P戸松孝夫2017.8.24
中世にペストが欧州で大流行し、人口が激減したことは誰もが知っている歴史的事実だが、これに関連した下記話題については、僕はこれまで殆ど無知だったので今回の記述に興味が惹かれた。
1.ペストの流行がなかったら、かの有名な小説デカメロンは生まれなかった。
2.ペスト菌が発見されたのは大流行が終わった近世になってからのことであり、しかも日本人の医学者によるとの事実
3.ペスト菌は日本には一切侵入してこなかった。代わりに日本ではコレラが流行し明治期通して37万人もの死者を出した。(1347年欧州のペストでの死者はパリで5万人、フィレンツェで6万人というが、全体ではどのくらいあったのだろうか?念の為ググってみたら、「ペストによる死者は人口の3分の1(被災者の3分の1ではない)で、当時の欧州の総人口1億人として死者総数は3千万人と推定される」と出ている。こりゃ凄い)
4.ペスト菌が日本に侵入しなかった理由は日本の水環境が良かった為(ペスト菌を媒介するネズミが水を嫌った)
5.ベジチ家が財をなしたのはペスト騒ぎのお蔭
6.ペストがヨーロッパ人の意識を変化させたとの分析は面白い。
神の摂理に従って生きる宗教観→刹那的な欲望の赴くまま「人間とは何ぞや」→「デカメロン」の創作→ルネッサンス→フランス革命(基本的人権の覚醒)
7.奈良が百年足らずで京都に遷都された理由が水環境(奈良における天然痘の流行から逃れる為、水利がよい京都へ移った)と言われているが、これはまさにペストが日本に侵入してこなかった(上記4)理由と同じで、河川に恵まれている日本国土の素晴らしい環境のお蔭か(我々は日頃意識することがないけれど)。地勢的環境が政治・社会・文化等々に影響を及ぼし、それが歴史をつくっていく重要な要素の一つになっている。
尚、追記にあるT氏の探究心持続・維持の姿勢は我々高齢者に忍び寄る活力・知力の衰えを防ぎ、知的好奇心を持続させる上からも重要な生活態度だと思われる ので僕も日頃この点に心掛けている。僕は元来好奇心は旺盛だったが学校の勉強は好きでなかったから、自ら進んで勉強することはなかった。試験とか宿題とか外部からの強制に因り初めて教科書や参考書を読んだのだし、サラリーマン時代は仕事上の必要性で止むを得ず知識の習得に励んだわけだ。しかしこの20年間は外部からの強制もニーズも無いので、学習をする機会は全くない。文章を書くことも発表することもない。頭脳は長期休眠状態で、ボケがひしひしと近づいているのを日々痛感している。
こんな調子だから 一橋燦々P&Qネット管理人が「皆さまご熟読の上、ご感想をぜひお寄せ下さい」として、諸兄の投稿文を流してくれる時は、僕はこれを上司からの有難い命令として受取り、与えられた機会を最大限に活用している。諸兄の力作に対し感想を書く以上はきちんと読まなくちゃいけない、読んでいると好奇心、探究心が頭をもたげてくるから(これが無くなったら本物の惚けの始まりか?)、その都度ググってみる。知的好奇心が満足させられるし、ボケ防止にも役立っていると確信して――。僕の場合退職後岡山県の山奥で生活しており日常会話を介して耳から入る知的情報が全くない為に、「ネット投稿を読み、ググり、考え、感想を書く」作業が重要な役割を果たしていると思われる。
以上