい考え方や文化に親しみ、国際的なコミュニケーション能力を身につけることを目的としたものです。初修言語として基本スキルを習得することが目的ですが、学修を進めることで中級~上級レベルまで大学4年間で到達することも可能です。英語に加えてもう1つ外国語を話せることは将来のキャリアにとって大きな強みになります。
企業における実習(1dayや3daysといった超短期インターンシップは除く)や、各地での研修を伴うフィールドワーク(語学研修は除く)については、各学期の初頭、または各講義の初回にガイダンスを実施しますので、周知をよく確認してください。
インターンシップへの参加は、特にホテルなどのホスピタリティ産業への就職にはきわめて有効です。
|短期インターンシップ(短期インターンシップⅠ、短期インターンシップⅡなど)
国内外のホテルや旅館、リゾートなど、多様な実習先でインターンシップを行います。これまでは、あくまでお客様の立場で企業が提供するサービスなどを利用していたと思いますが、インターンシップに参加することにより、サービス提供側の視点を身に付けます。同時に、仕事を経験することによって、就職後に「こんなはずではなかった」といったミスマッチを防ぐことも目的としています。
本プログラムでは、長期休暇期間(夏季、春季の2回)に実施する2週間程度~1ヶ月程度のインターンシップに参加がで可能です。講義期間中にもまたがる3ヶ月程度~3年間程度のインターンシップに参加を希望する方は、「中期・長期インターンシップ」の項目を確認してください。
短期インターンシップは、主に東京以外で実施しています。北海道から沖縄までの国内ホテル、旅館やリゾート、ブライダル施設、そして、海外の観光関連主体やホテル、ブライダル施設などが含まれます。過去、海外はフランス、スリランカ、マレーシア、フィリピン、アラブ首長国連邦、米国(グアム)など、多彩な国々で実施してきました。
このインターンシップに参加を希望する方は、事前にガイダンスと事前学習への出席が必須となります。インターンシップ後に「短期インターンシップⅠ」や「短期インターンシップⅡ」を履修登録し、所定の手続きや試験等を経ることで、事後の単位付与がなされます。
|中期・長期インターンシップ(長期インターンシップⅠ~Ⅳ)
実際に仕事をしながら学ぶことで、理論のみならず実践的な知識を得るとともに、キャリアを先取りして経験者として就職することを目指すためのプログラムです。最短で4ヶ月程度から半年、最長で2年間、継続して仕事の経験を積み上げることで、ビジネスの場における問題や課題を発見し、その解決策も探求します。努力次第では、マネジメント層として期待され、企業に迎えられることになります。
最大2年間で4回の履修により、最大合計8単位まで履修可能です。
|その他のプログラム
日本経済団体連合会と連携し、さまざまな観光系企業に関する事前学習をしっかりと積んだうえで、各企業おけるインターンシップを経験する「観光企業実務」など、ここで挙げたプログラム以外にも、科目によっては多様な研修が用意されています。いずれも、初回講義の際や学期の初めにガイダンスが実施されますので、必ず出席するようにしてください。
卒業論文は、講義・演習等を通じて得られた知識・技術を活用して、多角的かつ包括的視点から学術上のテーマに関して取り組み、論じるもので、大学生活の総合的な成果であり、「学士(国際観光学)」に値する学力の有資格者であることを証明するものです。
卒業論文は、既存研究・事例との比較を通じた自らの卒業課題の位置づけ・有用性が明確にされているとともに、論理的思考に基づいて課題に取り組み、その内容を他者に説明できなければなりません。学生は十分に準備をし、指導教員と連絡・相談の上、全力で研究テーマについての情報・文献収集、実態解明にあたり、取り組む事が必要です。