「経過報告と治療継続の決意(クローン病手記)」
匿名希望 36歳 2016年5月3日
匿名希望 36歳 2016年5月3日
私がクローン病と診断されたのは2012年6月でした。診断されるまで数年間に渡り下痢を繰り返していましたが、毎日仕事も忙しく、ほとんど毎日会社で過ごしているような生活を送っていたので、下痢はストレスによるものだろうと大きな病気と関連付けるような考えはありませんでした。しかし、ある時、左手親指の付け根の関節が突然痛み出したので、近所の整形外科を受診しました。これがクローン病と診断されるまでの最初の通院となります。この頃は、さすがにクローン病なんて微塵も考えておらず、ただの捻挫だろうくらいにしか考えていませんでした。この整形外科でレントゲンを撮り、何の異常も見当たらなかったので、湿布だけもらって帰りました。しばらく湿布を貼って過ごしていましたが、向に痛みが治まらず、左手の親指だけでなく今度は左膝の関節まで痛みが出てきたので「これはリウマチかな」と少し焦りながら、近所ではなく大きな整形外科に行きました。ここではMRI検査や血中の抗核抗体等リウマチ関連の検査を一通りしましたが、MRIで関節の炎症が確認できただけで、抗核抗体などのリウマチ因子は陰性でした。ここで「リウマチではなかった」と大いに安心したのですが、整形外科で原因が分からなかったので内科にかかることになりました。
ここで初めて数年前から下痢が続いているという事を内科の先生に申告したことから、膠原病かもしれないということを言われました。それから消化器の実績が多いという総合病院を紹介され、そこで血液検査、CT、内視鏡カメラなどの検査を行いました。そして、検査の結果、大腸に縦走潰瘍が見られたことからクローン病と診断されました。この時点で、血中のCRP値は11を超え、関節の痛みはほぼ全身に広がっており、毎日38度を超える発熱もありました関節炎により歩くことも大変で、寝る時も寝返りをする度に痛むので、とてもつらい毎日でした。
クローン病と診断されてから、すぐに主治医の先生の指示により食事はほとんどがエレンタールになり、ペンタサを処方されました。また、関節の痛みを抑えるためロキソプロフェンも処方され、約1年を過ごしました。しかし、CRP値は若干抑えられたものの、下痢や発熱は治まらず、病院の先生からはレミケードに切り替えようと提案されました。レミケードについては主治医の先生から詳しく説明され、きっと症状も改善されるだろうなという考えもありました。
しかし、レミケードだけでも免疫を抑制するのに、効果があまりなければ、更にメトトレキサートを併用する可能性もあるとのことだったので、併用による過剰な免疫の抑制にはさすがに抵抗がありました。そこで、家族とも話し合い、レミケード以外の治療の選択肢はないか必死に探しました。そして、たどり着いたのか松本漢方クリニックのHPでした。
このHPには、「ステロイドは一切使用しない」、「自分の免疫を高めて治療する」ということが書かれており、この言葉は私にとって魔法の言葉でした。本当に可能なのか、この当時は半信半疑でしたが、免疫機能に関する理論を読み、この治療方針に信念と自信を持っているのだという事が伝わりましたので、松本漢方クリニックに懸けてみようと決意し、受診しました。初診での松本先生のインパクトは強烈でしたが、一言一言に重みを感じました。その時飲んでいる薬の種類と飲んでいる期間を聞かれたので、「ペンタサとビオフェルミンとエレンタールを1年弱です」と答えると、「まだペンタサの段階で良かった、今日からペンタサを飲む量を減らし、1ヶ月後くらいには完全にペンタサを飲まないように」と言われ、断痢湯という漢方を処方してもらいました。この断痢湯は、非常に苦くて飲むのに苦労しましたが、これで自分の免疫を高めて治すことができると信じ、「食事は何でも食べていい」という松本先生の言葉をモチベーションにして飲み続けました。断痢湯を飲み始めて最初の数カ月は発熱や関節炎が若干ひどくなりましたが、これが松本先生の言うリバウンドだと思って我慢しました。その後、関節炎や発熱は徐々に治まり、手足にアトピーのようなものが少し出てきましたので、これが「クラススイッチ」なんだと嬉しくなりました。
アトピーが出て嬉しくなるのも変な話ですが、「目に見える成果」が得られたことに勇気付けられ、その後も断痢湯を飲み続けることでだんだん下痢の症状が治まっていきました。松本漢方クリニックから漢方を処方してもらうようになってから1年以上が経過し、下痢の症状もほとんどなくなっていました。毎年、特定疾患受給者証の更新のため内視鏡検査をしているのですが、昨年の2015年の内視鏡検査で、驚く結果が出ました。クローン病と診断された時の大腸の縦走潰瘍がほとんど無くなっていたのです。「すごい、治ってる」と、大喜びしました。
この時点で血中のCRP値も基準値の0、3をキープしており、普通の生活を送っても問題ないんだと思ってしまったのです。しかし、この結果が私の慢心を生んでしまいました。仕事の忙しさもあり、松本漢方クリニックに連絡をせず、漢方を処方してもらうことを怠ってしまいました。もう下痢も治まっているし、問題ないだろうと思っていたのです。漢方を飲まないようになってから数カ月は体調面では特に問題はありませんでしたが、仕事もハイペースでこなしていき、気付けば仕事量は発病前よりも多くこなしている状況でした。食事に気を配ることもせず、ストレス解消のため飲酒もしており、こんな生活が1年ほど続いた今年の2月末のことでした。ある日の夜中、寝ている時に腹痛があり、翌日の仕事中に大量の下血をしてしまいました。頭の中が真っ白になり、慌てて地元の病院に行き、症状を主治医の先生に話して2日後に内視鏡検査を行いました。結果は、予想通り大腸内の潰瘍が戻っていました。怒られることを覚悟の上で、松本漢方クリニックに電話し、その時の症状のことを打ち明けました。やはり、相当怒られながら漢方を処方してもらいました。
今は会社の上司に体調の面を考慮してもらって仕事量を減らしてもらい、処方された漢方をきちんと毎日飲んでいます。漢方を再開してまだ1ヶ月余りですが、さすがの漢方と言いますか、既に下血どころか下痢までも治まりました。
今後、自分勝手な判断をせずに、きちんと先生に体調のことを相談しながら治療をしていこうと思います。