「クローン病手記」
匿名希望34歳 2013年11月10日
匿名希望34歳 2013年11月10日
クローン病の完治に向けて
1.異変の兆候
身体の異変を感じたのは、2013年2月初旬の頃でした。
仕事帰りに同僚と飲みに行って家に帰った後、突然、強烈な腹痛と下痢に襲われました。そのときは「何か悪いものでも食べたか」くらいに思っていたのですが、それ以降も下痢・粘血便を頻繁に繰り返すようになりました。
なかなか症状が治まらず、内視鏡検査を受けることにしました。私の祖父は、私が幼い頃に大腸癌で亡くなっていることもあり、もしかしたら癌かもしれないという恐れもあったためです。
2.内視鏡検査
2月中旬頃、大腸・肛門の専門医に行き、診察をしてもらいました。診察した結果、肛門に異常はなく、腸管内を見てみないと判断できないということで、2月下旬に内視鏡検査を受けることになりました。
内視鏡検査の結果、大腸内にアフタ性の炎症が起きていることが分かりました。口内炎で口の中にできるモノに形が似ているなと思いました。「アフタ性大腸炎」と診断されましたが、確定診断ではなく、「アメーバ赤痢」の可能性もあるということで、血液検査を合わせて行いました。「血液検査の結果は、3月7日に出るので来院してください。」と言われ、医院を後にしました。私はそのときは、癌じゃなくて良かったと安堵し、重大な病気ではないという印象を受け安心して帰りました。
3.原因不明の発熱
内視鏡検査を受けてから3日後のことでした。その日はとても寒い日で、雨が降っていました。金曜日ということもあり、私は仕事帰りに飲みに行ったのですが、体調が悪く気怠さを感じたので、22時くらいには帰路につきました。家に着いた頃には38度くらいの熱がありました。
翌日、近所の行きつけの内科に行き診察を受けたところ、インフルエンザではなく、ただの風邪と診断を受けました。抗生物質と解熱剤を処方してもらいました。医師の方は「3日で良くなる。」と言われていました。それから3日間、処方された薬を飲んでいましたが、症状は一向に良くならず、むしろ悪化していきました。熱は39度~40度まで上がり、解熱剤を使わないと普通に生活ができませんでした。
「これはただの風邪ではない。」と思い、別の病院に行くことにしました。別の病院でも、インフルエンザ検査はやはり陰性で、血液検査の結果、CRP値が非常に高く、白血球値も増加していることから、「体内で何らかの炎症が起きている。」と言われました。私はそのとき直感的に、「大腸の症状と因果関係があるのではないか」と考えました。その日からの3日間は今まで経験したことのない苦しみでした。私は独身で一人暮らしのため、解熱剤で熱が下がったときに食事や洗濯を済ませ、また熱が上がったら寝るというサイクルを繰り返しました。症状は一向に良くならず、3月7日になる頃には、食欲もなく、体力がほとんど底を尽きかけていました。
4.3月7日
ようやく3月7日検査結果の日がやってきました。私は朝一番で検査を受けた病院に向かいました。自分を苦しめている原因が一体何なのかを一刻も早く知りたいと思っていました。医院に入ってしばらく待った後、血液検査結果の説明を受けました。私は最後の望みのつもりで聞きましたが、待っていたのは「原因が分からない。」という答えでした。
「検査したのになぜ原因が分からないのだ」という疑問と失望を覚えました。私は医師の方に、この1週間の原因不明の発熱のことを伝えると、「総合病院で精査してもらった方が良い」ということで、近くの総合病院への紹介状を書いて頂きました。
私はその足で、総合病院に向かいました。外来診察を受けたところ、やはりその場では原因は分からないということでした。今思えばそのときに、「潰瘍性大腸炎」、「クローン病」、「結核」などの様々な病名を聞きましたが、そのとき私は何も知らなかったため、医師の言うことを理解できませんでした。私はかなり衰弱していたため、入院したい旨を伝え、その日から入院することになりました。
4.入院生活
こうして入院生活が始まりました。大分衰弱していたので、点滴をしてもらいました。点滴により体調は徐々に良くなっていきましたが、発熱は治まりませんでした。その後、検査の結果、「クローン病の疑いが強い」と主治医に言われました。私はクローン病という名前を初めて聞きました。主治医の話し方や表情から、「一刻を争うほど深刻ではないが、簡単ではないのだろう」という印象を受けたのを覚えています。ただ、主治医の説明の最後に重大な発言を聞きました。「クローン病は完治しないから、うまく付き合っていく必要がある。」私は大きなショックを受けました。自分が不治の病を抱えてしまった現実をすぐに受け入れることができませんでした。まだ確定診断ではないと言われていたので、「きっと何かの間違いだろう」と思い、すぐに現実に目を向けることができませんでした。
入院中、インターネットでクローン病について調べました。「発症原因は不明である。」、「治療方法は、薬を投与して症状を抑えるしかない」、「完治することはなく寛解と再燃を繰り返す。」、「食事制限があり今までのような食事はできない」、「重症化すると外科手術をして腸を切らなければならない。」、「人工肛門になる可能性がある。」などネガティブな記事ばかり見て、絶望的な気持ちになりました。思えば、ここ数年は仕事が定常的に忙しく、残業、休日出勤は当たり前の生活を送ってきていました。高い志を持って、遮二無二、仕事を頑張ってきた結果がこれかと自嘲気味にすらなりました。薬による治療が始まりました。まず、ペンタサが処方されました。「ペンタサで症状が収まらないのであれば、ステロイドを使う」と主治医は言いました。そのときの私はステロイドの恐ろしさを知りませんでした。
(今思えば、ここがターニングポイントでした。ステロイドを使うことになっていたら、リバウンド症状がもっと出ていたと思います。ペンタサだけで済んだのが不幸中の幸いであったと思います。無知であることは罪であると思います。自分の身体や病気のことは正しく理解しておくべきですが、当時はお恥ずかしながら医師の言うことを鵜呑みにしていました。)
5.松本漢方クリニックとの出会いと一筋の光明
その後もクローン病についてインターネットで調べていると、Googleのサジェスト検索(キーワードに一致した候補を表示する機能)で、「クローン病完治」というキーワードが表示されました。そこから、松本漢方クリニックのホームページに辿り着きました。このときは2週間後に大阪を訪れていることなどそのときは想像もしませんでしたが、そのホームページこそが一筋の光明であり、希望でした。松本漢方クリニックに出会わせてくれた、Googleの優秀な検索エンジンに感謝しています。初めて読んだ記事は、クローン病患者さんの手記でした。最初のうちは半信半疑で読んでいたのですが、読めば読むほど引き込まれていき、読み漁りました。松本先生の論文の内容は素人の私が読んですぐに理解できるほど容易ものではありませんでしたが、それが論理的な内容であることは分かりました。「クローン病は本当に治るのかもしれない」と思いました。そもそも、入院していた病院で主治医から受けた説明は、筋が通っておらず、決して納得がいくものではありませんでした。
・「自分は大腸だけにしか症状が出ていないのだから、潰瘍性大腸炎ではないのか?何を根拠にクローン病と判定できるのか?」
・「病気の原因が不明なのに、なぜ薬を投与すると病状は回復すると言えるのか?」
・「寛解という状態はどういう状態なのか?なぜまた再燃するのか?また、再燃しないケースもあるのか?」このような様々な疑問を持ちましたが、その疑問を医師の方に投げかけても、納得できる答えは返ってきませんでした。
松本先生の理論は、それらの疑問に全て答えてくれました。説明が論理的であり、信憑性があるように思えました。クローン病の発症原因と完治に至るメカニズムは信憑性があるように思えました。ただ、このような医学理論が世の中に発表されていないことへの疑問を合わせて感じました。松本先生の記事を読み進めるうちに、その疑問に対しての言及もありました。現在の医療業界の現状「製薬会社が薬を売るために、医者が病気を作っている」という記事には驚きました。私は松本先生の御見解が真実か否かを判断する知識も経験も持ちあわせていませんでしたが、病院の医師の方が言うことよりもはるかに説得力がありました。
その頃には、私は退院したら松本漢方クリニックに行こうと心に決めていました。と同時に、私が受けていた薬による治療はすぐにでも辞めなければならないという認識も持っていました。とはいえ、退院するためにはある程度は回復しないといけませんし、松本漢方クリニックについても少しは疑問を感じていなかったと言えば嘘になります。松本漢方クリニックに行くために、症状を残したまま退院する勇気はまだありませんでした。しかし、ステロイドの投与だけは何とかして阻止しなければなりませんでした。主治医の方は、「ステロイドは魔法の薬。もの凄く効く。」だとか、「ステロイドが効かないことはないけど、他にもレミケードとかヒュミュラとかいろいろ強力なオプションもありますよ。」と、まるで車の販売ディーラーのような口調で言われていました。薬の副作用について具体的な説明はありませんでした。私は医師の方の発言を聞いて、このままだと近い将来、薬漬けにされてしまう。この病院は信用できない。一刻も早く退院しなければと強く思うようになりました。幸いにも、ペンタサが効きました。入院時には16近くあったCRP値も、徐々に下がっていき、それに伴い発熱も収まりました。点滴も外れ、流動食ではありますが食事もできるようになり、私は徐々に回復していきました。そして3月22日、ついに退院することができました。退院したことの安堵感と、これから自分を待ち受ける困難への恐れを抱きながら、家路につきました。
6.退院後、いざ大阪へ
退院した4日後の3月26日、私は松本漢方クリニックに行くために大阪へ向かいました。新大阪駅で降車し、電車を乗り継ぎ高槻駅まで行き、いよいよ松本漢方クリニックが目前に迫ってきました。高槻駅前のドトールでコーヒーを一杯飲んで落ち着いてから、希望と不安に満ちた心境で松本漢方クリニックのドアを叩きました。中に入ると、平日の遅い時間帯の割には混んでいる印象を受けました。「自分だけではない」という安堵感と、松本漢方クリニックの信頼性を伺うことができ、少し安心したのを覚えています。受付後、尿検査、血液検査、お灸、針などを行い、いよいよ松本先生の診断を受ける番が来ました。患者さんの手記や松本先生の文章はかなり読み込んでいたため、松本先生の人物像は私の中で大体固まっていましたが、初めてお会いして、全くその印象通りの熱い方でした。診察の過程でいろいろなお話を伺いましたが、長年の努力に裏付けされた自信と、医師としての揺るぎない想いを強く感じました。自信と想いを持っている方の言葉にはやはり説得力が宿ります。それは入院していた病院では感じることができなかったことです。私の診察をしている僅かな間にも、多くの患者さんから電話が掛かってきており、1件1件真摯に対応されている姿を見て、信頼できる方だと思いました。
松本先生は私に「病気を治すのは君だ。絶対に治るから。」と言ってくださり、何回も力強く握手をして頂きました。手記で見た通りでしたが(笑)、感動しました。医師は患者に希望を与える存在であって欲しいと思います。病気はネガティブな思考になりがちです。病気は治るという希望があってこそ、患者は頑張れるのだと思います。そして、患者は正しい知識を知ろうとすべきです。私は自分が病気になるまで医療について何も知らなかったし、知ろうとしませんでした。と言うよりは、自分が病気になることなど微塵も思っていませんでした。なにはともあれ、大げさかもしれませんが、私は松本先生のおかげで未来に希望を持つことができたのでした。
8.漢方治療とその後
漢方•鍼灸による治療が始まりました。初めて飲む漢方薬は想像以上に不味かったです。煎じ薬は今まで飲んだことはなく、煎じる手間が最初は大変でしたが、徐々に慣れていきました。最初の頃は、下痢の症状が続きましたが、2週間もすると症状がなくなっていきました。その頃から処方していたペンタサも完全にやめることができました。
9.現在
早いもので、2013年11月になりました。3月以来、1、2ヶ月周期で松本漢方クリニックに通院しています。漢方の薬も飲んでいます。(最近は若干、さぼりぎみですが)今でもたまに下痢をすることはありますが、症状はほとんど出ていません。特に食事制限もなく、普通の日常を送れています。本当に病気なのかと思うほどです。とはいえ、感覚的にまだ完治していないのだろうと感じています。クラススイッチしたら外部に何かしらの症状が出るのだと思いますが、まだほとんど自覚がないからです。症状が出ていないのでは、おそらく、夏場は仕事がとても忙しかったこともあって、私の中でステロイドホルモンを分泌しているからではないかと思っています。おそらくまだ完治はしていませんが、私は普通の日常生活を送れていること自体に感謝しています。もしも、あのとき、松本漢方クリニックを見つけることができなかったら、私は食事制限をして、再燃にびくびくしながら生活をしていたと思います。世の中で膠原病に苦しんでいる方が願わくば、松本漢方クリニックのホームページを見つけてくれることを願っています。今後も漢方治療を続け、完治のご報告ができる日を楽しみにしています。
10.あとがき
だいぶ長文となってしまいました。粗末な文章を最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。私がこの手記を書いた理由は3つあります。
①松本先生のお願いだから「言われたから」と等しい理由ではありますが(笑)、恩人である松本先生に協力できるのであれば、労を惜しみません。(遅くなりまして申し訳ありません。)
②自分の当時の気持ちを記録しておきたかった病気は災難ですが、病気にならないと見えない景色もあると思いました。家族や友人の大切さ、健康で日常を送れることの素晴らしさ、これらは普段は在って当たり前のものですので、普段はなかなか大切さに気が付きません。今回、自分を支えてくれた家族・友人への感謝の気持ちは忘れてはいけないものです。彼らが困った時今度は自分が助ける番です。しかし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺もあるように、人は困難を過ぎると忘れていくものです。私自身も今は普通に生活できていますので、たまに自分がクローン病患者であることを忘れてしまいます。この手記を見て、当時の気持ちを思い出せたらと思っています。
③同じクローン病で悩む方にメッセージを伝えたかったクローン病は、西洋医学では「治らない病気」です。一方、松本先生は「(絶対に)治る病気」と言われています。私には正直どちらが真実なのかは判断できません。そもそも、我々患者が医療を評価できるのは自分の体調の善し悪しだけです。私が松本漢方クリニックを訪れたのは「他に治るって言う人がいないから」という最後の賭けだけであって、そのときは半信半疑でした。しかし、前述した通り、松本先生とお会いして「絶対治る」という先生を信じてみることにしました。
この手記に辿り着いた貴方は、松本漢方クリニックに行くべきかどうかを迷われていることでしょう。「絶対行った方がいい」と無責任なことは言えませんが、迷っておられるのであれば、試しに行ってみることをお勧めします。そして、貴方自身の目で見て判断して頂きたいです。