Q坂本幸雄2017.7.31
・暑さにめげず今回も何とか下記話題を投稿します。興味あればご一読下さい。
「繋ぐから繋げるへ:小林麻央さんとマーク・ザッカーバーグの共通点」
・今朝(H29.7.1)の「日経春秋欄」に先日亡くなられた小林麻央さんが生前自らのブログに綴っていた下記のような言葉が紹介されていた。
・「私が死んだら、人はどう思うでしょうか。若いのにかわいそう?」などと思われたくない。なぜなら「病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからだ」。
・当初は病を隠し、人との交流も断ったが、力強く歩んだ女性でありたいとの気持ちから病気を隠すことをやめ、ブログの執筆を始めたのだそうだ。それが、季節の移ろい、家族、治療についての記事などを通じて200万人の読者と繋がり、「恐れていた世界は、優しさと愛に繋がった」と知ったとある。
・麻央さんの筆は苦しいときも明るさとユーモアを忘れず、言葉はやわらかく、常に読み手を意識していた。病に心まで支配されず、生を楽しもうとし続けた記録。伝えるプロとして貴重な仕事を残してくれた。
・同日日経38面では、麻央さんの死亡関連の記事として、夫海老蔵さんが麻央さんに受けた最後の言葉「愛している」との言葉が紹介されると共に、麻央さんが生前綴った言葉のいくつかが紹介された。
・そのオフィシャルブログ「KOKORO」からの抜粋は、2016.9.1から始まり死の直前までの間、自らの病気の進行と共に綴られたものである。「なりたい自分になる」,「大事な家族」,「心の声」,「ゆっくりスタート」,「一日一日が大切」,「オレンジ・ジュース」などそのタイトルを読むだけでも、病気への自らの取り組みに対する“決然たる決意”、死期を悟り、最後に一杯のオレンジ・ジュースに思い込められた“その悟りの境地”、さらには今まで生きてきたことへの“感謝の気持ち”などが、その記事を読む人の心にもひしひしと伝わってきた。
・尚、同日日経7面には,たまたま偶然にも『「つなげる」から「絆強める」』という米フィエイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグCEO の記事が掲載されていた。同社は2004年の創業以来「世界をよりオープンで、よりつながった場所にする」という社是を掲げてきた。それを今回「コミュニテイを築く力を与え、世界の絆を強める」に変えるという。そしてその理由を次のように表明している。「人々をつながるのを助け、意見を表明する場所を提供すれば、世界は自然と良くなると思っていた。だが、社会は未だに分断されている。我々にはやるべきことがもっとあると確信するようになった」と説明している。そしてその具体策として、同じテーマに関心があったり、趣味が同じだったりする利用者が集まって意見や情報を交わす「グループ」機能の強化を打ち出している。
感想:
・麻央さんは、病気になった当初は、恥ずかしさからか、周りに病気のことを伏せていたのであるが、自分の病気の深刻な状況を自覚するに至って、周りに人々に「あのひとはかわいそうに」と思われるぐらいならいっそ「自分がこのような深刻な状況ながらも必死に生きていることを周りに知ってもらうべきではないか」と思うようになった。そしてその結果が,単に自分を周りに繋ぐことから、積極的に自分の気持ちをブログで周りの人々に繋ぐ結果に至り、しかもそれが、日本国内だけでも273万人もの多くの人々がそれを読む結果に繋がったのであろう。
・イギリスのBBC放送は、去年1月、彼女が自らの闘病生活を綴ったブログが世界の多くの人々を勇気づけたとして、「世界に影響を与えた今年の女性100人」に日本人として初めて麻央さんを選んでいる。彼女のそんな「繋げる」気持ちが、そんな受賞にまで「繋がった」のであろう。
・また、上記記事にもあるように、あのマーク・ザッカーバークが、同社の企業理念を「コミュニティを築く力を与え、世界の絆を強める」に変えるという記事を読んでみて、企業活動に於いても、企業の意思を込めた「繋げる」が如何に重要であるかが理解できたのである。
・彼は、「フエイスブック」を通じて、今まで「人々を繋ぐ」ことに専念してきたが、最近のイギリスのEU離脱などやトランプ大統領の自国中心主義的な動きを見て、ITを通じて人々を「繋ぐ」という自社のプロジェクトが如何に無力であったかを感じ取り、もっと具体的に「同類の人々を繋げる意思をもめたプロジェクトに進化しよう」と考えたのであろう。
・具体的には、ITの位置情報を活用し、例えば、その地域のサックス愛好家を繋げるようなプロジェクトを提案しているのである。
・「繋ぐ」という言葉は単なる動作を表すものであるが、「繋げる」という言葉にはその動作を行う主体の意思が込められている言葉である。
・われわれが日常的行って いる「メールによる相互の意思疎通」に於いても、単なる連絡・通知のメールは別として、お互いの“ココロの交流”を深化されるためには、自分の意思を相手に繋げる気持ちを込めた発信や返信を心がけるとその切磋琢磨の交流の密度が更に高められるのでは、と痛感する。
・尚、マーク・ザッカーバークは「フエイスブック」の事業で驚くほど多額の財産を手にしたのであるが、それにしてもその収益の95%を母校ハーバード大学に寄付しているのだそうである(最近のTVのニュース)。アメリカは、やはり、すごい人物を輩出しているものだ、と思った。(H29.7.4 坂本幸雄記)