1.人材の養成に関する目的
国際観光学部は、国際的な視野から観光を論理的思考により捉え、円滑な観光交流を促進するために当事者意識を持って主体的かつ積極的に対応することができ、地域活性化に貢献したり、観光関連企業や組織をマネジメントしたりすることができる人材を養成します。
2.学生に修得させるべき能力等の教育目標
建学の理念である哲学をはじめとして、文化、宗教観等の幅広い知識・教養を基盤に、観光学に関する基本から応用までの理論を修得させると同時に、英語をはじめとした外国語の学修により国際的なコミュニケーション能力を身につけたうえで、内外の最前線においての実習・ 体験などを通して実務を学ぶことにより、観光の社会的責任を正しく認識し、世界を舞台に活躍できる優れた人材を育成することを教育目標としています。
現在の観光業界では、「タビマエ・タビナカ・タビアト」といった旅行へ行く前、行った所で、行った後という3つの場面で語られることが多くあります。どの場面においても、最大限のサービスをお客様に提供するマネジメントができる人材が必要とされています。国際観光学部では、そのような人材を育成するために、旅行産業・経営・マーケティング・ホスピタリティマネジメントをはじめ多彩な科目を取り揃えています。そして、観光を通じて地域活性化に貢献できる人材を育てるための観光政策・まちづくり・環境分野の科目も豊富に用意しています。加えて、国際社会の場で活躍できるように、語学や文化について学べる科目も充実させています。観光学はとても多彩で総合的な学問です。学生の皆さんにはさまざまな学修を通して、観光のプロフェッショナルになってほしいと願っています。
観光は、形は変われども、古代から人間と切っても切り離せない存在です。世界中の多くの神話にも旅人が必ず登場します。神話の中でしばしば語られるのは、天空にいる神々が旅人の姿になって地上に降り立ち、その地の住民がどのように旅人をもてなすのかを試すというものです。旅人は貧しい身なりをして寝る所や食べ物を住民に求めます。神々が住民の心の温かさを探り、素晴らしい民かどうか見るという具合です。観光に携わる皆さんは一人一人が、別の場所から来られた人々にどのようなサービスを提供し、そしてそれらがいかに素晴らしいものであるのか試されているといってもいいでしょう。折しも人類はウィズコロナ・ポストコロナの時代に生きることになりましたが、どんな時代であっても観光は進化をしながらいつも身近な存在であり、皆さんにはあらゆる観光の場でマネジメントのトップランナーになってほしいと思います。
そして今、持続可能な観光、サステイナブル・ツーリズムの重要性が叫ばれています。訪れた地域の環境や文化を尊重しながら、観光客も責任を持って行動することが求められています。サステイナブルな観光のために、マネジメントする私たちがどのようなことができるのか、どのようにしなければならないのかについて、学部での教育を通じて皆さんと議論できるのを楽しみにしております。
国際観光学部長
東洋大学の観光学科は、1963(昭和38)年に日本で初めての高等教育機関(当時は短期大学部)としてはじまり、4年制への改組(2001年、国際観光学科)、2017年の学部化(国際観光学部)と発展してきました。
さて、日本の観光の現状を見ると、訪日外国人旅行者数は、2024年にコロナ禍前を上回り、インバウンド旅行者による観光消費総額は主要品目である自動車に次ぐ規模となっています。一方で、混雑やマナー問題、地域の変質などのオーバーツーリズムの現象は観光に限定しない、社会全般への影響も懸念されるため、その対応が求められています。また、日本人の国内旅行は今後の生活の力点として優先順位が高く位置づけられていますが、一方で人手不足の問題や観光に限らない情報分野を中心とした新技術の発展、それらを活用したビジネスなど旅行や観光を取り巻く環境が大きく変化しています。
現代の社会は、不確実性が高く将来の予測が困難で、正解が簡単に決められないVUCA(ブーカ、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代と呼ばれますが、このような状況下で求められる知識や技能として、クリティカルシンキング(批判的思考-事象を「批判的」に捉えて、本質的な課題は何か、網羅的に、かつ深く考え抜く思考すること)が重要となります。また、発想を柔軟にし、クリエイティブな解決策を考える創造力とイノベーション能力、新しい知識やスキルを学び続ける姿勢も大切になるでしょう。
これらを背景として、国際観光学科の教育は、持続可能な観光を実現するとともに、観光の社会的責務を果たし、世界を舞台に活躍できる人材を育成する教育を目指します。詳細が示されているカリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)では、具体的な以下の5つのポリシーを設定しています(要約)。
(1)全学教育科目と専門教育科目を設置し、国際観光学を総合的かつ体系的に学習します。
(2) 専門領域は、①ツーリズム・マネジメント、②ホスピタリティ・マネジメント、③観光地域計画、④国際観光文化の4分野を設けて、自分の興味・希望進路や 職種にもとづいて修学します。
(3) 初年次の基幹科目につづき、2年次以降は発展的な学修や、専門分野の幅を広げるためのカリキュラムを設定しています。
(4) 演習科目を通じて、社会的課題を発見する力や課題の解決方法を企画立案する創造力を涵養していきます。
(5) 観光を取り巻く社会状況の変化を学び、培われた力を世界で発揮するための科目を設置します。
これらの理念に基づいた多様な科目を学修できることに加え、本学科の特色ある学びとして、授業等での国際交流、多様なゼミ活動、インターンシップをはじめとする学外活動、産業界や官公庁と連携したプログラム、現状や問題点把握にもとづく改善策を提案する課題解決型演習(PBL)など、実践的な活動を通じて実社会との接点を深めていきます。あわせて、社会に出た際に有用となる各種資格の取得も手厚いサポートがなされます。
観光について多面的に学修し、学びの集大成として多くの学生は卒業論文を執筆し、卒業します。学生の進路は、運輸産業や宿泊産業、旅行産業に加え、サービス業や情報通信、卸・小売業や不動産業、公務員、製造業、医療・福祉、サービス業、教育・学習支援など多様です。さらに、学びを深めるために大学院に進学する学生もいます。先輩方は、観光を軸に専門性を高めながらも様々な分野への応用力を身につけ、グローバル市場に対応した観光産業・政策のエキスパートとしてはもちろん、地域や社会の課題解決に貢献できる人材として活躍しています。
このように本学部には、高度な観光系人材育成のために充実したプログラムを用意しています。
私たち教職員は皆さんが東洋大学国際観光学部で学ぶことを全力で応援します。
国際観光学科長