「クローン病手記」
匿名希望 19歳 2014 年 7 月 28 日
匿名希望 19歳 2014 年 7 月 28 日
しばらく何もお伝えしないままご無沙汰をしておりましたのに、先日は、お電話で色々ご相談に乗ってくださり、大変ありがとうございました。
息子はおかげさまで、知人が医師として働いている洞爺の病院で、IVHをしていただけることとなり、入院生活をはじめております。息子を小さな頃からかわいがってくださっているこの洞爺の先生は、ペンタサもレミケードも使わない治療を希望する私たちに、戸惑われながらも、松本先生の理論について説明する私たちに耳を傾けてくださり、長期治療を覚悟すること、万が一問題が起こっても病院を責めないという信頼関係を確認した上で、私たちの希望を受け入れてくださり、現在までに治療方針もしっかり話し合って確認することができました。22日に入院し、24日からIVHをはじめています。実は、24日に突然ペンタサの注腸の処置を受け、親も知らされていなかつたので、驚いて病院へ駆けつけ、そこで先生とじっくり話しをして、前述のように方針をお願いした経緯がありましたので、その時のペンタサの影響が大きいのかもしれませんが、CRPは入院してすぐの検査で4.23だったのが、25日の検査で1.38に下がっています。現在はIVHとフラジールで治療してもらっています。入院前は一日何度もトイレへ行ってもなかなか出なくて苦しんでいた便が、今は、下痢であるものの、夜と朝に何度か行き、日中は全く行かないで、下腹部の痛みも少なくなり、お腹の張りもかなり改善された状態とのことです。何とか腸を切断しなくても通常の生活ができるようになることを願いながら、経過を見ていくとのことですが、S字状結腸の辺りに膿が溜まっているようなかたまり状のものが見えるそうで、それがもし大きいままで固まっていくようなら、手術も避けられないだろう、ということでした。
病院側としては、わがままと受け取られかねない患者と家族の希望を汲んででくださる先生のもとで入院できたことは幸いです。息子が完治できれば、松本先生の支持者となってくださるのではないかと密かに期待しています。何より、本人が今回のことで、今までのどこか他人事のようだった態度を改め、松本先生の理論でやっていこうという覚悟を持つことができたことが希望です。ホームぺージの手記も真剣に読み、naokiさんはじめ、患者さんのブログも読んでいるようです。
たくさんの反省点がある中で、今思うことは、一言で言えば「油断してしまっていた」ということです。私たち親子は、松本先生のおっしゃる、「医療業界が儲けて患者が苦しむ」という構図が、有機農業をする身から見えてくる、「種会社、農薬・化学肥料会社、農業機械会社の儲けのためにいのちがコントロ一ルされ、農民も土地も搾取されている」という構図と全く同じであるが故にすんなりと理解でき、問題を薬や科学技術で覆い隠していく方法ではなく、本来いのちが持っている力によって解決していく方法が正しいことも直感的に分かりました。そこに迷いはなかったのですが、実際に漢方治療を始めてみると、本人には想像以上に飲みづらく、積極的に飲むというより、作っても迷惑そうな表情をすることもあり、3回分を飲みきれず捨ててしまうこともよくありました。母である私の心に、本人がやる気にならないのに無理に進めることへの悩みが生まれ、農作業の忙しさも相まって、本人の自主性に任せた時期もありました。そんな時は、本人は症状を我慢できる問は我慢し、悪化してくると「薬を作って」と頼んでくるという繰り返しでした。
今思うと、小康状態の比較的体力のある時こそ漢方薬を飲んでリバウンドを起こしていくべきだったのに、逆のことをやっていたことが分かります。そして決定的に私たちが間違っていたこと、無知だったことは、クロ一ン病の腸の炎症は、狭窄になれば、たとえ治まったとしても、その部分がケロイドのように固まってしまうことを知らず、病気が治ればもとの伸縮性のある腸に戻ると勘違いしていたことです。本人がやる気になることは何と言っても重要ですが、それを待っている間に起こる怖さについてあまりにも無知でありました。今出来ることは、過去をしっかり反省し、心を改め、事実に直面していく勇気を持ち、大事なことを後回しにせず、誠実に身体の声に対処していくことだと親子とも決意することができました。
進学校でもなく、ストレスのかかる部活動をしているわけでもない上に、ステロイド治療を一度も受けたこともないので、何かが自分でステロイドを出し続ける原因となっている筈ですが、それがいったい何なのか、答えはなかなか見つからないようです。
一年半も診ていただいてきたのに、やっとスタート地点についたところだと感じています。こんな失敗談でも、いえ、もしかしたらそれだからこそ、誰かの参考になるのでしたらという気持ちもあり、書かせていただきました。長文をお読みくださり大変ありがとうございます。
病気を克服できたあかつきには、必ず喜びの手記を書かせてください。これから体力をつけ、漢方治療をはじめられる日を待ちつつ、リバウンドを乗り越えていくために良き準備ができればと思っております。今後ともどうかよろしくお願いいたします。