「クローン病の経過報告」
40歳 女性 2016年5月20日
40歳 女性 2016年5月20日
【はじまり】
私がクローン病を患ったのは、今から10年以上前です。仕事のストレスなどで心身ともに疲弊して鬱状態となったのが始まりだと思います。始めは当然のようにクローン病のことを知らず、はじめて変だなと感じたのはインスタントラーメンを食べてすぐに下痢をしたときでした。それから下痢を頻繁に繰り返し、身体の倦怠感がひどくなる一方だったので、とりあえず近所の内科に行きました。問診を受け、医者から一言「クローン病ということはないでしょう。10万人に1人だから。」そう言われて、初めてクローン病を耳にしましたが、そのときは点滴をして帰りました。その後は心療内科に通院したりしました。その間痔瘻にもなりましたが、まさか、自分がクローン病だということを微塵も考えなかったのです。
それから、月日がいくら経っても症状は良くならず、無理をしながら仕事を続けました。気がつけば毎日下痢をしていました。下痢が当たり前となり、今思えば感覚が麻痺していたと思います。ひどい下痢が続き、ストレスもあり体調不良、だが以前のように鬱状態ではないからと思い、そのまま日々を過ごしていました。そして、ある日腹痛と倦怠感がさらにひどくなったので、総合病院へ行き検査を受けることになりました。検査の結果は入院でした。入院して精密検査をして初めてクローン病と診断されました。まさかと思った反面、いろいろな症状に不安を感じながらも原因が分からず、それを理由に自分自身をごまかしながらやり過ごしていた日々がようやく終わったとも思いました。クローン病と診断され、これからようやく治療できるのだと、そのときは思いました。
【免疫を苦しめる治療】
しかし、本当の闘いはこれからでした。入院中にまず治療法の説明を受けました。選択肢は2つ。ひとつはレミケード、もうひとつは栄養療法。レミケードだと定期的に投与するだけでQOL(生活の質)を維持できる。栄養療法であれば管を通して毎回食事をすることになる。そんな地元の総合病院からの説明でした。明らかにレミケード一択の説明でしたが、当時の私にはそれを疑う余地はありませんでした。
それから、レミケードでの治療が始まりCRPが低下したので退院し仕事に復帰しました。その後は日々のストレスと戦いながらCRPと睨めっこでした。レミケードを使っていても時間が経つにつれて症状は悪化していき、CRPが上下しながらどんどん高くなっていくことに不安を覚えていました。2〜3年後には、レミケードからヒュミラへ切り替えられました。レミケードはマウス由来のタンパク質を含む抗体製剤で、患者のなかには免疫によりマウス由来のタンパク質が異物とみなされ薬効が弱くなる場合があり、ヒト型の抗体製剤であるヒュミラに代えれば効くようになると主治医から説明を受けました。それから1年程使用しましたが、特に良くなることもなく、今までのようにCRPが上下しながら心身の不調とストレスを感じる日々を過ごしました。
そして、転機となったのが、インターネットでクローン病について調べていたときでした。今までもクローン病で検索して患者ブログを多少読んでいましたが、あまり良い気分になるものではありませんでした。しかし、このときはクローン病と併せて完治と入力してみると、検索結果のトップに松本漢方クリニックが出てきました。ちょうどその頃、親戚から兵庫医科大学病院を勧められていましたが、当時受けていた治療に疑問を感じ、東洋医学で治療をしたいと思っていたので、迷わず大阪へ行く準備をしました。
【松本漢方クリニックへ】
初めて来院して感じたのが漢方の匂いの強さでした。鍼灸治療は松本漢方クリニックを知る前から通っていたので、東洋医学に馴染んでいたつもりでしたが、もぐさの匂いとはまた違う匂いに驚きました。そして、病室から聞こえる院長先生の声に二度驚きました。順番が来た私は副院長先生の診察を受けたので、院長先生とはあまり話さずに初めての診察を終えました。しかし、今までの病院とは全く違う印象を受けて、私の松本漢方クリニックでの治療が始まりました。
他の患者の方々と同様に、私はヒュミラを止めた後のリバウンドを繰り返し、仕事に行ったり休んだりを繰り返しました。今思えばリバウンドによる不調時にじっくりと休むべきでしたが、仕事を休み続ける勇気もなく、少し体調が落ち着けば復帰し体調を崩すことの繰り返しでした。いくら免役を高める治療をしても、自らがステロイドホルモンを生み出している状況を作っていては、車のアクセルとブレーキを同時にかけているようなもので身体が壊れてしまうのも当然でした。結局は身体が動かなくなり、長期の休業を余儀なくされました。休み始めると、リバウンドで症状が悪化し、下痢がさらにひどくなりました。夜中に何度もトイレに駆け込み、寝汗もひどく毎晩悪夢にうなされました。1年ほどしたら、下痢の回数は多少減り5〜6回/日となり、夜中にトイレに行くこともほとんどなくなりました。さらに半年が経つ頃には下痢もなくなっていき、便秘気味となりました。院長先生が言われていた通りの経過をたどりました。私はまだアトピーの症状が出ていませんが、引き続き免役寛容を目指します。あと今の一番の問題はヘルペスとの闘いです。私の場合は免疫力が回復する過程で下肢にひどい痺れが生じていてやっかいです。ヘルペスが下肢の神経に入り込み悪さをしています。これに対抗する強力な抗ウイルス剤として以前はソリブジン(アシクロビルの2000倍以上の効果)があったそうですが、世の中から消えてしまったとのことで残念でなりません。そして、治療で使用するアシクロビルは標準治療に含まれないため、保険が適用されません。私も他の患者の方々と同様に松本漢方クリニックの治療が標準治療になって欲しいと思います。ちなみに、現在は下痢がなくなったので仕事ができるようになりました。直近のリンパ球、CRP、血沈は以下の具合です。今のところ体力がなくフルタイム勤務とはいきませんが、治療を続けヘルペスを神経節へ追い込み、クラススイッチを目指し(院長先生によれば「EBウイルスに感染したBリンパ球が作った抗体が作り出す膠原病は絶対にクラススイッチはできない」とのことで、私の場合はクラススイッチしないかもしれませんが)、これからも完治を目指していきたいと思います。