英国ＥＵ離脱と舛添症候群

感想：

・英国国内にも様々な意見があった。「子共や孫たちにとって、将来の安定への夢を打ち砕くような年寄りたちの離脱賛成行動を“シルバー・デモクラシイ-”となじる若者の失望の声を伝えるニュースもあった。その上事後の事態として「ロンドンやスコットランドが英国から離脱してＥＵに加盟しよう」という声の報道もあった。それほどに国としての存立を賭けての重要な投票であったのならば、例えば、国民の賛成が３分の２以上でなければ成立しないというような政治的縛りを課した投票になぜしなかったのであろうか、と他国のことながら、つい突っ込みを入れたくなるのである。しかし最早投票の結果は、僅少差とはいえ、離脱派の勝利に終わった。

・その結果から伺えるのは、結局は、英国という国家が、グローバリゼーションという現下の国際社会の中でそれなりの恩恵を享受しているにも拘らず、「英国は違うのだ、特別なのだ、という国家的偏見・一人よがりの過てる選民思想」に陥っていることを、自らの選択の結果として国際社会に表明した結果であったのではなかろうか、と思うのである。かつて七つの海を制覇した大英帝国の栄光にいまだに引きずられ、イギリス人の「英国は特別の国。EUなどの当局の規制などに振り回されるのは、御免蒙る」といった一方的な偏見・思い上がりの優越感が未だに国民意識として強く残っているのではなかろうか。しかもほぼ同数の市民が、「いろいろと不満はあっても、EU共同体に踏みとどまるべき」との、英国市民として、かつ、EU市民としてのまっとうな見識を示したにも拘らずの結果である。

・これらの事態を考えてみれば、英国という国が、フランシス・ベーコンがかって１７世紀というとっくの昔に、人間社会が陥りやすい弊害として分析していた「種族のイドラ」や「洞窟のイドラ」という「一方的な偏見、思い上がり」に陥っていることを示すのではなかろうかと考えるのである。

・「種族のイドラ」に関して我々は、ナチス・ドイツに於いて、「アーリア人種は優秀な人種だというナチスの偏見・思い上がりが、結果として如何に多大な犠牲を強いたかを２０世紀の歴史で学んでいる。

また「洞窟のイドラ」に関しては、つい最近、日本の話題を独占したあの舛添氏の言動に格好の事例を体験したのである。マスコミの報道から、小生が彼の精神構造の根底にある深層心理を推測するに、彼はそのことを決して口にはしなかった（坂本注）が、彼の言動の根底にあるのは「俺は東大出の偉い学者なのだ。その俺が都民のことをいろいろと考えながら行政を行っているのだ。少々金の使い方に不都合があろうと、そんな細かいことをごちゃごちゃぬかすな」と言った全くの過てる選民思想なのではなかったろうかと思うのである。（注：つい「そこまで言っちゃお仕舞よ」という寅さんのセリフを思い出した）

・そのように考えると、今回の英国の選択にはその根底に於いて、舛添氏の「偏見・思い上がり」と同根・同質の異常さを感じるのである。将にこれは、「自己中心的で選民意識過剰」の舛添症候群ともいうべき悪しき弊害の国際版、国家版ともいうべき状況ではなかろうか、と思うのである。

・先日の英国の国民投票の結果が日本でも判明するという６月２４日１２：００という時間帯には、小生は会社同期の仲間４人での会食を楽しんでいた。飲みながらiPadで英国の選挙結果を確認し、その予想を裏切る結果にがっかりしながらも、お互いの健康のことなどを話していた。

・翌日その仲間のＨ君から下記の「読み人知らずの川柳」がメールされた。そのユーモア精神はわれわれ年寄りの心を和ませるに十分なものであった。予想を覆す今回の英国のＥＵ離脱について、今われわれ日本人の年寄りがいろいろと煩悶してみてもどうにもならないとの忠言であろう。成程、こんなユーモア精神を忘れずに心豊かな気分で日々を過ごすことによって、健康維持に有効な脳内伝達物質の“ドーフアミン”の分泌を促す方がはるかに賢明なことかも知れない、と思った次第である。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 以下 Ｈ君からのメール ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

坂本さん

以下のグランドシニア川柳、どこかで見かけられたかもしれませんが、肩の力を抜いて、ストレスを抑えて生き抜きましょう。 （グランドシニア川柳 詠みびと知らず）

恋かなと思ったら、不整脈

起きたけど、寝るまで特に用はなし

土地もある、家もあるけど居場所なし

目覚ましのベルはまだかと起きて待つ

この動悸、昔は恋でいま病気

いびきより、静かな方が気にかかる

おじぎして、共によろけるクラス会

アーンして 昔ラブラブ 今介護

誕生日、ローソク吹いて立ちくらみ

無病では、話題に困る老人会

聞き取れず、隣にならってウソ笑い

大事ならしまうな、２度と出てこない

万歩計、半分以上は探し物

足腰を鍛えて、ガンで入院す

同窓会、今さら好きと言われても

上記赤字の句は、小生も経験したり、経験しそうなジョークである。

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坂本幸雄：qskmt33@spice.ocn.ne.jp

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