Q坂本幸雄2017.9.20
「定年に関する様々な意見」: 文春最新号“H29.10月号”に掲載された二つの記事。即ち
①「良い定年と悪い定年」
②「終わった人と定年ゴジラ」
の記事に読み取れる面白い表現をピックアップしました。われわれには定年など過去の話。でも、年寄りの暇つぶしながら、それを読んでみて、「わぁこんなにもいろいろな思いがあるのか」と驚いたのです。
1)定年後に働かなくても済む余裕があるから困る。
2)一番自由な今が一番困る。暇になったのに焦る。
3)趣味にも2種類ある。仕事を辞めるとやめてしまう趣味と、仕事に関係なく続けられる趣味。
4)興味深いのは、イキイキとした老後を送っている人には、それまでに不遇や挫折を味わった経験がある人が多い。
5)夫婦には「軽い夫婦」と「重たい夫婦」がある。前者は、主人が定年後も何らかの社会的関わりを持っている夫婦。後者は主人が定年後何もせず家に篭っているような夫婦。一緒に旅に出ると、その二つのタイプの夫婦の違いがよく判るそうだ。
6)第2の人生は人それぞれであるが、大切なのは定年後の日々を気持ちよく、いい顔で過ごせるかどうかだ。社会との繋がりや自分の居場所がなければいい顔になれない。
7)サラリーマン人生を超エリートで過ごした人ほど、定年後の着地が難しい。負け慣れていないからである。相撲で言えば9勝6敗ぐらいが丁度良いが13勝2敗だとなかなか成仏できない。
8)「終わり方の覚悟」とは、「負け方の覚悟」でもある。「よし、俺もう負けたんだ」と思えれば気も楽になる。
9)「枯れてゆく」という日本語はなかなか奥が深い。根腐れしても困るし、ポキンと折れても困る。定年後も水気が残っていたら、それをどう抜くか。
10)女性は“他愛も無い話”を楽しめるけど、男性はそれができない。男性は人のうわさ話とか悪口はくだらないと思ってしまう。そうなると男性は、仕事の話とか自慢話とか野球の話になってしまう。第2の人生を歩むには、他愛も無い話にも慣れる必要がある。(坂本のコメント):イギリスでは「天気とゴルフの話しかできない男」は魅力に乏しい教養のない男として敬遠されるそうであるが、日本でも“他愛も無い話”を敬遠していると、イギリス同様の評価に晒されるのかなぁ。
11)イーハトブとは、宮沢賢治のいう理想郷を意味する。第2の人生には自分の心地よい居場所としての老後の「イーハトブ」が必要である。
12)企業が行う社員向けの定年後のための「ライフプラン研修」では次の4つが挙げられる。
①年金額を試算して老後の資産を管理する(老後資産)
②配偶者との良き関係を築く(配偶者との関係)
③健康に留意すること(健康)
④定年後の自由時間を有効に過ごすために趣味を持つこと(老後の趣味)
・以上の4点を実行したからって「幸せな第2の人生」が過ごせるわけではないが、やはり人との繋がり、社会との繋がりとかで自分の居場所をつくることが重要なようだ。
13)子供との関係は「もう勝手にやって頂戴」でいい。夫婦の問題にしても、それぞれがもっと自由になって、相手も自由にして好き勝手なことをすればよい。最近は“卆婚”という新しい価値観も生まれている(小生“卆婚”という言葉を初めて知って、ググッテ成程そういう考えもあるのかと頷いた)
14)グリーン車の旅行に馴れた人には「普通車に乗って座席が狭いなぁ」と感じる人もいる。そんな場合、グリーン車でも普通車でも到着時間は同じだからという発想になれるかどうかが大事。
自分が落ちぶれているのか、と感じてしまうと、第二の人生は“しんどく”なりそうだ。
15)最後に重要な指摘:歳を重ねると、「時間は流れ去るものではなく、降り積もる雪のように少しずつゆっくり溜っていくものである」ということがわかる。それが分ると、老いとか、第二の人生も、違ってみえてくる。この「時間や記憶は、過ぎ去るものではなく、たまっていくもの」という感覚は、将に「幸せな第二の人生」をもたらしてくれる考えであろう。
16)「卒母」とは、「卒婚」同様小生の知らない言葉であったが、H29.9.26号の「週間エコノミスト」のその特集広告記事に見る「子供から卒業する勇気を持とう」というフレーズから、それが「母親を卒業した女性」を意味することが理解できた。当広告のフレーズにはそのほか「企業ではそんな女性が戦力として評価されている」、「バンザイ男断捨離の時代」、「ぬれ落ち葉にならない男のために」、「居場所を失う男たち」、「卒婚別居で深まる夫婦愛」などのフレーズが並んでいる。
(坂本幸雄H29.9.14記)