「クローン病手記」
匿名希望 22歳 2014 年 10 月 9 日
匿名希望 22歳 2014 年 10 月 9 日
・お母様の手記
平成25年4月に長男は、大学入学のため引っ越しをしたばかりの時期に痔ろうを発症しまた。自宅に近い評判のよい肛門科の病院で受診した際、クローン病と診断されました。先生は、「現代は、医学が進み治療法も色々あるし、最近では免疫抑制剤の注射もあり治療を受けながら活躍しているスポーツ選手もいます。うまく付き合っていけば心配しなくてもいいですよ。」といわれました。
これらの知識に乏しい私は、免疫抑制剤の注射を免疫療法と聞き違いし、自分の免疫を高める注射がありステロイド治療等より自然に近い治療法であると思っていました。後でいろいろ調べてみると、私が考えているような安全な治療法ではないことがわかりました。ネットでは、どんなに検索しても、悲観的な情報しかありませんでした。また、病院からいただいた「食事についてのパンフレット」をみてがっかりしました。パンフレットに書いてある「食べてもよい食事」は、あまりにも種類が少なく消化に良いものばかりで、胃や腸が逆にだんだん弱っていくのではなかと感じました。私は、ひたすらあきらめずにきっと何か別の安全な治療法あるかもしれない、完全に治癒させたいと、ネットにて「クローン病 完治」と検索し、幸運にも松本漢方クリニックにたどり着きました。
どの様な治療が適切かわからない不安な状況の中で出会えたことは本当に幸運だったと思います。
肛門科の先生に、松本漢方クリニック(名前はだしませんでした)で治療をさせていただくことを伝えますと、穏やかな先生の顔が険しくなり、漢方薬でも副作用はあるので、そんな治療はやめるようにと、穏やかですがこちらの気持ちが揺らぐ程強く止められました。とても立派な先生でしたので、わたしの説明の仕方にも問題があったのかもしれません。私は、病院に勤務しておりますが、たぶんこの先生だけでなく私の勤めている消化器の医師に相談しても同様のことをいわれたと思います。大方の医師は、現代の医学が向かっている方向に反するようなことを言う患者を嫌いますし、患者に新しい治療法を勧める傾向があります。忙しい中、松本先生のように深く免疫の勉強をされる先生は、ほとんどいないのではないでしょうか。
松本先生の理論は、偏った考えや現代の医学に背を向けたものではなく経験に裏づけされた高度な知識と理論で、一人でも多くの患者を救いたいという強い信念によるものだと思います。東洋医学と西洋医学の両方に長けた本当に研究熱心な先生です。テレビでは毎日グルメ番組ばかりです。飽食で一歩外に出て、お金させだせばいくらでも美味しいものが食べられます。そのような中で、母親は毎日健康な家族の食事を作らなければならない。片やこの病気でなんでも食べることができない子供の食事を作らなければならない。毎日の食事の度につらい思いをすると思います。
初診時に、松本先生が「なんでも食べていいよ」といわれた時の安堵感は今でも忘れることが出来ません。子どもの状態が悪い時でも、手記を読ませていただき先生を信じてついて行こうと強く思いました。松本先生は、この病気になる子はまじめでがんばりやが多いとよく言われます。長男も小さい頃からやんちゃでしたがとても誠実な子でした。小学校の卒業式のとき、いつもいじめられていた子供さんのお母さんから「6年間守ってもらいました。ありがとうございました。」とお礼を言われました。6年間いじめられている子を守りながら元気のいい子もおとなしい子もひとつにまとめ遊んでいたようです。色々なことがあったと思いますが私は何も知りませんでした。
中学校の部活の試合の帰りに食事にいきましたが、行く前に母親同士で会費が足りない話をしておりました。キャプテンだった長男は、食堂に着くなり一番安いざるそばを注文しました。他の子は、おなかが空いているのでカツ丼とうどんの定食を注文します。体調が悪いのかと理由を聞いてもザルそばでいいと言いはりました。いま考えるとお金が足りなかったときのことを考えていたのでしょう。受験のときは、夫婦で本人の夢をかなえてあげたいと思い、普通の家庭では行けないような予備校にいかせました。だれよりも睡眠時間を削り勉強をがんばっていましたが、確実と思われた大学受験で、苦手教科で高得点をとりましたが、予備校でいつもトップだった教科で失敗しほんの数点足りず不合格でした。(試験の結果を取り寄せたため)本人も気付いていないと思いますが、試験後に症状がでましたので親にお金を使わせて結果を出せなかったという思いや、我慢強く感情を表に出さなかったことが体に負担をかけた原因ではないかと思います。また、試験の前日、体が女の子のように一回り小さくなっておりびっくりしました。試験前数ヶ月はぶどう糖をなめて遅くまで勉強していたようです。相当無理をした結果かも知れません。いろいろな要因があったと思います。
治療は、漢方薬と漢方風呂、週に1回の針治療、毎日のお灸でした。微熱が続き、一時期はどうなることかと心配しましたが、治療開始から6ヶ月後にはずいぶんよくなりました。漢方薬はすぐにききめがないものと思っておりましたが、飲み始めてすぐ下痢もなくなりました。食事も2週間から3週間位は出来るだけ負担をかけないような食事を心がけました。その後は、刺激物(カレー等)以外はほとんど家族と同じ食事ができるようになりました。
また、漢方風呂にも入っていましたが、近くにラドン温泉がありましたので、4~5ヶ月通いました。(急性期の症状がおさまった後)現在は、痔ろうのチューブが入っておりますが、以前に比べ徐々によくなってきており根気よく治療すれば必ず良くなると思っています。また、アレルギー性鼻炎がひどい子でしたが、浪人中は全く症状がでず、クローン病の状態がよくなってくると、アレルギー性鼻炎がまた出てきたのでうれしくなりました。
20歳をすぎた子供の手記を母親である私が書かせていただいたのは、10代20代の患者様が多くおられますので、そうした育ちざかりの子供を持つ親のつらさを思うと、一人でも多くの方が松本漢方クリニックに出会えたらと思い綴りました。松本先生は、クローン病治療の専門の先生です。かなりの数の患者様を診ておられます。夕方になると高い熱が出て心配していた時、いつでも電話していいと言ってくださり、的確な指示を出されます。患者の状況の変化に右往左往されません。十分な経験をお持ちだと感じました。実際、治療にあたり簡単に投与された薬を飲むのと違い、漢方薬を煎じる、漢方風呂の準備をするのは大変だと思います。また、保険診療がきかない薬や検査、漢方薬代等決して安いものではありませんが、長い目で見ると費用はそこまではかからないと思います。家族全員一つになり愛情をもってサポートされたらと思います。
また、家族に依頼出来ない方は、自分で薬を煎じて自分自身で治していく覚悟をしてはどうでしょうか。急性期の症状があるときは仕方がないと思いますが、習慣づければどうにかできないかと思います。
最後に、この病気をとおして、私自身色々な気付きがありました。ついつい子供の欠点ばかり見て不平不満や愚痴を言ってきた私のほうが欠点だらけの人間であったこと。食べ物に対して好き嫌いや贅沢をしてきたこと。食べ物を粗末にしてきたこと。何気なく日々繰り返されるごはんを食べられるということがいかに幸せであるか。健康で学校や仕事に行けることがどんなにありがたいか。人間の欲は限りがありません。一旦受験というレールに乗ると、体のことよりも合格することに心が向いていたような気がします。志望校合格はひとつの通過点でしかありません。社会に出た時に、いかに社会に貢献でき、人に喜びを与えられる人間となっていくことが大切か。それには、やはり心と体の健康が基本だということに改めて気づきました。現代は、ストレスが原因といわれるクローン病やこころの病気が増えてきています。長男はよく精神的に受験とこの病気の苦しみを乗り越えることができたと感心しますが、松本先生からはがんばりすぎないようにいわれていますので、日々それなりの努力をしていると思います。
松本先生に出会ったことはすばらしい経験になりました。
松本先生が、今後もお元気で医師の息子さん共々ご活躍されますことを心より祈念いたします。松本先生本当にありがとうございます。